カードファイト!! ヴァンガード StarSong 作:バビロン@VG
賑やかなざわめきが、会場を満たしていた。
晴れ晴れとした青い空。白い雲。
楽しそうな笑い声が、そこかしこから上がる。
サラサラとサインペンを動かして――
「はい、応援ありがとうね!」
綺羅星ミアが、輝くような笑顔を浮かべて、
サインの書かれたCDジャケットを手渡した。
「あ、ありがとうございます!」
感動したような声。
握手を交わし、女性が赤面したまま出口に進む。
「こちら順番ですので、並んでお待ち下さいー!」
列を整備しながら、マネージャーが声をあげる。
いつもと違う、ラフな格好をしているマネージャー。
スタッフ証を揺らしながら、列を整理していく。
「ねー、マユっち。あと何枚サイン書けばいいの?」
小さな声で訊ねるミア。
マネージャーが「へ?」と間の抜けた声を出した。
「えーと、そうですねぇ……」
ちらりと、前の方を見るマネージャー。
ミアの前には遠く先まで続く、長蛇の列ができている。
「……いっぱいです!」
マネージャーが、自信満々に断言した。
ミアの笑顔が、ほんのかすかに引きつる。
「……もう、これだから」
額に手を当てているミア。
それでもファンを前にすると、すぐに笑顔に戻った。
サイン会が続いていく。
「はい、どうぞ! ありがとうねー!」
愛想よくファン対応をしていくミア。
いつのまにか、青かった空は暁の色に染まり始めていた。
「ようやく、終わりが見えてきたかな……」
さすがに疲れ始めてきたミア。
弱音を吐くように、長く息を吐き出す。
コツコツという、ヒールの音が響いて――
「次の方、どうぞー!」
一人の女性が、ミアの前に姿を現した。
視線を向けるミア。紫色の瞳にその姿が映る。
ゴシックロリータファッションの女性が、静かに現れた。
「…………」
見つめ合う2人。
2つの視線が絡み合い、空中で交じり合う。
女性が、すっと右手を差し出した。
「お会いできて光栄です。あなたのファンなんです」
真っ白な肌に、真紅の唇。
薄い金色の髪を揺らしながら、女性が微笑む。
ミアの口元に笑みが広がって――
「こちらこそ! 応援ありがとう!」
にこやかに、ミアがその手を握り返した。
握手している2人。和やかな雰囲気が流れる。
2人の目に、一瞬だけ光が宿った。
「……ウフフ」
笑みをこぼす女性。
名残惜しそうに、ミアの手を離す。
「それでは、また」
深々としたお辞儀。
ヒールの音を響かせながら、女性が出口の方へと進んだ。
ふと、その目がマネージャーの方へと向いて――
「……まぁ!」
女性が、面白そうな声をあげた。
不思議そうな表情を浮かべるマネージャー。
女性の姿が出口の先に消えていく。
「なんだか、雰囲気ある人でしたね」
「そうだね~」
軽い声で答えるミア。
何事もなかったように、サイン会を続けていく。
空がさらに赤い色に染まって――
「それでは、本日のサイン会は終了となりまーす! ご来場ありがとうございましたー!」
マネージャーの声と共に、大きな拍手が巻き起こった。
手を振って、それに応えているミア。煌めく笑顔。
会場内、控え室に戻って――
「ミアさん、お疲れ様でした!」
マネージャーが、嬉しそうに頭を下げた。
着替えながら、ミアが手をあげる。
「おー、お疲れ様ー、マユっちー」
どこまでも軽い口調。
いそいそと私服に着替えているミア。
マネージャーが安心したように息を吐いた。
「今日は何事もなくて幸いでした! おかげさまで私の胃も元気なままです! ミアさん、良ければ一緒に夕飯でも行きませんか?」
嬉しそうにそう訊ねるマネージャー。
ミアが「あー」と声を出した。
「そうだね、気持ちは嬉しいし、本当に行きたいんだけどさぁ、実は先約があるんだよねー」
「先約?」
「そう。ちょっと会わないといけない人がいてさ~」
手をひらひらとさせるミア。
帽子を深くかぶり、顔を隠す。
マネージャーの顔が青ざめた。
「み、ミアさん! まさかこっそり、ファンの人と会うとかじゃないですよね!? ダメですよ、そういうのスキャンダルですから!」
慌てて詰め寄ってくるマネージャー。
ミアがくすりと微笑んだ。
「まー、ある意味間違ってないけどさ。さっきもファンって言ってたし。だけど大丈夫、マユっちが思ってるようなやつじゃないから」
悪戯っぽく笑っているミア。
マネージャーが訝しむように首をかしげた。
軽快な音楽が流れる。
「噂をすれば。ハーイ、サミー!」
スマホを取り出して耳にあてるミア。
楽しそうな様子で電話の相手と会話する。
手を振って――
「はーい、了解。それじゃ、またねー」
軽い口調で言い、ミアが通話を終えた。
機嫌よく歌を口ずさんでいるミア。
黒のサングラスを取り出し、身につける。
「それじゃ、お疲れ様。またね~、マユっち!」
鞄を片手に、手をあげるミア。
そのまま足早に控え室から出て行く。
「あっ、ちょっと、ミアさん!!」
慌てて追いかけるマネージャー。
控え室から、勢いよく飛び出す。
だが廊下に出ると、ミアの姿はすでに消えていた。
「えぇ……?」
呆然としているマネージャー。
辺りを見渡しながら――
「ミアさんって、忍者か何かですか……?」
マネージャーが、ぼそりと呟いた。
「なぜ私(わたくし)ですの」
桃色の髪に、透き通るような白い肌。
吸血鬼フェルティローザが眉をひそめて、そう訊ねた。
ロロネロルが無邪気な笑みを浮かべ、指を伸ばす。
「クラリッサはレッスン! ウィリスタは生徒会のお仕事! アレスティエルは次のライヴの準備!」
弾むような声で言葉を並び連ねていくロロネロル。
じっと、フェルティローザを見上げて――
「つまり、ヒマそうなのがフェルティローザしかいなかったのです! ろろを守ってほしいのですよ!」
ロロネロルが、何の悪意もなくそう言い放った。
目を細めるフェルティローザ。無言の圧力。
ほんわかとした空気のまま、ロロネロルが返事を待つ。
「……はぁ」
深いため息を漏らすフェルティローザ。
頬に手をあてながら、憂うように口を開く。
「……クラリッサから聞いたのだけど、あなた、どこかの誰かに狙われてるんですって?」
「そうなのです!」
「相手はどこのどなたなの? どんな人から守ればいいのかしら?」
「わからないのです!」
元気いっぱいに答えるロロネロル。
ますます怪訝そうに、フェルティローザが眉をひそめた。
夕暮れの空の下、ため息の音が響く。
「クラリッサからどうしてもと言われたので引き受けたのだけど、早くも後悔してきたわ……」
小さく呟くフェルティローザ。
彫刻のように整った美しい顔をしかめる。
ロロネロルが、不思議そうに首をかしげた。
「フェルティローザ……お腹でも痛いのです?」
「違いますわ、失敬な!」
ぴしゃりとした言葉。
ロロネロルが「にゃっ!」と驚き、身じろいだ。
フェルティローザが再び息を吐く。
「もうなんでもいいですわ。ともかく、あなたを寮まで送ればいいのですね? 早く行きますわよ」
「はい! よろしくお願いしますなのです!」
ぺこりと頭を下げるロロネロル。
フェルティローザが「調子狂うわ……」と呟いた。
暁の色に染まった石造りの道を、2人が歩いていく。
「フェルティローザとお散歩~♪」
機嫌よく歌を口ずさんでいるロロネロル。
即興の歌には似つかわしくない、高度な歌唱力。
フェルティローザが日傘を傾ける。
「随分と元気になったのね、あなた」
「はい! 実は昨日、ろろは憧れのペトラルカ先輩と一緒に歌えたのです!」
輝くような笑顔。
きらきらとした雰囲気を醸し出すロロネロル。
「やっぱりペトラルカ先輩はすごい人だったのです! ろろも早く、ああいう大人なレディになりたいのです!」
「あなたが? ペトラルカさんのように?」
ロロネロルに視線を向けるフェルティローザ。
くすりと、その口元に艶やかな笑みが浮かぶ。
「そうねぇ。あなたが幽霊(ゴースト)になるくらい時間をかければ、なれるかもしれないわね」
「にゃ!? どういう意味なのです!?」
つっかかるロロネロル。
フェルティローザが手を広げた。
「さぁ。別に、深い意味はなくてよ」
面白そうに微笑むフェルティローザ。
ロロネロルが不満そうな表情を浮かべた。
2人が歩き続ける。
「そういえばフェルティローザ、いつもの妹さん達はどこに行ったのです?」
辺りを見回すロロネロル。
フェルティローザが目を閉じる。
「級友(あなた)と帰る事を告げたら、ものすごく驚かれた上に"邪魔してはいけませんわ!"とか言い出して、皆散っていったわ」
どこか憮然とした様子のフェルティローザ。
ロロネロルが頷いた。
「フェルティローザ、幽霊以外の友達少ないですからね」
「ちょっと、聞き捨てなりませんわよ!」
怒りに燃えるフェルティローザ。
わなわなと震えながら、ロロネロルを睨みつける。
「ふふん、さっきのおかえしなのです!」
べーっと、ロロネロルが舌を出した。
ますます怒りを深めるフェルティローザ。
子供のような言い争いが始まった。
「おこちゃま猫女!!」
「インドア吸血鬼!!」
ぎゃあぎゃあと言い合っている2人。
路地裏から出て、表の広場へと出た瞬間――
からんと、何かが落ちる音が響いた。
「!!」
尻尾をぴんと伸ばして、
ロロネロルが勢いよく振り返った。
視線の先では、子供達が空き缶を蹴って遊んでいる。
「…………」
紫色の瞳を向け、その光景を眺めているロロネロル。
夕暮れの時間。楽しそうに遊んでいる子供達。
「……ロロネロル?」
呼びかけるフェルティローザ。
ロロネロルが振り返って、微笑んだ。
「なんでもないのです! ちょっと驚いちゃっただけなのです!」
恥ずかしそうに言うロロネロル。
フェルティローザが大きく息を吐いた。
「何を怖がってるのよ。リリカルモナステリオは魔法の結界で守られているのだから、そう怯えることないでしょ」
「はい! ともかく、早く帰ろうなのです!」
足早に歩きだすロロネロル。
フェルティローザが「ちょっと!」と怒りの声をあげる。
「まったく、本当に憶病なんだから……」
ぶつぶつと不満を漏らしているフェルティローザ。
ロロネロルの後ろを歩きながら、日傘を揺らす。
「あなた、そんなことで次の試験は大丈夫なのかしら? ただでさえ座学は苦手でしょうに」
「試験!? 座学!?」
フェルティローザの言葉に驚くロロネロル。
ぴんとなる尻尾。驚愕の表情。
頭を抱えながら――
「さ、最近ずっと不審者さん達の相手をしていたせいで、すっかり忘れていたのです! ど、どうしよう!?」
ロロネロルが、嘆くようにそう叫んだ。
この世の終わりを告げられたかのような顔。
うるうると、その目が潤んでいく。
「まったく、呆れかえりますわ……」
フェルティローザの冷たい言葉が突き刺さる。
ますます、追い詰められたような表情になるロロネロル。
2人が寮の前まで辿り着いた。
「はぁ……なんということなのです……」
すっかり意気消沈しているロロネロル。
フェルティローザが頬に手を当て、その姿を見つめる。
顔をあげて――
「でも、やるしかないのです! ろろは絶対に諦めないのです!」
決意を新たに、ロロネロルが拳を握り固めた。
そのままフェルティローザの方に視線を向ける。
「送ってくれてありがとなのです! 正直に言うと心細かったから、助かったのです! ありがとう、フェルティローザ!」
ぺこりと頭を下げるロロネロル。
無邪気な笑顔に、本心からの言葉。
フェルティローザが顔をそらした。
「……別に、大した事してなくてよ」
目をつぶりながら話すフェルティローザ。
ほんの少し、間をあけて――
「……まぁでも、もしあなたがまた一人で帰るのが怖いと言うのでしたら、いつでも送ってさし上げますわ」
ぼそりと、フェルティローザが付け加えた。
かすかに、その頬が赤く染まる。
「勘違いなさらないで! 私、あなたの怯える顔を見るのが楽しいだけですから! 別にあなたの事が大事とかそういう訳じゃ――」
早口に話しているフェルティローザ。
再び、ロロネロルへと視線を戻す。
フェルティローザの前には、誰もいない。
「……ロロネロル?」
辺りを見回すフェルティローザ。
寮の前、不気味なまでに静まり返った空間。
暁色に燃える空だけが、目の前に広がっている。
「ちょっと、そういう冗談は嫌いですわよ!」
怒ったように呼びかけるフェルティローザ。
再度辺りを見回すが、ロロネロルの姿はどこにもない。
大きく目を見開いて――
「……嘘でしょ?」
フェルティローザが、絶句しながらそう呟いた。
カランカランという、鈴の音と共に扉が開いた。
人通りの少ない裏路地。
そこにぽつんと佇む、寂れた雑貨店。
薄暗い店内には、怪しげな雰囲気が漂っている。
「…………」
周りを取り囲む多くの人形。
様々な雑貨小物。用途の分からない品々。
コツコツというヒールの音が響いて――
「いらっしゃいませ」
ゴシックロリータファッションの女性が、
店の奥の暗闇から姿を現した。
「こんばんは」
穏やかに微笑み、挨拶する少女――ミア。
それぞれの瞳が真っ直ぐに向かい合う。
女性が両手を合わせた。
「こんなに早く招待に応じてくれるだなんて、嬉しいわ」
にっこりと笑いかける女性。
怪しい小物に囲まれながら、目を細める。
「お客様には飲み物を用意しなくちゃね。ウフフ、あなたは何がお好みかしら? 紅茶? それともコーヒー?」
「おかまいなく。お喋りに来た訳じゃないので」
目をつぶりながら答えるミア。
女性がますます楽しそうに笑みを広げた。
「それは残念だわ。今宵は素敵な夜になりそうなのに」
心の底から残念そうな口調。
コツコツというヒールの音が響いた。
黒いクロスを敷いたテーブルを間に、2人が向かい合う。
「まずは自己紹介からはじめましょう」
にこやかな笑みを崩さず話す女性。
目を細めながら、うやうやしく頭を下げる。
「わたくしは千住(せんじゅ)ヒナコ。終末の使徒の一員です」
薄暗い空間に響く声。
ゴスロリファッションの女性――ヒナコが微笑む。
「ですが、あまり堅苦しいのは好きではありません。気軽に"ヒナポン"とか"ヒナピー"とかって呼んで下さると嬉しいわ」
くすくすとした笑い声。
真っ赤なルージュを塗った唇が艶やかに動く。
ミアがサングラスを外した。
「私も自己紹介した方がいい? ヒナっち」
「いいえ。あなたの事はよく知っていますから」
機嫌よく答えるヒナコ。
梔子色の瞳が、ミアへと向けられる。
「終末の使徒を倒してまわる、哀れなる異教徒。幾たびの穢れと罪(カルマ)を積み重ねた、黒い羊……」
手を伸ばし、うっとりとした口調で喋るヒナコ。
ミアが肩をすくめた。
「羊じゃなくて猫なんだけどなー。どうして誰も、そういう風に呼んでくれないのかなぁ……」
ぶつぶつと不満そうに呟くミア。
悩ましげに、小さくため息をつく。
真っ赤なデッキケースを、ヒナコが取り出した。
「ご安心なさって。わたくし、毛並みでは人を判断しませんから。肉体なぞ所詮は器。わたくし達の本質は星の果てにある。そうでしょう?」
面白そうにそう語るヒナコ。
ミアが、どこからか紫色のデッキケースを取り出した。
「まぁ、そうね。分からなくもないかな」
同調するように頷くミア。
ヒナコが嬉しそうに顔をほころばせた。
2人がカードを取り出し、テーブルの上に置く。
「満月の夜、星の海。闇の中に浮かぶは煌めく光……」
カードを並べながら、呟くヒナコ。
ミアはやや怪訝そうにその言葉を聞いている。
ヒナコがカードを手に微笑んだ。
「わたくしの分身も、開幕が待ちきれないようですわ」
ライドデッキの1枚。
裏向きのカードに視線を向けているヒナコ。
「へぇ、あなたもカードの声が聞こえるの?」
静かに、ミアがそう訊ねた。
頷くヒナコ。
「えぇ、もちろんです」
迷いのない口調。
白い指を伸ばして、カードを並べていく。
「今宵の月も啼いています。血に飢えた赤い三日月。天に選ばれた哀れなる生贄。舞台の幕が上がり、殺戮の果てに血の滴る臓物を喰らい尽くす……」
ささやくような声。
ヒナコの口元に大きな笑みが広がって――
「そう、メガロノヅチが言っています」
ヒナコの言葉が、その場に響いた。
一瞬の間。ミアが顔をあげる。
「……えっ?」
気の抜けた声。
困惑した表情を浮かべているミア。
ヒナコが蛇の描かれたスリーブのカードを置いた。
「ウフフ、そう慌てないで。南瓜の馬車は到着しました。すぐに、あなたの大好きな殺戮劇が始まりますよ」
語り掛けるような口調。
ますます、ミアが戸惑った表情を浮かべる。
頬をかきながら――
「……まぁ、いっか」
ミアが、諦めたようにそう呟いた。
手早く残りのカードを並べていくミア。
煌めく星のスリーブに入ったカードが置かれる。
「それじゃ、はじめちゃう?」
あっさりとした口調で訊ねるミア。
ヒナコが「えぇ」と迷いなく頷いた。
2人が向かい合う。
「さぁ、迷い足掻く黒猫さん。今宵の仮面舞踏会、わたくしとワルツを踊りましょう」
歌うような声を出すヒナコ。
その口元に不気味な笑みが広がった。
梔子色の瞳が、一瞬妖しげに輝く。
「仮面舞踏会ねぇ」
フッと息を吐くミア。
ヒナコに視線を向け、にやりと微笑んだ。
「参加したいところだけど、あいにく羽根付きの仮面は家に置いてきちゃったのよね~」
どこかからかうような声。
ミアがいかにもわざとらしく、肩をすくめた。
ヒナコが嗤う。
「いいえ、この舞踏会に仮面なんて必要ありませんわ」
きっぱりとした言葉。
「え?」と、ミアがわずかに驚いた。
薄暗闇の中、両手を広げて――
「だって、わたくし達はもう既に、仮面をかぶっているじゃありませんか。そうでしょう?」
ヒナコが、訊ねるようにそう答えた。
不気味なまでに穏やかな声。向けられる梔子色の瞳。
ミアが、その目を細める。
「…………」
黙り込んでいるミア。流れる静寂。
辺りの空気が、冷たく張りつめていった。
ヒナコが手を伸ばす。
「時間です。舞台の幕をあげましょう」
楽しそうに笑うヒナコ。
白い指がカードの上に置かれる。
ミアもまた、手を伸ばして――
「……うん、そうだね!」
にっこりと、明るい笑顔を浮かべた。
星の描かれたスリーブのカードに、指を置くミア。
紫色の瞳を向けて――
「踊りたいって言うなら、私達が踊らせてあげるよ」
ミアが、不敵な笑みを浮かべた。
高らかな声。自信に満ちた雰囲気。
鋭い視線を、ヒナコへと向ける。
「素敵。忘れられない夜にしましょうね」
一分の動揺なく、ヒナコが答えた。
余裕を感じさせる態度。梔子色の瞳が揺れる。
薄暗い闇の中、空気が重く沈んでいって――
「スタンドアップ・ヴァンガード!!」
2人の声が、重なり響き渡った。
「《砂塵の双銃 バート》!!」
砂塵の双銃 バート
ノーマルユニット 〈0〉 (ブースト)
ドラゴンエンパイア - ヒューマン
パワー6000 / シールド5000 / ☆1
【自】:このユニットがライドされた時、あなたが後攻なら、1枚引く。
― 俺の愛銃が火を吹くぜ!
「《歌を届けるために ロロネロル》!!」
歌を届けるために ロロネロル
ノーマルユニット 〈0〉 (ブースト)
リリカルモナステリオ - ワービースト
パワー6000 / シールド5000 / ☆1
【自】:このユニットがライドされた時、あなたが後攻なら、1枚引く。
― ろろは……もっと、も~っと頑張るのです!