MS隊、どうにかしろ(無責任)   作:赤マムシX

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ウルトラお久しぶりです&お待たせして申し訳ありません。
意外と暇かと思った3月は予想外の仕事ばかり振ってきて遅れに遅れました。
とりあえずROBOT魂のスローターダガーは3機予約しましたが、今後もお待たせすることがあるかもしれません。



34話 聞けない声

 

 訪れたのは、突然だった。

 ゲイツ改との数度の剣戟の末に、エドから渡されたシュベルトゲベールでその左腕を切り裂くことには成功した。

 対するストライクは無傷、このまま無力化して鹵獲するには絶好のチャンスであった。

 しかし。

 

 ───

 

「……キラ?」

 

 形容しがたい金属音のような音と共に、言葉が走ったような気がした。

 少年達の叫びと哀しみ、そして怒りが全て混ざりあったような何かがサクヤの意識を通り抜けていき、消失する。

 それと同時に、近くの小島で大きな爆炎が上がった。

 

「―――薄くなっていく!?」

 

 これまでは、何らかの金属音と共に先読みをしたりした事はあったし、撃墜してきた相手の断末魔や悲鳴が聞こえてくることも多々あった。

 『それ』に覚醒しつつあるのならば、そういうものだとも思っていた。

 ただ、今回のように見知った誰かの―――敵ではない誰かの思惟がそのまま流れ込んでくることは初めてで、知識として脳内にはあっても自身の理解が及ぶには、まだ経験が足りていなかった。

 そして、明らかに全ての流れが違うと感じる違和感。

 薄れていく気配と生命。

 一瞬、サクヤの意識が眼前の敵から離れ、動きが止まる。

 そしてそれは、致命的な隙でもあった。

 

「余所、見、してんじゃ、ね ぇっ!!」

「何っ!?」

 

 一瞬、ほんのわずか一瞬だった。

 動きが硬直したストライク2号機に迫るハイネのゲイツ改。

 我に返ったサクヤがイーゲルシュテルンを撃ち散らし、弾丸がスパークを散らしていた首元と頭部に直撃するもその動きは止まらない。

 捨て身の一撃、ゲイツ改がビームサーベルでストライクの右腕を肩口からごっそりと抉り取った。生気を失ったように灰色へ色を転じた右腕が、重力に引かれて海面へと落下する。

 

「やられる!?」

「これで終いだ!」

 

 切り上げたビームサーベル、返す刀でトドメを刺そうとするハイネ。

 残った左腕でマウントしていた対艦刀を引き抜き、なんとかそのビームサーベルの一撃を受け止めるもバランスを崩した機体では、それを完全に受け止めきることは出来なかった。

 

「今度こそ、仇をっ!」

 

 ゲイツ改が体勢を崩したストライクを蹴り飛ばし、止めを刺さんと迫る。

 弾き飛ばされ、海面へと落下していくストライク。

 ゲイツ改が追撃せんと機体を向けるが、しかし遂にその機体も限界が来た。

 

「何だよっ! こんなところでっ!」

 

 スパークを散らしていた首元が小さく爆発を起こし、伝達回路が損傷して頭部への電力供給が止まる。

 それは頭部に搭載されているNジャマーキャンセラーの停止を示し、更には機体全体の機能停止を意味した。

 無敵を誇った橙色の機体色が無機質の灰色へと転じていく。

 無尽蔵のエネルギーを誇った機体が推力を失い、ストライクと同じく海面へと落下していった。

 ともに落ちていく敵機を見、I.W.S.Pのスラスターと機体のアポジモーターを調整して何とか体勢を立て直すサクヤだったが、その眼前を2機のモビルスーツが通過していく。

 

「ヴェステンフルス先輩ッ!」

「お前ら、すまん!」

 

 落下の途中でデュエルとブリッツに回収され、ゲイツ改は後退していく。

 ストライク2号機が追撃しようとするも、既にその3機は戦場から離脱しつつあった。

 

「離脱した……? そうだ、キラはっ」

「サクヤ、無事なら手伝ってくれっ! そろそろヤバいかもしれんっ!」

 

 呆然と離脱した方向を見つめ、そして先程の爆発地点に立ち昇る爆炎へ視線を転じるサクヤ。しかし、エドから緊迫した様子の通信が入れば意識をそちらに戻さない訳にはいかなかった。

 後ろ髪を引かれる思いではあったが、アークエンジェルとドミニオンの直掩に加わるストライク2号機。

 両艦の甲板上では、SFSを失ったダガーが砲台代わりとなって射撃を続けていた。

 

「どうあっても、俺達をアラスカに行かせないつもりだぜ!?」

「コーディネイター奴、大人しく宇宙に帰っていなさい!」

 

 エドがバズーカを撃ち散らしそれを回避したディンが、ランチャーから換装したレナのライトニングダガーの『70-31式電磁加農砲』によって撃ち貫かれる。

 

「踏ん張れ! ここで落とされるわけにはいかんぞ!」

 

 落ちていくディンの仇とばかりに、その僚機が重斬刀を引き抜き接近するも甲板から飛び上がったモーガンのエールダガーがすれ違いざまに両断する。

 ドミニオンらに攻撃を加えていくディンも、側面から接近するストライクの対艦刀に貫かれて爆散した。

 数を減らしていくディン部隊であったが、しかし五月雨式に到着する増援は教導隊だけでなく、アークエンジェルとドミニオンを疲弊させ、消耗させていく。

 

「キラの声が、聞こえない……!」

 

 爆発地点にカメラを向けようとするも、ディン部隊の追撃がそれを許さない。

 焦りを大きくしながらも、サクヤは2機目のディンを対艦刀で胴から切り裂いた。

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 何度敵機を貫き、斬り裂いた頃だろうか。

 早朝から続いた雷雨は止み、オーブ出港時は綺麗に磨かれていた艦の装甲は煤と傷で痛々しい姿となっていた。

 ストライク2号機の背にあったI.W.S.Pは多数の被弾によりその機能を喪失し、換装したエールストライカーもビームサーベルは両方を損失、左側の翼を敵機の射撃により失っている。

 3機のダガーも甲板上で擱座、固定砲台として何とか射撃を継続していたのがしばらく続いた頃。

 

「何だ……!?」

 

 ぱったりと、敵の増援が止んだ。

 それだけでなく、執拗に攻撃を続けていたディン部隊も諦めたように後退していく。

 

「これは……どういう……」

「艦長、アラスカから通信です! 援護の部隊を送るとっ」

「今更かよ……」

 

 引き換えに現れたのは、味方の識別信号を発する航空機たち。

 艦橋の空気が一気に虚脱状態となり、マリューは茫然とアークエンジェルとドミニオンを取り囲むように近付く航空隊を見つめる。

 最大船速で離脱していた両艦は、いつの間にかアラスカの防空識別圏内に進入していたらしい。

 一気に虚脱したような空気が流れ込み、クルー達は一斉に大きく息を吐く。

 

 擱座したダガーから各々のパイロット達が這い出し、エドはバイザーの割れたヘルメットを鬱陶しそうに外し甲板上に大きく大の字で寝転がった。

 モーガンもレナも疲労困憊で、大きく肩で息をしながら座り込んだ。

 彼等の乗機であったダガーは、多数の被弾で最早人の形すら保っていなかった。

 

「冷えたビールが飲みてえ……」

 

 エドの呟きには誰も反応しなかったが、しばらくしてダガー達の近くに着艦したストライクには3人がその視線を向けた。

 降り立ったストライクはそのまま膝をつき、装甲の色を灰色に転じさせて動かなくなる。

 すぐにコクピットハッチからワイヤーを伝ってサクヤが降り、着地した瞬間に他の3人と同じように地面に崩れ込んだ。

 

「あのモビルスーツを落とせず、キラも落とさせたのか……!」

 

 悔しそうに顔を歪めながら、甲板を叩く。

 本来の流れならば、これが正しいのかもしれない。

 ただ、最早本来の流れ通りに進めるといった考えはサクヤにはなく、ただヘリオポリスから戦い続けてきた子どもたちを無事に返してやりたいという気持ちの方が大きくなっていた。

 それがなされた時、何が引き起されるのか分からない訳ではない。

 自由は檻から放たれず、暴走する正義は世界の全てを壊してしまうかもしれない。

 ただ、それでも……あの両親たちのもとに、笑って帰してやりたかった。

 

「情けない奴……!」

 

 悔恨と自分の情けなさを甲板にぶつける。

 着艦した機体を回収すべく整備班が甲板に上がった頃、アークエンジェルとドミニオンは徐々に陸地に近付きつつあった。

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

「ね、トール……キラは?」

 

 キラの部屋で眠り込んでしまったフレイは、時計を見て驚いた。

 戦闘が始まったのは朝方、しかし時計は既に夕刻を指しており、更には戦闘の響く音すら聞こえてこない。

 戦闘は終わったものと思い、部屋を出てキラを探しに出たフレイが一番最初に会ったのはトールだった。

 艦橋の方から歩いてきた彼ならば、キラの居所は知っているだろう。

 フレイを認めたトールは、少し気まずそうに顔を背けた。

 

「MIA……だってさ」

「え?」

 

 聞き覚えのない単語に、フレイが首を傾げる。

 能天気そうな彼女の仕草が癇に障ったのか、トールが少し声を大きくして答えてやった。

 

「戦闘中行方不明、確認できてない戦死……軍ではそういうんだよっ」

「え……?」

 

 フレイはますます分からなくなった。

 戦死? 戦死ってなに?

 私はキラの居所を聞いているだけなのに、戦死って答えはおかしくない?

 

 全く要領を得ない問答に、トールは苛立つ。

 自分達を守って、キラは戦っていたのにフレイはどうしてこうも反応が鈍いのだろう。

 ただでさえ、キラに―――と考えたところで、言葉が抑えきれなくなってしまった。

 

「分からないんだよっ! でも、あの爆発じゃ……キラはっ!」

 

 そう声を荒げても、フレイは状況を全く理解せず首を傾げている。

 もう話しても無駄だと、トールはその場を去ろうとするがその手を掴まれ、引き留められてしまう。

 

「ちょっとっ! キラはどこなの、って聞いてるの! どこにいるのよ!?」

「だから、分からないんだよっ!」

 

 そこまで言って、トールはあの時の光景を思い出してしまい悔しそうに目を瞑る。

 小島でイージスと対峙するストライク、数度の剣戟の間に吹き飛ぶ互いの装甲。

 そして、互いの胸部に深々と突き刺さるビームサーベル―――

 

 そこまで思い出したところで、トールは荒々しくフレイの手を振り解きその場から逃げるように去っていく。

 本当に、何も知らないで……!

 彼の背後ではぽつんとフレイが立ち竦んでいる。

 彼女を無視してトールがしばらく艦内を歩いていると、曲がり角で箱を抱えたナタルとぶつかりそうになった。

 

「……すみません」

「ケーニヒ2等兵か」

 

 正直、会いたくないと思っていた人にばったり出会ってしまった自分の不運を呪いながら、小さく謝った。

 あの後、キラのMIA認定を艦長に進言したのは紛れもなくナタルだ。

 自分の友人を、こうも淡々と死亡認定した彼女に思うところがない訳がない。

 そのまま立ち去ろうとするも、上官たる彼女に呼び止められては振り向かない訳にもいかなかった。

 そもそもその箱はなんだろう……と思ったところで、ナタルからそれを手渡され、そして発せられた命令に戦慄した。

 

「ヤマト少尉の遺品を整理しろ。彼の両親に返送するものだから、丁寧に―――」

「ちょ、ちょっとっ! まだ、分からないんじゃっ」

 

 遺品を収める箱を取り落とし、トールはナタルに抗議する。

 確実に死亡が確認された訳ではなく、もしかしたら帰ってくるかもしれない。

 それに、隣のドミニオンのモビルスーツ隊とかが、捜索してくれるはず―――と言ったところで、ナタルは淡白な口調で答えた。

 

「教導隊での捜索は不可能だ。それに、MIAと認定された時点でこうするのは決まりだ」

 

 トールは抗議の言葉を飲み込んだ。

 彼の気持ちを理解したのか、ナタルは少し声の調子を落として続けた。

 

「よすがを見つめて悲しんでいては、次には自分がやられる……戦場とは、そういうところだ。疲れているだろうが、頼む」

 

 去っていくナタルの背を黙って見つめながら、トールはあまりにも小さく見える箱を見つめて呆然としていた。

 友達の痕跡を、こんな小さな箱に押し込めるのか……?

 認めたくない現実が押し寄せてくるのを感じながら、トールはその箱を手に取った。

 昨日から、悪い夢を見ているのかもしれない。こんな夢から目が覚めれば、いつも通りに向こうの角からキラが現れてくれるはずだ。

 キラの部屋への道のりは、いつもより遠くそして自分の足さえ重く思えた。

 この扉を開けば、キラが迎えてくれるはずだ。彼の肩に乗ったトリィが自分の方を見て、首を傾げるいつもの光景が見れるはず。

 

 で、あるのに。

 この扉を開くと、また悪い夢の続きを見てしまいそうな気がした。

 少し逡巡していたが、重い足を上げてトールが部屋に入る。

 暗い部屋の中には、誰もいなかった。

 自分を認めたトリィが肩に留まったことが、ただただトールにその現実を認識させていた。

 

「キラ……」

 

 認めたくなかった現実がそこにはあった。

 そして、それは自分のこれまでの行動が自身の恋人に危惧させていたことの一端でもあった事に気が付く。

 ただ、それでも。

 こんな思いを感じることになったとしても。

 

「俺……」

 

 膝から崩れ落ち、落とした箱に涙が一粒ずつ滲んでいく。

 

 ───お前と、皆を守りたかった。

 

 その言葉は、喉につかえて出てこなかった。





キミ、意外と一人で何でもしようとする癖がありますねェ……

―――金髪の出資者

映画のキャラを

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  • 出すな♡
  • 設定が固まってから出せ♡
  • ノベライズ下巻出るまで考えろ♡
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