異星人の創った女性型アンドロイドに逆行転生或いは逆行憑依して歴史を変えるかも知れない話 作:片玉宗叱
なまじ資料が残っている時代の日本が舞台になると「与太話です!」って強弁出来なくなりそうなのが悩みの種です。
―ユリウス暦一一〇九年、五月。蝦夷地ト・マクオマ・ナイ。
『
可変スクリュー二軸で水蒸気ターボ・エレクトリック方式。電動機出力合計一五万キロワット(二〇万馬力)で速度二八ノット以上。
ウェルドックには
レーダーは航海用と対水上用を二基を搭載しており、船首バルバス・バウと両舷にソナーも装備され、船底の両舷にフィン・スタビライザーも付けられている。
「対空三次元フェイズドアレイ・レーダー……」
「いや、要らないよね!? 母さん何と戦う気なんだよ!」
不満を漏らすタケルにリクが速攻でツッコむ。
そして
「お母さんのせいで艤装工事が大変になったんだからね!」
「折角、高速が出せる船型だったのにバルジを後付なんてしたくなかったよ……」
ぷんすこ怒るシズクとフウカ。進水した後にタケルがゴネて二連装砲塔二基を設置する事を要求し、急遽両舷にバルジ(この場合は浮力補助。防御用では無い)を増設するハメになったのだ。
「お陰でタービンも主機も出力を上げざるを得なくなったし。殆ど作り直しだったんだよね。それでも三〇ノットギリギリ出るかどうか」
「うん、ボクが別な用途に使おうと思って取っておいたチタンを結局使っちゃったし」
「タービンと主機の拡大と砲塔のせいで船内設備だって設計やり直しだった。スペース圧迫するから収容量も目減りしたし。かあちゃんの我儘、聞かなきゃ良かったよね」
アマネ、ホムラ、モリトもタケルを責める。
そう、三年前に既に必要装備は揃いつつあったのに、竣工までに三年も掛かったのはタケルのせいだった。
「(アルトゥルも一緒になって悪ノリしてたっすね)」
「うほうほぉ……(面目次第もございません……)」
「うほほうほうっほ(現状三〇ミリ機関砲二門で必要十分)」
「こっそり上陸、こっそり調達、こっそり撤収が基本って、母さん言ってたよね?」
「うう、出来上がってから責めないで」
子供達に責められ若干涙目になるタケルである。
「海上公試の結果次第で」
「砲塔とバルジは撤去するから」
「「覚悟しといてよね!」」
シズクとフウカの通告にタケル思わず歯噛みした。
「ぐぬぬ」
「何が『ぐぬぬ』よ。仕様通りにガワが出来上がってるのに後から無理矢理に捩じ込んだ母さんが悪い」
呆れながらタケルに突っ込むアマネであった。たとえ母親でも容赦しない子供達である。
しかし、この状況、実は些か
結局、
そしてモリトが船内設備の配置換え工事で、シズクとフウカが砲塔撤去とバルジ撤去で、リクが両舷ソナー位置変更とFCS(火器管制システム)の変更で、それぞれが地獄を見る事になる。
「(付き合わされる自分らが一番の地獄かも知れないっすね)」
「うほっ(それな)」
「付き合わされるのは、あたしとホムラもなんだけどさ」
「(さーせんっしたぁ!)」
「うほぉ! うほ!(イエス! マム!)」
今日もト・マクオマ・ナイは平和である。
―ユリウス暦一一〇九年、秋。奥州平泉。藤原清衡居館。
清衡は夷狄ヶ島との交易に関しての報告を受けていた。交易そのものは好調で、特に紗糖(砂糖)は京の都では珍しさと希少性で珍重され貢物として朝廷からの催促が絶えなかった。それと同時に従来の金や毛皮等に加え、入手した鋼鉄製品も中央に送っている。
清衡はこれらを利用して中央との間に太い繋がりを作る事で、奥州藤原氏の中央への影響力と立場を盤石にしていった。また北方貿易で得られた利益を奥州の発展(と言っても主に寺社の建立等だが)と支配に使っていた。
「巨船の噂?」
「はい。例の夷狄ヶ島の東に住まう
「噂であろう? 城の如き船など戯言ぞ」
「見た者が曰く、水の上に三〇尺を越える高さ有り、端から端まで二町は有ったとの事で」
「その様な物、唐国でも造れぬわな。多方、大き目の丸木舟を針小棒大に言うただけであろう、馬鹿馬鹿しい。それよりも紗糖の量は増やせぬか? 都の殿上人の催促が煩わしくある」
清衡は右手に持った扇子を閉じたまま、それで左手の掌を叩いては握り、放してはまた叩く。
「それが、量は作れぬらしく、今が精一杯との事にございます」
「ふむ、如何するか」
清衡は顎髭を扱きながら、思索に入った。
「白砂を混ぜ物として嵩増し致しますか?」
「主上にも献上される物ぞ。それに混ぜ物などと畏れ多いわ! 痴れ者がっ!」
「も、申し訳ござりませぬ!」
混ぜ物を提案した者、家臣の
「汝が紗糖を造る
「はっ、ははぁ」
こうして自らの口禍によって貧乏クジを引いてしまった清衡の家臣の一人である
ここで地元アイヌに東に住まう
「
「ええい! 我は
合川某達は平泉を発って既に一ヶ月以上経過している。確かに此の地では歯の根が合わない程の寒さを感じていた。しかし口禍で清衡の不興を買ってしまった彼、合川某には後が無い。同行した兵は良い迷惑であるが、彼らとて清衡の命には逆らえない。
「北に向かってから
「如何ほどの日が掛かるのだ」
渡島のアイヌは仕方なく彼らに教えたが、その行程を教えなかった。いや、教えられなかった。
「知らぬ。
「役立たずめ!」
激昂して腰の太刀を抜こうとする合川某だが、その時、自分達を超える人数の屈強な
「もう一度言うぞ
真剣な顔でアイヌの男は告げると踵を返した。
「ううぬ、口惜しや。だが我は進むしか無し……」
合川某は肩を落とすと兵達に宿営の用意をするように命じたのだった。
何でもそうだけど、ほぼ土台が出来てる時点で仕様変更とかはやっちゃいけない。
バルジに注水して半潜航行! って日本武尊ごっこが出来るなと思ったけど止めました。ネタ古いし十五センチ連装砲よりも使い所が無いし。
合川某は適当に岩手の地図から拾った地名からの捏造です。
奥州藤原氏初代清衡の頃と言うか奥州藤原氏の軍制が調べてもよく分からなかったので適当です。国司とかの私兵は館待とか言われてたみたいですが、軍勢の編成とか分からない……。
読者の方で、どなたか詳しい方がいらっしゃいましたら是非御教示下さい。参考にさせて頂いて書き直します。
あと当時の地方貴族とかその家臣とか口調をどうすべきか。下手にそれっぽくしない方が良いのですかね?寧ろ現代語でもOKですかねぇ。