ホロライブ・オルタナティブ第二章 feat.“Saber” 〜猛る烈火は誰の為にその命を燃やすのか〜 作:らっくぅ
「そう、大丈夫だよ。だってその為にボク達がいるんだから」
と、そこでスメラギの背中に手が触れる。
まるで背中を支え、あるいは、押されるように。
冷たく硬い、機械の手のはずだった。なのに、不思議と暖かさが伝わってくる。
「ロボ子さん……」
「キミが今もあの時と同じ気持ちなら。前に進みたいと思ってくれているなら。ボクは支えるよ。何度だって」
やれやれ、と言わんばかりにかなたはため息を吐く。
「今のじゃ及第点すらあげられないよ。前と同じ展開しか見えないんだけど?」
「かなた……」
しかしそこに、嫌悪は込められていない。
「それに対策って言ってるけど、どうせ『策』と呼べるほどのものじゃないでしょ、それ」
「う……」
「今更『力』を晒したことを責めるつもりはないよ。あの時の君の判断は最良ではなかったかもしれないけど、最善だと僕は思う」
かなたは結翔達に目を向ける。
「そして君達の反応ももっとも。『スターク』はブラックホールや西暦時代の核と同じで、ただそこにあるだけで脅威だからね」
その前提を、かなたは肯定する。
秩序を維持する側に立つかなただからこそ、そこの線引きはシビアだ。
実際、かなたが第一の“鍵”を持っていたのは、そうした事情もある。
その上で。
でもね、と天使は続ける。
「だからこそ、危ないからって理由で遠ざけたり消そうとするのは、善くないことなんじゃないかな。大事なのはどう付き合っていくか、だよ」
「……」
2人の言葉で、トワの肩の力が少し緩む。
「その為の制御術式……ってことなんだよね?」
「おかげで僕達は助けられたんだよ。ずっと睨んでるそこのキミも、スメラギがいなかったらどうなっていたことか。本来の『スターク』は“守護者”以上の力を持ってるんだよ?」
「そんなヤバいのが破滅派って、どんな巡り合わせなのさ……。と、とりあえず、スメラギさんの方は害はないってことでおけ?」
まつりはおそるおそる尋ねてみる。
「過信はしてほしくないけどね……」
対するスメラギも、ぎこちなく返す。それでも、さっきまでの冷たさはもう感じなくなった。
「けど、その“鎖”は外しちまったんだろ」
白髪の少年は、しかしあくまで無機質に追及する。
「“鎖”を全部外せばもう1人の『スターク』に勝てるかもしれない。目の前の脅威に打ち勝てるかもしれない。でも、アンタが“敵”にならない理由は? こいつらがいれば邪神の力を抑えられるわけでもないだろ」
「……僕を信じてくれ、なんて言うつもりはないよ。僕は仲間にただ肯定して欲しいわけじゃない」
スメラギの言葉は、少なくとも嘘ではない、と結翔は感じた。
もしそうでなければ、自らの『力』を抑制する術式を仲間にかけてもらう、なんてことはしないはずだ。
「『力』の強さは僕が1番よく分かってる。……怖さも。だから僕には、仲間が必要なんだ。疑いも信頼も、全てが支えになるから」
「そうだね。その人がその人で在るために、疑ってくれる人も大事だよ」
同様に、ロボ子も首肯する。
彼女は使命に忠実なアンドロイドだ。生まれてから一度だって、使命を放棄したことはない。
だがそれは、闇雲に従うことを意味するわけではない。
「でも、キミ自身が何の為に疑うのかは、忘れないでほしいかな」
使命を全うするためには、時に反抗することだって必要だ。
抗って、疑って。きっとその先に本当のゴールがあるのだ。
ただ1つの
「キミは何のために
「何の、ために……」
結翔の目が揺らぐ。
「すぐに答えを出す必要はないよ。考え続けることが何より大事なんだから」
「……」