ブルアカ 妄想置き場   作:匿名

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錠前サオリの幸せな夢

サオリ「…これも昔の話になるが、エデン条約という、ゲヘナと、このトリニティ間の…」

 

生徒A「はーい、それ、この前も聞きました!」

 

生徒B「というか、その条約、サオリ先生が襲撃したんでしょ?」

 

サオリ「ああ、そうだ」

 

アレから何があったか、今の私はトリニティの教壇で教鞭を執る立場になっていた

 

生徒C「昔の正実とか、シスターフッドもボコボコにして、条約の締結も阻止しちゃったんでしょ!ついでにゲヘナの万魔殿(パンデモニウム・ソサエティー)まで倒したって聞いたけど!」

 

サオリ「…そっちは問題じゃなかった、手こずったのは風紀委員の方だ」

 

生徒A「へー、すっごいなぁ、アリウスってあんまりちゃんとした装備もなかったっていうし…」

 

サオリ「当時のアリウス分校は特に困窮した地域だった、だからキヴォトスの外の力を借り、強襲し、混乱に陥ったところを攻め立てた

ゲヘナも、トリニティも、相手を殲滅する事を主眼とした部隊を相手にする事は少なかった

戦闘とは一般的に目的のための─」

 

毎日の様に講義をして

たまに実技の授業を受け持ってはハードすぎると不満も言われて

 

サオリ(…今の私は、良い先生になれただろうか?)

 

あの日、シャーレの先生に

“サオリは良い先生になる”

そう言われたから、きっと私は…

 

 

 

サオリ「幼稚園生の見学、今日だったか」

 

校門をくぐり、たくさんの小さな子供たちがやってくる

 

アズサ「ほら、みんな、今日学園を案内してくれるサオリ先生だ

挨拶しよう」

 

幼稚園児達「よろしくおねがいしまーす!」

 

サオリ「ああ、よろしく

…ところで、アズサ先生、ひとついいか」

 

アズサ「なんだ」

 

サオリ「…この子達が押し付けてくるぬいぐるみはなんだ」

 

アズサ「モモフレンズだ、園ではみんなに配っている、好きな物はお互いに共有するのがウチの方針だから

サオリも一つもらうと良い、私のオススメは─」

 

サオリ「また後で聞く…さあ、学園を案内しよう」

 

たくさんの子供達を連れて、学園を回る

 

サオリ「この校舎は、かつて補修授業部という部活が─」

 

アズサ「あ、こら、その辺りはワイヤートラップがあるから危ない

私が設置したから、トラップの位置は把握してる」

 

サオリ「…何故撤去していない」

 

校舎や…

 

アズサ「ここで戦った時は─」

 

プール…

 

アズサ「ここをみんなで掃除した時、その中の1人が─」

 

体育館…

 

アズサ「着る物が無くてみんなで水着で─」

 

 

 

サオリ「…ん?…今何かおかしくなかったか」

 

アズサ「気のせい」

 

サオリ「そ、そうか…」

 

アズサ「それよりも、サオリはこの学校の事を全然説明してない」

 

サオリ「…私はまだこの学校について詳しくない」

 

アズサ「でもそれは説明を放棄する理由にはならない」

 

サオリ「……」

 

アズサに詰められながら、学校内を案内した

 

サオリ「…アズサは、凄いな」

 

 

 

ミサキ「で、何?」

 

サオリ「いや…少し休みたくてな」

 

ミサキ「解熱剤が欲しいならそこの棚にあるけど」

 

サオリ「熱はない

だが…私は…良い先生になれただろうか?」

 

ミサキ「少なくとも…

すぐ体調を崩す保険医よりはマシなんじゃない」

 

サオリ「そんな事はない、ミサキはいろんな生徒の相談相手になってくれているし、慕われている」

 

ミサキ「それなら私よりもヒヨリの方が人気、学校外だけど…

放課後スイーツ部の子達が甘いものを食べさせてくれるっていってた」

 

サオリ「…需要に合ってるんだろう、それに腹が膨れれば口も軽くなる」

 

ミサキ「だからそういう相談ならヒヨリか姫にして」

 

そう言って保健室から追い出される

 

サオリ「…落ち着いたな、ミサキも」

 

 

 

サオリ「…Vanitas Vanitatum(ヴァニタスヴァニタータム)?どこで聞いた?」

 

生徒A「この前アリウス派の子がね」

 

生徒B「アリウスの人の口癖なんでしょ?どういう意味なの?」

 

サオリ「…虚しい、か…」

 

生徒A「サオリ先生?」

 

サオリ「……考え方の一つだ、全ては虚しい物だ、だから、努力も、何もかも、全ては…という─」

 

生徒B「虚しい…?」

 

サオリ「…だが…だが、それは…」

 

生徒C「サオリ先生…?」

 

サオリ「…それは、あくまで考え方の一つでしかない…私は、それを否定も肯定もしない

お前達は好きに捉えれば良い、その結果間違えてたら、私が止めてやる」

 

生徒A「えー、サオリ先生に止められるときって絶対…痛いじゃん」

 

サオリ「私は言葉と行動だけで止められるほどの人間では無いからな、必要ならば、力で静止するくらいの事はする

…そうせずに済むのが理想なんだろうが」

 

サオリ(……だが、先生なら…)

 

 

 

 

ヒヨリ「思い通りにいかないと辛いですよね…」

 

サオリ「ああ…コーヒーを頼む」

 

ヒヨリ「…経営が立ち行かないので、デザートもつけますね」

 

サオリ「嘘をつくな、この前もスイーツの雑誌に取り上げられていただろう」

 

ヒヨリ「うう…だって、カフェなんて明日にはお客さんが来なくなるかもしれませんし…

それに私は雑誌に取り上げられるより読む方が…」

 

サオリ「…そうだったな、だからあんなにたくさん雑誌が…」

 

ヒヨリ「お店に来る人が、読み終わった雑誌を置いて行ってくれるので…」

 

そう言いながらカフェオレとケーキがテーブルに置かれる

 

サオリ「…これ、1番高いやつじゃないか」

 

ヒヨリ「伝票、置いておきますね…」

 

サオリ(…ヒヨリは、好きなものに囲まれて、もう苦しむ事はないだろう)

 

 

 

 

サオリ「…姫」

 

アツコ「…もう、姫はやめてって言ってるのに」

 

サオリ「……花壇の世話、か…」

 

アツコ「うん、ここはすごく良いところだね」

 

サオリ「…?」

 

アツコ「サッちゃんは、今は、幸せ?」

 

サオリ「幸せ…?」

 

サオリ(幸せとは、なんだ…?…そうだ、私は、シャーレの先生に言われた通り、先生になった

…私は、目標を達成して……今、幸せなのか?

アズサは幸せそうだった、ミサキも不満はなさそうだ、ヒヨリも楽しそうで、姫も…)

 

サオリ「……私は、幸せなのか?」

 

アツコ「不満はないんでしょ?」

 

サオリ「…虚しいのかもしれない」

 

アツコ「虚しい?」

 

サオリ「私の努力は、今は…いつか、泡の様に消えて無くなってしまうのかもしれない、そう思うと…私は…」

 

アツコ「それが死なのか、それとも何か別の理由によるものなのかはわからないけど」

 

サオリ「…?」

 

アツコ「サオリは、まだ学ぶ立場にあるんだね」

 

サオリ「…どういう意味だ?」

 

アツコ「欲しい物がまだ他にもあるんじゃない?」

 

サオリ「…例えば?」

 

─結局、アツコは答えを教えてはくれなかった

 

 

 

 

サオリ「私が欲しい物、か…」

 

生徒A「ねー、サオリ先生!」

 

サオリ「…なんだ」

 

生徒A「サオリ先生は結婚しないの?」

 

サオリ「……結婚…?」

 

生徒B「そうそう、ヒヨリさんのところの雑誌がさ、ブライダル特集やってて!」

 

サオリ「ブライダル…そういえばそんな雑誌もあったかもしれない」

 

サオリ(結婚か、幸せの形の一つとはよくいうが…どうなんだろうな)

 

生徒A「先生は相手とか居ないの?」

 

サオリ「いや、考えた事もなかった」

 

生徒B「えー…」

 

サオリ(…そうか、確かによく考えると、そういう事を意識するくらいの…む)

 

机の上の封筒を拾い上げる

 

サオリ「…差出人は…聖園ミカ…?内容は…」

 

封筒を開き、中の手紙を読む

 

サオリ「結婚式の招待状!?…そ、そうか…アイツもそんな事に…」

 

サオリ(ミカも幸せの形を見つけたんだな…ん?)

 

サオリ「…相手は…シャーレの先生…!?

な、なんだこれは…そんな事になっていたのか…?!……いや、だが…?」

 

 

 

 

 

サオリ「…寝てたのか、今見たのも全て夢?」

 

…そうだ、バイトが終わって疲れて寝てしまったのか

 

サオリ(……私がトリニティに再編されることがあれば、そんな未来もありえたのかもしれないな)

 

サオリ「…だが…いや…なんだろうな」

 

あの満ち足りた、理想の様な夢も、全ては泡の様に消えた虚しい夢想…

 

サオリ「……ミカの結婚も、か…」

 

……

 

サオリ「…まさか、私がミカに嫉妬するとはな」

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