MS隊、どうにかしろ(無責任)   作:赤まむしZ

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お待たせしました。モーレツ会議が終わったので仕事もしばらく一段落しそうです。





33話 嵐

 

 マルチプルアサルトストライカーを装備したキラのストライク1号機がアークエンジェルの上部甲板に膝をつき、船体からせり上がってきたパワーケーブルをアグニへと接続する。

 外部からのエネルギー供給が異状なく行われていることを確認したキラは、再度こちらに接近してきている機影に目を転じた。

 

 鉛色の空に、不吉なシミのようなものがこちらへと近付いてきている。

 アークエンジェルの望遠カメラとリンクして流れてきている映像の中には、巡航形態のイージスと大型のバックパックを背負ったデュエルの姿があった。

 バスターとブリッツの姿はそこになく、恐らくは潜航してこちらに接近してきているのかもしれない───と考えたところで、距離を空けて隣を航行するドミニオンの甲板で同じくアグニを構えるダガーと、エールストライカーを装備したダガーが射撃を開始するのが見えた。

 その傍らには、ビームライフルを構えて待機しているソードストライカーを装備した機体の姿もあった。

 

「坊主、サクヤがちゃんと教えていたか見せてもらうぞ!」

「は、はいっ!」

 

 甲板上で構えるダガーからの通信が入り、先行して出撃したムウのスカイグラスパーからの座標情報を基にキラもアグニを構えて射撃を開始する。

 モーガン達の狙いは正確であったがしかし、相手はこれまで幾度も戦い、落とせなかった相手である。

 3機からの射撃を危なげなく躱すと、撃ち返しとばかりに2機が猛烈な射撃を開始した。

 伸びた火箭がアークエンジェルとドミニオンの船体に突き刺さり、ビームはラミネート装甲に、実弾は通常装甲によって弾かれるがその衝撃までは殺せない。

 船体は響くように揺れ、マリュー達の意識をその方向に集中させた。

 

「敵影、新たに8!ブルーとオレンジ、アルファに4ずつ!」

「速度そのまま! アラスカまで逃げ切れればいい!」

「新目標にヘルダート、照準急げ! イーゲルシュテルン、射撃準備!」

 

 ナタルの号令と共にCICが新たに現れたモビルスーツへ対空火器の照準をセットしていく。

 再度の号令によりそれらが発射されるも効果は薄く、次々と撃ち落とされていった。

 

「イージス、デュエル、尚も近付く!」

「対空防御! モビルスーツにも弾幕を張らせろ!」

 

 艦橋内が騒がしくなるのを接触回線で聞きつつ、このままでは逃げ切れないと感じたキラはアグニからパワーケーブルを外し、両手にシュベルトゲベールを握らせる。

 その様子に気付いたモーガンが制止の声を上げるよりも早く、ストライクが甲板を蹴り、飛び立った。

 

「僕がイージスとデュエルを止めます! 大尉たちは艦を!」

「おいっ!」

 

 制止も聞かず、ストライクが突出してきていたデュエルへと斬り掛かる。

 大振りの斬撃を2対の対艦刀で受け止め、2機がもつれ合う様に海面へと落ちていく。

 ギリギリで体勢を立て直し、再び上昇するデュエルにキラが追い縋るも、それを阻止するように海中から延びた何かがストライクの足を掴んだ。

 海へ引き摺りこもうとするそれは、ブリッツの左腕に装備されていたグレイプニールだった。

 

「なに!?」

「アスラン達のところへは行かせません!」

 

 海面が爆ぜ、水中からブリッツが現れる。

 展開された大型のクローがストライクを捕まえようと展開し迫るも、その脅威を身をもって体感しているキラは対艦刀でそれを大きく切り払った。

 

「それは、させないっ!」

「うわぁっ!?」

 

 ブリッツの兵装よりもリーチの長い対艦刀で切り払われたクローは左腕ごと切り裂かれ、バランスを崩したブリッツに追い打ちの如く120mmバルカンとロケット弾を叩き込む。そして胸部を蹴り飛ばし、海面に叩きつけた。

 海に落ちていった敵を一瞥することもなく、キラはアークエンジェルの方へと意識を切り替える。

 

 ───これで、最後なんだ。もう、誰も!

 

 実家を発つ日、両親が涙を溜めながら自分を送り出してくれたことを思い出す。

 出撃する直前に、フレイが自分に何かを言おうとしていたことも。

 僕には、僕の帰りを待ってくれている人がいる。

 その事実が、コーディネイターの少年を勇気づけていた。

 

 眼前ではアークエンジェルとドミニオン、スカイグラスパー、ダガー達が襲い来るザフトのモビルスーツ達に必死の応戦をしている。

 キラもその中に加わるべく、機体を加速させた。

 

 ただその狂奔の中で、戦況の推移を見下ろしていた白いディンには誰も気付かなかった。

 

「…………」

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

「落ちろぉぉっ!」

 

 火器試験型ゲイツ改が狂ったようにラケルタ・ビームサーベルを振り回し、I.W.S.Pの突き出た砲身を切り飛ばす。

 2つの柄を連結させたアンビデクストラス・ハルバードの形態は使用するに熟練した操縦技術を必要とするが、ハイネは怒りに支配された状態であってもそれを不足なく使いこなしていた。

 残った105mm単装砲を撃ちながら、間合いを切ろうとするサクヤのストライク2号機だったがそれを無尽蔵のエネルギーで稼働するPS装甲で弾いて接近するゲイツ改。

 マルチプルアサルトストライカーよりもエネルギーの消費が抑えられ、かつ機体のバランスも改善されていたがエネルギー効率に重きを置いたばかりに実弾重視となったI.W.S.Pでは、常時PS装甲を展開している相手に対し完全に決め手を欠いていた。

 レールガンや単装砲では装甲を抜くことは出来ず、対艦刀では関節といった当たり所の小さい部分のみを切り裂くことしかできない。

 相手がただのパイロットであれば、それも可能であったがしかし今回の相手はザフトきってのエースパイロットであり、そして機体自体も現段階における最高峰の性能を誇る新型。

 このままでは徐々に不利、と悟ったサクヤであったが現段階で対等に戦えるストライカーパックもI.W.S.Pしかない。

 両刃のビームサーベルから繰り出される変幻自在の斬撃を両手に持った対艦刀で捌きながら、サクヤは焦っていく。

 

「ドミニオンとアークエンジェルは、もつのか!?」

 

 何度もぶつかり合い、交差していくうちに2機はドミニオンとアークエンジェルの目前まで迫ってきていた。

 イージス、デュエルと交戦するキラのストライク、青いSFSに乗り、近付くモビルスーツと交戦する3機のダガーに海中のバスターと交戦するムウのスカイグラスパー。

 誰も彼もが手一杯の状態の中にサクヤとハイネが乱入しただけのこと、それだけだったが、しかしそこで何かのバランスが崩れた。

 

「何ぃッ!?」

 

 キラのパーフェクトストライクがアグニでデュエルの右腕を吹き飛ばした。予期せぬ一撃で、イザークが狼狽の声をあげながらも機体のバランスを維持させる。

 それのカバーに入ったイージスが、パーフェクトストライクのアグニを狙撃。ビームが直撃し、行き場を失ったエネルギーが暴発する寸前にキラは保持アームごとそれをパージして難を逃れる。

 そして、イザークの声ではっと正気に戻ったハイネがその隙を突かれてか、それともまぐれ当たりか、アークエンジェルのゴッドフリートの射撃を受けて右足の膝から下が消失した。

 艦橋の空気が一気に色めき立つが、しかし海中のバスターからの射撃を受けてアークエンジェル船体が大きく揺れる。

 バランスを崩したアークエンジェルに海中のバスターが再度の攻撃を仕掛け、今度は左舷のバリアントを貫き、その周辺を大きく抉った。

 

「グゥレイト! 大当たりだぜ!」

 

 それと同時に、両舷のゴッドフリートもイージスからの射撃を受けて爆散する。

 艦の全体から大きく黒煙を噴き、高度を徐々に下げていく。艦橋は、悲鳴の坩堝と化していた。

 

「プラズマタンブラー損傷! レビテーターもダウン!」

「揚力、維持できません! このままでは落ちます!」

「姿勢制御を優先して! 兵装の状況は!?」

「ゴッドフリート、バリアント共に使用不能! イーゲルシュテルンも同じく!」

 

 クルー達の悲鳴と同様に、マリューとナタルの声も上擦っている。

 周囲ではザフトのモビルスーツがダガー部隊の攻撃を受け、落とされつつも反撃で兵装や四肢を奪っていった。

 ドミニオンも同じような状況で、各部から黒煙を吹き出しつつも対空防御の火箭を途切れることなく伸ばしている。わずかではあるが、アークエンジェルに援護射撃をしてくれていることが有難かった。

 

「ドミニオンが援護してくれているわ! 皆、諦めないで!」

 

 恐慌状態になりかけたアークエンジェルの艦橋を落ちつかせつつも、マリューは未だにアラスカの防空識別圏へ到達しないことに焦っていた。

 同じように敵も、アークエンジェル達に対して決定的な一打を与えられず、アラスカ基地の勢力圏へ刻一刻と近付いていることに焦っていた。

 元から時間制限のある作戦であり、だからこそ持てる戦力を全て投入したのだ。にもかかわらず、艦を落とせず剰えモビルスーツすら1機も落とせない状況。

 焦るアスランに、ハイネからの通信が入る。

 

「アスラン! 俺とお前で、あのストライク2機を引き付けるぞ!」

「ハイネ先輩! しかしっ」

「ここでやらなきゃ、アラスカに逃げられちまうぜ!? 借りを返してやらんとなぁ!」

 

 そう言うハイネのゲイツ改は、首元からスパークを上げていた。

 いくら核動力とはいえ、あまり長くはもたないだろう───そう判断したアスランは、腹を決めた。

 

「イザーク、ディアッカ! ストライクは俺達が引き付ける! 足付きはお前達で、頼む!」

「何ぃ! 勝手な事を!」

「いいじゃねぇか、イザーク。ここは任されました、ってね」

 

 了承は得た───とし、アスランはキラのストライクに、ハイネはサクヤのストライクへと突進する。

 ここで再度仕掛けるか、と睨んだサクヤは周囲でディン達の相手をしていたエドに通信を入れつつ、同じくゲイツ改へと突進した。

 

「エドさん、俺のタイミングでシュベルトゲベールを!」

「あぁ!? 無茶言うな! 俺のタイミングでやらせろ! 行くぞっ!」

「なら、それでっ!」

 

 周囲のディンを相手取りつつ、投擲のタイミングを窺うエドのソードダガー。

 お互いに突進するストライク2号機とゲイツ改、その激突する寸前。

 

「うおりゃあああっ!!」

 

 逆袈裟にディンを斬り上げつつ、返す刀でそれを振り下ろし、エドがシュベルトゲベールを投擲する。

 それに気を取られたハイネが急速にブレーキをかけて減速しつつ離脱していくのを見逃さず、サクヤは投げられたシュベルトゲベールを掴み取る!

 

「これなら、やれるっ!」

 

 大見得を切るように両手で構えられた対艦刀からレーザーが発振され、それが異状なく使用できることを示す。

 轟く雷鳴が、間合いを切った2機を険しく浮かび上がらせた。

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

「キラァァァッ!」

「アスランッ!」

 

 ストライクとイージスの両機が空中で激突し、切り結んでは離れ、そして再度切り結んでは離れを繰り返す。

 何合目か、イージスのビームサーベルがパーフェクトストライクの対艦刀を基部から切り裂き、その勢いのまま体当たりしてストライクを地上へと吹き飛ばした。

 地上へ落下しつつも、右肩のコンボウェポンポッドの残弾を何とか吐き出させ、その1発がイージスのビームライフルを捉えて爆散させる。

 

「ぐぅっ……!」

 

 何とか機体を立て直し、密生する木々を薙ぎ倒しながら地面へ着地するストライク。

 膝をついたストライクを追撃せんと、イージスが急速に迫る。

 素早く展開されたビームサーベルを何とかシールドで受け止め、ビームコートとの干渉波が煌々と機体を照らす。

 その光の下で、キラは機体のすみずみまで照らされた、刺々しい形状のイージスを見つめる。

 燃えるように真っ赤なその機体色は、まるでアスランの気迫を反映しているかのようにも思えた。

 いつもとは違う───と思いそして、負けるかもしれない───とも思った。

 2機が間合いを切り、再度構える。

 キラは用を為さなくなった両肩のモジュールをパージし、ビームサーベルを構えた。

 

「お前が地球軍にいるならば……俺達の敵になるなら……」

「アスラン、僕は……っ!」

 

 あの時、お前を討つと言った。

 それに、僕もだと応じた。

 ただ、それだけが答えだった。

 

 光刃が自分に徐々に迫りつつあるのを見ながら、キラとアスランは走馬灯を見ていた。

 あんなに一緒だったのに、言葉一つ通らない。

 走馬灯が幼少期の、2人の別れ際に差し掛かった瞬間。

 互いのビームサーベルが交差し、そして───

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 豪雨が服を濡らし、暴風が身体を揺さぶる。

 しかしそのような天候で男が動じる訳もなく、眼前に広がる光景を目にしてその口元を少し歪ませた。

 

「…………」

 

 流れるような体重移動でぬかるんだ地面に足を取られることもなく、一歩ずつ着実に目的地へと近付いていく。

 爆風に晒されながらも何とか原型を留めていたそれによじ登り、手探りで何らかのレバーを探し当ててそれを思い切り引くと、圧縮空気が解放される音と共に近くの何かが弾け跳んだ。

 

「…………!」

 

 中を覗き込むと力尽きたように項垂れ、動かない少年がいた。

 身体を固定していたシートベルトを外してやり、担ぎ上げるようにしてもその少年は目を覚ます気配はなかった。

 しかし生きては、いる。

 微かな命の灯を感じながら、少年を担ぎ上げた男───ラウ・ル・クルーゼは、欠片の一つを手にしたことに暗い歓喜の炎を燃やした。





アスランっ!?

───爆散を目の当たりにしたブリッツのパイロット

映画のキャラを

  • 出せ♡
  • 出すな♡
  • 設定が固まってから出せ♡
  • ノベライズ下巻出るまで考えろ♡

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