ホロライブ・オルタナティブ第二章 feat.“Saber” 〜猛る烈火は誰の為にその命を燃やすのか〜   作:らっくぅ

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 最近は創作欲が高まってますね。
 同じく小説を書いている方々のツイートを眺めると適度にモチベが上がっていいですね。


第八話 このまま帰ったら巻き込まれ損じゃん!

 姫森領、領主邸宅(マナー・ハウス)

 

 

 その一室に、彼ら9人は集まった。

 というよりは、集められたに近い。戦闘が終わって程なくして、この屋敷の主人たる姫森ルーナから呼び出しがかかったのだ。

 しかし、そこに5人の少年少女が加わっていたのは想定外のようで、ルーナはサロンに入った際、一瞬身体を硬直させた。

「大丈夫。多分、敵じゃないよ」

「わぁかわいい! 何この可愛い女の子!! トワちゃん、まつりあの子欲しい!」

「ウチじゃ買えないよーまつりちゃん。あの子の月収、多分まつりちゃんの生涯年収よりも上だよ」

「まつりどんだけ低く見積もられてる?」

「はぁ……どこでこんなの拾ってきたのら? 大人の話し合いにお子ちゃまを入れてこないで欲しいのら」

 誰よりもお子ちゃまな見た目のルーナは不満をたれるが、そうもいかない。

「まつりパイセン、あれがスメラギ氏ですよ。なーんかイメージと違いますね〜」

「確かに! 『第3位』っていう割にはなんか冴えない……本当に強いのかなぁ?」

「ちょっとまつりちゃん…! 聞こえるように言っちゃ駄目ですよ…!」

 ……やっぱり他の4人はいらなかったかもしれない。何故よりにもよって彼女達が自分の隣に陣取っているのだろう。

「それで……君達は? 何故あの場にいたんだ?」

「その前に、まずは自己紹介してもらった方がいいんじゃないかな?」

 と、やや尋問気味になってしまうスメラギを遮るように、ロボ子が提案する。

「え? 自己紹介? 私は夏色まつり! よろよろ〜! あ、こんにちわっしょい!」

「まつりちゃん、なにそれ?」

「え、新しい挨拶。配信者になったら使おうと思って」

 オレンジを基調とした服の少女──まつりはこんな事態でも元気そうだ。いや、むしろいつも通りを装っているのだろうか? 

「あはは……諦めてなかったんだね……」

「なにそれ……あー、常闇トワだよ〜。まか──じゃなくて! えっと……こっちは桐生ココ! よろしく!」

 紫の長いツインテールとビビッドカラーの服が目を引くトワが慌てて隣のドラゴンっぽい少女を紹介する。

「ちょいちょい! な〜んで私に自己紹介させてくんないんだよ!」

「いやアンタ絶対余計なこと言いそうだし!」

「はーやれやれさっき何か言いかけてた事はさておくにしても、トワ様は心配性ですなぁ。この桐生ココが自ら尻尾を出すとでも? いやもう出とるやないかーい!」

「やかましいわ!」

「え、えぇと……し、白上フブキですっ。よろしくお願いします……!」

 彼女達のおそらくいつも通りであろうやり取りを見て、スメラギは少し安堵した。と同時に、無意識のうちに警戒していた事に、内心ため息をつかざるを得なかった。最早これはトラウマに近いのだろう。

「ところで結翔、ずっと黙り込んでどした? そうそう、こいつ白石結翔ね。みなさんよろしく〜」

(結翔……彼がさっきの)

 スメラギは白髪の──結翔という名の──少年をちらりと見やる。

 顔立ちは良いが服装は至って平凡、というか地味だ。服に関心がない、だけではないように思う。その目つきや雰囲気から、他者への関心が薄いのだと感じた。

 だからこそ、結翔がじっとこちらを見つめているのは何かがある。

「どうしたのかな、結翔君。さっき戦ってた聖職者が気になる?」

「何で破滅派はアンタと戦ってたんだ? 破滅派が個人と戦闘するなんて、珍しい事もあるんだな」

「えぇと……ちょっと待ってくれるかな? 君に警戒されるような事をした覚えはないんだけど……」

 やはり、さっきの攻撃といい、結翔はどういうわけか自分を味方と思っていないようだ。

 横でまつりとトワがすごい顔で結翔を睨んでいた。多分その意図を自分に知られたくなかったのだろう。

「そもそも、なんで君達はあんな所に来たの? 偶然って片付けるには少し無理があると思うんだけど」

「そ、それはですね……」

()()()()1()()が言い遺した。『スメラギを捜せ』とな」

「ちょっ……結翔先輩! それは……」

「あれーさっき変に詮索しなければ大丈夫とか言ってませんでした?」

「……」

 遺言に従うあたり、結翔とその“破滅派の1人”は何か特別な関係だったのかもしれない。

 彼自身が“どう”か、というのはさておき。

『やはり今回の件、破滅派が関わっている可能性が高いな』

「というか、なんでまたスメラギなの?」

「そりゃスメラギだからじゃない? もう、今回は単なる調査だと思ったからついてってるのに……」

 だがここで天界に帰る気はないあたり、やはり天界学園の生徒会役員といったところか。

「……まぁそれが運命だとしても、大人しくやられる気はないよ。それに彼らの目的がなんであれ、無関係の人々を傷つけた時点で、もう分岐は終わってる」

「ノックノック、もう少し私達学生にも分かりやすいように話してもらえませんかねー?」

「分からないように話してるんだって。君達は関係ないの」

「つっても私達も当事者なんですけどねぇ」

「そうだそうだ! まつり達テロに巻き込まれたんだよ!? このまま帰ったら巻き込まれ損じゃん!」

「いや、普通逆だと思うんだけど……」

 つーわけで、と結翔はまた脱線しそうになる話を引き戻し、

「俺達も破滅派の追跡に参加させてもらう。あの人がなんであの場で死んだのか、知りたいからな」

「なーにが『つーわけで』なのら。やっぱりこんなお子ちゃま達拾うべきじゃなかったのら──と言いたいところだけど、捜索ってのは人手がいるからね。悪いけどスメラギ達の手足になってもらうのら。ちゃんとこの人達の言うこと聞くのらよ!」

「えぇ……子守りを押し付ける気……?」

「大丈夫だよ〜天使(かなたん)がいるんだから何とかなるなる! 僕も全力で守るからねっ!」

「もちろん3人だけじゃ心許ないのら。さっき団長に連絡しといたら。2組で敵を分散させるのら」

 何とも行動が早い。まぁ専属の護衛を手玉に取られ自身も人質にされた挙句、自領で暴れられたとなれば、全力で報復するのは感情的にも立場的にも当然だろう。

『私が数に入ってないぞ、姫森ルーナ』

「少なくとも、戦場で突っ立ってただけらしい君が戦力になるとは僕も思わないかな……はぁ、後で僕からもノエルに連絡しとこうかな……」

 

 

 

 大人達の心配をよそに、パーティへの正式加入が決まったらしい子供達は呑気だった。

「おーなんか作戦会議終わったらしいすよ、まつりパイセン」

「ふぅ、大人ってば身体の前に頭を動かしがちだよね〜、こっちはいつでも準備万端だってのに」

「いや、そりゃトワ達準備するもの何も持って来てないしね」

「また戦闘……今度はちゃんと頑張らなくちゃ……っ!」

「……」

 とはいえ、これから進む先には世界の破滅を願うテロリスト達が待っている。修学旅行気分では勿論いられるはずがない。

 戦闘という言葉を聞き、結翔が魔法陣から取り出したベルトを腰に巻き付けていると、

「そういえば結翔? まつりの想定だと穏便に事を進めてスメラギさんを監視するみたいな感じだと思ってたんだけど、あれはどういう事かな??」

「結翔パイセンって割と我が道を往く感じなんすね」

「……またお前らを巻き込んじまったな。悪い」

「や、別にいいんだけどさ……」

 こういう時、結翔は素直なのだ。イジってなんか上手い具合に丸く収めようというまつりの完璧な計画は見事に出鼻を挫かれてしまった。

「……てかまつり達がいなかったらアレ1人でやってたってマジ? 確かにこの機会を逃したらスメラギさんにもっかい会うのは難しいだろうけど、絶対怪しまれるからもう少し工夫した方がいいよ……」

「気を付ける」

「あのまつりちゃんを引かせるとは、結翔先輩恐るべし……」

「おい茶化すなって! まぁその為のまつり達だし? 頑張ろうねフブキ!」

「それ白上の負担が大きいような!?」

 

 

 

 

 

 

 *

 

 

 

 

 

 時は遡り。

 人間界、辺境部にて。

 

 かろうじて整備されている街道以外、文明を感じられないだだっ広い草原で、大砲のような鈍い音が響き渡る。

「もしもしノエル?」

 音の主──大型の魔物相手にメイスを振り抜く白銀ノエルの下に、〈思念通信(リークス)〉が届く。

「ん、ぼたんちゃん? どうしたの?」

 念話の主はフリーの傭兵でスナイパーの獅白ぼたんだった。

 ぼたんとノエルはゼノクロスの一件で知り合った。ゼノクロス──正確にはその眷属──の策略により集められただけなのだが、お互いフリーの傭兵なのもあり、事件が終息したのちもたまに連絡を取り合っているのだ。

 そして、時にその連絡は重大な“仕事”の予兆になったりもする。

「今時間大丈夫? 少し話したいことがあるんだけど」

「あー、今ちょっと魔物狩りしてるけど、話しながらやれるから大丈夫だよ」

「じゃあ手短に。最近破滅派が活発化してるのは知ってる?」

「破滅派ぁ? ん〜こっちでは特に何も…」

「ギエルデルタで爆破テロがあったんだって。それに他の都市でも破滅派のテロを未然に防いだって報告がある」

「なんでまた……何か私達が見落とした『合図』があった?」

 破滅派とは言いつつも、それはテロリストグループなどではなく、いっそ世論の1つに近い。

 今が世紀末な時代になっていない限り、それだけ薄く広がった思想が現実の行動として現れるのには相当の計画がある。

「かもね。何にせよ過ぎた事を考えても仕方ない。破滅派を放置してたら碌なことないし、何かしら手を打たないとね」

「分かった。ルーナ姫に話して情報を集めてみるよ」

「とりあえず情報共有をと思ったけど、やっぱノエルに話してよかった。助かるよ」

「ううんこちらこそ。そういう話なら白銀騎士団が適任だからね」

「杞憂だとは思うけど、一応気をつけてね。死を恐れない兵士ほど怖いものはないから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして現在。

 

「ルーナ姫ー!? 私たちの不在中に破滅派の襲撃を受けたんだって!? だから遺跡の調査は騎士団がやるって言ったのに!」

 不覚だった。

 既に破滅派は身近に迫ってきていたのだ。

 ルーナの執事から連絡を受けたノエルは慌てて〈思念通信(リークス)〉を放った。

「だからスメラギ達を呼んだのらよ! これは貴女達に依頼をしたルーナの責任です!」

 そんな甘ったるい声で責任だの何だの言われるとギャップがすごい。そんなことを思いながらも、

「クライアントに死なれちゃ困るんだってば……まぁ、スメラギ君がいるなら大丈夫なんだろうけどさぁ。とりあえず、こっちはさっさと切り上げて戻るから! よろしくね!」

「あぁ待って待って! 戻るよりも追加で頼まれて欲しい事があるのら!」

「? なに?」

「破滅派の動向を探っておいて欲しいのら。今回の犯行、どうも単発的なものではないように思えるのら」

「それってつまり、組織的な犯行ってこと?」

 なんだが同じ事をついさっきも聞いたような気がする。そう思いつつ、ルーナの話に集中する。

「そ。それも大規模なもの。おそらくこれだけじゃない。でもルーナだけじゃ奴らが何をするか予測できないし、対処も難しい。だからノエルちゃ達に任せたい。できればその『計画』も解明して事前に防いで欲しいのら」

 ルーナは淡々と現状分析を述べていく。普段ルーナはだらしなく傲慢なお姫様のテンプレみたいな人物だが、こういう有事の際には持ち前の頭脳が光る。

 そのギャップから、ルーナイトや白銀騎士団を始め、慕ってくれる人間は多かった。

「無茶言うなぁ〜。私達だって一介の傭兵なんだよ?」

「もちろんこっちでも調べてみるのら。必要ならシュテッフェンのおっちゃんも呼ぶし。あとスメラギとも連絡取っておいて。あの人達も破滅派を追うから」

「あぁ! 二手に分かれるってこと?」

「そゆこと。戦力の分散は愚策ではあるけど、こっちは子守りをしなくちゃいけない上に狙いはスメラギっぽいから、できるだけ存在感を出して欲しいのら。破滅派の『計画』の終着点なんてどうせ世界の滅亡に決まってるのらから、絶対に止めなくちゃならないのら。頼まれてくれるよね?」

「それは依頼? それともお願い? どちらにせよ白銀騎士団が悪者を放っておく訳ないけど。おっけ分かった。あとでスメラギ君と打ち合わせしておくよ」

 そう言うと、ノエルは念話を切る。

「はぁ、悪い予感って当たるんだね……こうしちゃいられない。みんな」

 振り返ると、既に団員の準備は済んでいた。団長の言葉を待っている。

「これより白銀騎士団は自警団任務を遂行します。目的は破滅派の撃滅。対象の捜査及び犯行計画の阻止を目標とします」

 

 

 

 

 *

 

 

 

「みこちみこちーーーーーー!!!!!」

「うわわっっ!! なな、なんだにぇ大きな声出して!」

 境内にある社務所の縁側で陽を浴びながら和菓子を頬張る巫女──にしてはやたらピンクで脇とか脚とか露出が多い衣装なのは新現代アレンジなのか──ことさくらみこは、ドタドタと駆けてくるオオカミ少女の声にびくゥ! と肩を跳ね上げる。

「こんな平和な日にそんな素っ頓狂な声を上げるもんじゃないにぇ〜………」

「呑気な事言ってる余裕なんかないよっ! ほら見て! ギエルデルタで爆破テロだって!」

 同じく新現代アレンジされた黒の巫女装束を纏うオオカミ少女──ミオはデバイスを見せる。

 そこには、つい数時間前に都市のど真ん中でテロが発生したという内容のニュース速報が流れていた。

「えぇ………? ギエルデルタ……あぁ! アレだよにぇ、ミオしゃの友達がいるっていう」

「そうだよ! フブキ大丈夫かなぁ!? 巻き込まれちゃったりしてないかなぁ!!?」

 ミオがガクガクと肩を揺らす。一緒に首がガクンガクンと前後に揺れて何かもう取れちゃいそうな勢いだ。

「だ、大丈夫だにぇ……! この時間なら、学生は学校内にいるはずだにぇ! 被害者に学生はいなかったらしいし心配することないにぇ!」

「そ、そっか……落ち着いてきた……そう、だよね……ありがとうみこち………」

「うぇっぷ……にしても、大都市でテロリズムなんて人の世は乱れてるにぇー……みこ達もできる事をやっておいた方がいいかもしれないにぇ?」




 やっぱり思うのが、会話は多くて4人ですね。それ以上は脳の処理が追いつかない……。なのに今回も9人パーティだし。何か毎回パーティ人数多くて大変ですわね。まぁホロメンいっぱいいるし仕方ないかもしれないですけど。
 そんなわけで、今回はパーティ1つにまとめるのではなく、何個かに分ける作戦に出ました。前作はお話の都合上、ほぼ全ての登場キャラをまとめなきゃいけなかったですが、今回はそういうの無くしているので、比較的自由にキャラを登場させられますね。これからどうやって未登場のホロメンを出そうかなーと考えると楽しいです……わくわく。


 そういえばスメラギのパワードアーマーについて説明を入れる機会がなさそうなのでここに入れておきます。

タクティカル・アーマー Ver.5.16.6→サレッジ社製のナノマシン製パワードアーマー。第5世代の16シリーズ目。
 これまでパワードアーマーと異なり、ナノマシンを繊維状に形成し、それを編み込む形でスーツを構成することで、しなやかさと軽量化を図りつつも強度を維持することに成功している。
 ただし構築方法が複雑化しており、全身装着は従来より時間がかかるため、一部のみ装着するのが主流。また、16.3以降の仕様には、被弾箇所をあらかじめ予測し、その部分だけに瞬間的にアーマーを構築する機能が追加されているが、高速戦闘では構築が追いつかず、あくまで中遠距離の銃撃戦などで真価を発揮する機能に留まった。
 装甲の薄膜化に併せてアクチュエーターなど内部機器も性能を維持したまま小型化されている。内部機器の高性能化により消費魔力(電力)が大幅に削減された事で、バッテリー及び魔力エンジン自体の小型化もなされている。この小型化技術は5.17以降にも受け継がれている。
 しかしその複雑かつ独自のアーマー構造はコストの高騰と整備性の低下を招き、傭兵だけでなく整備士にも不評であったようだ。傭兵の間では、5.16シリーズの売れ行きがあまりに悪かったため、サレッジ社は急遽従来のアーマー構造の5.17シリーズを開発する羽目になったと噂されている。
 本仕様は5.17シリーズがリリースされたのちに開発されたもので、5.16シリーズの最終アップデート版。性能自体は5.17.2に相当する。
 スメラギは5.17.3と同様にバッテリーを外し、超電磁砲にて電力を供給している。電力消費が先代(5.17.3)より減っている為、アーマーを装着しながら超電磁砲の能力を使うことができる。
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