ホロライブ・オルタナティブ第二章 feat.“Saber” 〜猛る烈火は誰の為にその命を燃やすのか〜 作:らっくぅ
『リノセウス・インドール。彼は数年前に独立傭兵として活動を始めたようだ。経歴に不審な点は無く、ごく一般的な人間に見える』
先の戦闘で得た顔写真から、セトは各都市の警察や傭兵組織のネットワークへアクセスし、身元を割り出していた。
それが違法であることは明らかではあるが、もうスメラギは口にしなかった。呆れはしたが。
「……でもある日、彼は『スターク』に
ガタガタと揺れるトラック。
その後部コンテナ内にて、セトとスメラギは話を進める。
「ゼノクロスについては〜? アレも破滅派がやったってこと〜?」
ロボ子がスメラギを見下ろしながら尋ねる。
作戦会議するのに1人だけ運転席にいる訳にもいかず、しかし依然席は足りないので、スメラギはこうして床に座っているのだ。
ちなみに肝心の運転の方はというと、APRILがしてくれている。
「特に否定をしなかった事からして、おそらくは。ただ破滅派が、というよりはあの『スターク』が、だろうね。神の力であれば、同じ神であるリヴァイエラの封印を解くのも、そう難しい事じゃない」
そっかぁ、と呟くロボ子。
一方で、(主に)まつりはイマイチ理解が追いつかない。何せ
そして多分、今後も聞けることはないだろう。
「よく分かんないけど……『スターク』ってめちゃくちゃ強いんだ」
なのでまつりは、そんな感想しか出てこなかったのだった。
「そりゃあ『スターク』は神様、それも邪神の力を持つ者だから。でたらめは『スターク』の常套手段。だよね?」
「君ってけっこう根に持つタイプなんだな、かなた……」
「えぇと、つまり、リノセウスという方が『スターク』になって、邪神の力でゼノクロス…さん? の封印を解いた……ということですか?」
頭にはてなマークが浮かんでいるであろうフブキが、同級生と後輩の為に何とか話をまとめる。
それをスメラギは頷いた。
「おおむねそうだね。そして僕達がゼノクロスを止めたのを見て、破滅派は計画を進めた。もう1人の『スターク』の投入を」
「じゃあ、あとはそのリノセウスを倒せば計画を止める事ができるってこと〜?」
「計画
その後。
ココの言う通り、破滅派はまともな組織ではない。頭を潰した程度で大人しくなるような理性を持ち合わせているかどうかは大いに疑問だ。
彼らの根底にあるのは、諦念なのだから。
『真なる終わりの前にはすべてが意味を成さない。故に、終焉とは真なる自由である。人とは、つくづく可能性に満ちているものだ』
「当事者達はそこまでポジティブに考えてないと思うけどね……
「ココ、潜伏してる破滅派をあんたのとこで摘発とかできないの?」
「それ自体はできなかないですけど、規模がデカすぎですって。ベルナバイドは何とかなるかもしれないすけど、それ以外は……。特に人間界は広すぎてカバーしきれないっすよ」
一応公的には自警団となっている桐生会だが、実際には都市1つ分を守るくらいの戦力しかない。
ましてや、人間界は魔界の数倍の広さを持つ上、各都市の連携はほぼ無い。それらを守り切るには、膨大な人員が必要だ。
「いや、むしろ桐生会はルーナ達と連携して人間界を守ってもらった方がいいんじゃないかな? 自警団なら多少融通は効くはずだし」
「ん〜〜つまり??」
首を傾げるココを横目に、トワはふと外を見やる。いつの間にか街に入っていたらしい。
……街?
「うわっ、この景色見覚えある……。まさか……」
*
「やっぱり……」
到着したのは魔界最大の教育機関──魔界学校だった。
「あの、スメラギさん……白上達ここで待っていても良いですか?」
トワとココを気遣っているのだろう。
確かに留学中のはずの──しかもすぐ近くでテロが起こり自宅待機しているはずの──学生が母校に帰ってきたら、どう考えても怪しまれる。
「大丈夫だよ。他の生徒は分からないけど……少なくとも、あやめ達は。僕達も説明するし」
フブキとトワに軽く声をかけたスメラギは、そのまま魔界学校の校門へ向かってしまう。
「そのあやめちゃん達に会いたくないんだけどなぁ……」
「戦う覚悟ができてるんなら、生徒会長に怒られるくらい何ともないでしょ」
「それとこれとは別なんだよ〜……」
怒られるほどではない。多分、会うのが気まずいくらいなんだろうな、とまつりは思った。
「安心して! その辺はこのまつり先輩とフブキ先輩が上手くやりますから!」
「白上もですか!?」
「こーいう時だけ先輩面するんだから……」