「突然じゃが、お前は転生することになった。しかし、そのまま転生させてはお主は何もできんじゃろう。だから、一つだけ願いを叶えてやる。」
目の前に立っている爺さんを見て、何があったかを思い出す。
そうだ、確か目の前で引かれそうになっている子供を助けて…
「命を投げ捨てて一人の子供を救ったんじゃ、何を言ってもよいぞ。異世界に転生してチート能力とやらで無双するもよし、ハーレムを作るもよし、人間の欲を見せてくれ。」
…性格が悪い爺さんだな。ま、カミサマっていうのは得てしてそんなもんか。
しかし、転生、ね…。どうしたもんやら。なにも思いつかないな。
「ふむ、決めあぐねているようじゃのう。じゃあ、お主が好きだったFGOの世界に転生させるぞい。さあ、これを踏まえてさっさと願いを決まるがよい。」
FGOの世界に転生か…。物語にかかわらないと死ぬが物語にかかわっても死んじまうしなぁ。けど、俺には世界を救ったり、滅ぼしたりするのは無理だ。そもそも主人公やカルデアに関わらないと何もできないしなぁ。
「それについては安心してくれ、じゃ。主人公の幼馴染にしてやるわい。」
うーん、じゃあ…
「…それが願い、か?お主、自分の身はどう守るつもりじゃ?」
まあそこはカルデアを信じるよ、だからこそこの願いなんだし。
「ふむ、まあ良い。ではな、転生者よ。」
学校が終わり帰っている途中、目の前で束ねられた赤い髪の毛が跳ねる。
「おーい!!」
「なんだ、藤丸かよ。どうしたんだ?」
藤丸と幼馴染として赤子のころから育ってはやくも十七年ほどが経ち、日に日に不安が増してきたころ。ついにその時がやってきた。
「献血に行こうよ!」
カルデアのマークが書かれた献血車を指さして言う。これが意味するのはすなわちカルデアへの移動。それは、人理焼却がもうすぐ起こるということだ。それはこれから藤丸が争いに巻き込まれるということでもある。神が転生させたんだ、レイシフトは俺もおそらくできるように作り替えられているだろう。だからこの献血を一緒に受ければ俺もカルデアに行けるのだろう。だけど俺は―――
「いや、俺はいいや。」
―――断った。俺が願ったことが反映されているのなら、俺は死なないだろう。けど、わかっていても、どうしても一歩踏み出すことができないんだ。あの時は子供を助けて死んでしまった。それに悔いはない、けど、もう死ぬかもしれない思いをするのはごめんなんだ。だから、許してくれ、藤丸。
「む。じゃあ、一人で行ってくるね。」
「ああ。じゃあ俺は用があるから先に帰るぜ。」
そういって俺は一人暮らししているマンションへと歩みを進めていった。
その三日後―――
「なんか、海外へ行くことになっちゃった。」
悲しそうな顔をしながら開口一番切り出してきた彼女。それに驚くふりをしながら、用意していたものを渡す。
「…お守り?」
「わざわざ三日かけて作ったんだぜ、感謝しろよな。」
「ありがとう…ってなんかタイミング良すぎない?」
じとーっとみられるが気にしない。そこまで考える余裕がなかったし、まあ、幼馴染の勘だとでもいえば何とかなるだろう。
そう考えているのが顔に出ていたのか、藤丸は怪しみながら、
「じゃあ、次日本に帰ってきたら、ちゃんと理由を教えてくれる?」
と聞いてきた。
…まあ、そのタイミングならすべてが終わっていると思うから、良いか。
「わかったよ、ちゃんと言うよ。その代わり、そのお守り肌身離さず持っていてくれ。」
「当たり前じゃん!大切にもっておくよ!」
なんてことを話しながら、彼女はカルデアへと向かっていった。
そうして、人理焼却などの影響なのだろうか、一日とも一年とも感じられるような曖昧な時間を過ごし、変な気分のまま目を覚ます。どうやら、世界中で時間だけが過ぎていたようだ。どのニュースでも謎の怪現象として取り上げられている。
カルデアは救ってくれたんだな、俺の願いが役に立ってくれたかな、なんて事を考えていると、不意にインターホンが鳴った。
誰だ?なんてことを思いつつ確認してみると、そこに俺の幼馴染、藤丸立香とゆるふわな雰囲気を醸し出す、ゲームでは死んでしまったはずのドクターロマニが立っていた。
「ちょっと、君に来てほしいところがあるんだ。」
主人公は逃げだした!
しかし、回り込まれてしまった!
主人公君(名無し)
カルデアを助けた人が死なないようにと願った。お守りにその願いが込めてある。お守りのガワを作るのに三日かかった。もちろん、キャスター陣に解析されている。
無事、連れ去られた。
藤丸ちゃん
大切な幼馴染。カルデアでの出来事に主人公が巻き込まれなくてよかったとも思った。
キャスターのみんなにお守りを解析してもらい、事実を知ったとき、表情が無になった。ちょっと重い。
ドクター
主人公君に感謝している。実質命の恩人。
単発です
誰か続きかいてくれても・・・いいよ?