今年もうつろん先生が眷属と絆を深めながら、鬱シーン書いたりしていきますのでよろしくお願いします。
アンケートを実施しましたので、活動報告をご一読いただけると嬉しいです。
「……それでオーディン様がですね……」
「へぇ、これは意外だ。かのオーディンがそのような行動に出るとは」
「そうでしょう!?神様なら神様らしくして下さいってやつれすよぉ〜!全くもう……」
酒が回ったことでロスヴァイセは酔っていた。懐石料理のコースをサーゼクスやロスヴァイセの知人かはさておき、その人物によって頼まれていたようで高級な日本酒が出された際にうつろが注ごうとすると「わ、私は遠慮しておきます……」と最初は言っておきながらも、うつろが下げようとしたときに「すみませんが、アウルさん。お願いしていいですか?」と若干上目遣いで頼まれた。ガンガン攻めてくる朱乃やリリーのようではなく、アーシアのようなどこか大和撫子のように奥ゆかしい性格は嫌いではない。最近は朱乃に何を吹き込まれたのか、積極的に一誠と行動しようとしているようだ。初々しい感じがまた可愛らしく、うつろは無意識のうちにロスヴァイセをアーシアに接するように妹として接している部分があった。
ロスヴァイセは悪酔いしやすいタイプらしく、あまり酒を呑んだことがないうつろが酔う前に先に酔ってこちらに絡んできた。見目麗しい銀髪美人、そんなロスヴァイセに絡まれるのは悪くはないが。
「それで、姫様」
「は、はいっ!?私が!?」
「ええ、ロスヴァイセさんです。今日は誰に紹介されて私とお見合いすることに?」
「えへへ、アウルさんったらわかっでるぅ〜♪えーっど、おばあさまの知り合いに紹介されたんですだよ」
すっかり少女のような振る舞いをするようになったロスヴァイセは可愛らしく、照れる素振りがそれを引き立てる。酔っているからかロスヴァイセ自身も開放的になり『エリート、容姿端麗、手練れ』であるという、うつろのそばにやってくる。少し酒臭いが酔ってウザ絡みをしてくる上司に比べればマシだ。妻に叱られながらも、うつろを幼い弟のように接する姿勢は反面教師にできる。
肩に頭を委ね、上目遣いにうつろをロスヴァイセは見上げる。眼鏡の奥の優しい眼差し、前髪のわずかな部分の紅、それらに見惚れてロスヴァイセは自身をアピールしていた。
理想の高さや仕事が恋人となっている今のロスヴァイセにとって貴族のような気品がある『アウルさん』に対する好感度は高かった。
「その人のお名前を聞いていいですか?」
「んー、どうしようかなー?ただでは教えられないれすよー」
「そこをなんとか」
うつろの手を撫で回し、頬に当てて喜んでいるロスヴァイセは少し焦らすような様子だ。うつろ自身、教師であることと朱乃や村山にこのような行動を日頃からされることがあるので耐性がついていた。最も本当にタイプだったら理性が飛んでしまっているが、ロスヴァイセが高校生とそんなに変わらないように見えるのがうつろのリミッターとなっているところがある。
それよりも今はロスヴァイセが本日、見合いをするように勧めた人物のことだ。未だうつろは結婚する予定はなかったし、今日は珍しく一誠とアーシアを連れて課外活動として何処かに赴く予定だった。
その帰りに外食でも主として師として奢ってやるのも良い、と考えていたところでのサーゼクスからの連絡。
『おお、マイブレイド!その日空いてない?』
実に軽い連絡がやってきたとき、うつろは思わず声を荒げてしまった。時刻は午前二時半、悪魔は夜行性かもしれないが『無羽うつろ』という人間として今まで暮らしていた男にとっては夜は眠る時間なのだ。うつろのベッドの脇の籠で眠っている赤いツノと緑色の髪、白い体色をした可愛らしい妖精の使い魔が飛び起きて泣き出したので寝かせるのに時間がかかったのもある(最近、使い魔を得た)。
だからこそ、聞いておかなかければならない。
この銀髪の真面目な女性が誰に言われてやって来たのか。
「えっどぉ、『トワイライト・フェニックス』と聞きましだぁ。ばあちゃんの知り合いらしいれす。アウルさん、なにかしてくださいよぉ?話したれしょう?」
「!?……では、今度、何処かにお出かけしましょうか。ロスヴァイセさんが普段行っているお店とか知りたいです」
「えっ、それって……」
ロスヴァイセはうつろの言葉で酔いが覚めた。うつろがトワイライト・フェニックス、という単語に反応したことに気づかず、ただ異性からの外出の誘い即ちデートに誘われたことが衝撃的だったらしい。今までそのような経験もなく、ただ『エリートで容姿端麗で守ってくれる程強い人』としか漠然なイメージがなかった彼女にとってはうつろは不思議な存在に思えた。
その明るい瞳の奥には何も映さず、ただ『虚ろ』にしか見えない。そんな彼と話しているうち、魅力が伝わってきているように思えた。事前知識では『とっつきにくく、話しかけ辛い刺々しさ』を持っているとトワイライトに言われたり、サーゼクスからは『愛想や遠慮ない男』との情報。
そのように伝えられても、実際に会って分かったことといえば『優しく、暖かい人』ということだ。
「はい、デートのお誘いです。銀髪の姫様。酔いが覚めたようで良かった。デザートが来るまで、貴女のことを教えて下さいませんか?」
「は……、はいっ!でも、その前にアウルさんの話も聞きたいですっ!」
「何も面白くありませんが、聴いていただけるならばお話ししましょう。実は、表向きには教師をしていましてね……」
その後、唐突に出てきた使い魔のセレナが場をほんわかさせた。殺伐としている環境下で生きていたうつろにとっては、一誠とアーシア含めロスヴァイセとセレナもまた癒しとなる存在となろうとしていたのだ。何を考えているのかわからない上司、絶えない保護者からのクレーム。教師という職業上、それは仕方ないだろうけれど今だけは落ち着いていたいと思った。
セレナがペットに入るのかをすっかり忘れて。
* * *
センセーがおそらく、お見合いしている頃に俺はグレモリー先輩に呼ばれた。アーシアが心配そうに同席を申し出たが、どうもアーシアに聞かせられることではないらしい。それってすごく面倒臭そうなことなんだと思うけれども勝手にグレモリー家の令嬢とその他眷属含めて俺一人となるのは好ましいことではない、とセンセーは言うだろう。
センセーが嫌うものの中に親の威を借るクソガキというものがある。きっと虎の威を借る狐について言いたいんだろうけど、センセーの小粋なトーク技術によるものだろう。一体、何に影響されているんです?間違いないコマンドーだ!
で、リアス・グレモリー先輩がその親の威を借るクソガキなんですかと聞いたところセンセーの目はうつろだけにうつろだった。いいのかセンセー、慕ってくれる女の子の親友にそんなこと言って。というのが顔に出ていたらしく、センセーに拳骨された。
絶対に訴えてやる。
「よく来てくれたわ、イッセー」
「それで話ってなんですか?」
「まぁ、お茶でも飲みながらお話ししましょう。朱乃、お願い」
「はい、部長」
相変わらずの超常現象研究会、やっぱり内装の趣味は最悪だ。魔法陣にその他諸々、センセーの写真があるスペースに張り巡らされていたり、ボロボロのメガネがあったりと趣味を疑う。なんとなくセンセーの眼鏡っぽいのは気にしないでおこう。おっと仔猫ちゃん、そんな目で見ないでくれ。
姫島さんが俺にお茶を注いでくれ、グレモリー先輩にもお茶を淹れた。うむ、良家のお嬢様の持つ茶葉は違いますな。緑茶といえども玉露ですよ、玉露。参ったね、どうも。母さんにも玉露を飲ませたい。父さんにも。
『気を抜いていいのか?相棒』
「(落ち着けよ、紅さん。余裕かますくらいがちょうどいいんだよ。ほら、強者プレイ。フェイクをかますのさ、フェイクを)」
『もう、俺はその呼称に突っ込まんぞ』
「(……えっ?)」
『えっ?』
「さて、イッセー」
ふむ、紅さんとのコミュニケーションもいつも通りに捗る。すばらしいね、コミュニケーション。大事なものだ、これからも紅さんを相棒として関わっていきたいね。ほら、二人で一人のスタンド使いって良いフレーズだと思わないか?
お茶を飲んで一息ついたところでグレモリー先輩は話を切り出した。木場や姫島先輩、白音ちゃんもかしこまっている。臨戦態勢、というわけではなさそうだけど真面目な様子だ。流石にここで茶化したと知られたら、センセーのゲンコツハンマー来るだろうな。あれでもセンセーだもの、イッセー。
「悪魔としての生活はどうかしら?」
「まぁ、それなりに楽しんでますよ。アーシアもいるし、センセーも面白い」
「楽しんでいるならば、なにより。その無羽うつろなんだけどね、イッセー」
んんん?グレモリー先輩、センセーを呼び捨てにしたけど大丈夫か?センセー、姫島先輩ぐらいしか呼び捨て許してないんじゃなかったっけ?フルネームでセンセー呼び捨てにしてボコられた奴を何人見たことやら。
これはセンセーに言っておかなくてはならない。
センセー、こう、『ビジネス』でしかグレモリー先輩サポートする気ない感バリバリなんだよな。
覇気がたまに感じないもん。
「家族構成、知ってる?」
「センセーの家族?確か、すでに両親は故人って聞いてますよ?」
「それなんだけどね、これは貴方に、いえ無羽うつろ眷属の中で無羽先生に近いイッセーに言わなきゃいけない」
「は、はぁ……」
グレモリー先輩の表情は鬼気迫るものがある。他の眷属たちも同様だ。内容が内容だから、アーシアを連れてこないように木場に言われたのは正解かもしれない。アーシア、センセーと俺の悪口を言われたらキレるからなぁ。間違ってもグレモリー先輩にグレモリー先輩のお母さんの家から受け継いでいる滅びの魔力を使わせちゃならないし、その前にアーシアの『クレイジー・ダイヤモンド』を使わせてはいけない。パワーもスピードも恐ろしいし、そんなことになればサーゼクス様の部下でもあるセンセーはサーゼクス様の管理不届きを隠蔽するために辞職せざるを得なくなるだろう。
そうなれば姫島先輩も黙っていないし、誰がセンセーを養うのかってなるから保身の為なんだろうな。アーシア可愛いのに危険扱いされるなんて酷い。な、紅さん。
『全くだ。確かにあのパワー、人間の精神力が元で生み出されているなら末恐ろしい。馬鹿にできんな、元人間の転生悪魔』それって俺も?『紅さん呼称をしなければ、認めているがな』ヒュー!
さて、グレモリー先輩の話に集中しよう。
「無羽うつろが、家庭内暴力をしていたと言ったら?」
「……それ、どこ情報なんです?ソースは?」
「私はオタフク派よ。実はライザーから聞いたのよ、『トラヴィス=Aの落ちこぼれの灰被りはオレ達に暴力を働いていた』って。……朱乃、落ち着きなさい。貴女の想い人を悪く言ってるわけじゃないわ」
姫島先輩が反応したことによって、グレモリー先輩がフォローに入る。ライザーと言うと、センセーの『ほんとうのかぞく』というやつでトラヴィスってのはそいつが言ってたセンセーの本名だっけか。
依然変えずにセンセーはセンセー、アーシアは先生と呼ぶけどな!無羽うつろだろうが、トラヴィス=A・フェニックスだろうが関係ないのさ!センセーは俺たちのセンセー!スーパーヒーローでいつか俺が倒す男!越えるべき壁!
てか、灰被りってのはフェニックスなりの悪口なのかな?シンデレラの意味が灰被りってのは知ってるけど、幸せになれたことを考えると悪口にしてはおかしい。
フェニックス家はどうかしてるんじゃなかろうか。
「で、俺たちが暴力を働かれていないのかってことですか?」
「そんなところね。どうなの?実際」
「部長、一ついいですか?」
「ええ、良いわよ、祐斗」
ふむ、ここにて黙っていた木場が発言するのか。
木場よ、ここでいくらグレモリー先輩の眷属だからってセンセーに不利な発言は俺が許さないぞ。
しようものならば、この兵藤一誠がセンセーの名誉にかけてブッ飛ばす!
「無羽先生は確かに無愛想ですが、兵藤くんやアーシアさんに暴力を働いているのは少なくとも僕は見てません」
「祐斗にはそう見えたのね、実際はどう?」
き、木場ァァァァァ〜〜ッ!俺はッ!お前に感激したぞッ!ここでセンセーにフォローを入れるなんて、なんつー根性!ちゃっかり親指を立てンじゃねえ!グレモリー先輩にバレたら、ただじゃあ置かないんじゃあないのかッ!?主にグレモリー先輩。
「いやぁ、センセーはそんなことしませんよ。あの人、叱咤でやるときとかじゃれあいで叩くとかありますけど基本は俺たちに優しいです。アーシアに対しては妹みたいに接してますし。ですよね、姫島先輩」
「……!?え、ええ。うつろは兵藤くんやアーシアちゃんに優しいですわ、よく話をうつろは聞かせてくれます」
「右に同じくです、部長。トラヴィスはーー無羽先生はアーシア先輩に優しい」
しめた!ここで姫島先輩を味方にしてよかったぜ、俺!先ほどから何か言いたそうだったんで、ここで振っておいて正解だったぜ!そこから、白音ちゃんも味方につけた!よし、このままグイグイ行くぜッ!センセーに冤罪を擦り付けようなんざ、二万光年早いぜ!
「……本人が言うなら、仕方ないわね。アーシア?いるんでしょう?扉のところで聞き耳立てていないで入ってらっしゃい」
アーシアもいるのか!?さては心配になってついてきたのか、はたまた後で旧校舎に来たのかのどちらかだろうな。センセーを慕ってるからなぁ、俺ぐらい。バイサーさんの行方を気になってるぐらいだし、愛着深いんだろう。
「……先生は、私たちに悪いことしてないです」
「そう、貴女の口から聞けてよかったわ。じゃあーー「待ってください」
「私がここまで主張する意味、わかりますか?」
アーシアの雰囲気が一転する。そして『クレイジー・ダイヤモンド』の姿が濃く見える。アーシアは怒っているようだ。確かに尊敬している人が疑われたら、誰だって怒るだろうな。今のアーシアを、俺は止められない。俺だってアーシアと同じ立場なら同じことをしているだろうから。
「散々、私たちの大好きな『センセー』を疑っておいてそれですか?もっと言うことはないんですか?グレモリー部長、貴女が眷属や家族を愛するように私とイッセーさんは無羽うつろ先生が大好きなんです。それは朱乃さんだって、白音さんだってそうです。ライザー・フェニックスさんに勝てたのは先生の助けがあったから、グレモリー部長も勝てたはずですよね?なのに、なのに……ッ!」
アーシアの言葉に怒気が篭り、そして嗚咽交じりになりながらも強い意志を称えた綺麗な瞳は曇らない。まるで、ダイヤモンドのようなアーシアの意思に応えるようにアーシアのスタンド『クレイジー・ダイヤモンド』は強くアーシアの命を待つ。さながらそれは静かな場所に佇む日本刀のような荘厳さで近づき難さがあるものの、力強さがある。けど、アーシアのその姿に俺はいてもたってもいられなくて、アーシアを支えた。
「……行こう、アーシア。グレモリー先輩、これで失礼します」
「イッセー、さん……」
アーシアが泣きじゃくりながら、俺に視線を向ける。俺は足早にグレモリー先輩に会釈し、超常現象研究会の部室を後にした。
同級生、後輩、先輩にもフォローさせた上で家族を泣かせるなんて何をしているんだ俺は。
俺たちのセンセーに怒られるな、アーシア泣かせてしまって。
割と普段より長く見えるのは、これが長すぎてもキリが良かったからさ。
次回はルヴァルおにいちゃん出てくるよ。
IFルートで女性イッセーとイチャコラしたり、グレイフィアさんといちゃいちゃするうつろん先生考えながら次回をお楽しみに!