ホロライブ・オルタナティブ第二章 feat.“Saber” 〜猛る烈火は誰の為にその命を燃やすのか〜   作:らっくぅ

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今回長めです。
ついでに後書きという名の反省文も長めです。
お話が長いよーという方は飛ばして大丈夫です。


第七話 そちらさんはどちらさんなのさ?

 ──都市ギエルデルタ郊外。

 

 

 

 

 

 すぐ近くでテロが発生したという事で、学校はすぐさま休校となった。テロの終息後すぐに校舎に戻ったお陰で、結翔達はテロに巻き込まれた事がバレずに済んだ(とはいえ敷地外に出てた事はバレてしまい、それはそれで問題になったが)。

 生徒達は各教室で待機して安全を確保したのち、速やかに帰宅。

 という事だったのだが、バカ真面目に従う理由はない。

 結翔達は帰り道を外れ、都市ゼボイム行きのバスに乗っていた。

 

 

 

『…………この対応の遅さにアルヴィアスは、ほぼ同時刻にギエルデルタ郊外にて発生した大規模な魔物駆除への要請があった為と説明しています。警察はこの2つの事件の間には強い関連があるとし、アルヴィアスと共に調査を進めています』

 

 

「やっぱりアレ、破滅派が引き起こしたものだったんだ。人間界(こっち)来る前から噂に聞いてたけど、マジでくる…、怖い人達だね……」

「けどさぁ? こんなド田舎に魔物って」

 整備が行き届いていない街道のせいでガタガタと揺れる車内で、まつり達はニュースを見ていた。小さなデバイスを4人で──後ろの座席に座るトワとココなんかは立ち上がって──覗き込むようにして見ており、車内ルールなど知ったこっちゃないという態度だ。

「だからじゃないですか? と思いましたけど、アナウンサーの姉ちゃんが言うように、これも破滅派が仕組んでそうですねぇ」

 どうやら結翔達が都心部で交戦している間に、郊外でも一悶着あったようだ。すぐに解決されたものの、それが原因で傭兵は都心部への要請に遅れたらしい。

 偶然にしては出来過ぎ、というのは中学生でも分かる。

「…実際、けっこう被害出てましたよね」

 フブキはつい数時間前の惨状を思い出す。まず学生の身では経験しないものであるが、可能な限り目にしたくないものだった。

 その渦中に飛び込み、生き残ったばかりか主犯を倒したのだから、自分たちは相当に運がいいと思う。

「いや、これはまだ小規模な方だ」

 と、車窓を眺める結翔は呟く。

「何か心当たりあるの? 結翔」

「……? いや…」

 しかし、思い出そうとするとそれはすぐ霧散してしまった。……自分は今、何について考えていたのだろう。

「はぁ、あんたさ………まーでも、確か10年前くらいにどっかの都市で大きな爆発事件があったよね。動画サイトの広告ずっと復興支援のやつだったなぁ」

「そう、なのか?」

「え、白石くん覚えてないですか? けっこう話題になってた気がするんですが…」

「そんなもんじゃない? 都市間のインフラ、全然整ってないし。さっきだって、このバス逃したら明日まで無かったんだよ!?」

 実際、まだ夕焼けの気配すら感じさせない真昼間にも関わらず、このバスに乗っているのはまつり達の他にたった1組だけだった。

 これでもかなりインフラは発展したと言われているほどなので、10年前なんか情報すら十分に行き渡っていなかっただろう。

「あーあ、もっと魔法の才能があれば、〈転移(ガトム)〉で放課後に都市巡りできるのに! ……あと法律さえなければ!」

「魔法っていえば……白石くんの魔剣とベルトみたいな鞘……もしかして、白石くんって、そ、その…か、かめん……」

「?」

「あぁ仮面ライダー?」

「もうっ、まつりちゃん! 仮面ライダーの中には正体を隠して戦ってる人もいるんだよ! ……あの、で、で、そうなんですか? 白石くん…!」

 フブキはやや興奮気味に前の席の結翔に熱い視線を送る。

「さぁな。その仮面ライダーっての、そういう風に呼ばれたことは一度も……それにこの魔装は……いつの間にか持ってたものだ」

「だったら今から名乗ってみません? 正義のヒーロー──されどその正体はクールドジ男子中学生! その名も仮面ライダー!! ……みたいな?」

「クールドジって何だよ……別に、そんな大それた事のために戦うつもりはねぇよ。仮面ライダーなんて、名乗りたい奴が名乗ればいい」

「だってさフブキ。都市伝説の正体は結翔じゃないみたいだよ」

「確かにバイクに乗ってないし……白石くんは仮面ライダーではないかもですね……でも、いつか見てみたいなぁ……本物の仮面ライダー!」

 どうやらフブキは仮面ライダーという存在に憧れを抱いているらしい。

 結局は都市伝説でしかないのに、何故そこまでのめり込めるのだろうか。

 とはいえ、熱中できるものがあるのは悪いことじゃない、と結翔は思った。

「ねぇねぇフブちゃん、盛り上がってるとか悪いんだけど、何か話すことあったよね、トワたち」

「あぁ!? そうでした……! こ、これからの話なんですけどっ! ……ゼボイムのアルヴィアス支部でスメラギ氏について聞くとして」

「うん」

()()()、学生の白上達に居場所を教えてくれたとして」

「そこ強調しないでよ〜まつりも気付かないフリしてたのに〜」

「その後はどうするんです?」

 本当ならそんな基礎も基礎、大前提の話は出発する前にしておくべきだったのだが、テロの影響で学校がゴチャゴチャしていた為に、ろくに話し合う時間も取れずバスに乗ることになったのだ。

「つーかそもそも、私らは何故に家出したので? もし主犯を捕まえるって話ならかなりヤバイってか、絶対に傭兵を呼んだ方がいいと思いますが」

「そんな無茶はしない。真相を究明するだけだ。身内に犠牲が出てんだ、無関心でいるわけねぇだろ」

 結翔は即答する。いつも話を聞いているのか聞いていないのか分からないくせして、今回は珍しく前のめりだった。

「ま、まさか黒幕ってことないですよね…? ジェイデンさんは黒幕の言いなりになってあんな事したとか……」

「いや、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。むしろスメラギが破滅派を利用して、何か企んでる可能性もある。情報が少ない今は何とも言えないが」

 だからこそスメラギに接近し、動向を監視する。不穏な動きを見せるならすぐに捕まえればいいし、黒幕でなかったとしても、彼を追っていれば“鍵穴”に辿り着き、事件の真相を暴くことができるはずだ。

 ジェイデンの言葉を信じるなら、が大前提であるが。

「えぇ〜? スメラギってアルヴィアスでめっちゃ強い人でしょ? バレたらヤバくない…? てかそもそも、いい人かもしれないじゃん」

 明らかにトワは嫌な顔をする。悪魔のくせに監視は己の倫理観に反するらしい。

「変に詮索しなければ大丈夫だろ。それに相手は名の売れた傭兵みたいだから妙な事はできないはずだ。ましてやこっちは学生、………ッ!!」

 と、結翔が窓の向こうの何かに気づき、突然席を立つ。

「ちょ、結翔ー? まだ降りないよっ?」

 結翔は構わず車両の前の方へ行く。バスは無人操縦だったため、先頭にあった運転席には誰も座っておらずハンドルだけが小刻みに動いていた。

「ぶっッ!!!!??!?」

 バスが突然急停止する。運転席の近くにあった緊急停止ボタンを、結翔が押したのだ。

 まつりは慌てて結翔の元へ駆け付ける。放り投げたデバイスは、慌ててキャッチしようとしたフブキによって、数回のお手玉をしたのちに、無事に手の中で落ち着いた。

「な…にやってんの結翔! バカ! あーもう、動かし方分からないって……!」

 しかし、事態は中学生のまつりが考えているほど単純ではなかった。

 すでに彼女達は、『日常』の外にいるのだ。

 

 

 つまりは。

 

「───ッ!!??!!?!?!?」

 

 ギュンッッッッ!!!!!!!!!!!! と、バスの上空を何かが高速で通過する。そのすぐ後、謎の飛行物体が巻き起こしたソニックブームが、バスを激しく打つ。

 

「『奴ら』だ」

 

 

 

 

 

 *

 

 

 

 

 

 ──少し時を遡り。

 

 姫森領、周縁部。

 

 

 遺跡の調査を終えたスメラギ達は来た道を戻らず、かなたの〈転移(ガトム)〉にて地上に戻った。破滅派がここを訪れたのなら、この土地が彼らの“企み”の舞台になる可能性が高い。被害を未然に防ぐ必要があると考えたからだ。

 しかし、

 

「嗚呼…お待ちしておりました、新しいご友人。貴方なら、(わたくし)の元へ急行してくれると思いました」

 その男はいかにも紳士といった雰囲気だった。黒の外套を纏い、同じく黒のハットで顔を隠しているが、しかしその奥には、穏やかな狂気を含んだ笑みがこぼれていた。

「うぅ、ルーナの読みが甘かったのら……地下の仕掛けは、スメラギ達を誘き寄せる罠だったのら…!」

 ルーナは悔しそうに自分を抱える男を睨む。

 自分たちの主を人質に取られては、精鋭であるルーナイト達も手が出せない。彼らは全身を蝋で固められたかのように、臨戦態勢のまま立ち尽くしていた。

「いいえお嬢さん、無知を恥じる事はありません……貴女の騎士達は捜査のプロではないのですから、私の痕跡を辿りきれないのも無理はない。むしろ私は、数多いる貴女のご友人の中でも彼のような素晴らしい御人をお呼びくださった事に、深く感謝をしたいのです」

「僕に用があるのなら、彼女を人質に取る必要はないと思うけど」

 スメラギは慎重に一歩踏み出す。

「これはこれは…お気に召さなかったようですね……大変失礼致しました………なに、大した用ではございません。スメラギ、貴方にご挨拶をと思いまして……私はエマニュエル・ガスコイン…一介の“聖職者”です。以後、お見知り置きを…」

 対するガスコインは恭しく一礼すると、相変わらず不気味な笑みを見せ、スメラギに手を差し伸べる。

「──これから、この世界の破滅派が貴方を殺しに来ます。その時はどうか、彼らの手を取ってあげてくださいな」

 妙な言い回しに、スメラギはいちいち気にかけない。それ以上に、この一連の面倒臭さが引っかかった。

「ご丁寧にどうも…けどそんな脅しが効く相手なら、とうの昔に死んでいると思うよ」

「心配には及びません。彼らとのダンスの前に、まずは私で練習されるが良いでしょう──私はむしろ、この為に此方を訪れたのですから」

「ねぇスメラギ…あの人、キミの話聴いてないよ…」

 ロボ子はこんな状況でも、相変わらずの調子で呆れた声を出す。しかし会話の流れから、彼女は既に戦闘モードへ移行していた。

 そしてスメラギも、最初から話し合いで何とかなる相手ではないと分かっていた。オーガストも、いつでも交代できるように待機している。

 それでもこちらから動こうとしないのは、やはりガスコインが抱えるルーナを気にかけているからだ。『力』を使えば救出は容易いが、短絡な行動は後々の自分の首を絞める事になる。

「──おや、申し訳ございません…私の配慮が足りませんでしたね。お嬢さんはお返しいたします。彼女もまた、貴方とのダンスを見届ける観客の1人でありますから」

 そんな優位を。

 しかしあっさりと捨てた。

 小脇に抱えていたルーナをこちらへ投げ飛ばしたのだ。

「んなあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!?」

 そしてそれと同時にルーナに向けて銃弾を放つ。

「〈転移(ガトム)〉ッ!」

 かなたは瞬時に術式を描き、ルーナだけを自身の胸元へ転移させる。

「うぶっ! 硬っ! 硬ぇのら!!」

「うっせぇおめぇだって似たようなもんだろが!」

「っルーナイト! 撤退! てったいーっ!! 市街地を守るのら!! ()()()()()()()()()()()

「ッ!」

 銀色の弾丸は、最前にいたスメラギに向かって飛んでくるが、スメラギは器用にもアーマーを構築した手のひらでそれをはたき落とす。

 さしたる驚きもなく、ガスコインは空に描いた魔法陣から一本の杖を取り出すと、スメラギへ駆ける。

「なるほど、君は狩人か!」

 リパルサーレイの迎撃に対し、ガスコインは勢いを殺さず軽やかなステップでそれを避けていく。

「スロー、スロー、クイック、クイック、スロー………フフ、とんでもない、私は只の聖職者に過ぎませんよ……活動的であるとはよく言われますが…」

 厳密にはガスコインの持つ杖は、それそのものではなく杖を模した直剣であった。

 ただし、仕込み杖などという取り繕ったものではない。目に見えるだけでもいくつかの魔術的装飾が施されていることから、真っ向から殺人をする事に特化しているのは確実だ。

 射撃を避けきり、至近距離に達したガスコインは、何の迷いもなくそれを斬り上げる。

 胴を狙った一撃だ。回避しようにも一度のステップでは斬撃を逃れる事はできない。

「ッ!」

 よって、スメラギは瞬時に円形の盾を形成し、不可避な一撃を迎える。

 剣が激突する瞬間、スメラギは盾をぶつけるように受け止め、武器破壊を試みた。が、対する杖の刀身は刃こぼれ一つしていない。

(つまりこの杖は刀のような斬れ味に特化したものではなく、耐久性を重視した西洋剣……刀身は細いが扱いはブロードソードに近いか…?)

 たった1つの情報だが、点は線となり、確実なアドバンテージになる。

 続いて繰り出される連撃も、スメラギにダメージを与えることはできなかった。

「素敵だ……! 『エース第3位』! ならば私は、小手先の技術を使って貴方に対抗するとしましょう。願わくば『彼』とも踊れると良いのですが……」

 

 

 

 

「まずい、アイツの持ってる武器には聖印が施されてる。『邪神の力』を持つオーガストと相性最悪。スメラギがその事に気付いていればいいけど…」

 かなたはその神眼で敵の深淵を覗く。

 あえてスメラギと共に戦わないのは、彼の実力を信頼しているからだ。

 そして一方で、

(アイツ程度ならスメラギだけで何とかなる。けど、捨て駒にできるほど破滅派に人材がいるとは思えない…)

「僕加勢した方がいい?」

「キミはセトを守ってやって。中身はオーパーツだけど、ガワはただの雑用ロボットなんでしょ?」

「え? ……ちょ、ちょっとーっ!? 何でルーナ姫と一緒に逃げなかったのセト!」

 聡明なロボ子でも、セトが戦場の只中で無防備に突っ立っている事までは想定できなかったようだ。

『彼らの計画を推測するのにリソースの殆どを割いている。悪いが私を守ってくれないか、ロボ子』

 仮にもヒステラルム最高峰、人に近く神にも近しいAIのはずなのだが、いかんせん乗り移っているのが一般作業用アンドロイドなせいで、全部台無しだった。

「……君、ちょっとユーモアのセンス磨かれてきたんじゃない?」

 とはいえ、セトを放っておくような事は絶対にしない。

 一度自分で決めた事は、何があろうと守り続ける。

 そういう点では、ロボ子もれっきとしたアンドロイドなのだ。

 

 かなたは息をつくが、既に状況は変化していた。

「って、後方から強い魔力…!! やっぱり伏兵……っ?」

 

 しかし、何か変だ。

 

 

 魔力量が、ではない。

 

 

 

「───ッッッ!!!!!」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 それが人や魔法ではなく魔装であると気付いた瞬間、スメラギに向かって飛んできた物体をかなたはほぼ反射的に手を伸ばして受け止めようと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「〜〜〜〜ッッッッッ!!!!!!!!!!!????????」

 

 

 腕ごと持っていかれるかと思った。

 仮にも神に近い力を持つかなたが、数十メートルは引きずられ、地面を大きく抉りながらもようやく踏ん張って勢いを殺す程の魔力。

(ただの魔装、なんかじゃ、ないッ……!!! いっそ神器、並の…!)

 

 しかし投げ槍というのは悪手だ。受け止められてしまったら武器を失うだけでなく、相手に武器を与えることになる。実際、かなたはしっかりと槍の柄を握りしめていた。

「だけど生憎、武器は使わない主義なんでね! これは返すよッッ!!!」

 くるりと穂先を返すと、放たれた方向へ槍を振りかぶる。

 

「ふわっ──?」

 しかし槍は独りでに飛び出し、かなたは釣られて転びかける。

 直後、槍先に転移ゲートが開く。

 

「ッ、ったく暇がない!」

 ゲートから現れたのはガスコインとは対極に、屈強な肉体を持った男だった。

 槍を掴むと、前のめりになったかなたの顔面に膝蹴りを食らわそうとする。が、それを寸前で躱し、男から距離を取る。

 

「自分の武器のこと、隠すつもりないみたいだけど大丈夫? その形にその性能、グングニルだよね?」

 かなたは男を真正面に捉え、睨み付ける。

 外見はグングニルの所有者である主神オーディンに似ている……訳でもなかった。

(古代の兵士…? 舞台も微妙に違うし。何か魔術的な意味がある…?)

「だったらどうした。神の槍に天使が勝てるのか?」

 男は鼻を鳴らす。

「使ってるのは人間でしょッ!」

 グングニルは狙った敵を絶対に外す事はなく、投擲後は自動的に持ち主の手元に戻る。また世界樹の枝で作られたという説から、世界をまたがってなお当てられる無限の射程を持つ。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()。そして、その真価を発揮できるのはあくまで投擲槍として使った時のみ。

 つまり、接近してしまえばただの槍と相違ない。

「でもって槍じゃ至近距離は無理ッ! もらった!!」

 光の如き速さで男の懐に飛び込んだかなたは右手を握り、顔面に突き立て──

「ッ!」

 られなかった。寸前でその拳を掴まれたのだ。

 しかしその衝撃で、掴んだ左腕を纏っていた衣装──これも魔装の一部だろうか──が破れ散っていく。

「っ義手!? 隻腕!? 何で…っ!!?」

「神の槍を扱えるのは同じ神だけ……違うか? 天の使い」

 

 

 

 

 

 

「なるほど、僕を本気で殺しに来たみたいだね…ッ!!」

 もちろん、スメラギもこれで勝てるとは思っていない。

 自分が相手の剣術を見抜き対策したように、相手も自分の戦術に対抗してきたのだ。つまるところ、小手先の技術を。

 難なく回避できていた切先も、徐々にスメラギのナノアーマーを削いでいる。振るう速度が上がっているのだ。

 見ると、杖は微かに光っていた。金属が見せる光沢ではない。

「科学には魔法で対抗ってことかい?」

「今はまだ、良くて拮抗状態でしょう。しかし貴方は科学でも魔法でもない、第3の力を持っているのでは?」

(誘っている……やはり邪神の力が狙いか…! 確かに僕だけでは決め切れない。だが今はまだ……)

 

 

 

 

 

「気を付けて! 何か飛んで来る! 数は──」

 ロボ子が言い終わらぬ内に、

 

 

 

 轟ッッッッッッッ!!!!!!!!!!!! 

 

 巨大な紅の炎が草原を斬り裂く。

「ッ、新手っ!?」

 

 その炎は真ん中で二手に分かれ、スメラギと黒い狩人、かなたと槍の男の間を駆ける。

 その隙にスメラギとかなたは破滅派から距離を取る。

(新手……ではない、のか?)

 今の一撃は片方だけではなくどちらも狙っているように、スメラギは感じた。

 

「傭兵……? いや、それにしては少し派手すぎないか…?」

 空から降り立ったのは、真ん中が黒、左半身が白、右半身が紅──それもドラゴンを模った意匠──の鎧だった。

 頭部には剣の切先のようなものが立っている。

 

「破滅派……はお前らだな」

 鎧の戦士から少年の声が聞こえた。槍を持った男と、隣に立つ自称聖職者を敵と認識したようだ。

「おや、サプライズとは……いかなる時でも嬉しいものです……ですが、それはまだ早い……」

「もう逃げるのかい?」

 何か、『合図』があったのだろう。

 彼らは〈転移(ガトム)〉の魔法陣を描いていた。

「私どもは贅沢にもご挨拶に出向いただけなのですから……これ以上はつまみ食いと誹りを受けてしまう」

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 槍の男のその言葉に、鎧の戦士の肩がぴくりと動く。

「お前……()()()を知ってるのか」

「どうだろうな? だが少なくとも、ここでリタイアする訳にはいかなくなっただろ?」

 ゲートが開き、破滅派がその中へ入っていく。

「次にお会いする時が楽しみです……その時は心ゆくまで楽しみましょう、ご友人方……」

「……」

 スメラギはそれを阻止しようとはしなかった。

 そういった悪あがきを防ぐべく魔法陣には重厚な防御壁が貼られていたし、第一、今の自分達では彼らを倒せそうにないと判断したからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 破滅派が消え、戦いの跡だけが残る草原で、かなたは息を吐く。

「やっぱり面倒なことになったね、スメラギ……作戦会議したいところだけど。そちらさんはどちらさんなのさ? 鎧のキミは」

 スメラギ達の視線が一点に集まる。

 まず、ルーナイトではないだろう。こんなヒロイックな魔装を使う者ならば、前の戦いで印象に残っているはずだ。

 そして記憶の引き出しにも、これに近い人物は見当たらなかった。つまり自分にとって全く見知らぬ人間という事になる。

 

 ……と、スメラギが長々と考え込めるだけの時間をかけて、鎧の少年はようやく何か気付いたようだ。少年が腰のバックル(?)に挿し込んでいる長方形の道具を抜くと、鎧が光と共に消え去り、人の姿が現れた。

「スメラギ……アンタが」

「…?」

 

 

「あぁ! 見つけたっ! ていうかなにこれ何が起こったらこんな地面べっこべこになるわけ!?」

「結翔先輩、急に飛び出したら危ないって…!」

「でもホントに飛び出して行きましたね。いきなり変身してバビューンって!」

 と、何か追加で飛んで来た。どうやら少年の知り合いらしい。

「…………」

 しかし、この世界には自分の見知った人間しかいないのであろうか。今の今まで、この目立ちすぎる鎧の正体は誰だとか、彼の言葉に違和感を感じたとか、そんな事も一瞬忘れてしまうほど、最早驚くというよりは呆れていた。

「……まぁ、君の心中を察する事はできないけれど。とりあえず、()()()の女学生達に嫌そうな顔を向けるのは良くないんじゃないかなぁスメラギ」

 

 

 




 まずは投稿遅くなってしまい申し訳ございませんでした。
 気付けば約1年ですよ、前回投稿してから。何か1年経った気しないわ〜と思ったら、本当に経ってませんでした。10ヶ月でした。いやそういう事を言いたいんじゃないのよ。
 去年の7月なんて言うてまだ大学5年生みたいなもんだったんですよ。それが今はどうですか、社会人2年目。立派な社畜戦士ですよ。
 毎朝電車内で気絶するように寝て、帰りはアニメを見て荒んだ心を癒す、そんな毎日なわけ。んで記憶を失ってもうてんのよ、前回の。もはや前回投稿したのが第二部なのか外伝なのか、そもそもホロオルタなのかどうかすらおぼろげでさぁ、あたしゃ毎日少しの余力を頼りにせこせこメモする事しかできなかったってわけ。
 まぁ何だかんだ言いましたが、要は小説を書く心の余裕がなかったという事です。執筆活動というのは活力がないと無理なんですね。また1つ学びを得たよ。人生ってのは学びの連続ですわね。
 というわけで、いまだ社畜戦士として生きてるらっくぅですが、ようやくこの生活にも適応し始めている気がして、活力も湧いてきた気がするので執筆活動を再開することができました。やったね。
 とはいえ、今回は普通に難産でした。やっぱりまだまだ戦闘描写が苦手ですなぁ。後半の戦闘シーン、展開が思いつかなすぎて苦戦しました。まぁこれも投稿が遅くなった理由の1つでもあります、と言うといよいよ言い訳がましいな。というか投稿遅い時いつもそれやないすか。他の作者さんとかどうしてるんですかね、描写思いつかない時とか。自分は投稿するだけして交流など何もしていないので知る術はありませんが。
 そんなこんなでかなり時間が経って設定とか色々忘れつつあるので、思い出しつつ続きを書いていきたいと思います。ちゃんと完結させるから。第二部は。第二部「は」って言うとなんか語弊あるな。まるで他は完結させてないみたいな。冗談はさておき、この第二部以降のお話も考えてあるんでね、是非書き切って欲しいと思っておりますよ、未来の自分には。それで言うと、外伝もちゃんと取りこぼさず本編に関わらせていきたいので、外伝の方も完結させなきゃなんですよ。忘れてないですから。
 私、このサイトの使い方イマイチ理解してないんですが、あんまり活動報告じみたことを後書きでやるのも良くない気がするんで、今回はこの辺にしときやす。
 なんかぐだぐだ話しましたが、次回以降もちゃんと書いていくんで、気長に待っててくだせえ。
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