今週からまた激長会議が始まるため、来週の土日まで更新できない状況が続きます。
今年に入ってからペースが遅くなり申し訳ありませんが、お待ちいただけると幸いです。
ちなみにまだノベライズの紙の方は買えてません。
最早店頭で売ってるのか疑わしいレベル。
「―――ですから、ストライクへの負担を考えればエールとかの基本的なストライカーパックの方が……」
「確かにそうだけれど、相手が相手な以上I.W.S.Pを使わざるを得ないでしょう? オーブで受領したライトニングも自分には合わないし」
「そう言われれば、まあそうなんですが……ただ、もう機体自体がもちませんよ」
ドミニオンの格納庫で、渋い顔をしたストライクの機付長と各種データが表示されたタブレット端末を彼に見せるように持っていたサクヤが顔を突き合わせている。
モルゲンレーテでの高段階整備は2号機の使用可能時間を延命しただけにすぎず、I.W.S.Pのような負荷の大きいストライカーパックを使うよりも基本的なもので機体寿命の延命をすべきという主張の整備班と、敵の新型と互角に渡り合うにはI.W.S.Pが必要だと主張するサクヤとの意見の食い違いから始まった論争は機体とストライカーパックの諸元やデータの持ち出しに留まらず、自身の戦闘データを持ち出してまで反証するほどの大騒ぎとなっていた。
運用側と整備側の論理はどちらも両立するものであるが、しかしそれが擦り合わせることができるといったことは試作段階の兵器ではまずもってあり得ない。
だからこそ、様々なデータを収集してフィードバックをする必要があるのだ。
「そちらの言い分もわかりますが、敵はアラスカに着くまでに必ず仕掛けてきます。そこでI.W.S.Pが使えなかったら……」
「うーん……」
機付長の曹長が承服しかねる、といった風体で頭を掻く。
とは言え彼もサクヤの言い分は理解しているし、出撃となればそれが必要となるのは分かってはいるのだ。
ただ、I.W.S.P(マルチプルアサルトストライカーを含む)という統合兵装ストライカーパックは機体に多大な負担を強いる以上、もって2~3度と言われていたストライク2号機の寿命が一気に縮まってしまう。
継戦能力を考えるのであれば通常のストライカーパック、これからすぐに起きるであろう戦闘に万全を期すならばI.W.S.P、といった結論で落ち着きそうな様子にはなりつつあったが、しかし剣呑な雰囲気はまだ残っていた。
まだもう少し続くか、と思われたそれを食い破ったのは突如の警報であった。
「来たか!」
格納庫内が俄かに慌ただしくなり、戦闘準備が始まる。
機付長も他の整備員に指示を出すべくその場から去り、サクヤもストライク2号機のコクピットへと滑り込んだ。
待機中だったためノーマルスーツを着ており、その上機体自体もアイドリング状態であったためすぐに出られる態勢だ。
艦内データ・リンクで現況を確認しつつ、起動中のダガーらとのデータ・リンクシステムの構築を手早く済まし、艦橋に通信を入れる。
「中尉、敵情はデータの通り。本当に、あの作戦で良いのかね?」
「ええ、アラスカまでもう少し……時間稼ぎが出来れば、連中も引かざるを得ないでしょう」
それはそうなんだが、とシートに身体を深く埋める艦長にサクヤは苦笑いで応ずる。
信用も信頼もされてはいるのだろうが、やや軍人らしくないと言えば軍人らしくない格好だ、というのがサクヤの感想だ。
とはいえ、開戦から何度も艦を乗り継いでいるのにも関わらず一度も乗艦を沈めた事がないという逸話の持主であるため、短い期間でありながらもクルー達の信頼も厚い。
「よし、では作戦通りストライク2号機が前衛。俺達ダガーはストライク1号機の援護と艦の直掩だ。レナとエドも、いいな?」
同じく通信に参加していたモーガンがその場を締め、レナとエドも了解と返事を返す。
このメンバーなら、ドミニオンとアークエンジェルが沈むことは無いだろう。
しかし、とサクヤは本来の流れを軽く思い出す。
本来ならば、この時点でブリッツが撃墜されているはずだった。ただ、現状はブリッツが撃墜されるはずだった戦闘は生起せず、そして表示されている敵情も火器試験型ゲイツ改を含めて増強されている恰好だ。
何が起こるか分からない上に、どこか心中がざわざわと落ち着かない気がする。
奴が―――ラウ・ル・クルーゼが来ているかもしれない。
「敵モビルスーツ5、グリーン・アルファから接近! 同じくオレンジ・デルタから2が接近! 機種照合、不明機なし!」
「バスターとブリッツが見えない、か……モビルスーツ隊、発進させろ! モーガン大尉、頼むよ」
「了解! モビルスーツは、ストライクから発進しろ!」
了解、と答えたサクヤのストライクの背にI.W.S.Pが装着される。
左腕に装着されたコンバインドシールドの重量で機体の制御モーメントが左寄りになっているのは、既に承知済みでその修正プログラムもインストールされていた。
両脇の対艦刀をレーザー対艦刀に換装することは間に合わなかったが、しかしやれるだけのことはやった。
これならば、敵の新型を撃墜とまではいかずとも―――と考えたところで、サクヤの背筋をぞわりと悪寒が撫でたような気がした。
「やはり、いるのか……!」
背筋を撫でただけの悪寒は、身体中に広がりこの空間を支配さえしているようにも思えた。
しかし、自分の腹からじんわりと広がる暖かさとストライク自体がそれに抗っているようにも思える。
芽生え始めた不安を振り切るように、サクヤは開きつつあるハッチから眼前の空を見据えた。
「サクヤ・サイジョウ、ストライク! 行きます!」
鈍色の空に、同じ色をした巨人と翼が躍り出る。
眼差しの先では、雷鳴が鳴り響いていた。
◆◇◆
「来たぞ! 例のストライクだ!」
ゲイツ改に乗るハイネが、ヘルメットのバイザーを閉じて機体を更に加速させる。
そしてその背に続くのは、黒いディンの3機編隊と白いディンが1機。
ナチュラルの試作モビルスーツを撃墜するには、戦力過剰ではないかとの声も上がっていたが、ハイネからすればまだ足りないのかもしれないと薄ら寒い思いすらあった。
「あれが噂の『流星』かい?」
「見た事ない装備だな」
「ブリーフィングで散々説明されたろうに」
ゲイツ改の背後を飛ぶ、黒いディンのパイロット達が口々に言う。
ヒルダ・ハーケン、マーズ・シメオンとヘルベルト・フォン・ラインハルト。
3人とも名うてのエースパイロットであり、ハイネ自身も何度も轡を並べて戦ってきた仲間である。
無駄口をたたき合いつつも、その動きに一切の無駄はない。
「油断はするなよ。相手は砂漠の虎と紅海の鯱を仕留めている」
白いディンに乗ったラウ・ル・クルーゼが乗機の右手に重斬刀を握らせる。
僚機の面々を考えればここで仕留められないはずがない、とハイネは思う。
だからこそ、ここで沈めてやる―――先手必勝、とばかりにリフターと腰のレールガンを展開し、同じくこちらに接近してくる敵へと撃ち散らす。
それを難なくバレルロールで回避したストライク2号機が、反撃とばかりに115mmレールガンと105mm単装砲を撃ち返した。
「相変わらず、すばしっこい奴!」
「先に仕掛けさせてもらう!」
編隊を組んでいたハイネ達はそれを散開して難なく躱し、数度の射撃戦のうち、遂にクロス・レンジに到達する。
先に仕掛けたのは、クルーゼのディンだった。
90mm対空散弾銃を連射しながら、重斬刀で斬り掛かっていく。
それを回避しつつストライクも、引き抜いた対艦刀でその斬撃を受け止めた。
「……やはり、不愉快だな! この感覚は!」
「ちぃっ! やはりかっ!」
ディンのコクピットの中で、クルーゼが毒づいた。
クルーゼとサクヤ、お互いの記憶に刻みつけられた生理的なプレッシャーがぶつかり合い、弾けていく。
ムウとは違う、サクヤとの交感はただただ不愉快なものであった。
自分の心中をじんわりと侵食してくるような温もりがただただ煩わしい。
ストライクから漏れ出しつつある虹のような光でさえ、自分の中に侵食してくるようで鬱陶しかった。その温かさを食い尽くすような血塗れの悍ましい何かが心中に現れる様も。
しかしディンとストライクの機体性能の差は歴然としており、段々とクルーゼの機体が圧され始める。
「背後、取ったっ!」
その状況を打破すべく、ストライクの背後を取る3つの黒い影と橙色の機体。
ストライクの中で、背後から迫る4つのプレッシャーに気が付いたサクヤは勝っているパワーでディンを押し退けて距離を取りつつ、左腕のシールドと一体化している30mmガトリング砲を短間隔に撃ち散らして接近する4機を牽制する。
修正データを適用したとはいえ、機体の制御モーメントが普段よりも大振りになっている事に舌打ちしながら、距離を取るストライク。
ディン3機は放たれたチタンカーバイド製の弾丸の雨を避けるべく散開したが、ハイネのゲイツ改はそれをものともせず突進していく。
「今度こそ落としてやるぞっ!」
「こいつっ!?」
ゲイツ改がビームサーベルを引き抜き、両刃の薙刀のように振り回しながらストライクへ突貫していく。
射撃を止めたストライクがシールドからブーメランを引き抜き、それを投擲するもハイネの見切りで切り落とされてしまう。
敵機から感じるびりびりとした気迫を受け止めながら、サクヤは最早用を為さないシールドをパージして、右手に対艦刀を握らせる。
「落ちろぉっ!」
「っ!」
ビームサーベルと対艦刀が交差し、交わったサーベルの粒子がじりじりと対艦刀のビームコーティングを蒸発させていく。
鍔迫り合いの均衡を崩さんと、ストライクの左手がゲイツ改のコクピットへ何度も打ち付けられ、コクピットのハイネを揺らしていく。
脳天を揺さぶるような振動が何度もハイネを襲い、遠くなる意識を何とか引き止めつつ眼前のストライクを睨みつけ、そして目を剥いた。
「コイツ……ッ!」
胸部を殴りつけていた左手にはいつの間にかアーマーシュナイダーが逆手に握られており、それが既に振りかぶられている。
そして狙うは―――
「メインカメラを、潰すっ!」
PS装甲とフレームの隙間、頭部と胸部を繋ぐジョイントの部分にアーマーシュナイダーが突き立てられ、そして差し込まれる。
その途中でストライクがゲイツ改を蹴り飛ばし、完全に頭部の機能を損失するまでには至らなかったもののコクピットからはメインカメラの映像は消失し、代わりにサブカメラから荒い映像が投影された。
対象が遠ざかっていく荒い映像の中ではディン3機が食い掛っており、そしてクルーゼのディンは足付きの方へと飛び去っていく。
最早ハイネのゲイツ改に興味すら失ったかのように、ディン3機を相手取るストライク。
こんなにも近い距離であるのに、戦場の中で疎外感すら感じたハイネは再び激昂した。
―――また、俺をコケにしたな! ナチュラル風情が!! 旧人類がっ!!
◆◇◆
「ハイネっ!」
落下していくゲイツ改を横目に、ヒルダが相棒の2機を伴ってストライクへと襲い掛かる。
激しくなった風雨の中でも、ディンは素早く動いた。
愛機の性能を頼りとしながら、3機の連携攻撃にすら全く動じないストライクに段々と苛立ちが募っていく。
両手で重斬刀を持たせ、大振りに斬り掛かる。
PS装甲で攻撃が無効化されるのは承知の上だったが、ゲイツ改と違いそのエネルギーは有限だ。
であるならば、この攻撃も全く無駄ではないのだ。
「うおっ!」
「何っ!?」
先に斬り掛かったマーズのディンがカウンターのサマーソルトで吹き飛ばされ、その回転の勢いで背後に迫っていたヘルベルトのディンに正対した瞬間、彼の右腕が重斬刀ごと115mmレールガンで吹き飛ばされる。
常人離れした戦闘機動に驚愕しつつ、ヒルダは躊躇うことなく機体をストライクへ突っ込ませた。
「ナチュラル如きが、舐めんじゃないよっ!」
その思い切りのよさこそが、ヒルダ達3人がこれまで大きな被弾もなく戦果を挙げてきた所以だった。
しかし、今の相手はこれまでの敵と全てが違う。
当初から対モビルスーツ戦を想定して訓練目標を設定し、カリキュラムを最適化してきた地球連合のパイロットと違い、対艦戦闘と対MA戦闘に比重を置いた訓練管理をそのままにしてきたザフトのパイロット達には圧倒的に対モビルスーツ戦の経験が不足していた。
そして対艦戦闘では良好に作用していた思い切りの良さも、今回の対モビルスーツ戦闘では良い方向には作用しなかった。
「遅いっ!」
ストライクの対艦刀が、大上段に振りかぶったディンの両腕を切り裂く。
突然両腕が吹き飛ばされたことに、ヒルダの脳内が真っ白になり続くもう一撃で差し込まれつつある左の対艦刀が眼前に迫りつつあることさえ、認識できずにいた。
ヒルダの意識を次に引き戻したのは、横殴りに打ち付けられた衝撃と相棒の叫び声、そしてモニターに映る血濡れのヘルベルトだった。
「ヘッ……無事かい」
「ヘルベルト、あんた―――」
ヒルダを貫こうとしていた対艦刀は、しかし横入りしたヘルベルトのディンの胸部に突き刺さっていた。
致命傷は避けてはいたものの、間違いなくヘルベルトは重傷を負っており機体もいつ誘爆するか分からない状態。
眼前のストライクは対艦刀を一振り失ったものの、まだ健在だった。
「姐さん、一旦退かねぇとヘルベルトが不味いかもしんねぇ!」
「分かってる! だが、こいつは……!」
「うおおおおっ!」
怒声と共に、追撃せんと迫り来るストライクを橙の弾丸が吹き飛ばす。
その隙に乗じ、3機は戦線を離脱した。
背後では、再びゲイツ改とストライクの剣戟が始まっていた。
中尉、I.W.S.Pは使ったらダメよ?
───出港前に駄目押しをする技術主任
映画のキャラを
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出せ♡
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出すな♡
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設定が固まってから出せ♡
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ノベライズ下巻出るまで考えろ♡