雨が降る公園で私は1人ベンチに座って雨降る暗い夜空に顔を向ける
親の借金が膨らみ、返済が出来なくなったことからこの不運は始まっていた。いや、それ以上前からだったんだろう
職はクビになり、自宅は全焼。おまけに全財産炎に食われてしまった。今あるのは手持ちの数百円
「これで何をすればいいんだ…」
感傷に浸っても金は増えることなく、天からの恵みとも言われる雨によって濡れる。天からの恵みであっても、今この状況を助けることは出来ない
ーー神に見放されたのだ。たとえ良い行いをしていたとしても、神は全ての人に平等。言い方を変えれば、助けることなどしないということ
教えて欲しいものだ。神よ、貴様は今何を思うか
そんな時、誰かが私に話しかけてきた
雨の音で聞き取りづらいが、女性の声に聞こえる。こんな雨の夜に女性がなんの用で私に話しかけてきたのか分からない。もしかしたら、借金取りかもしれない
「ねぇ、大丈夫?」
女性は絶えず心配の声をかけてくれる
だが、返す言葉は無い。借金取りであれば、容赦なく催促してくるから
…しかし、その声…どこかで聞いたような
「おーい○○。生きてる?」
はっきりと聞こえた。今、私の名前を口にした。苗字ではなく実名で
その時、記憶の海に垂らされた釣竿の糸がピンと張った
微笑ましい笑顔で、いつも周りに優しくしていた私の幼馴染。そして魅力的な美声で、今世間が注目しているトップアイドル…
「…そら」
「なんだ〜生きてるじゃん!雨の中空とにらめっこしてたから心配したよ〜」
昔と変わらない笑顔を見せる彼女。名前はときのそら
大人気アイドルグループ【ホロライブ】に属し、リーダーとして頑張っている歌姫だ
ーそんな彼女がなぜここに…
「さっ、帰ろっか」
「…帰るとは?」
「私のお家に」
「…は?」
意味もわからず、思わず声が漏れた私に、そらは丁寧に説明する
「は?って私のお家にきたくないの?」
「いやそうじゃなくてー」
「スペースのこと気にしてるのなら安心して!私のお家広いから!」
そう言って手を差し伸べて来るそら
…あぁダメだ。彼女を見ていると、嫌な記憶が蘇ってくる
『おおきくなったら、けっこんしてください』
幼い人の子の言葉であったが、その願いはすぐに打ち砕かれることを知る。母の不倫が発覚し、父親は母が残した借金を背負わされることとなった。私も生活が苦しくなっていくのを感じ取るようになった
私とそらでは釣り合わない。そのように思ってからは彼女との関わりを無意識に断つようになってしまった
彼女が私と出会わなければ、このような気持ちにはならなかった
ー無理だと知っているのに、好きだという気持ちが灰の中で燃える炭のように永遠に私の心にその存在を置く
「……私なんかがー」
「"私なんか"じゃない。君はとっても頑張り屋なことを私は知ってるから。たとえ世界中の人が君を敵だと思っても、私だけは君の味方だよ」
「………」
君はいつもそうだ
得意げな笑顔で心を開かせ、巧みな言葉遣いで心を虜にする。君の昔からの癖だ
ーもう私は誰も信じない。たとえ君が来たとしてもー
そう思っていたのに
再び君の顔を見た瞬間に私の決意は壊れ、あの時のー懐かしいあの感情が戻ってきてしまった
「…そら」
「?」
「…ありがとう」
「えへへ〜どういたしまして♪」
そうして私は彼女の手を握った
柔らかく、そして何事にも頑張ってきた女の子の手だった
次なる世界は…
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