ルフィの娘の過去改変記   作:微炭酸は弾けない

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単行本ではまだ出てきていない可能性のある、ジャンプ本誌の内容に少し触れてますので単行本派の方はお気をつけ下さい。


第7話 メラメラ

 

「逃さないよぉ〜八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)

 

「おい!レーザー飛んでくるぞ!」

 

「当たらないので気にしないで!黄猿本体の攻撃だけ注意して下さい!」

 

マリンフォードに向けて落ちる私達に向けて黄猿は追撃を仕掛けてくるけど、それはもう攻略済み。私達の周りから光が散るように空気をコントロールしているため当たることはない。

すると黄猿はどう動くか。

 

「このまま逃がすわけにはいかんでしょう。速度は重さ、光の速度で蹴られた事はあるかい」

 

「――レーザーが当たらなければ、必ず物理的な攻撃に移行してくると思っていましたよっ!」

 

黄猿の蹴りを足でガードしながら、私は上手くいった作戦に微笑んだ。レーザーをあれだけ同じ手段で逸らされれば必ず接近戦を仕掛けてくると睨んでいた。それも確実に仕留めるために、光による攻撃ではなく、本人による攻撃で。

 

黄猿の蹴りを受けた私の足、そのブーツからぬるっと排出されたシャボンが黄猿の足に纏わり付く。

 

このシャボンの名は『バブル』。

 

未来の世界でDr.ベガパンクが開発した兵器で、見た目は文字通り泡である。しかし砲撃すら防ぐ強度を持ちながら、海のエネルギーを配合しているため、能力者の力を奪う性質を持つ。私自身が能力者であるため、使用には細心の注意を払わなくてはならないが、非常に強力な武器だ。

しかし、この時代の黄猿はこれを知らない。故にこれへの警戒が無く、その足に簡単に付けることができた。黄猿があのまま遠距離からの攻撃に終始していたら当てることすら困難だったけど、接触していれば回避は難しい。

 

「ん〜わっしは『光』のはずなんだがねぇ〜、こいつはおっかしいねぇ〜」

 

「貴方なら落ちる前に解除できるでしょ、たぶんっ!」

 

突如として能力が使えなくなった黄猿をバブルが解除される前に蹴り落とす。このまま海へ落下してくれれば良いけど、海軍大将ってそんなに甘くないと思うので時間稼ぎにしかならないだろう。でもこれで、着地する余裕は出来た。

 

「あれなんだよ!黄猿が『光』じゃなくなったぞ!」

 

「不思議シャボンです!」

 

「そうか、不思議シャボンか!」

 

サボさんもパパタイプの理解で納得してしまって不安を感じる。この人、革命軍のNo.2で参謀総長とかいう高い地位にいるんだよ?きっと緊急事態だからそれで納得しただけだよね!そう思うことにする!

 

「それでどこに降りる気なんだ?」

 

「黄猿のせいで処刑台からまだ遠いので、味方の多そうなところに着地します!つまりは『白ひげ』の近くです」

 

黄猿が来たということは私達のことは海軍に知られてしまっているだろうし、敵陣のド真ん中に降りたりしたら御陀仏だ。資料でしか見たことが無かったけど、空からでも見える、鯨のとんでもなく大きい船が白ひげ海賊団の本船、『モビー・ディック号』のはず。エースおじさんの処刑台は遠くなってしまうけど、『白ひげ』に私達が味方であることを伝えたいし、未来の情報とか色々話しておけばこの戦いを有利に進められる。

 

「これが頂上戦争と称される戦いの熱気か。まだ空なのに、近づいただけで凄まじい熱さだ」

 

「あ、それは私です」

 

横抱きにしたサボさんに上を見るように促す。この熱さは体感ではない。私が落下しながら育てている大切な『花火』の影響だ。

 

「な、なんだこれ!?太陽か!?」

 

「全てを灼き尽くす業火――『炎帝』ですよ」

 

私達の頭上にあるのは燃え盛る炎の球体。それはどんどん膨れ上がっており、太陽のように広がっていく。

 

この技は、チョッパー先生の教えを受けるためにやってきて、一時期行動を共にしていた、元白ひげ海賊団の1番隊隊長『不死鳥』マルコから教えてもらったエースおじさんの技である。

 

「言ってませんでしたけど、私、エースおじさんと同じメラメラの実の能力者なんですよねぇ」

 

「は?同じ悪魔の実、つまり同じ能力者が同時期に2人存在することはないはずだろっ!」

 

「『同時期』じゃないですよ。私がメラメラの実を食べたのは『未来』での話ですから」

 

自然(ロギア)系、メラメラの実の能力は、その体を炎に変え、炎を自在に操ること。現在絶賛死刑直前のエースおじさんが持つ能力である。

私は未来において、エースおじさんが亡くなった後に出現したメラメラの実を食したのだ。

 

「……まあ、この能力が私達に与えるのが確定された未来でないことを祈りましょう」

 

この時代に来て、エースおじさんを助けると決めてからずっと考えていたことがある。

 

――私がメラメラの実を食べている時点で、エースおじさんを救うことは出来ないのではないか、という疑問である。

 

私が過去を変えることで未来が変わるのならば、エースおじさんが生きている以上、私はメラメラの実を食べられないはずなのだ。でも、今私はこうして能力者のままここへ存在している。私が考えている可能性は2つ。

 

①やはりエースおじさんを救うことが出来ない。

②過去を改変しても私がいた未来は変わらない。

 

①の場合、未来が確定したものである以上、それを捻じ曲げるような現象を引き起こすことは出来ないという考え方である。しかし、これは私が過去で行動した今までの全てが未来に何の影響も与えない、とはとても思えないので『ない』と考えている。というか、エースおじさんを絶対救うことが出来ないとか嫌なのでこの可能性よりも②であると仮定して話を進める。

 

②だとすると、恐らく時間とは不可逆。私が過去と認識しているこの世界は、私がいた未来の過去ではなく、私という存在がタイムスリップしたことで新たに生まれた並行世界。

 

まあごちゃごちゃとした考察を纏めると、過去を改変してもそれによって分岐した別の未来が生まれるだけで、私が生きていた『未来』は何も変わらない可能性が高い、ということだ。

 

それならそれで良い。私は私がいた未来が間違いだなんて、直したいだなんて思わない。

――ただ私は、私に色んなことを教えてくれたパパやその仲間がどんな冒険をするはずだったのか、その夢の果てを見たいだけなんだ!

 

私の我儘、私の願望、私の夢。

 

ただそれだけのために私はエースおじさんを助け、私の目的を阻むものはぶっ飛ばす。

きっと世界は目茶苦茶になる。未来は変わる。

 

だけど私は許される。世界中がそれを許してくれる。なぜなら、そう、私が美しいから!!!

 

「何か言ったか!?」

 

「いいえ!……サボさん!この世界の未来、ぶっ壊すけど良いですよね!!!」

 

「当たり前だ!!!エースが死ぬ未来なんて消し飛ばしてやる!」

 

「あはははは!!じゃあ始めますよ!私のための過去改変!」

 

なんだか最高の気分だ。

アマゾン・リリーで育って、今までの人生の殆どをそこで過ごして、それに不満はなかったけれど、でもそれだけじゃ味わえなかった感情がワクワクが溢れる。

 

ここでは私のことを守ってくれていた皆はいない。

何が起きるか分からない。

もしかしたら死ぬかもしれない。

 

なのにどうしてか、ずっと気分は高揚していて、ワクワクが止まらなくて――やっと分かったよパパ!きっと、これが冒険ってやつなんだ!

 

「まずは開幕に特別な花火をプレゼントしますよ!――『炎帝』!!!」

 

この『炎帝』を1番目立つところ、処刑台に向けて放つ!轟音を放ちながら処刑台まで落下していく『炎帝』にサボさんが冷や汗を流しながら抗議してくる。

 

「おい!エース殺す気か!海楼石の錠をされているんだぞ!」

 

「大丈夫ですよ。海軍の面子を守るために処刑までは絶対にエースおじさんを海軍が守ってくれますから」

 

ただエースおじさんを殺したいだけならこんな大それたことをする必要はないのだ。海軍にとってこれは、海軍が『白ひげ』という巨悪に屈すること無く、ゴールド・ロジャーの血筋を完全に根絶やしにすることで正義の威光を轟かせることに意味がある。得体の知れない何者かに殺されてしまいました、で終わらせるわけにはいかないのだ。 

 

故に処刑時刻まで海軍はエースおじさんを守る。

そして。

 

 

「――それに『伝説の海兵』がいますのであんな攻撃は水鉄砲みたいなものですよ」

 

 

ゴールド・ロジャーからの最後の願いとして託された息子であるエースおじさんを『孫』として育て上げながらも、海兵と祖父、2つの立場に挟まれながら、『孫』を守れなかった、守ることを許されなかった男。

 

――海軍の英雄、海軍中将ゲンコツのガープ。

 

 

私の知る限り、最も熱い正義を持つ最高にカッコいい爺ちゃんがそこにはいるのだから。





〜オリ主新情報〜

名前:ボア・ソラーレ
能力:メラメラの実

メラメラの実、これまでの使用方法

・蛸型気球であるオクトちゃんの気球時の燃料はメラメラの実の能力で補っている。

・繊細な能力のコントロールにより、空気の温度を温めて黄猿の光を逸らしていた。






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