尚募集は活動報告にて募集してますのでドシドシ投稿して下さい。
秋名山 夜
この日もまた秋名の頂上にてスピードスターズのメンバーと光達が集まっており、池谷は自分のS13をスタート地点に持ってくる。
「というわけで頼めるか光」
「いいですよ。俺はアメリカでもFR車には乗ってましたから何も問題ありません」
「おう。じゃあ早速だが頼むぜ」
光が池谷のS13に乗っては秋名の下りを走り始め、池谷はナビシートから光の技を盗んでみようと試みる。
「いいなぁ光。アタシも池谷さんの車に乗ってみたかったのにー」
「しゃあねえだろ。今回は池谷先輩があいつのドラテクを見る為に走らせるんだからよ」
「それで池谷さん、まず最初に何からしたらいいですか?」
「ブレーキングドリフト頼むわ。タイミングを覚えたいんだ」
「ブレーキングドリフトですね。了解しました」
光は池谷からのリクエスト通りブレーキングドリフトを始めようとシフト操作しアクセルを思いっきし踏み込んではスピードを上げる。
「(オイオイいきなり行く気か一個目で…)」
光はアクセルを踏みつつ手早くステアリングを回してはコーナーに入る。
「(速すぎねえかいくら何でもこのスピード。ウワーッヤバーッ)」
ギャオオオ
「ぎゃああああ!!」
光が一個目のコーナーをコーナリングするや池谷は拓海のハチロクに乗った時と同様悲鳴を上げるのだった。
プシャアアア
「(凄ええ…。さっきFRに乗り慣れてると言ってたにも関わらず初めて乗った車でいきなりのドリフト…。俺のS13って本当はこんなに速かったのかァ…)」
「俺が乗ってる車とは駆動方式は違いますけど…、FRですし乗り方は大体分かりましたよ…」
「えっ。だってまだ走り始めてコーナー3つしか…」
「次ドリフト行きますけどいいですよね?」
「え?(じゃあ今のは何だったんだ?)」
プシャアアア
「うわー!!何キロ出してんだーっ!!」
「大体100キロ前後ってとこですね…」
「こんな狭い峠でんなスピード出すんじゃねぇぇ!!」
池谷が絶叫してるにも関わらず光はアクセルを踏み込んではコーナーをガードレール寸前でドリフトしては曲って行った。
「ぜぇ…死ぬかと思ったァ…」
「そんな驚くほどでしたか?さっきのドリフトは俺にとっては軽く流しただけですよ…」
「い、今ので軽く流しただと⁉あれよりも上があるっていうのか⁉」
「なんなら次のコーナーを本気で攻めますけど、やってみせましょうか?」
「へ?本気で攻めるって…」
「じゃあ行きますよ」
「あ、あぁぁぁ…(凄い!!凄すぎて何がどうなってんのか分かんねー)」
光は更にスピード上げては次のコーナーを攻めるや池谷はそのドラテクの凄さに涙目になりかける。
「うわぁぁぁ!!」
秋名の峠にて池谷の叫びは木霊となるのだった。
「帰って来たぞー池谷と光…。池谷の奴また気を失ってんじゃないだろーなー」
「光の運転は拓海ほど常軌を逸していませんし頭の中でリミッターをかけてますから多分大丈夫だと思いますよ」
健二と利樹が戻ってきたS13を出迎えるや池谷が無事かどうか確認する。
「ひーっ」
「お…今度はちゃんと起きてた…」
「一応成長はしてるみたいっすね」
池谷は流石に耐性がついていたのか失神せず乗り切ることができた。
「どうだった池谷。ブレーキングドリフトのヒントを何か掴んだか?」
「全然。まるでわかんねー」
「何だそりゃ?何のために態々光に頼み込んだんだよー」
「そう言うけどなー健二…。光のやり方は拓海程ブッ飛んではいないけどシフト操作があまりにも素早くて…全然参考にならないということがよくわかった…大収穫だ」
ズコッ
池谷が珍解答をしては健二はその場でつっこける。
「まぁ池谷先輩が理解できないのも無理ありませんよ。何せ光がやってみせたのは『中谷シフト』みたいなもんですからね」
「中谷シフトって?」
「レーシングドライバーの中谷明彦が編み出したスーパーテクニックなんだが、通常ギアを変える際はアクセルを緩めてはクラッチを切ってシフト操作するのを中谷選手は極力アクセルを踏み続けてはクラッチを切ってシフトチェンジしてたんだよ。そうすることでシフト操作にかける時間を短縮できるしタイムも出やすくなるからな。その代わりギアを痛めつけるからあまりするのは良くないがな」
「要するに光はシフト操作がとてつもなく速いってことなんだね」
「ま、そんなとこだ」
ガアアアア
「ん?下の方から聞こえるぞ。一体何が…!!」
スタート地点の方から車のエンジン音が響いてくるので見てみるとなんと昨日池谷にわざとぶつけてきては挑発した赤い車がこっちに向かって来ていたのだ。
「EG6!!昨日の奴だ!!間違いあのヤローッ」
「利樹、あれがそうなの?」
「あぁ。EG6シビック、池谷さんが敵わなかった奴だ」
「…そうか」
EG6は仲間を引き連れてはスピードスターズと光達の向かい側に車を止め降りてくるやスピードスターズがいる方を見つめていた。
「おいお前、昨日後ろから俺の車に当てやがっただろ⁉」
「誰?お前」
「忘れたとは言わせねーぞ。そこに置いてあるツートンのS13だ!!」
「ああ…あれか」
「あれか…じゃねーんだよ。謝れよてめぇ、ひとつ間違えれば俺は今頃大怪我だ」
「謝れだとォ…。冗談だろあれはお前が悪いんじゃねーのかァ?」
EG6のドライバーは自分には非がないと言っては更に続けて言う。
「前を走る奴が下手すぎて予想ができなかったんだよォ。まさかあんな遅い突っ込みするとは思わなかったもんでなァ…。ブレーキが間に合わなくてついコツンとなー」
「んだとォォ」
「何よあの人。あんな嫌らしい言い方して…」
「あれじゃあ池谷先輩にとっちゃ屈辱的だろうな。走り屋としてのプライドがズタズタにされては悔しいだろうぜ…」
「(…ナイトキッズのステッカー。ひょっとしてこいつがそうなのか?)」
光はEG6のフロントに貼ってあるナイトキッズのステッカーを見てはEG6のドライバーが中里の言っていた庄司慎吾じゃないかと推測する。
「どうしても謝れって言うなら…。お前らが俺達のルールで
「(ハチロクを名指しで呼んだところから察するにこいつがそうみたいだな…)」
「……」
光は相手が拓海を指名してきたことにこの男がそうであると確信し、拓海の方はEG6のドライバーからの挑発に不機嫌そうな顔をする。
「スピードスターズには下り自慢のハチロクがいるそーじゃねーかよ。出せよそいつをよー」
「負けたら…。本当に地べたに手をついて…謝るんだろーな」
「待て拓海、奴の挑発に乗るな。相手はナイトキッズのNo2なんだぞ」
余程頭に来たのか拓海は前に出てはEG6にバトルを仕掛けようとするも光は拓海を制止しては挑発を受けないよう抑える。
「何だお前、俺のことを知ってるのか?」
「ここに来る前に中里さんから連絡があったんだよ。庄司慎吾っていうナイトキッズのダウンヒラーが拓海を相手にバトルを仕掛けてくるってな」
「ほぅ…。毅がお前みたいなガキに言ってくるとは意外だな…」
「中里さんはこうも言ってたよ、あんたの腕は確かだが勝つ為なら危険なバトルを仕掛けてくるゲス野郎だってな…」
「ケッ、毅の野郎は本当にあまっちょい奴なんだよ。そんなんだからハチロクのガキなんかに負けちまうんだからな」
「こいつ…!!自分達のリーダーをバカにしやがった!!」
「ちょっとぉ!!そんな言い方はあんまりじゃないのよ!!」
「知るか、今となっちゃあいつはもうナイトキッズのリーダーじゃねえからな。今度は俺がナイトキッズの新しいリーダーになるんだから別にいいだろ」
利樹達も慎吾が言ったことに怒りを露わにしては文句を言うも平然と反論しては拓海に言う。
「ガキだからって容赦しねぇぞ。ダウンヒルの恐ろしさを思い知らせてやるぜ」
「……」
「待てよお前、さっきお前ルールがどうのこうのって言ってたな…。どういうことか説明しろよ」
池谷が慎吾にどんなルールを用意してきたのか質問するや慎吾は言う。
「大した事じゃねーさ…。ただ車を走らせるだけじゃつまんねーからな。ちょっとした小道具を使ってバトルを楽しくする為のルールだ…。右手とステアリングホイールをガムテープで縛るんだ。簡単なルールだろ、その状態でバトるだけさ…。俺らはガムテープデスマッチって呼んでるけどな!!」
「どういうことだ、右手とステアリングホイールをガムテープで縛るって…?」
「ギアを入れる左手はフリーなんだろ…?」
「お前本気で言ってるのか⁉そんなふざけたルール明らかに危険過ぎるだろーが!!」
光はガムテープデスマッチの恐ろしさを理解したのか慎吾に向かって怒鳴り散らすも慎吾の方はニヤッと笑っては聞き流すだけだった。
「光、一体どういうことなんだよ?危険過ぎるって一体何が…」
「右手をガムテープで縛るってことはだ、ステアリングの持ち替えができなくなる。つまりステアリングが切れなくなるってことなんだよ!!」
「何だと⁉あの野郎…FFに乗ってるからって自分だけが有利になるようなことを…!!」
「止めろ拓海!!冗談じゃねぇぞーヤバすぎる!!」
池谷もガムテープデスマッチの恐ろしさを理解するや拓海にバトルをしないよう強く言うも拓海はハチロクに乗ってはやる気でいた。
「どういうことかわかってるのか⁉光が言うようにステアリングが殆ど切れなくなるんだぞォ!!」
「だけど条件は同じじゃないですか」
「向こうは相当この条件で練習してるに決まってるんだ!!こんなの無茶苦茶だぜ、ハンドルを回せないバトルなんて」
「相手はお前の乗ってるFRと違ってFFだぞ。このルールはFRだけが不利になる仕組みになってるから向こうにとってはお前は格好の良い的になるだけだ。このバトルは受けるな拓海!!」
「俺は止めないよ光…。なんか知んねーけど死んでもあいつにだけは負けたくないから!!」
拓海はガムテープデスマッチを受ける気満々で光と池谷の制止を振り切ってはバトルすることになるのだった。
「ねぇ光。ガムテープデスマッチって一体どういうバトルなの?全く想像がつかないんだけど…」
拓海と慎吾が自分の車の運転席に座ってはガムテープデスマッチをするために右手を縛られては準備を進めており、それを見ていた真菜は光に近づいては質問を投げかける。
「口で言うより実際に見せて教えたほうがわかりやすいかな。池谷さん、真菜にガムテープデスマッチを説明しますので車をお借りしてもいいですか?」
「ああ、構わんぞ」
池谷から了承を得ては真菜をS13の前に連れていき、光がS13の運転席に座ってはガムテープデスマッチを説明する。
「いいか真菜。ガムテープデスマッチって言うのはステアリングつまりハンドルを握る方の手をガムテープで固定しては走行するバトルのことを言うんだ」
「なるほどね。それがどう危険なのかしら?」
「今からやってみせるからしっかり見ておけよ。ハンドルを握る方の手を固定するってことはステアリングを曲げられる範囲が限られてくるんだ。この車で試すと…ぐっ、ここまでが限界だな」
光が右手を離さずステアリングを握っては曲げられる範囲まで力一杯曲げ。限界に達しては右手を離す。
「それで?どう危険なわけなの?」
「前のタイヤを見てみろ…その恐ろしさがすぐにわかるぞ」
「?……えっ⁉」
光に言われた真菜はS13の前輪駆動を見てはタイヤが切れてないことに驚く。
「タイヤが全然切れてないわ!!これじゃあ車が曲がらず走れないじゃない!!」
「ステアリングはきっかけ作りにしか使えないからな。とにかく後ろのリアタイヤをスライドさせて曲がるしかないんだ。ありとあらゆるコーナーを全部な」
「でも、拓海君ならドリフトで何とかなるんじゃ…」
「真菜、こいつはそう簡単なことじゃないんだ。カウンターが当てられないからドリフトのコントロールが難しく少しでもオーバーステアになれば即座にスピンしてしまうんだ」
「それにナイトキッズの庄司慎吾って奴が乗るEG6はFFだからこれはあからさまに向こうが有利に働くようになっているぜ」
「ねぇFFが有利って言ってるけどそれって拓海君の車とどう違うの?」
「駆動方式の違いだよ。俺が乗ってるインプは4WDだから全てのタイヤが曲がるが2WDの車は前輪か後輪のどっちかしか曲がらないようになってるんだ。ハチロクはFRだからフロントエンジンリアドライブで前にエンジンがありタイヤを動かすのは後輪なのに対し、シビックはFFつまりフロントエンジンフロントドライブ。前にエンジン前で動かすからこの手のルールに関してはFFが有利に働くってわけだ」
「あぁ。FFのEG6ならオーバーステアをアクセルで止められるから思い切った突っ込みができるし、サイドを引いてアンダーステアも消せる」
「ハチロクみたいなFRは例えプロでもカウンターを当てなくてはオーバーステアは止められないんだ。だからといって入り口でアンダーを出せばそれで終わりになる」
「このルールで乗り切るには綱渡りの様な物凄く狭いコントロール領域を外さないよう走り続けないといけねぇんだ。こればっかしは俺や光といえどできるわけないからな」
「何がガムテープデスマッチよ!!こんなの一歩でも失敗したら最悪命を落とす危険性だってあるのに何考えてるのよあの人達は!!」
ようやく理解したのか真菜は怒りを露わにしてはナイトキッズを批判する。
「ナイトキッズはリーダーの中里さんが負けて以降統制が乱れたと本人から聞いていたがここまで手段を選ばない程落ちぶれていたとは…」
「元々ナイトキッズは自分勝手な奴が集まった柄の悪いチームだと県内では有名だからな。中里がいたからこそ纏ってたものの、ハチロクに負けて以降の中里はチーム内の発言権が無く。あいつもその隙を狙ってはチーム内での地位を上げるために拓海に仕掛けてきたんだろうぜ」
「そんな。いくら自分が上に立ちたいからってここまでやるなんて酷すぎよ!!」
だが、もう既にガムテープデスマッチの準備を終えた二台の車はエンジンを蒸してはいつでも走れる用意をしており。
ナイトキッズのメンバーが道路の真ん中に立ってはカウントを切り始める。
「カウント行くぞォッ!!5!!4!!3!!2!!1!!GO!!」
カウントが切られると同時に二台の車はスタートダッシュし、ハチロクとEG6のガムテープデスマッチを開始した。
「本当にスタートしちまいやがった…ァ」
「光、どうするのよ。拓海君行っちゃったよ…」
「とにかく、俺達もすぐに拓海達の後を追うぞ。相手はこんな危険なルールを持ち出すに空きたらず車をぶつけてくる奴だからな。おそらくバトルの最中にも拓海に仕掛けてくるに違いない」
「そうだな。あの野郎…。拓海に何かしたら絶対に許さねえからな!!」
「光…。俺達も後で追いかけるから先に行っては拓海を頼むぞ」
拓海達に続くかの如く光もインプレッサを走らせては先を行った二台の後を追いかけ始めるのだった。
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