頭文字S 未完結   作:ペンギン太郎

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 ここまで長く書いたのは久しぶりでありますが最後まで見届けてくださいね。


ACT.9 AE86 vs FD & GC8

 ハチロクがFDの横に並んでは車を停めるや中から一人のドライバーが出てきては周りが驚く。

 

 

 「拓海ィ⁉」

 

 「な、なんで拓海がハチロクから出てきたんだ…⁉」

 

 「やっぱりな。道理でここに来てなかったわけだ」

 

 

 ハチロクから出てきたのが文太ではなくまさかの拓海であり。光は予想していたのかあまり驚いておらず、池谷は状況が理解できないのか拓海に近づいては質問する。

 

 

 「どういうことだ⁉親父さんはどうした⁉」

 

 「俺…。親父が行けって言うから来たんですけど…池谷先輩…」

 

 「親父さんが…?お前に行けって言ったのか?どういうことだそれ…?車だけ来たって親父さんが来てくれなきゃどーしようもねーだろォ」

 

 「どーすんだよ池谷?」

 

 「(あのクソ親父ちょームカつくぜ。行けって言うから言う通りにしてんのに来てみたら俺なんかまるで場違いじゃねーかよ)」

 

 

 池谷と健二がどうしたらいいかわからないまま慌てる。一方の拓海もここに来てしまったことを後悔し始める。

 

 

 「拓海…。親父さん…他に何か言ってなかったのか?」

 

 「池谷先輩。俺はただ…、秋名の下りでRX-7に勝ってこいって言われただけだから…。他には何も言われてないですよ…」

 

 「なんだってぇ⁉お前が運転するのか⁉勝てるのか⁉」

 

 「…まぁやってみないとわかんないけど…。前一度やって勝ってるから…」

 

 「(前に一度やって…勝ってるぅ⁉)」

 

 

 池谷が拓海からのトンデモ発言に再び驚くが、そこにイツキが割って入ってきては拓海に話しかける。

 

 

 「拓海ィーってめーっ、この大馬鹿野郎!!」

 

 「いてて…イツキー!!」

 

 「お前って奴はどこまでトンマなんだーっ!!激しく遅刻しやがった上にとんでもないとこへノコノコ出てきやがってーっ!!」

 

 

 イツキは遅れてきた拓海を殴ってはその場で怒鳴りつけるが拓海はきょとんとした顔をしては聞き流す。

 

 

 「見てるこっちの方が恥ずかしくて顔から火が出そーだぜー。とっとと車どけろー。タイムアタックの邪魔してんじゃねーよー。池谷先輩ホントすんませーん。こいつってとことんボケで何もわかってないんすよー勘弁してやって下さい」

 

 

 イツキはその場で誤っては頭を下げるも池谷は困った顔をしていた。

 

 

 「ちょっと待てよーイツキー」

 

 「バーカ、ボーっとしてねーで早く車を別なとこへ移動させろって言ってんのがわかんねーのかっ!!」

 

 

 イツキは拓海に車を動かすように言うも拓海はそれを聞いてはどうすればいいか困惑する。

 

 

 「その場所はなー恐れ多くも秋名代表の下りのアタッカーが車を停めるスタートラインなんだぞーっ。イライラするなーいいよ俺が動かしてやるから」

 

 「待てイツキ。ハチロクはそのままにしておけ」

 

 「光…」

 

 

 イツキがハチロクを動かそうとしたがそこを光が止めに入っては拓海に視線を向ける。

 

 「初めて会った時から只者じゃないと思っていたがまさか本当に来るとはな。こればっかしは流石に俺も驚いたぜ…」

 

 「光…。もしかしてお前は拓海が走ってたことに気付いてたのか⁉」

 

 「気付いたのはついさっきですけどね。豆腐の配達は全て拓海に任せているって以前聞きましたのでひょっとしたら前に高橋啓介が秋名で遭遇した際ハチロクに乗ってたのは拓海なんじゃないかなと…」

 

 「それじゃあ…。拓海が言ってることは本当なんだな?」

 

 「えぇ。今ここにいる拓海こそ正真正銘秋名のハチロクで間違いありませんよ」

 

 「え…?それってどういうこと光…?」

 

 「マジかよ⁉拓海が例の豆腐屋のハチロクだとぉ⁉」

 

 「嘘でしょ⁉まさか拓海君がそんな凄い人だったなんてアタシ信じられないわ…!!」

 

 

 イツキは未だに理解できておらずボケっとしているが利樹と真菜は俺が言ったことに驚きを見せる。

 

 

 「やっと飲み込めたぜ…拓海…。下りのアタックはお前に任せた!!」

 

 「な、何言ってんすか池谷先輩。冗談はやめてくださいよ。こんな素人が秋名の下り攻めたらあっという間に事故って死んじまいますよー!!」

 

 「いいからイツキ…。お前の方こそ隅っこで見物しててくれ。さっき光が言ってたろ、拓海は事故ったりしねーよ」

 

 

 池谷は秋名のダウンヒルを拓海に託すがイツキは拓海の実力を知らないからか行かせないように止めるも池谷はイツキを制しては拓海に言う。

 

 

 「よく来てくれたな拓海…恩に着るぜ。頼むぞ…」

 

 「拓海、お前の走りにはかなり期待してるから絶対に勝てよ」

 

 「お前がどれだけやれるか知らねぇけど負けたら承知しねえぞ」

 

 「拓海君…。頑張ってね、アタシも応援するから…」

 

 

 池谷に続くように光達も拓海にエールを送るや秋名のダウンヒルを任せることに。

 

 

 「悪かったな待たせて…」

 

 「待ちくたびれたぜ全くよー」

 

 

 高橋啓介は拓海を見つめては何かを感じ取っては質問する。

 

 

 「随分若いな…名前は?」

 

 「藤原拓海」

 

 「覚えとくぜ…俺は高橋啓介」

 

 

 互いに自己紹介をしては車に乗り込み、ギャラリーはハチロクとFDに注目し始める。

 

 

 「いよいよ始まるぞ。やっぱり秋名の代表はあのハチロクだ…」

 

 「ハチロク対FD-3Sだなんて無茶だよなー何考えてんだァ?」

 

 

 ギャラリーもハチロクとFDでは勝負にすらならないと思ってはいるが、後にそれが大きく覆す出来事が行われることに気付いていなかった。

 

 

 「それじゃあカウントを始めるぞ。カウント10秒前!!」

 

 

 史浩が2台の前に立ってはカウントを始める。

 

 

 「いよいよだな…。あのハチロクがどれだけの走りをするかワクワクするな光…。って何してるんだお前は⁉」

 

 「何って…今からこいつを走らせようとしてたとこなんだが…」

 

 「走らせるって、まさか…」

 

 「あぁ。俺はあの二台の後を追っかけてはその走りを見させてもらうのさ」

 

 

 光はその場から離れては後ろに停めてあるインプレッサに乗り込んではエンジンを掛け始める。

 

 

 「あ〜ズルい光。アタシも拓海君の走り見たいから助手席に乗せてよ」

 

 

 真菜も拓海の運転する姿を見たいと思ったのかインプレッサのナビシートに座り込み、外に出てるのは利樹一人だけとなる。

 

 

 「ちょっと待て光、残された俺はどうしたら…⁉」

 

 「安心しろ。ダウンヒルが見終わったらゴール地点で待っといてやるから後で池谷さん達に頼んでは麓まで送ってもらうことだな」

 

 「おいっ!!今度は俺一人だけ置いてけぼりかよ!!」

 

 

 利樹が自分一人がスタート地点に残されることを知るや光に抗議するも既にカウントは5秒前に達しており、いよいよ秋名のダウンヒルが開始されようとした。

 

 

 「5、4、3、2、1…GO!!」

 

 

 カウントが切られると同時に二台の車は発進しては走り始める。

 

 

 「スタートしたぞォ!!」

 

 「いよいよ始まったぞォ本気の全力走行だァ!!」

 

 

 交流戦の目玉とも言える秋名のダウンヒルが開始され、ギャラリーは目の前を通ったハチロクとFDに注目しては観衆が盛り上がる。

 それと同時に光が運転するインプレッサは二台に続いては横から出てきては走り出すのだった。

 

 

 「あれはインプレッサじゃねぇか。一体どういうことだ…。これはスピードスターズとレッドサンズの交流戦なのにあのインプレッサは一体何をするつもりなんだ⁉」

 

 

 インプレッサはギャラリーの歓声を無視しては先を走っていった二台に続けては秋名のダウンヒルを始めていきハチロクとFDを追いかける。

 

 

 「光。本当にあの二台の車の後を追うつもりなの?」

 

 「勿論。拓海がどれ程の腕を持ってるか気になるし、直接見たほうが分かりやすいからな」

 

 

 インプレッサが交流戦とは無関係に飛び出していったことに両チームは予想外な顔をするも、レッドサンズのリーダーの高橋涼介はそれを近くで見ていっては笑みを見せる。

 

 

 「ふっ、面白い…。俺達の地元である赤城で啓介を破ったその走り。後で啓介から聞かせてもらおうじゃないか…」

 

 

 

 

 

 先行はFDが走っておりロータリーサウンドを響いかせては秋名の峠を下っていき、それに続いてはハチロクとインプレッサが追って行く。

 

 

 「はっえぇーっ!!バカッ速っ!!高橋啓介のFD、350馬力は伊達じゃねぇ。しかも絶妙のクラッチミート上手すぎる」

 

 「勝負になんねー。ハチロクのフル加速なんてまるで止まってるようにしか見えねーよォ!!」

 

 「第一コーナー突っ込みまでもうあんなデカい差になってる!!」

 

 「FDなんてはっきり言って国内最強のコーナリングマシンだもんな」

 

 「コーナー入ったら差はますます開く一方だろ!!」

 

 

 FDの物凄い速さにギャラリーは驚きを見せており、後方を走るハチロクとは差が開いていた。

 

 

 「(ストレートでちぎるのは不本意だがこれはタイムアタックだからな…。遠慮はしねぇーぜ二度とバックミラーに映ることはねぇ!!)」

 

 

 先行を行っている高橋啓介は自信満々に言うも拓海は余裕有りげな顔をしては慣れた手捌きでシフト操作をし車をガードレール擦れ擦れに寄せていってはコーナーを曲がっていくのだった。

 

 「す、凄いわ…。ガードレールからそんな離れてなかったのに曲がり切るなんて…」

 

 「あそこまでのコーナリングは俺でもそう簡単にできんな。どうやらこの勝負、思いの外かなりの接戦になるかもしれないな」

 

 

 ハチロクのコーナリングを後ろから見ていた二人は拓海の超絶テクニックに度肝を抜かれるも、光は拓海の走りを冷静に見ていっては拓海達の後を追い続ける。

 

 

 「(差が詰まってる…⁉奴の車が近づいてるぅ⁉)」

 

 

 啓介も差が開くどころか逆に詰まっていることに驚く。

 

 

 「(ハチロクが近づいてる…⁉そんな筈はない気の所為だ…⁉)」

 

 

 そう思う啓介だが、実際にハチロクはFDに近付いており。差はますます縮まっていく。

 

 

 「そんなバカなことが…、ある分けがないぜ!!」

 

 

 啓介はさらに負じと進んでいくがハチロクはFDに離されずに後を追って行き勝負は光の予想通り接戦になる。

 

 

 「あ、あれがあの拓海君なの…。さっきもそうだけどこんな狭い峠を難なく走れるなんて一体どうやったらできるっていうのよ…!?」

 

 「おそらく拓海は免許を取る前からここを走り込んでるみたいだな。そうじゃなきゃガードレール擦れ擦れのコーナリングなんて真似はできねぇからな…」

 

 「えぇ⁉じゃあ拓海君は無免許運転してはここを走ってきたってことなの…⁉いくらなんでもそれはマズいじゃない!!」

 

 「確かにそうなんだが…。俺としてはあそこまで走っては今までバレなかったのが奇跡だと思いたいぐらいだ…」

 

 

 

 

 

 「えぇ〜〜っ⁉本当ですかァー池谷先輩⁉拓海ん家の親父が昔そんな凄い走り屋だったなんて…」

 

 

 拓海達三人が秋名の下りを攻めている頃、秋名のスタート地点では池谷が拓海の父親について利樹とスピードスターズのメンバーに話しておりそれを聞いたイツキは驚くのだった。

 

 

 「俺何度か見たことあるけど…。ただのぶっきらぼうな豆腐屋の親父って感じですよー」

 

 「人は見かけだけじゃ分からねぇってことだイツキ。まさか拓海の親父さんがそんな凄い人だったとはな」

 

 「前から噂だけはうちのスタンドの店長に聞いたんだけど…。今でも下りだけなら秋名最速だって自信たっぷりなんだよなー」

 

 「まぁ今はそんな凄い方が態々拓海を代理として送り出したんだし、勝負の結果を待ちましょうぜ…」

 

 「そうだな。それに高橋啓介は光君に続いて拓海に一度に負けてるらしいからな…」

 

 「えええーっ。350馬力のFD-3Sが拓海に負けてるぅ〜〜っ⁉信じられないっすよー俺。あのボケた拓海がァあの高橋啓介を負かすなんて…。だってあいつ…。ハチロクさえ知らなかったんですよー」

 

 「ほほぉこれはいい事を聞いたな。あの高橋啓介がFDに乗っていながらハチロクに負けるなんざ周りに知られちゃあレッドサンズいや群馬の走り屋切っての恥晒しの他ないからな」

 

 

 イツキは拓海が高橋啓介を負かした話を聞いては大声を出しては激しく驚き。利樹は逆に嬉しそうな顔をしてはニヤけていた。それを近くで聞いていたレッドサンズのメンバーの男がこっちに近づいては話しかける。

 

 

 「おい!!今の話はどういうことだ⁉ウチの啓介さんがあのハチロクに負けてるだとぉ⁉んな話信じられるかよ!!」

 

 

 スピードスターズに声をかけてきたガングロの男、名を中村賢太といいチーム内では高橋啓介の弟分みたいな扱いを受けており。憧れの啓介がハチロクに負けた話を聞いては怒鳴り散らかす。

 

 

 「あぁいや。今の話は拓海だけじゃなく前に高橋啓介本人が直接言ってたんだ…。だからそこまで怒鳴らなくても…」

 

 「大体啓介さんがお前らみたいな格下相手に負けるなんざどう考えたってありえねーからな!!自分らが大した腕を持ってないからってバレバレな嘘を言うんじゃねぇーっ!!」

 

 「んだとぉっ!!そっちこそいくら自分達が腕に自信があるからって調子に乗るなよクソッタレが!!」

 

 「落ち着け利樹。今はまだバトルの真っ只中だから結果を待てばいいってお前が言ってただろ?だから今は冷静になれって…」

 

 「お前もだケンタ。スピードスターズの話が本当かどうかはいずれわかることだからとりあえず落ち着け」

 

 

 ケンタの口から暴言が飛び出ては利樹が反論するも、池谷と史浩が仲裁してはその場で鎭まることに。果たして勝負の行方はどうなるやら。

 

 

 

 

 

 場所は再び秋名の峠へと戻り。

 ハチロクは秋名の下りを物凄いスピードを出してはFDを追いかけていき。インプレッサもハチロクに続いては目にも見えない速さで下っていく。

 

 

 「くあーっ!!すんげーっなんだあのハチロクッ!!」

 

 「凄いスピードでケツを流しながら突っ込んできて…。わけわかんない速さでそのまま抜けていくっ!!」

 

 「後ろを走ってたインプレッサもハチロクと同じくらいのスピードで抜けていったし。このバトル中々の観物だぜ!!」

 

 「見てる方がゾッとするぜいつすっとんでもおかしくねぇ!!秋名にあんなハチロクとインプレッサいたっけ⁉」

 

 「あいつら…何者だぁっ⁉」

 

 

 

 

 

 スタート地点である秋名の頂上にて高橋涼介はハチロクとインプレッサの走りを分析していた。

 

 

 「(スタートダッシュを見る限り精々よくて150馬力…。啓介が言うようなモンスターとは程遠いぜあのハチロクは…。インプレッサの方も横からのスタートダッシュとエンジン音からして馬力はおそらく280馬力ってところだな)」

 

 

 涼介はスタートダッシュとエンジン音だけでハチロクとインプレッサの馬力を推測しそこから更に2台の車の分析を続けていく。

 

 

 「(ハチロクのシフトのポイントが高いのはラリー用のクロスミッションを組んでいるからだ…。あれなら秋名のタイトなヘアピンに2速ギアがピッタリ合うだろうな…。インプレッサはノーマルのままだがあれはドライバーが瞬時にギアを変えたからこそあれだけの走りが可能になった…)」

 

 「(だからといって啓介のFDが負ける理由は見つからない…。そんなことがあるとすればあのハチロクとインプレッサのドライバーは俺の領域を遥かに超えたところにいるということか…。モンスターなのは車じゃなく…ドライバー…)」

 

 

 涼介は車ではなくドライバーに秘密があるのではないかと推測し、それが正解であることに後から知るのだった。

 

 

 

 

 

 秋名 第1中継地点 スケートリンク前

 

 「(追いつかれた…⁉何が起こってるんだ気が変になりそうだ…!!)」

 

 

 啓介は序盤こそ余裕綽々と進んで行ったのだが後ろを走っているハチロクに追いつかれてることに焦りを見せては動揺するのだった。

 

 

 「スゲーッどうなってんだァ⁉FDがコーナーで煽られるなんて⁉」

 

 「赤城最速と言われてる高橋兄弟がハチロクに苦戦してる。一体何なんだあのハチロク⁉」

 

 「それに後ろのインプレッサもキレのある走りをしては前を行く二台に食いついてるぞ!!」

 

 「あいつら誰だ知ってるか⁉あんな奴ら秋名にいたっけ⁉」

 

 

 ギャラリーはハチロクがFDを煽っているところを見ては驚き、インプレッサもハチロクを抜けられそうな走りをしながらも前を行く二台の走りを観察する為後ろに張り付く。

 

 

 「光。どうして拓海君が前を走ってる黄色い車に追いつけるのか理解できる…?」

 

 

 「簡単なことさ、拓海がコーナリングで高橋啓介に勝ってるからだ。高橋啓介もコーナワークが上手なのは確かだが踏み込みが甘いからか僅かながら差が縮まってるんだよ」

 

 「そっか…。だからあそこまで走っては追いつくことができるんだね…」

 

 「その代わりストレートではかなり差が拡がってしまうのは仕方ないけどな」

 

 

 FDは馬力がハチロクの倍もある為ストレートでは差を広げていくも次に入るコーナーではまた差を縮めてしまい、光はそれを見ては拓海の乗るハチロクが非力な性能差をカバーする走りを見ては拓海の腕が確かなものであることを思い知る。

 

 

 

 

 

 『もしもし…こちら第1中継地点スケートリンクのストレート。聞こえるか?』

 

 「こちらスタート地点…。どうした?」

 

 『えらいことだぜ‼今3台が通過したけど啓介がハチロクに煽られてるぞォ‼何がなんだか分かんねーけど異常だぜ‼秋名代表のハチロクめちゃっぱや』

 

 「‼」

 

 「う、嘘だろ…。啓介さんがハチロク相手に煽られてるだと…⁉」

 

 「どうやら拓海の腕は本物みてぇだな。馬力の劣るハチロクでFDを煽るなんざどう考えたって普通じゃねぇからな…」

 

 

 中継地点からの報告を聞きFDがハチロクに煽られてることに驚く両チーム。

 

 

 『インパクトあるぜ凄えショック!!啓介のFDがコーナーであそこまで追いまわされることなんて今まで一度もなかったからサァ…』

 

 『この長いストレートでまた突き放したけど…。この先タイトなヘアピン続くからちょっとヤバいかも…』

 

 

 そこで中継地点からの報告が終わるや史浩は涼介に顔を向ける。

 

 

 「聞いたか?涼介…」

 

 「誤算だったな…。秋名にこれほどの凄腕がいるとは…!!」

 

 

 涼介はハチロクの腕が自分の予想を遥かに上回っていること内心驚く。

 そしてバトルはいよいよ大詰めとなり、後半セクションにいくのである。

 

 

 

 

 

 バトルは後半に入るもハチロクは前を走るFDにストレートで差を広げられるもコーナーをドリフトで抜けていっては再び差を縮めていっては追って行く。

 

 

 「スゲー突っ込み!!」

 

 「あいつ…突っ込み重視のとんでもねぇ神風走法だァ。下りの恐怖ってもんを感じる感覚欠けてんじゃねーのかあのドライバー」

 

 「この難しい秋名の下りを…。あんなに速く走る奴ら見たことねーぜ」

 

 「ちょーウルトラ格好いいぜ!!痺れたぁ!!」

 

 「やっぱハチロクはドリフトが似合うぜ!!」

 

 

 ギャラリーはハチロクの超絶テクニックに魅了されては興奮し出す。そんなギャラリーの歓声を掻き消すかの如くインプレッサもハチロクに続いてはその場でドリフトをしてはその場を走り去る。

 

 

 「お、おい見たかよ今のインプレッサ…。ハチロクに負けじとドリフトでコーナーを抜けていったぞ…!!」

 

 「まるでWRCを見てるような感じがしたぜ…!!」

 

 「何者なんだあのインプレッサは…!!」

 

 

 インプレッサはハチロクの後ろにつくや前を走っているFDをどう攻略していくのか後方を走り続ける。

 

 「もうそろそろ終盤だし何か仕掛けなければハチロクはFDに勝てないかな」

 

 「え、仕掛けるって?」

 

 「ここから先は魔の5連続ヘアピンだからそこをどう攻略するかで勝負は決まるってことなんだよ」

 

 「ヘアピン?髪留めをどう使うわけなのよ?」

 

 「あのなぁ…ヘアピンってのはU字状に曲がりくねったカーブつまり道路を指してるんだよ」

 

 「そういうことね。確かにそこを抜けたらもうすぐゴール地点だしストレートではあの黄色い車には敵わないからそこで勝負を仕掛けるしかないんだね」

 

 「と言ってもあそこはスピードを落とさな即座に事故る可能性が高いからどう攻めていくかが問題だが」

 

 

 光は次の5連続ヘアピンで勝負が決まると予測しており、前を走ってる拓海も同じ事を考えていた。

 

 

 「(前よりスキが無くなってる…。随分上手くなったなこのドライバー…。抜かねーとやっぱ勝ったとは認めてくれねぇだろうしなあのクソ親父…。しょーがねーあれ(・・)やるか。仕掛ける先はこの先の5連続ヘアピンカーブ!!)」

 

 

 拓海は何か秘策があるからか光が言うように5連続ヘアピンで勝負を仕掛けようとしていた。

 

 

 

 

 

 「こちら頂上。第2中継地点聞こえるか?もうすぐ三台がそこを通る。実況中継してくれるか、なるたけ状況を克明にな…」

 

 

 スタート地点である頂上からは涼介が携帯を通じて連絡をしており中継地点にて待機してるメンバーに実況するよう指示を出す。

 

 

 『OKすぐそこまで来てるぞ。もうスキール音が聞こえてるんだ。もうすぐ5連ヘアピンに突っ込んでくるぜ!!』

 

 

 中継地点にいるメンバーがその場で実況を行う。

 FDとハチロクは熾烈なドッグファイトを繰り広げておりその後ろには光が駆るインプレッサが後を追い続ける。

 

 「(直線では俺の方が速いんだ!!それなのに食い付かれてるってことはコーナーワークで負けてるってことかよ⁉そんな事は死んでも認めたくないぜ!!パワーの劣る車にコーナーで追い込まれるなんて走り屋にとって最大の屈辱だぜ!!)」

 

 「どうしたんだ今日に限ってFDがやけに鈍く感じる!!セカンダリータービン止まってんじゃねーのか!!」

 

 

 啓介は漸くハチロクに追いつかれる理由を知っては更にアクセルを踏んでは加速させようとするも走り具合が悪く感じたのか愚痴をこぼすしかなかった。

 

 

 

 

 

 秋名山 頂上スタート地点

 

 『こちら第2中継地点来たぞ!!なんだぁ思ったほど差がついてねーぞ!!』

 

 『おわ〜っ!!』

 

 「どうしたんだ?黙るなよ」

 

 『悪い…ちょっとびっくりしたんだ…』

 

 

 中継地点にいるメンバーは一旦落ち着いては再び状況を開始する。

 

 

 『凄いぜあのハチロク何者だァ⁉下りのブレーキングドリフト完璧だよ啓介が突っ込みで負けてる!!立ち上がりもうめーっ!!うわっ、ガードレールギリギリすげーな!!インプレッサもそれに近づいては中々な走りをしてるぞ!!』

 

 

 

 

 

 場所は再び第二中継地点に変わる。

 

 「2個目のヘアピンに入るぞ!!もう差が全然ねぇ!!おおっ!!何でかなー立ち上がりは互角(タメ)だぜ!!」

 

 「全力で3台が立ち上がってくる!!次のヘアピンに備えてFDとインプレッサが寄ってく…。ハチロクは…」

 

 

 ハチロクは前に出てはFDを抜かしていきそのまま全速で3個目のヘアピンへ向かって行く。

 

 

 「(ヘアピンなのに減速(ブレーキング)しねぇ…⁉何考えてやがる⁉)」

 

 「ちょっ⁉拓海君はこのまま突き進むつもりなの⁉」

 

 「……」

 

 

 啓介と同じ様に真菜はハチロクがヘアピンを抜けて行こうとするのに驚くのに対し光は口を黙らせては拓海がそこをどう抜けていくのか確かめようとする。

 

 

 「ハチロクがとんでもねぇオーバースピードで突っ込んでく!!ブレーキいかれたかぁっ⁉」

 

 

 オーバースピードと思えるほどの速さでコーナーに侵入する拓海。誰もが自殺行為にしか見えないと映らないその瞬間…。

 

 

 ガリッ

 

 

 一瞬、鈍い音がしてはハチロクはヘアピンを曲がってはFDを抜き去っていく。

 

 

 「(なんだーあ⁉今のは!!)」

 

 「な、何が一体どうなって…⁉」

 

 「拓海の奴、やってくれたな…」

 

 「え?今何が起きたのか光には分かったの?」

 

 「その詳細は後で伝えるよ。今言えるとするならばこの勝負…拓海の勝ちで決まりだな」

 

 

 啓介と真菜は何が起きたのか理解できていなかったが、後ろからハチロクの走りを見ていた光は目の前で繰り広げられた光景を目の当たりにしては拓海がどうやってヘアピンを抜けていったか即座に理解したのだった。

 

 

 

 

 

 『ああ〜っ』

 

 「叫んでないで状況を言えっ。イライラするよ事故ったのか⁉」

 

 『ぬ…抜かれた…』

 

 「なに…?」

 

 『抜かれちまったぁ…。啓介がぁ…。呆気なくインからスパーンと…』

 

 「「「……」」」

 

 

 中継地点から啓介が拓海に抜かれたと報告が上がるやその場にいた全員が静まっては驚く他なかった。

 

 

 「そんなバカな…。いくら何でも…抜くのは無理だろこんな狭い峠道で…。ちゃんと説明しろよ…」

 

 『無理だよ…。分かんねーんだ…。見てる俺達にも…何がどうなってんのか…』

 

 「拓海の野郎。あの5連続ヘアピンで一体何しやがったんだ…?」

 

 

 

 

 

 「(俺にはわかった…。あのハチロクが何をしたのか…。バカバカしい事だがあんな事は誰にも絶対真似できねぇ…。しかもこの秋名でしかあり得ないことだ…)」

 

 

 その場でハチロクの走りを見ていたギャラリーも何が起こったか分かっておらず困惑している中ナイトキッズのリーダーの中里はその場でハチロクがどうやってヘアピンを抜けていったのか見破っていた。

 

 

 「(とんでもねぇバカが世の中にはいる…。楽しみがまた一つ増えたぜ。秋名の下りのスペシャリスト。あいつを仕留めるのは俺だ)」

 

 「帰っちゃうんですか毅さん。まだ上りのアタック終わってないけど」

 

 「興味ねぇな…上りは。あんな凄いもん見せられた後じゃあな…。上りはレッドサンズが勝つだろうがそれでも一勝1敗の引き分けだとは思わねぇな…。車のパワーで勝てる上りだけ速くてもそんなもん俺は認めねぇ。(やま)の走り屋は下りが速くなきゃ本物じゃねーよ。今日の交流戦はレッドサンズの負けだ」

 

 

 中里はレッドサンズが負けたと言い切っては後ろに停めてあるR32に乗り、エンジンを掛けては車を動かしその場を立ち去るのであった。

 

 

 

 

 

 『もしもし。こちらゴール地点聞こえるか涼介えらいことだァ!!』

 

 

 ゴール地点にて待機してたメンバーはその場で結果を報告する。

 

 

 『啓介が負けたぞォッ。先にゴールインしたのはスピードスターズのハチロクだ!!しかも7秒も差をつけられてたぞ…7秒だぞ!!』

 

 「(7秒…⁉文句なしにぶっちぎりだな…)」

 

 

 涼介は7秒もの差をつけて弟の啓介を打ち負かした結果を聞いてはハチロクの走りを認めるのだった。

 

 

 「ハチロクのドライバーはどうした?そこにいるのか?」

 

 『いや…。ゴールしたそのままの勢いで止まりもしねーで帰っちゃったよ…。カーンとかいい音させて…』

 

 「!!」

 

 「勝っちゃいましたよォ〜!!池谷先輩〜!!あのボケた拓海がぁーっ!!」

 

 「っしゃあ見たかよレッドサンズ!!相手を甘く見たのが仇になったな!!」

 

 

 スピードスターズのメンバーと利樹は拓海が勝ったことを聞いてはその場で大いにはしゃいでは喜びに浸っていた。

 

 

 「凄すぎるぜー血の気が引いたァ…鳥肌立ったぁ…。頭が変になりそーだァ」

 

 「やったなぁー池谷泣いてんじゃねーよォバーカ」

 

 「なんか知んねーけど嬉しくて嬉しくて…」

 

 「あいつに色々教えて貰おうな今度から…。ドリフトのコントロールとかライン取りとかさ…」

 

 「あいつのハチロクに勝手にスピードスターズのステッカー貼っちまえっ!!」

 

 「あっその役俺やりますよー池谷先輩!!」

 

 「かぁ〜。まじで堪んないっすよ。あのレッドサンズの高橋啓介がハチロクに負けるなんて正直ざまあみろとしか言いようがないっすよぉ!!」

 

 

 スピードスターズのメンバーと利樹が喜んでいる一方レッドサンズはというと

 

 

 「負けは負けだ…。潔く認めよう。秋名を舐めていたな…あれほどの腕の持ち主がこんなマイナーな(やま)にいたとはな…」

 

 「くっ…。だったら今度はそいつを俺達の地元に呼んでリベンジすればいいじゃないすか!!そこでレッドサンズとの実力差を見せつけてやりましょうよ…!!」

 

 「落ち着けケンタ。負けて悔しいのはわかるが今はこの結果を受け入れるしかないだろ」

 

 

 ケンタは自分達の地元である赤城でリベンジを仕掛けるよう言い出すも史浩はそれを宥めては敗北を受け入れるように苦言する。

 

 

 「これだけギャラリーが出てる中で負けたのは痛かったぜ…。明日になれば群馬中の走り屋仲間にこの噂は一斉に広がるぞ。負け知らずだったレッドサンズが秋名のハチロクにやられたってな…」

 

 「自分達を売り出す為に集めたギャラリーが裏目に出たな…。まぁいいこの落とし前は近いうちにつける…。俺のFCでな!!」

 

 

 涼介は次こそは自らの手でハチロクを打ち負かそうと決意を改める一方もう一台の車を思い出しては言う。

 

 

 「アメリカで培ってきた彼が駆るあのインプレッサ…。今回はハチロクを見る為に走っていたみたいだがそいつがどれほどのもんだったか後で啓介から聞いて置かないとな」




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