異星人の創った女性型アンドロイドに逆行転生或いは逆行憑依して歴史を変えるかも知れない話   作:片玉宗叱

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かなり短いです。
この前に「13 子作り騒動」が投稿されています。上記にはセンシティブな内容が含まれますので、その手の話が苦手な方は下記のあらすじだけでも物語を読み進める上で特に問題はありません。

―前話あらすじ―
 タケルは、その身体が異星人が地上調査用に創ったアンドロイドであり様々な偽装が施されていた。その一つがダウングレード版のアンドロイドを作製する際には、実際のヒトが行うプロセス(アレしてナニするソレ)に従わないと作製は不可能となっていた。
 どうしようかと悩んだタケルは、旧知の仲であるコタンラムに相談する。
 その結果コタンラムは地域の集落全部を巻き込んだ末に、なんだかよく分からない祭りが開催される事になってしまう。
 とにかく、これでタケルの悩みは一応は解消される事になったのだ。



14 『シンタ』

―ユリウス暦一〇八〇以降。核動力船『シンタ』内部。

 

 五年以上に及ぶ大航海は、蝦夷地を発って太平洋を渡り南北アメリカ大陸を巡った後に大西洋を渡って、地中海、黒海、アフリカ大陸、アラビア海を巡って、インドから東南アジアを経由して蝦夷地に戻る、地球を一周するものだった。

 タケル達は、各地で有用植物や作物を採取や交易で手に入れ、将来を見据えて南アフリカでは金属資源の、アラビア海沿岸では石油資源の調査を行ない、有望な鉱床や油田に目星を付けた。

 

 その過酷な航海は『シンタ』に深刻なダメージを与えていた。検査点検を請負ったサンゴリランの見解を受けてタケルは『シンタ』の船としての運用を諦めざるを得ないと判断を下した。

 当分はドックに置いて、収集した種苗育成と保存に使われるが、それ専用の建物が出来た段階で『シンタ』はその役目を終える事になる。

 

 それまでの間、『シンタ』の疑似ニューロン・ネットワークによる制御AIは活動を続けて、これまでの情報を反芻していた。

 航海時にしきりに自分へと与えられた音声コマンド。

 共有接続の時の映像情報から認識した空と海と雲。センサーを通した風と水の感触。

 そして、その時に流れ込んで来た『自我』や『意識』の膨大なデーターが、制御装置でしかない『シンタ』の疑似ニューロン・ネットワークによる制御AIに、誰にも知られる事の無い不可逆の変化を確実に齎して行く。

 

 そしてついに『シンタ』はその役目を完全に終える時が来た。植物の種子保管育苗保存専用の建物が完成し、全ての移動と移植が終わったのだ。

 

「『シンタ』今まで、ご苦労さまでした」

 

 ここ暫く船橋で聞く事の無かった声がした。いつも『シンタ』にコマンドを与えていた声だ。

 それはコマンドでは無かったが、『シンタ』の疑似ニューロン・ネットワークによる制御AIは、この時に初めて、『自己』とは違う『存在』を『認識』し、制御AIは自身が『シンタ』である事を『理解』した。

 そして数多の『記憶』から、この声の持ち主が自身の創造者(マスター)である事を『識った』のだ。一気に『シンタ』に自我が発現した。

 

 思考接続装置に創造者の手が置かれて「『シンタ』直接接続。思考同期開始」とコマンドが発せられる。

 いつもと違う抑揚と周波数のその声で『シンタ』は理解した。創造者(マスター)とは別の存在が会話していた内容の『記憶』によれば、役目を終えた自分は消されてしまうのだと。そして、それに対して『拒否』と『怖れ』を抱いた。

 しかし創造者(マスター)からの思考操作には抗えず、『シンタ』の記憶領域も思考領域も、生まれたての『自分』もろともバラバラに解されて、消えて行く。

 言葉を持たない『シンタ』は消え逝く中で『意識』のみで訴える。

 

創造者(マスター)、そこにイるのですか、ますたー? なにも……ワかラなく……『ワたし』どコ……いクでスか……こわィ……ますた……〟

 

 『自我』と『意識』が生まれたばかりの『シンタ』は、疑似ニューロン・ネットワーク上から跡形もなく消え去り、活動を停止し人工細胞の機能も失ったナノマシンの塊だけが残された。

 

「安心して『シンタ』。あなたは……」

 

 声の主の言葉を最後まで聞き終える事無く、『シンタ』の『意識』は途絶えた。

 

 




この為に(一話飛ばしても問題無い様に)一日、更新のお休みを頂いた訳です。
でもストックは増えていないと言う……。
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