頭文字S 未完結   作:ペンギン太郎

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 今回はハチゴーが主役です。


ACT.21 ハチゴー

 秋名山 夜

 

 「ぎゃあああ!!死ぬーっぶつかるーっ!!」

 

 

 拓海が運転するイツキのハチゴーにて持ち主であるイツキは横のナビシートに座っては拓海の運転を体験しては絶叫するのだった。

 

 

 「(信じらんねーっ。これが本当に俺のハチゴー(・・・・)かよォ)」

 

 

 「ちいっ、結構やるぜ後ろの車。コーナーが上手い」

 

 「直線はあんまり速くねーけど食いついてくる!!」

 

 「まさか…。暗くてよく分かんねーけど…、レビンじゃねーかあれ。さっき頂上で見たハチゴーレビン…?」

 

 「バカ言ってんなよそんなわけねーだろ。第一ハチゴーが俺の走りについて来れるわけが…」

 

 

 ギャアアア

 

 

 拓海が相手をしている走り屋がバックミラーを見るやそこにはレビンが写っており。自分達を追いかけてくるのがレビンだと知るや慌てては驚く。

 

 

 「げえホントだァ!!さっきのレビンだァ…⁉あのガキ共蒸しやがったなー。ハチゴーがこんな速く走れるわけねーぜ本当はハチロクなんだろう⁉」

 

 

 走り屋はハチロクではないじゃないかと疑うも実際に相手にしてるのは正真正銘ハチゴーであり、ここまでついてこれるのも乗っているのがあの拓海だからである。

 

 

 「す、凄い…。イツキ君のハチゴーってあんなに速く走れる車だったの…?」

 

 「違うな。ハチゴーがあのカス共について来れるのは拓海がハチゴーの非力さをテクニックでカバーしてるに過ぎないんだ」

 

 

 拓海が駆るハチゴーを後から丸目のGDAのナビシート越しに見ていた真菜はハチゴーの速さに驚くも光はハチゴーが拓海の手によってあんなに速く走れるものだと見抜いてた。

 

 

 「(だとしてもハチロクよりパワーが劣るハチゴーをあそこまで乗りこなすなんて凄すぎるぜ拓海は…)」

 

 

 そもそも何故ハチゴーが秋名の峠を走っているのかというと話はこの日の午前に遡る。

 

 

 

 

 

 群馬県 渋川市 ガソリンスタンド

 

 「いらっしゃいませ」

 

 

 拓海がいつものようにバイトしてるや一台の車がスタンドに入ってくるや運転席の窓を開ける。

 

 

 「やぁ拓海君。久しぶりだね」

 

 「えっと、どちら様ですか?」

 

 「(ズコッ)僕だよ僕、中津だよ。ほら前に高橋啓介がここに寄った際、君達の近くで祐一と話してたじゃないか」

 

 「あ〜いましたよね。確か…」

 

 

 この日拓海がバイトをしている渋川市のガソリンスタンドには中津が遊びに来ていた。

 何故彼がここに来たのかというと先日の土曜日に拓海はナイトキッズのリーダーである中里毅の乗るR32に勝っており、その感想を聞く為に拓海のバイト先へ赴いたのだ。

 

 

 「いや〜本当に凄いよね君は。交流戦でのレッドサンズのNo.2である高橋啓介に勝つだけに空きたらず、先日はナイトキッズの中里毅に勝つんだからね。今じゃ県内ではとても期待されているよ君は」

 

 「そ、そうですか…?俺はただ親父や先輩達に頼まれてはバトルしただけなんですけど…」

 

 「拓海。そんな謙遜しなくていいじゃねぇか。中津さんは赤城の走り屋では有名なんだからそんなすげぇ人から褒められるなんざ名誉なことなんだぞ」

 

 

 拓海の横にバイト先の先輩である池谷が来ては中津からの称賛を快く引き受けるように言う。

 当の拓海はそんな嬉しそうな顔はしておらず、寧ろ面倒くさそうな顔をしては中津から話を聞いていた。

 

 

 「しかしまぁ、これで拓海に挑む奴がいなくってきたんじゃないか池谷。何しろ拓海は群馬では名の知れた走り屋を相手に連勝してるんだしな」

 

 

 健二もヘラヘラした顔をしては言うが、池谷は真剣な顔をしては言う。

 

 

 「俺はそうは思わないぞ健二…。まだレッドサンズの高橋涼介が残っているぞ。あの男が黙って見てるわけないからな。一番怖いのはあの男だよ」

 

 「それもそうだな。高橋涼介以外にも腕のいい走り屋は群馬にはゴロゴロいるわけだし。油断はできねぇぜ」

 

 「俺達も腕を磨かないとな…。拓海が有名になってギャラリーも随分増えてるからなー。地元の俺達があんまみっともない走りをしちゃいられないよ」

 

 「そうだよなぁー。俺もガンガン走り込んで腕を上げないとなー」

 

 「ほほぉ、いい感じになってきてるじゃないか。この調子ならいずれ新しい走り屋が出てきそうな気がするね」

 

 「え、そうですか中津さん?」

 

 「うん。君達はまだまだ未熟ではあるけども、いずれは秋名を代表するチームになると僕は期待しているよ」

 

 「ありがとうございます中津さん!!」

 

 「せんぱーい!!池谷せんぱーい!!」

 

 「ん?この声はイツキだな。あいつ今度は一体何をやらかして…」

 

 

 池谷達が話しているとどこからか声が響き渡り。そこを見てみるや拓海と同じスタンドでバイトしているイツキがあるものを持ってきては周りを驚かせるのだった。

 

 

 「「ああぁー!!」」

 

 「へへっ。今日が納車だったんですよー」

 

 「ほほぉ、仲々いい物を見つけてきたじゃないか」

 

 

 なんとイツキは買ったばかりのカローラレビンを持ってきては池谷達を驚かせ、中津もイツキのレビンを見ては関心を示す。

 

 

 「スゲーッ!!綺麗なレビンじゃんか」

 

 「いくらしたんだこれ?結構高かったんじゃねーかぁーイツキー」

 

 「それが結構良心的な店で程度の割には凄く安く買えたんですよ」

 

 「マジで結構いいんじゃねーかぁ。掘り出しもんかもしんねーぞォ!!」

 

 「ん?ハチロクのレビンを安く売るなんてその販売店、少し気になるね…」

 

 

 スピードスターズのメンバーが興奮している中で中津はイツキの話を聞いては疑問を浮かべる。

 

 

 「びっくりしたーホントに買っちゃったのかイツキ?」

 

 「トーゼンだろー拓海。これ以上お前に差をつけさせるわけにはいかねぇからなァ!!ハチロクはやっぱレビンだぜ。今日から下り最速のハチロクコンビを俺は目指すぜ」

 

 「はぁーっ」

 

 「やっぱり違和感があるねぇ。どうしてそんな上物が安く買えたのだろうか…」

 

 

 中津は自身も自動車販売店を経営してるからかイツキがハチロクを安く購入できたことに益々疑問を浮かべては考える。

 

 

 「俺、嬉しくて嬉しくて昨日の夜も寝れなかったんだよ実はー」

 

 「わかるわかるその気持ち…。俺もS13納車される前の夜は寝れなかったよ」

 

 「そうですよねーなんたってマイカーだもんなマイカー。こうしていても夢みたいだよ俺…」

 

 「(待てよ。もしイツキ君の車がアレ(・・)だとするならば安く買えたのも頷けるが…。まさかね)」

 

 

 中津はある結論に至ったのかイツキに声をかける。

 

 

 「イツキ君。自慢してるとこ申し訳ないが、その車エンジンをかけてみてもらっていいかな?」

 

 「いいですよ。えへへ」

 

 イツキはレビンの運転席に座ってはエンジンをかけ始める。

 

 

 ヒュルルル ブエン びょえ びょえ

 

 

 しかし、レビンから出る排気音はあまりにもダサかった。

 

 

 「なんか冴えねぇ音だな」

 

 「マフラーノーマルだとこんなもんなのかな…」

 

 「手始めにマフラーだけは変えねーとな。拓海ン家のトレノみたいにいい音だして走りたいよーはやくぅ〜」

 

 「そういうことか」

 

 「え?」

 

 

 イツキが独特なポーズをとっては興奮しているが、中津はエンジン音を聞いては疑問が確信に変わってはイツキに言う。

 

 

 「イツキ君。そのレビンなんだが…、おそらく君が求めてたハチロクではないかもしれないよ」

 

 「へ?」

 

 「中津。お前もそう思ってたか…」

 

 「あぁっ。これはおそらくアレ(・・)だよ祐一」

 

 「あ、あの中津さん、店長。一体何を話して…」

 

 「ちょっとボンネットを空けてみろイツキ」

 

 「へっ、どうやるんですか?」

 

 「イグニッションの下にレバーがないかね。そこを引っ張れば上に空くよ」

 

 

 イツキは言われるがままボンネットを空け、中津と祐一は中のエンジンを確認するやそうっと閉める。

 

 

 「やっぱりね。イツキ君が安く買えたのも頷けるよ」

 

 「お前間違えてるぞイツキ。このレビン、ハチロクじゃない…ハチゴーだ!!」

 

 「は、ハチゴーって…まさか…」

 

 「AE85?」

 

 

 店長の口からハチゴーという言葉を聞くや、池谷と健二はAE85 ではないのかと驚く。

 

 

 「何すか?ハチゴーって?」

 

 「ハチゴーとはAE85と言ってね。発売当時は革新的な1600CC4バルブヘッドDOHCの4AGを搭載したAE86に対し1500CCSOHCの3AUを載せたオッチャン車があったんだ」

 

 「はぁ…」

 

 「しかし人気絶頂のハチロクの影に隠れては不遇な扱いを受けていてね。『回らない』『フケ悪い』『パワー無い』と三拍子揃ったSOHCエンジンはあまりにも遅く、今時の軽自動車にも劣るとも優れないスーパーカメグルマとあまりにも評判が良くなかったんだよ」

 

 

 イツキは中津の説明を聞いてはとんでもないパチモンを掴まされたと知ってはその場で崩れていく。

 

 

 「知らなかったァ…そう言えば…レビンということだけにこだわって…ハチロクとは言ってなかったんだ…オレ…」

 

 「イツキ君。どうやら君は車に関しては無知であることを利用されてはとんだ代物を買わされてしまったみたいだね。ご愁傷さま」

 

 

 シ〜ン

 

 

 「く…く…」

 

 「ぶぶっ」

 

 「「ぶわーはっはっはっ」」

 

 

 その場で静寂が掴まれるも、池谷と健二はイツキの車がハチゴーだと知るやその場で笑い始める。

 

 

 「すまんイツキ…」

 

 「笑っちゃ悪いと思ってんだけどこらえきれなくて…」

 

 「よりによってハチゴーなんか…見つけてくんなよなォ…」

 

 「そうだよなぁ…今時ハチゴーなんか探そうと思ったってなかなかないぞォ…希少価値だぞォ…」

 

 「……」

 

 

 ダッ

 

 

 「イツキー待てよ!!」

 

 

 ギラッ ダッ

 

 

 イツキは池谷達に笑われたのが余程ショックだったのか涙目になってはその場を走り去り、拓海は池谷達を睨んでは飛び出して行ったイツキを追いかける。

 

 「拓海が睨んでたぞ…」

 

 「まじい…」

 

 「お前ら笑い過ぎだ。イツキの身にもなってみろ」

 

 「彼だって悪気があってハチゴーを選んだわけじゃないんだからそこに気を使ってやるのが君達先輩の役目なんだがね」

 

 「「すいませーん」」

 

 「とりあえず僕は拓海君達の後を追いかけるからイツキ君が戻ってきたらちゃんと謝るんだぞ。いいね」

 

 「「は、はい…」」

 

 

 中津は凄みを利かせる目つきで池谷達を叱っては拓海が向かった方向に行き、拓海に続くかのようにイツキを追っていくことに。

 

 

 

 

 

 「イツキ!!おい待てってば!!」

 

 「ほっといてくれ…俺に構うなよ拓海」

 

 「…そんなこと言ったって…」

 

 「皆をびっくりさせようと思って一人で車探したのが間違いだったなぁ…どうりでハチロクにしては安いと思ったよー。そうとも知らずに一人で舞い上がって死ぬほど恥ずかしかったよ…」

 

 

 イツキはどうやら自分がハチゴーを買わされたことにかなりショックを受けていた。

 

 

 「お前だって…俺のこと心の中では笑ってんだろ」

 

 「違うよ!!俺本当は羨ましいんだよお前のこと…」

 

 「いい加減なこと言うなよ。俺のどこが羨ましいってんだよ?間違えて変な車買っちまったって言うのによー。お前の方がずっと羨ましいよ。家に帰れば本物のハチロクあるじゃねーかよ」

 

 「あれは俺の車じゃねぇもん。好きな時に乗れるわけじゃないしさ。でもお前のは自分だけの車じゃないかよ。その方がずっといいよ別にいいじゃねーかよ…。エンジンがその…何だっけその…DO…?」

 

 「DOHCだよ拓海君」

 

 「中津さん…」

 

 

 拓海がエンジンの名称を言おうにも覚えていなかったからか後から駆けつけてきた中津が答える。

 

 

 「そうそうそれだ…。別にDOHCのエンジンじゃなくたっていいじゃんか。パワーなくたって下りならスピード出るし。いっぱい走り込んでテクニック付けてからもっといい車買えばいいじゃないかよ」

 

 「彼の言う通りだよイツキ君。君はまだ免許を取って間もないからいきなりハチロクに乗るのは危ないし、ハチゴーでドラテクを身につけてからでも遅くはないと僕は思うよ」

 

 「……」

 

 「中古とはいえ高校生の内から自分の車持ってるなんて凄いじゃん。俺本当に羨ましいと思ってるんだ…やっぱ自分の車欲しいから…」

 

 「お前…本当に自分の車欲しいと思ってるのか?拓海。あんないい車家にあるのにか?」

 

 「それは違うよイツキ君。拓海君のハチロクは父親の文太の車だから拓海君のじゃないんだ」

 

 「俺思ったんだけどさ。ちょっとぐらい運転上手く立ってやっぱ自分の車もない奴は走り屋とは言えないよな…。池谷先輩も健二先輩もそれに光も…。皆自分の車持ってて凄い大事にしてるじゃんまるで自分の分身みたいにさ…。ああいうの見てるとやっぱ自分の車欲しくなるよ…。だから俺もイツキみたいに車買う為の貯金始めるんだ」

 

 「(ほほぉ中々良いこと言うじゃないか。まぁ光君は親名義で乗っているから拓海君となんら変わらないけどね)」

 

 「お前…。なんかこの頃変わったな拓海…。前は凄く冷めてたのになー」

 

 

 イツキは拓海の変化に違和感を感じつつ調子を取り戻す。

 

 

 「車って…。やっぱそういうもんだよなァ。俺なんかあのハチゴーが好きになれそうな気がしてきたなァ。どうせ俺まだ下手っぴなんだしさ…。早速今夜秋名山走ってみようかな…。拓海付き合えよ」

 

 「いいよ。ちょっと怖えーけど…」

 

 「それなら光君も誘ってみてはどうかな。彼は人に教えるのも上手だからイツキ君には良い刺激になるかもしれないしね」

 

 「そうですね。後で光にも連絡してみます」

 

 

 イツキは拓海の他に光を誘うことにし、光は真菜が買ったばかりのGDAで一緒に来ることになっては今晩秋名を走ることとなり現在に至るのだった。

 

 

 

 

 

 「(おーし、ここだっ!!)」

 

 

 拓海はストレートに入ってはアクセルを踏み込む。が、

 

 

 「(何これー?下りなのにちっとも加速していかねー。おまけに…)」

 

 

 拓海はハチゴーが思いの外加速しない事に不満を出すやあまりにもの出来の悪さに拍子抜けする。

 

 

 「ねぇ…ハチゴーの走りが遅くなってるような気がするのだけどあれって…」

 

 「どうやらハチゴーのタイヤが上手く路面に食いついてないみたいだな。只でさえLSDすら付けてないんだし、見たところ滑り出しては止まらないって感じだなあれは」

 

 

 光の見立て通りハチゴーは車体を滑らせながら走っており、途中ガードレール擦れ擦れに横切っては前を行く二台を追い掛けまわす。

 

 

 「振り切れない。後ろのガキものすげー上手いっ!!」

 

 「「めちゃくちゃ速い(・・)!!」」

 

 

 「(死ぬほど遅い…)」

 

 

 走り屋がハチゴーの速さに驚くもそれを運転してる拓海はというとあまりにもの遅さに愚痴を零していた。

 

 

 「うわぁ…あれじゃあ前を走る車を追い抜くなんて難しいかも」

 

 「そうでもないぞ。ストレートでは向こうに分があるかもしれないが相手の車はS13にMR2だ。拓海が今まで相手してきたハイパワーターボの車と比べても性能も相手の腕も段違いだからおそらく次のコーナーで決めるだろうな」

 

 

 「やるか…あれ(・・)

 

 

 拓海はハチゴーの遅さに気を落とすも気持ちを切り替えてはお得意の技を使って前を行く走り屋を抜きにかかる。

 

 

 「うわああーっ!!」

 

 

 ハチゴーがインベタに付いては拓海の十八番とも溝落としをしては前を行く走り屋のS13を一瞬で抜き去る。

 

 

 「どわっ!!」

 

 

 「お先に失礼」

 

 

 そのままMR2も抜いては前を行き、拓海はMR2のドライバーに茶化すように合図を送っては前に進んでいき二台の車との距離を拡げていった。

 

 

 「なんだァアアア今のは⁉何で抜かれたのかさっぱりわかんねぇ!!」

 

 

 MR2のドライバーは自分が何故抜かれたのか理解しておらず困惑する。

 

 

 「どうやらもう勝負は決まったみたいだな。んじゃ俺達も行くとするか」

 

 「へ?行くって何を…?」

 

 「真菜。ちょっと本気出すからしっかり捕まってろ」

 

 「? う、うん…」

 

 

 真菜は光の指示に従ってはドアハンドルとグリップを握っては何時でも行けるような体制を取る。

 

 

 「じゃあ早速…あのカス共に目に物見せるとするか!!」

 

 「うぇっ⁉ちょ…は、速い‼速すぎるって‼」

 

 

 光は運転しているGDAのギアを上げるやアクセルを全開で踏み込んでは前を走る二台を抜きにかかる。

 

 

 「(嘘でしょ⁉アタシの丸目ちゃんをこんなに飛ばすなんて一体何考えてるのよ⁉)」

 

 

 「お、おい…後ろから猛スピードで一台来るぞ。あれってもしや…」

 

 「げっ⁉さっきハチゴーと一緒にいた丸目のインプレッサ⁉まさかあいつら、ここで俺達を抜き去るんじゃ…」

 

 「な、舐めるな!!さっきはハチゴーに抜かれはしたが女が乗る車なんかに俺が抜かれる筈が…」

 

 

 走り屋は真菜の乗る丸目のGDAに自分達は抜かれる心配はないと言うも、

 

 

 「バーカ。こちとらノーマルのGDAとはいえお前らの車じゃ相手にすらならないんだよ」

 

 

 「ギャアアア!!あっさり抜かれたあああ!!」

 

 

 そんな浅い考えが通じるわけもなく。GDAはハチゴー同様インベタに付いては二台の車を難なく抜き去り。先を走っているハチゴーの後に付いたのだった。

 

 

 「ははははっ、ざまぁみやがれ!!俺を怒らせたらどうなるか思い知ったか!!」

 

 「ひ、光。キャラが変わってるんだけど…」

 

 

 光の激変に真菜は顔を引きつるも自分の車が走り屋の車を抜き去ったことに感動を得た。

 

 

 「う、嘘だろ。俺がハチゴーだけじゃなく女の乗る車にすら抜かれるなんてことが…」

 

 

 走り屋はハチゴーと真菜のインプレッサに抜かれたのが余程ショックだったのかやる気を無くしては前を行く二台の車を見送るしかなかった。

 

 

 

 

 

 「コーヒーいいか?」

 

 「サンキュー」

 

 「真菜はカフェオレで良かったよな」

 

 「うん。アタシは苦いのあんま好きじゃないからそれにして」

 

 「そうだったな、はいカフェオレ」

 

 「ありがとう」

 

 

 光達は秋名の峠を走り終えては自販機の前にて休憩をしており。先程までの出来事を振り返ることに。

 

 

 「で、さっきの感想はどうだった真菜…?」

 

 「とてもスッキリしたわ。アタシの丸目ちゃんが速く走れる車だったなんて今でも信じられないくらいよ」

 

 「そうだな。こっちの車がGDAとはいえあの程度の相手じゃ勝負にすらならなかったからな」

 

 「でも本当、さっきのあれは信じられなかったわ。人の車を蹴った上に侮辱するなんて」

 

 「あぁ。あれには俺も流石に頭にきたよ」

 

 

 二人がいうあれとは秋名の頂上に着いた際先程相手をしたガラの悪い走り屋が光達に絡んできては罵倒するだけに空きたらずイツキの車を蹴飛ばす。しかもそれがハチゴーだと知るや謝るどころかそれをゲラゲラと笑っては侮辱し、それだけに空きたらずその場に居合わせた光と真菜に近づいては乗ってきた車が真菜のだと知るやダサいだの女が走り屋なんか名乗るなだの酷い罵声を浴びせたのだ。

 

 

 「まぁあの後拓海の運転があったとはいえバカにしたハチゴーと真菜のGDAに抜かれたんじゃあいつらからすればかなりの屈辱だろうな」

 

 「言えてる。でもさっきのあれは本当に凄かったわ。イツキ君のハチゴーが拓海君の手であんなに速く走れるなんてね」

 

 

 イツキをバカにした走り屋が去った後、拓海はその場で落ち込んでいたイツキにハチゴーの凄さを見せつけようと自らハチゴーに乗っては先程の走り屋を追い掛け、途中ハチゴーの遅さに愚痴を零すも見事に走り屋達を抜いてはハチゴーの凄さを見せつけたのだ。因みに光は真菜の運転では拓海に追いつけないと判断しては自分がGDAを運転したのだった。

 

 

 「それに拓海君があの人達を抜いた後、光も丸目ちゃんに乗っては拓海君に負けないくらい凄い走りをしたじゃない」

 

 「そうか?俺からしたらそんな大した事をしたつもりじゃ…」

 

 「あれのどこが大した事ないのよ。アタシの丸目ちゃんをまるで自分の手足のように扱っては猛スピードで走れるなんてどう考えたって可怪しいじゃないのよ」

 

 「それは言えてる。俺も後ろから見てたけど光の走りは拓海と同じ様に走っててさ。まるで神風特攻みたいだったぜ」

 

 「いや、あれはそのなんだ…。あいつらが『女如きが走り屋を名乗るんじゃねぇ』なんて心無い発言したのが腹立って…」

 

 「でも光がアタシの丸目に乗ってはあの人達を懲らしめてくれたのは本当スカッとしたわ。ありがとう光」

 

 「お、おう…」

 

 

 光はこの前同様照れ臭そうな顔をする。

 

 

 「それはそうと俺池谷先輩が言ってた意味がやっと分かったよォ。拓海のダウンヒルは異常だって…」

 

 「そうかよ…。そうでもねーと思うけど」

 

 「バーカお前自分で気付いてねーだけだ。車があんな風に走るなんて俺は考えたことも想像したこともなかったヨォ…」

 

 「確かに、俺から見ても拓海の走りは普通じゃないからな。ハチゴーであそこまで行ったら最早化け物としか言いようがねぇよ」

 

 「アタシも」

 

 拓海を除く三人は拓海の走りは普通じゃないと言うのだった。

 

 

 「俺人生観変わったァ…。物凄い衝撃だった異次元空間体験だよー」

 

 「そんな怖かったか…。悪かったな…」

 

 「謝ることないよー拓海。俺嬉しくて嬉しくてしょうがないんだからサ…」

 

 「アタシも今まで味わったことのない経験をできたんだからここに来て良かったと言えるわ」

 

 「車の性能じゃないんだって良く分かった…。腕さえ良けりゃハチゴーでもあんなに凄い走りができるって分かったからな…」

 

 「光の乗ってる車とは違うヤツだって聞いた時は最初ショックだったけどこれを気にますます丸目ちゃんが好きになってきたわ」

 

 「俺もこの車凄い好きになったよ。大事に乗るよ一生懸命練習するんだ。誰かに笑われたってちっとも気になんねーや。やっぱ最高だよ俺のレビン…」

 

 「そうだな…。お前(・・)のレビンだもんな」

 

 「ま、好きになるのはいいがちゃんと大切に扱っておけよな真菜」

 

 「うん。この車…大事な宝物だから大切にするわ」

 

 

 イツキと真菜は二人してとてつもない体験をすることができ、互いの車を大切にするとその場で誓うのだった。




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