頭文字S 未完結   作:ペンギン太郎

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 一週間振りの投稿でありますがこの次は原作通り拓海VS高橋涼介戦に行くか或いはアニメ同様碓氷峠でのエピソードにしようか迷っています。
 尚、皆様からのリクエストはまだまだ募集してますのでどんどん投稿して下さいね。


ACT.24 AE86 VS EG6

 秋名山 夜

 

 

 「(いい気になるなよ。B-16Aは世界最高のエンジンメーカーホンダが作り上げた最高傑作だぜ。本気を出せば型遅れの4A-Gにスタートダッシュで遅れをとるわけがない!!わざとアクセルを抜いて後ろについたのはじっくり見物するためさ。いくつ(・・・)コーナーをクリアできるか見せてみろよ…)」

 

 拓海が前に出ては先を行き、その後をナイトキッズの庄司慎吾のEG6が後を追って行く。慎吾は余裕あり気な表情をしては先頭を行くハチロクを見物し、右手を縛られた状態で走るハチロクを高みの見物をするのだった。

 

 

 「……」

 

 

 拓海は右手が縛られていながらもいつものようにコーナーに入ってはブレーキングドリフトをしようとブレーキを踏んではシフトを操作し曲がろうとする。が、

 

 

 「!!」

 

 

 その瞬間、拓海は凍り付く。普段よりもスピードをセーブしてはブレーキングドリフトで第一コーナーに突入したが、カウンターステアの舵角が不足している為ハチロクはあっけなくコントロール不能のエリアに飛び込もうとしていったのだ。

 

 

 「(行った…な。終わりだぜ)」

 

 「くっ」

 

 

 咄嗟にシートから腰をズラし右肘の関節を軋ませてそこから10センチほどステアリングを押し込む。

 その10センチが生死の分かれ目となりあやうくスピンしかけたハチロクは紙一重でコントロールを取り戻す。

 ホールドの良くないノーマルシートと3点式ベルトが皮肉にも拓海を助け出すのだった。

 

 

 「(ちっ、あの体制から立て直すとは運の良いガキだぜ)」

 

 

 慎吾は舌打ちしてはハチロクがスピンを免れたのに残念がるも拓海はあと少し操作が遅れればあやうく事故る羽目になるのだった。

 

 

 「(右手の筋が切れるかと思ったぜ。くそったれがーそういうことかよ。滑らせなきゃ曲がれないけど滑らせすぎてもダメってか…)」

 

 「オラオラ。さっきの元気はどこへ行った!!」

 

 

 拓海が内心ヒヤヒヤするも、慎吾は調子に乗ってはハチロクを後ろから煽ってはそこから更に揺さぶりを掛けていくのだった。

 

 

 

 

 

 「いたわ。拓海君が前を行ってるみたいね」

 

 「今のところ大丈夫そうだな。問題はEG6がいつ拓海に仕掛けてくるかだが…」

 

 

 拓海と慎吾がスタートしてすぐに車を走らせた光は二台に追いつくや後ろからハチロクとEG6のバトルを見届けては慎吾が何か仕掛けてくるのではないかと心配しては見張るのだった。

 

 

 「本当に大丈夫かしら。このバトル、拓海君にとっては圧倒的に不利なんだよね」

 

 「ガムテープで右手を縛られてはステアリングを曲げられる範囲が限られてくるからな。そんな状態で拓海がこのバトルに勝つ方法があるとするならば、コーナリングを最小舵角で乗り切る。つまりステアリングを極力切らずに曲がっていくことができるならこのバトルを制することができるんだが…」

 

 「それってハンドルをあまり回さずにカーブを曲がって行くってことよね。そんなに難しい技なの?」

 

 「基本的に車はステアリングを極力曲げずに走った方が抵抗が掛からず速く走れるんだ。それをやるにはシビアなステアリング操作が要される上とても難しく、俺でさえそれなりに走りこんではやっと物にできた技だからな。拓海なら持ち前のセンスでそれくらい難なくできるかもしれんが」

 

 「そうなんだ。でも拓海君がそれに気付いたらきっとこのバトルは…」

 

 「おそらく勝てるかもしれんな。あのカス野郎が乗るEG6にな」

 

 

 

 

 「なるほど、このルールのコツが分かったぞ!!」

 

 

 拓海は光が真菜に説明したやり方に気付いたか次のコーナーを最小舵角で曲がって行く。

 

 

 「(何故だ⁉信じられないぜ。ブレーキングドリフトから最小限のカウンターで鮮やかに下りのコーナーをクリアしていく!!)」

 

 

 拓海が先程とは打って変わって最小限にステアリングを切ってはコーナーを曲がって行く走りを見た慎吾は驚きを見せる。

 

 

 「どうやら最小限で曲がっては進むのが速いことに気付いたみたいだな。頭で理解して即座に切り替えるなんざ普通考えられないのによ」

 

 

 「(どんなにテクニックがある奴でもいきなりでこなせるほどガムテープデスマッチは甘くないんだ。このルールは安全に行こうと思えば思うほど罠の多い蟻地獄のようなルールだからな。俺だって実際にガムテープを巻いて曲がれるようになるまでには…。右手を持ち替えずに走る練習を山のようにやってるんだぜ。面白くねえなァ、ムカつくぜ!!)」

 

 

 慎吾はサイドブレーキを引いてはアンダーを消し、ハチロクの後ろに付きながら後を追う。

 

 

 「(ただ勝つだけじゃ俺は満足しねーんだよ。何が何でも秋名のハチロクを潰さなきゃなァ。事故らせるように後ろからガンガンプレッシャーを掛けてやるぜ!!)」

 

 

 「…不味いなあれは」

 

 「不味いって何が?」

 

 「EG6は池谷さんにやったように車を当ててくるに違いない。そうでなきゃハチロクと同じ排気量でも馬力で勝るEG6で抜けるにも関わらず後ろにくっついたりしないからな」

 

 

 「レッドゾーンまで一気に吹けるこの音…この陶酔感!!死ぬほど良いぜ堪んねえっ!!」

 

 

 EG6はハチロクの横に並び立つや拓海とタメを張る。

 

 

 「くっ!!」

 

 が、そのままブレーキを踏んでは再び後ろに着いてはハチロクに前を譲った。

 

 「(わかったかよ。抜く気になりゃーいつでも抜けるってことを見せたかっただけさ…)」

 

 「もっと焦った方がいいぜオラオラ!!ガンガン攻めてみろォ!!」

 

 

 慎吾は拓海を揺さぶろうとヘッドライトを点滅させてはハチロクを煽っていく。

 

 

 「あの野郎、自分が有利だとはいえ裏からチカチカとライトを点滅させてはプレッシャーを掛けやがる。走り屋の風上にも置けないぜ」

 

 「拓海君、お願いだから無事でいて…」

 

 

 光達はこのバトルを見ているだけしかできず、拓海の無事を祈っては見守るしかなかった。

 

 

 

 

 

 「(何でかな…。物凄くイイ感じでスピードが乗る…」

 

 

 拓海は手応えを感じつつハチロクを乗りこなしては前を行く。

 

 

 「(ハンドルを大きく切れないっていうハンデがある分スピードは落ちると思ってたけど…。慣れればこのルールは物凄く飛ばせる。そういうものなのかな…⁉ハンドルはなるべく切らないで曲がった方が速いのか…⁉)」

 

 

 拓海は最早最小舵角で曲がる術を物にしては完全に乗りこなしており、この勝負を制するのも時間の問題であった。

 

 

 「(何故だ⁉プレッシャーを掛けても乱れねえ。走り始めた当初はヨタヨタしていたのに…。短時間の内に別人のように走りに鋭さが増していく!!)」

 

 

 拓海がガムテープデスマッチのコツを掴んだと分かっては益々焦りを募らせる慎吾。

 途中対向車とすれ違うも、拓海は右コーナーの外側の車線だけでセンターラインをはみ出さない4輪ドリフトをしては慎吾との実力差を見せつける。

 

 

 「(あそこまでやられちゃもうまぐれじゃねぇ…。あのガキ恐ろしく上手い。とんでもねえ食わせもんだぜ!!)」

 

 「毅のR32が負けた理由がハッキリわかった…。だけど俺は毅ほど甘くねぇぜ!!勝ちゃあいいんだよ!!どんな手を使ってでもなァ!!」

 

 

 慎吾は卑怯な手を使ってでもハチロクに勝とうと躍起になり、次のコーナーへ入るやハチロクの後ろに付く。

 

 

 「そっちじゃねーよお前が行く方向は…。反対だろ」

 

 

 ゴン

 

 

 EG6は後ろからコーナリングする寸前のハチロクをプッシュしてはスピンさせてはそのままの勢いで抜かして行く。

 

 

 「あいつ後ろからぶつけやがった!!」

 

 「酷い!!負けそうになったからって今のはあんまりだわ!!」

 

 

 だが拓海はスピン状態から360度ターンしては何事もなかったかのように走り始める。

 

 「良かったぁ、拓海君スピンしたにも関わらず立て直したわ」

 

 「おそらく立て直すことができたのはまぐれだろうけどあのEG6、間違いなく死んだな」

 

 「え?」

 

 「後ろから車をプッシュされては事故寸前までやられたんだ。そんなことをされて拓海が黙っているわけないだろ」

 

 

 

 

 光の予想は見事に的中しており、拓海の心情は激変し右足をプルプルと震わせては4A-Gを限界まで回転させる。

 

 

 「わざとやりやがったなァ…ムカついた!!」

 

 

 物凄い怒りを露わにした拓海は前を行く慎吾に狙いを定めては言う。

 

 

 「てめーみたいなカスには絶対負けねーからなァ!!」

 

 

 拓海はスピードを限界まで上げていくや車体をガードレールに当たっても尚一切減速することなくEG6の後を追いかける。

 

 

 「あれって明らかにめちゃくちゃ怒ってるよね拓海君…」

 

 「だろうな。あそこまで走られたら俺でさえ追いかけるのがやっとだ」

 

 

 光達はハチロクの常軌を逸する走りを目の当たりにするや、拓海はキレていると知っては呆然とするしかなかった。

 

 

 「キャッ!!拓海君、溝どころか縁石を乗り上げては走ってる!!あんなの危なかしくて見てられないわ」

 

 「あいつ、キレてるにも関わらず抜群のセンスを発揮してはハチロクを走らせるなんざ俺達の常識を遥かに超えてるとしかいいようがないな」

 

 

 通常ドライバーはキレたらキレるほどミスを繰り返しては操作を誤っては走りは遅くなる。しかし拓海は長い経験と積み重ねたドライビングテクニックを酷使しては紙一重でハチロクをコントロールするのだった。

 

 

 「改めて思い知ったよ。拓海はキレればキレるほど己の限界を超える走りをするってことをな」

 

 

 拓海は車体をガードレールにぶつけてカウンターをとるやラインの反対に出てはドリフトでS字コーナースパッと抜けきる。

 

 

 「(あいつ、モロにガードレールにぶつけては反動を利用してS字コーナーを逆ドリフトしやがった。最早車がどうなろうが知ったこっちゃないみたいだな)」

 

 

 「(近づいてる…ハチロクがグングン差を詰めてくる。こんなバカな!!俺のEG6はナイトキッズ下り最速だったろ。これ以上は攻め込めないギリギリで走っているのに…。一体何が起こってるんだ。恐ろしいぜ…ダウンヒルアタックがこれほど怖いと感じたことは今までもなかった!!)」

 

 

 光が拓海の無茶苦茶な走りに俄然としているや慎吾もハチロクが常軌を逸する走りをしては激しく驚き差が縮まってることに焦りを募らせるばかりであった。

 

 

 「貼り付かれた!!こんなバカな…俺らが普通に考える速いとか遅いとかのレベルとは根本的に何かが違う。あのハチロク…何か変だ!!」

 

 

 そう言ってる間もなくハチロクはEG6の後ろに付いては距離を縮めていく。

 

 

 「(完全に追いつかれた…!!信じられないぜこのクラスではEG6は最強だ!!それがハチロクに追い詰められるなんて…!!)」

 

 

 慎吾は性能が上回ってる自分の車にハチロクが追いつかれてる現実が受け入れられず、ますますピンチに追い込まれる。

 

 

 「どんなに上手い走り屋でも攻め込めばコーナー入り口で一度や二度はアンダーを出すぜ。サイドも引かずに最小限の舵角で思いどおりに車を曲げることができるなんて…荷重移動の技術って奴は極めればここまで来るものなのか⁉」

 

 

 先程まで自分がハチロクを追い詰めたつもりが、今では逆に自身が追い詰められたことに慎吾は苛立ちを見せる。

 

 

 「(くそったれが!!あいつの右手のガムテープ解けちまってんじゃねーのか⁉)」

 

 

 「どうやらEG6の方は少しずつだが走りが乱れていってるぞ」

 

 「自分が拓海君を追い込んだつもりがまさかこんなことになるなんて最初から思わなかったみたいね」

 

 

 

 

 

 勝負は後半セクションへと入って行き。5連続ヘアピンへと入って行った。

 

 

 「(食いつかれたって抜かせなきゃいいんだ!!この連続ヘアピンをクリアすればもうゴールは近いぜ、バトルは俺の勝ちだ!!)」

 

 

 しかし、一個目のヘアピンに入ってはハチロクが後ろから攻め入ってはEG6の横に再び並び立つ。

 

 

 「(まさか…⁉さっきの仕返しにぶつけてくる気かァ⁉やばいぜあのガキ切れてる…⁉)」

 

 

 慎吾は今度は拓海が自分に仕掛けてくるのではないかとびびっては車を外側に寄せる。しかし、

 

 

 「バカが、拓海がお前みたいなカス野郎と同じことするわけないだろうが」

 

 

 拓海はEG6に当てるような真似はせず、イン側の溝にタイヤを落とし込んではヘアピンを抜けてはEG6の前を行くのだった。

 

 

 「(くっそおおおーっ!!てっきりぶつけられると思ってびびっちまったぜ!!それにしても今のコーナリングは何だ⁉どう見てもオーバースピードなのにインベタでスコーン(・・・・)と行きやがったァ⁉)」

 

 

 慎吾は拓海がやった溝落としが理解できなかったのか困惑するしかなかった。

 

 

 

 

 

 「この勝負は決まったも同然だな」

 

 「うん。この先はゴール地点だからここから先あの赤い車が逆転するなんて不可能だしね」

 

 「ま、後はあのEG6がバカな真似をしなければいいだけなんだが…」

 

 

 光達は後ろから見ていってはこのバトルは拓海の勝ちで決まりではないかと確信する。だが慎吾は

 

 

 「(こっちから仕掛けたガムテープデスマッチじゃねえか!このまま負けたら俺はチーム中の笑い者にされて再起不能だ。例え引き分けに持ち込んでも俺のメンツは保ってみせるぜ)」

 

 

 慎吾はこのバトルには勝てないと判断しては高速コーナーに入ってはエンジンを底まで上げていきハチロクの横に並び立とうとする。

 

 

 「ねぇ、あの赤い車何か動きが変だわ」

 

 「言われてみるとそうだ。もう巻き返す箇所はないっていうのに一体何をする…まさか!!」

 

 

 EG6が不審な走りをしているのに気付いては不安視するもその予感は当たっており。慎吾はハチロクとの共倒れを狙っていたのだ。

 

 

 「(このバトルの結末は…)」

 

 

 「マズい!!あいつ、車をぶつけては共倒れを狙っているぞ!!」

 

 「え⁉逃げて拓海君!!逃げてー!!」

 

 

 「ダブルクラッシュと行こうじゃねえか!!」

 

 

 EG6はその車体をハチロクにぶつけようとするも、ハチロクはそこからアクセル全開で抜けきっては空振りに終わる。その結果

 

 

 ギャアーーン

 

 

 EG6がガードレールにぶつけ回転し、再びガードレールに当たっては左側のフロントをやってしまうのであった。

 拓海はそれをものともせずそのままゴール地点へと突き進んで行き勝負の結果は言わずもがなであった。

 

 

 「くっ!!」

 

 

 光はインプレッサを上手くステアリング操作してはクラッシュしたEG6をギリギリで躱しては車を端に止め、降りてはボコボコになった車から出てきてはボロボロになったEG6を悲しそうな目で見ていた慎吾に近づく。

 

 

 「俺の…EG6…」

 

 「おい…」

 

 「……」

 

 光は慎吾の肩を思いっきし掴んでは慎吾に一声掛け、慎吾が振り向いたその瞬間。

 

 

 ドゴォ

 

 

 光は右手の拳を固めては強烈な一撃を慎吾に食らわし。それを受けた慎吾は地面にひれ伏す。

 

 

 「ちょっと光、何してるのよ⁉」

 

 

 真菜が光に強く非難するも光はそれを耳にせず、その場で倒れている慎吾の胸倉を掴んでは言う。

 

 

 「お前自分が何をしたのかわかってるのか…。負けるのが嫌だからという理由で車をぶつけようとするなんてことは走り屋だけじゃない。車を運転するドライバーとして失格のことをしたんだぞ!!」

 

 「……」

 

 「見てみろ自分の車を‼こうなったのも全部、お前が危険なバトルを仕掛けた故にEG6はこんな姿に成り果ててしまったんだぞ‼」

 

 

 光は慎吾に自らがしでかした事を知らせる為に説教をするも、自分の車をやってしまったことでショックを受けては光から強烈な一撃を食らった慎吾は口から血を出しては意気消沈に近い状態であり、心身共にボロボロになっていた。

 

 

 「光、もう止めてよ!!その人は右手を痛めてるみたいだからそのへんにして…」

 

 「うるさい!!こいつにはもう一発かまさないといけないんだからお前は黙ってろ!!」

 

 「光…」

 

 「覚悟するんだな。池谷さんの車を故意にぶつけるだけに飽き足らず、拓海に危険なバトルを仕掛けては平気で事故らせようとしたお前に二人が受けた痛みを味わわせてやる!!」

 

 

 光は再び握りこぶしを固めては再び慎吾に殴りかかろうとする。

 

 

 「やめてー!!」

 

 

 バキィ

 

 

 「ぐはぁっ!!」

 

 

 しかし殴られたのは慎吾ではなく光の方であり、光は拳が飛んできた方向を見るやそこにいたのは拳を固めていた利樹であった。

 

 「何やってんだお前は!!いくらそいつが気に食わないとはいえそこまで行っていたら流石にやりすぎだろうが!!」

 

 「利樹…」

 

 「ウワーッやっちまったのか!!」

 

 「真菜ちゃん。これは一体どういうことか聞かせてくれないかな?」

 

 「はい。実は…」

 

 

 利樹に続いては合流した池谷は真菜から事情を聞いてはなるほどなと理解しては右手を抑えている慎吾に目をやる。

 

 

 「お前、大丈夫かケガは」

 

 「…ぶつけた時キックバックで右手を…やっちまったみたいだな…」

 

 「そうか。乗れよ…助手席。病院まで行ってやるから救急車呼ぶよりずっと早いぜ」

 

 「そこまでしてもらうわけにはいかねえな…。俺は動けねーから電話だけしてくれればそれでいい…」

 

 

 池谷は腕を痛めた慎吾を病院に連れて行く為に車に乗せようとするが慎吾は自分が今までやってきたことに申し訳が立たないからか池谷からの気遣いを断るのだった。

 

 

 「無理すんなよ痛いんだろ。ここは俺らに任せていいから…」

 

 「遠慮すんなって事故った時はお互い様だろ。俺ら地元だから救急病院知ってんだ」

 

 「すまん…恩にきるぜ」

 

 「先輩、車の方は俺がレッカーを呼んでおきますので後のことは任せといて下さい」

 

 「そうか。んじゃ利樹、後は頼んだぞ」

 

 

 池谷達は慎吾を車に乗せるや病院へと送っていき、この場に残っているのは光達三人だけであった。

 

 

 

 

 

 「さてと、早くEG6(こいつ)を持っていってやらねえとだ。光、お前も手伝えよな」

 

 

 「あぁ、後続事故が起きないようインプを後ろに持ってきてはハザード点灯しておく」

 

 「光、さっきのことだけど…」

 

 「大丈夫だ。このバカの強烈な一撃で目が覚めたんだから心配する必要はないよ」

 

 「けっ、俺に感謝することだな。あそこで止めてやらなきゃお前は暴走してしまいそうだったからよぉ」

 

 「あぁ感謝するよ。精神的にな」

 

 

 光は利樹に殴られた左の頬を擦っては止めてあった車を動かし、EG6を運ぶためのレッカーが来るまでの間三人で待機するのであった。




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