頭文字S 未完結   作:ペンギン太郎

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 新年一発目の投稿です。
 バトルは前回同様前編後編と分けていきます。

 P.S 初期設定ではオリ主である光と利樹の名字を新井・奴田原と設定してましたが、二人にはやっぱりインプとランエボのイメージカラーの方である青と赤がしっくりくると思い誠に勝手ながら名字を変えさせてもらいました。


ACT.18 AE86 VS R32 前編

 「……」

 

 「(若いな…こいつ…。免許取ってまだ一年も立ってないぐらいの年じゃねーか…?こんな若いガキが何であれ程のテクニック身に付けてるんだ?訳わからんねーぜ、てっきり俺よりずっと年上の奴が出てくると思ってたのにな…)」

 

 

 中里はバトルする相手のドライバーが自分よりも若いことに驚くも気持ちを切り替えては自己紹介をする。

 

 

 「ナイトキッズの中里だ…。そっちの名前は?」

 

 「藤原拓海」

 

 「覚えとくぞその名前。早速始めるとすっか…」

 

 

 

 

 

 「なぁ文太。中津から聞いた話じゃハチロクを弄ったのはいいが、操縦性が変わったら攻め込んだ時混乱しないかなー拓海の奴…。そういうのは予め言っておいたほうが良かったんじゃないのか?」

 

 

 バトルが始まるであろうスタート地点から離れた所で祐一は弄ったハチロクの詳細を知るために文太から電話越しに聞いている。

 

 

 『言っても性がねぇんだよなーそういうの。頭で考えて乗り方を変えて行ける程器用な奴じゃねぇからな』

 

 「何ィ〜?それじゃ尚更」

 

 『いいんだよ心配すんなって。頭は器用じゃねぇけど体に染み込んだ感覚は確かだ。シートに密着した腰から伝わってくる情報に頭で考えて動くようじゃ遅いんだよ』

 

 

 文太は電話越しにタバコを蒸しては問題無いと祐一に言っては更に続けて言う。

 

 

 『無意識に手と足が動いてドリフトのコントロールはするもんだろ。心配しなくたって大丈夫だ…。滑らせながら車を加速させるセンスは抜群だからな。ちょっとぐらい足回り弄ったってあいつには関係ない。あっさりとツボを掴んで完璧に乗りこなすさ!!ハチロクはドライバーを育てる車だからな…』

 

 

 

 

 

 「それじゃあカウント始めるぞ」

 

 

 池谷が2台の車の間に立ってはカウントを開始し、両者はエンジンを蒸してはいつでも走れる状態で待つ。

 

 

 「ねぇ光、お願いがあるんだけどいいかしら」

 

 「なんだ?」

 

 「前に拓海君が高橋啓介って人とバトルした際後ろから追い掛けたでしょ?それでお願いなんだけど…」

 

 「今から走るハチロクとR32をインプで後追いしろってか?悪いけどそれは無理な話だ」

 

 「え、どうして?」

 

 「さっき涼介さんから『啓介にハチロクの走りを見せつけたいから今回はその役目を俺にやらせてくれないか』って頼まれてな。この勝負はどっちが勝つかはわかりきってることだから向こうに譲ったんだよ」

 

 「ま、仕方ねぇよな。バトルを観る為とはいえ二台の車の後を更に複数の車が走るなんざ危険過ぎるし」

 

 「そういうわけだから今日はここでバトルの結果を待つことだ」

 

 「えぇーじゃあ今日は拓海君の走りを見れないのぉー。むぅ〜少しくらい拓海君が活躍するとこ見せてくれてもいいのに…」

 

 「真菜。もう子供じゃないんだから我儘を言うんじゃないの」

 

 

 中津が娘の真菜を嗜めるやカウントは既に5秒を過ぎており今からバトルが行われようとしていた。

 

 

 「3…2…1…GO!!」

 

 

 カウントが切られると同時に二台の車が走り出し、その後を高橋涼介のFCが後追いを開始した。

 

 

 『FC-3Sだっ、高橋涼介が飛び出していく!!2台の後ろを追走する気だ!!』

 

 『なんてこったあ…三つ巴のスーパーバトルになっちまうのかァ⁉いきなり群馬最速決定戦になっちまうのかよーっ』

 

 

 ギャラリーも三台の車が走り出す様を見ては盛り上がりを見せる。

 

 

 

 

 

 「(GT-Rのドライバー…ちゃんと踏んでない…なァ…。俺を待ってんのか…⁉)」

 

 

 先頭は中里のR32が走っており拓海はそれを追っていくが中里がアクセルを全力で踏み込んでないことに気付いては自分を待たせてると察した。

 何故中里はアクセルを思いっきり踏み込んでないのかというと

 

 

 「(ストレージでちぎったら勿体ねぇだろうが…。俺はバトルしたいんだよ!!本当のスタートはコーナーに入ってからだぜ!!)」

 

 

 「中里の奴…アクセル緩めてハチロクを待ってやがるぜ…」

 

 「その余裕が命取りにならなきゃいいがな」

 

 

 中里はハチロクとR32では既に大きな性能差があるのを知っている為ストレートで追い抜いては自分が求めるバトルにならないため敢えて手を抜いており。後から追っている高橋兄弟も中里が本気で走っていない事に気付いていた。

 

 

 

 

 

 『三台繋がって突っ込んでくるぞォ!!』

 

 『第一コーナー!!』

 

 

 第一コーナーに入るやR32は颯爽と抜けていき、ハチロクはいきなりドアンダーを出してはコーナーを曲がっていくやR32に続いて行った。

 

 

 「おおっ!!何だありゃあ…ふざけやがってあんなオーバーアクションなカニ走りでこの俺について来れるわけがねぇぜ!!」

 

 

 中里はハチロクがドアンダーを出しては追ってくる様を見ては驚くも特に気にすることもなく前を突き進んて行き。

 拓海はハチロクのセッティングが変わっていることに違和感を感じつつもいつものように走らせ途中ヒール&トゥを使っては秋名の難しいコーナーをゼロカウンタードリフトで抜ける。

 

 

 「こうして近くで見ているとまるで芸術だなあのドリフトは。ほとんどカウンターを当てない全開(フルスロットル)の四輪ドリフト…。あれがどんなに凄いことか分かるか啓介。奴はハチロクという車を限界領域でまるで自分の手足のようにコントロールできるんだ。俺でもあそこまではFCをコントロールできてない…。感動的だぜ」

 

 「それでもジリジリと離される。このバトル…勝てないのか…⁉」

 

 

 

 

 

 「(これだぜ…この感じ!!全身の血が沸騰したようなこのハイテンション!!これこそバトルだ!!)」

 

 「トコトン突っ走るぜ!!どこまでついて来れる⁉」

 

 

 中里はハチロクとのバトルに物凄く興奮しては熱くなっており、今日まで忘れかけていた走り屋としての本能を思い出しつつ走り込んでいき。ハチロクは負けじとR32の後を追っていく。

 

 

 「ジリジリと離されていくぜ」

 

 「デカい口叩くだけあって上手いぜ中里は。上手く荷重を掛けてアンダーを殺しながら走ってる…。R32のパワーを生かした走りだな。面白味はないけど無駄がない分隙がない」

 

 「呑気な事言ってる場合じゃねーだろ兄貴。負けちゃ元も子もないぜー」

 

 「勝負はこれからだ。前半は比較的ストレートも長めで勾配も緩やかでハチロクには不利な条件が多いからな。この辺りから勾配もキツくなる。ダウンヒルスペシャリストの本領はこれからさ!!」

 

 

 勝負は中盤へと入っていき、R32は秋名のキツい低速ヘアピンをブレーキで車速を落としては曲がっては難なく抜けていく。

 

 

 「下りで前輪(フロント)には嫌でも荷重が残るからな。最大の泣き所のプッシングアンダーは出にくいぜ!!低いギアからの加速は他のどんな車よりも得意なんだよ。この瞬間がたまんねーぜ!!」

 

 「剛性たっぷりのボディはビクともしねぇ!!サーキットで最強のマシンは公道でも最強だぜ!!リアサイドに付いているRのバッジは不敗神話のRだ!!俺のRについてこれるか⁉」

 

 

 

 

 

 秋名山 スタート地点

 

 「今頃拓海君達はどの辺を走ってるか分かる?」

 

 「そうだな。あれぐらいのスピードで行ってるとするならば多分中盤辺りってとこだろうな」

 

 「何せ相手はナイトキッズの中里に高橋兄弟だ。群馬では結構名の知れた奴らと拓海はバトルしてるからな」

 

 「俺の親友ながら凄すぎるよー。カッコ良すぎるぜー」

 

 「こいつ、さっきまであんなに泣きじゃくってたにも関わらずもう開き直ってやがるよ」

 

 「ここまでくると余程頭が悪いとしか言いようがねぇな…」

 

 「少しくらい自分の行いを反省したらいいのに…」

 

 

 一人だけ感動しているイツキの立ち直りの早さに光達ははあっとため息をついては呆れるしかなかった。

 

 

 「あれ、健二先輩何気落とてんのですか?」

 

 「それがな。こいつちょっとショック受けてんだよ。さっき拓海のハチロクと二台で秋名山上って来る時あっさりとちぎられちまったからさ…」

 

 「へ?確か健二さんはハチロクより馬力がある180に乗ってましたよね。それがハチロクに追いつきすらできなかったのですか?」

 

 

 ハチロクが1.6LのNAに対し健二が乗る180SXは2Lのターボ付きだ。性能で云えば180が有利だが、にも関わらず健二は上りで拓海に追いつけなかったことに落ち込んでいた。

 

 

 「下りで歯が立たないのはわかってけどさー。テンロクのノンターボに上りであんなに差をつけられちゃうとなー」

 

 「それは仕方ないんじゃないですか。いくら車の性能が良くても拓海にはコーナーを曲がっていく技術では敵わないんですしね」

 

 「拓海はコーナーが速いんだ。俺達とは走り込みの量が桁違いなんだからな。落ち込むなよ健二」

 

 「別に落ち込んでなんかいないけど、俺考えてみたんだけどさー」

 

 「何を考えてたんすか?」

 

 「今まで拓海の事秋名の下りを走る時だけ異常に速い特殊な走り屋だと思ってたけど…。秋名以外の峠に行ったらどんな走りすんのかなー。気にならないか?」

 

 「それは俺も…凄い興味ある」

 

 「お前はどう思うんだ光?」

 

 「そうだな。拓海はここを長年走り続けてるからこそあんな常人離れした走りができるからな。その感覚が他所でも通じるかどうかと言われれば俺にも答えられそうにないってとこか」

 

 

 

 

 光達が拓海の走りについて話してる一方その拓海はというと

 

 

 「(違う……。なんか違う……車の感じ。踏んでも車が乱れない……。今までよりもワンテンポ早く踏める…?)」

 

 

 拓海はこの時ハチロクのセッティングが変わっていることに気付く。

 

 

 「(今朝の配達の時はこんな感じじゃなかった…。俺が昼間バイト行ってる間に親父が車弄ったのかな…。そっか…店閉めて出掛けてたのはこの為だったのか…)」

 

 「よくわかんねーけどこれはこれでイイ感じだぜ!!流れすぎないから思い切って踏んで行ける!!」

 

 

 仕様が変わったハチロクの癖を瞬時に把握し、それを物にしたのか拓海は難なく乗りこなしては連続のコーナーを流しっぱなしのドリフトで抜けてはR32を追いかけそれを真近で見ていたギャラリーはあまりにも凄さに驚愕するしかなかった。

 

 

 「(すげぇ…目がついて行かねぇ。ハチロクがフッフッと消えて見える。いよいよ本気出してキレ始めやがったなーあの野郎。イン側の溝にタイヤを引っ掛け始めた…)」

 

 

 拓海の走りを後から見ていた啓介はハチロクがタイヤに溝を嵌めてコーナーを曲がっていく際まるで瞬間移動をしてるかのように感じたのである。

 

 

 「(これかァ俺はこの技に負けたんだ…。改めてこうして拝めるとは思わなかったぜ!!)」

 

 

 啓介の横にいる涼介もハチロクの走りが凄いからか話す余裕が無くなるほど真剣になってはハチロクを追っていく。

 

 

 「(兄貴が喋らなくなった。喋ってる余裕がなくなったって事か…。さっきよりもペースが上がってる。こんなに忙しく修正舵を切る兄貴のドライブを見るのは初めてだ。今まで何度も兄貴の横には乗ったけど本気の走りを見たことはなかった…。兄貴が本気になった…ァ⁉)」

 

 

 啓介は涼介が今まで見せてこなかった本気の走りを目にする一方、ハチロクは前を行くR32に追いついては迫っていく。

 途中キンコンと警告音が鳴っていたがそれを全く気にも止めずだ。

 

 

 「(ハチロクが追いついてきたァ⁉なんてこったァ…⁉)」

 

 

 バックミラーからハチロクが自分に追いついて来てると知った中里は焦りを見せていく。

 

 

 「(上等だぜそこまでやられちゃ…。ハチロクが10年以上も前の車だという意識はこれで完全にフッ飛んだぜ!!インプレッサのあいつが言ってたように一級品の戦闘力を持ったいいマシンじゃねーかよ。遠慮はしねーぞゾクゾクするぐらい嬉しいぜ!!こんなおいしいバトルはこの車に乗り換えてから初めてだぜ!!)」

 

 

 中里はギアを上げては勢いを増していき、踏んでる手応えを感じてはそこから更にスピードを出しては突き進む。

 拓海もそれに負けじとギアを上げてはR32に負けじと追っていく。

 

 

 「(ヘアピンみたいな低速コーナーの立ち上がりは32について行けてない…。ハチロクが突っ込みで食い付いても立ち上がりでまた差が開く…。中里もすげー根性してるぜあのヘビーな32で臆することもなく猛然とダウンヒルを攻め込んでるからな…)」

 

 

 そして高速コーナーに入るや、R32が豪快に走るのに対しハチロクはガードレール擦れ擦れの4輪ドリフトをしてはR32との差を詰めていく。

 

 

 「(なんてこった…⁉高速コーナーでハチロクが差を詰めてる…⁉140キロ超えるスピードで4輪ドリフトしながらガードレールを掠めるなんて…こればっかりは車の性能がどうのこうのって問題じゃねぇ)」

 

 

 

 

 秋名山 スタート地点

 

 「そういえば前から気になってたんだけど、どうしたら拓海君はハチロクという非力な車を猛スピードで走らせることができるのかしら」

 

 「どうしたらってそりゃ…」

 

 「頭のネジがぶっ飛んでるんだよ拓海は。それもリミッターというものが欠けてる程にな」

 

 「それってどういうこと?」

 

 「モータースポーツの世界では『F1ドライバーは頭のネジが飛んでいる』って有名な言葉があってね。常人なら躊躇うであろう危険な場面でも減速することもなくスピードを出しては走ってるという意味なんだが、拓海君は秋名の峠をまるでレーシングドライバーみたいにアクセルを踏み続けては猛スピードで走ってるんだよ」

 

 「えぇっ⁉じゃあ拓海君はこの狭い公道をブレーキを踏まずに猛スピードで走り続けてるってこと⁉」

 

 「真菜。お前はこの前に乗せてもらった際途中で気絶したから覚えてないだろうけど、あの時拓海はどんな危険な場面であろうとブレーキを一切踏まずに走っていたからな。ハチロクは一度スピードを落としたら立て直しをするのが難しいからそうならないようにするために無駄に減速せずドリフトで流しては状態を保ち続けてるってわけだ」

 

 「い、池谷先輩…。その話が本当だとしたら…拓海は今、俺達が考えてるよりも遥かに次元を越えた走りをしてるんすよね…」

 

 「あぁ。俺も拓海のハチロクに相乗りした時意識がブッ飛んじまったが、もし今の話が本当だとするならば…」

 

 「拓海の速さの秘密はドラテク以前の話じゃ済まねぇってことになるな…」

 

 

 光と中津の説明を聞いたスピードスターズのメンバーは自分達が目標にしている拓海の凄さを知ってはゾォっとするしかなかった。

 

 

 「おそらく拓海の走りを後ろから見ている高橋兄弟も気が付いてるでしょうね。それでも尚拓海の真似をする奴なんざ滅多にいないと思うが…」

 

 「お前さり気なく言ってるが拓海以外の奴でそんなバカなことを為出かすのはお前か高橋涼介ぐらいしかいねえぞ…」

 

 

 

 

 

 「(振り切れねぇ!!それどころか食い付かれたままの時間がどんどん長くなる!!)」

 

 「クソッタレー手強い!!生きていて良かったぜ!!」

 

 

 中里は余程バトルに歯ごたえを感じたのか走り屋を続けて来たことに喜びを感じていた。

 次のコーナーを曲がっていく際R32はガードレールとの距離を少し空けてるのに対しハチロクはそれを擦れ擦れで曲がっていってはR32との距離を保つ。

 

 

 「(『インをデッドに攻める』と走り屋はよく口にするけどこんなのは初めてだぜ。中里でガードレールとの間隔が20センチから30センチぐらいか…どんなに上手い走り屋でも普通そんなもんだ。なのにあのハチロク、バンパーをガードレールに擦りつける様にして文字通り最短距離を抜けて行く…!!桁違いだぜなんであんな正確なドリフトのコントロールができんだよォ⁉何者なんだあいつぅ⁉)」

 

 

 啓介がハチロクの常軌を逸するコーナリングを目にしては驚きを見せる。そしてR32はというとフロントタイヤに負荷が掛かり過ぎたからか、ブレーキングが怪しくなってきたのだった。

 

 

 「(くっ、フロントタイヤの応答性が怪しくなってきた。アンダー気味だぜ。ABSを利かせながらこじつける様なステアリング操作を続けてきたからな…。フロントタイヤに掛かる負担が考えていたより遥かにデカい…!!)」

 

 「(厳しくなってきやがったぜ…。だけど絶対ハチロクに負けるわけにゃあいかねぇっ!!)」

 

 

 中里はR32が限界に近付いてるにも関わらず闘争心を剥き出しにしては走り続けバトルはいよいよ後半戦に入る。




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