ホロライブ・オルタナティブ第二章 feat.“Saber” 〜猛る烈火は誰の為にその命を燃やすのか〜   作:らっくぅ

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第十九話 キミは何のために疑う(戦う)の?

 

「そう、大丈夫だよ。だってその為にボク達がいるんだから」

 と、そこでスメラギの背中に手が触れる。

 まるで背中を支え、あるいは、押されるように。

 

 冷たく硬い、機械の手のはずだった。なのに、不思議と暖かさが伝わってくる。

「ロボ子さん……」

「キミが今もあの時と同じ気持ちなら。前に進みたいと思ってくれているなら。ボクは支えるよ。何度だって」

 

 やれやれ、と言わんばかりにかなたはため息を吐く。

「今のじゃ及第点すらあげられないよ。前と同じ展開しか見えないんだけど?」

「かなた……」

 しかしそこに、嫌悪は込められていない。

「それに対策って言ってるけど、どうせ『策』と呼べるほどのものじゃないでしょ、それ」

「う……」

「今更『力』を晒したことを責めるつもりはないよ。あの時の君の判断は最良ではなかったかもしれないけど、最善だと僕は思う」

 かなたは結翔達に目を向ける。

「そして君達の反応ももっとも。『スターク』はブラックホールや西暦時代の核と同じで、ただそこにあるだけで脅威だからね」

 その前提を、かなたは肯定する。

 

 秩序を維持する側に立つかなただからこそ、そこの線引きはシビアだ。

 実際、かなたが第一の“鍵”を持っていたのは、そうした事情もある。

 

 その上で。

 

 でもね、と天使は続ける。

「だからこそ、危ないからって理由で遠ざけたり消そうとするのは、善くないことなんじゃないかな。大事なのはどう付き合っていくか、だよ」

「……」

 2人の言葉で、トワの肩の力が少し緩む。

「その為の制御術式……ってことなんだよね?」

「おかげで僕達は助けられたんだよ。ずっと睨んでるそこのキミも、スメラギがいなかったらどうなっていたことか。本来の『スターク』は“守護者”以上の力を持ってるんだよ?」

「そんなヤバいのが破滅派って、どんな巡り合わせなのさ……。と、とりあえず、スメラギさんの方は害はないってことでおけ?」

 まつりはおそるおそる尋ねてみる。

「過信はしてほしくないけどね……」

 対するスメラギも、ぎこちなく返す。それでも、さっきまでの冷たさはもう感じなくなった。

 

「けど、その“鎖”は外しちまったんだろ」

 白髪の少年は、しかしあくまで無機質に追及する。

「“鎖”を全部外せばもう1人の『スターク』に勝てるかもしれない。目の前の脅威に打ち勝てるかもしれない。でも、アンタが“敵”にならない理由は? こいつらがいれば邪神の力を抑えられるわけでもないだろ」

 

「……僕を信じてくれ、なんて言うつもりはないよ。僕は仲間にただ肯定して欲しいわけじゃない」

 スメラギの言葉は、少なくとも嘘ではない、と結翔は感じた。

 もしそうでなければ、自らの『力』を抑制する術式を仲間にかけてもらう、なんてことはしないはずだ。

「『力』の強さは僕が1番よく分かってる。……怖さも。だから僕には、仲間が必要なんだ。疑いも信頼も、全てが支えになるから」

 

「そうだね。その人がその人で在るために、疑ってくれる人も大事だよ」

 同様に、ロボ子も首肯する。

 

 彼女は使命に忠実なアンドロイドだ。生まれてから一度だって、使命を放棄したことはない。

 だがそれは、闇雲に従うことを意味するわけではない。

「でも、キミ自身が何の為に疑うのかは、忘れないでほしいかな」

 使命を全うするためには、時に反抗することだって必要だ。

 抗って、疑って。きっとその先に本当のゴールがあるのだ。

 ただ1つの運命(大団円)を掴み取ったスメラギ達のように。

「キミは何のために疑う(戦う)の?」

「何の、ために……」

 結翔の目が揺らぐ。

「すぐに答えを出す必要はないよ。考え続けることが何より大事なんだから」

「……」

 

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