俺は人気料理屋の息子。だが、俺としては料理屋の息子という肩書きに少し嫌悪感がある
なぜなら、将来は家業を継ぐと思われているから
『いいよな、お前は未来が決まってて』
そんな言葉多くかけられる。
親も俺が家業を継ぐものだと思ってるらしく、料理の学校に進めと口うるさくいってくる。その度に俺は我慢しなくてはならない
―俺だって自由な道があるはずだ。なぜその道に進むように言われなければならないのか
その雰囲気に嫌気がさした俺は親にそのことを話す
すると、親は俺の言葉に激怒した。お前にはここを継ぐ義務があるとかなんとか言い抜かし、俺の意見などとうの昔に捨てたようだった
「…ここにいるから…俺はその呪縛に囚われてるんだ…なら…」
そう思った俺は、ここを出る準備をする
この場所にいるから、世界が縮まる。世界が消えていく。ならば、消えるまでにその世界を見なければならない
俺は親の目を盗んで厨房に入り、しばらくのご飯となる握り飯を素早く作る。料理自体は嫌いではなかったので、簡単なご飯なら作ることが可能だ。俺が嫌いなのは、肩書きと呪縛のみ
「さて…行くとするか」
夜のご飯時。それは1番料理屋が成果を発揮するとき
その時に家から出ていけば、気づくことは無い
俺は難なく外に出ることが出来た
さて…これからどうしようか。親戚の家に行ったとしても、足がつくし、そこら辺で寝泊まりするのも悪くは無いか
幸いお金はある。お小遣いを渡されていたものの、使う機会がなく、溜まっていく一方だったから
「ひとまず、近くの公園に行ってから考えるか」
そう思い俺は歩みを始めた
公園についた
そこは街灯が少なく、暗くなって人気がない昼間とは別の世界のようだった
俺はベンチに座ってどうするかを考える
「家に戻るのは却下。寝泊まりはホテルかな。食料はコンビニで済ませるとして…」
その時、謎の声が公園に広がった
人では無い動物の声。しかも少し弱っているような声だった
「どこだ…?」
俺は公園内をくまなく探す
すると、名称のわからないドーム型の遊具の中にふたが開けられた段ボールがあり、その中に紫色の子猫がお腹がすいたように鳴いていた
俺は戸惑いながらも手持ちのペットボトルに入っている水をペットボトルの蓋に注ぎ、子猫に与える
本当ならミルクなどの方がいいのかもしれないが、生憎手持ちには何もない
水を与えたら、今度はご飯が欲しそうな声をあげる子猫。しかし…
「キャットフードもチュールも持ってないぞ…スーパーまで遠いから買いに行くわけにもいかないし――」
何を思い出したのか、俺は猫にご飯って大丈夫なのかと自問自答する
確かに昔は、ねこまんまなるものがあったそうだ。ご飯に味噌汁や汁物を合わせたご飯。今はキャットフードがあるため脚光を浴びることはなくなったものの、そういう文化があったのは事実だ
―猫の空腹を収めるには手持ちのおにぎりをあげるしかない。だがリスクが―――
「にゃーー」
「……負けたよ。ほら、これ食べれるか?」
俺は子猫の可哀想な声に負け、手元のおにぎりを少し崩して子猫に与えると、子猫は少し口をつけて安全な物かどうか確かめ、安全だとわかると、一口おにぎりを口に放り込んだ
すると猫は目をまんまるにして、残りのおにぎりもガツガツ食べ始める
―かなりお腹がすいていたんだな。と俺は子猫に安心を感じると同時に、自分の腹が鳴っている事にも気づく。子猫もまだ食べたそうだし、一緒に食べ食べることにした
数分経って、子猫は食べ終わって俺の膝の上ですやすやと寝てしまう
こんなにかわいい子がどうして捨てられているのかと。人の無責任さを感じる。まぁなにも言わずに家を飛び出した俺が言えることではないが
「にゃーーぁお…」
「可愛いな。俺が…お前の…」
その日の記憶はそこで途絶えた
次の日
「ん…重い…?」
体に重さを感じて俺は目を覚ます
目の前―というより俺の体の上にいたのは、紫色の髪の毛で猫のような耳を付けた全裸の女の子だった
「あ、起きたぁ?おはよ~」
「あ、あぁ、おはよう…?」
反射で挨拶をしてしまったが、この子は誰だ?
しかもなんで裸なんだ?状況が理解できないまま数分過ぎる。女の子は、俺の上にのっかったままあくびをしたり、また寝ようとしたりと猫のような仕草をする
ありえない話だと思うが、もしかしたらこの子は昨日の子猫なのかもしれない
それだったらいろいろと辻褄が合うし、裸なのも頷ける
でもなぜ…と思ったその時、女の子が起き上がろうとした
「ちょいちょい!!待てぃ!」
「ん?なんでよ~」
「君、裸なんだよ?」
そういうと彼女は、よくわからない顔をする
多分、裸がどういうことなのかわかっていないのだろう。俺は自分の持ち物から適当な服を選び、彼女に着せる。ここまでは警察のお世話になるし、俺の理性がマズイ
落ち着いたあと、彼女に話を聞くことにする
「よし…まず君は?」
「ぼくはぼくだよ?昨日ご飯くれたじゃん!」
「そ、そうだよな(?)じゃあなんで人間になってるんだ?」
「多分君のご飯がおいしかったからじゃないかな?あー食べたくなってきたなぁ~君のおいしいご飯♡」
話を聞いた結果。よくわからなくなった
まぁお腹がすいていたら結論も出せないし、とにかくご飯を食べることにした
おにぎりを出した瞬間に、少女の目はキラキラと輝く。そのことから彼女が昨日の子猫であることはすこし判明する
おにぎりを左に~右に~と移動させると、少女もそれを追って顔が動く
「もう~っ!いじわるやめてよ~」
「ごめんw面白かったからさwはい、これ」
「わ~い!」
パクパクとおいしそうに食べる少女
食べ終わったら今度は彼女が俺のことについて聞いてきた。だから俺は全てを話した
今までの生き様。友達からの視線。そして親の俺に対する態度などをすべて話す
すると、彼女はいきなり俺のことを抱きしめ、よしよしと頭を撫でてくれる
そしてすべてを肯定してくれて、思わず涙が出る。今までこんなに自分のことを考えてくれる人なんていなかった。故に初めて会った彼女にものすごく心が寄っていく
暫くして、俺は落ちつき、一度彼女から離れる
そしてこれからのことを考える。この子のことや、俺のこと。いろんなことを考えなければならない
「ぼくは~君がしたいことを応援するよ~?だって、ぼくはもう君のご飯にメロメロだからね♡」
「あははwありがと、"おかゆ"」
「?おかゆって?」
よくわからない顔をする彼女
俺は自分の口から出た言葉の意味を彼女に説明する
「君はおにぎり好きだから、おかゆって名前で呼ぼうかなと思ったんだけど」
「おかゆ…おかゆ!ありがとう!名前つけてくれて!」
「おかゆが俺のことを肯定してくれたお礼だ。さて…俺も決着をつけてこなくちゃな」
そう言って俺は立ち上がる
行先は…そう。忌み嫌っている実家だ
おかゆに全てを話して、おかゆが肯定してくれたから決心がついた。全て言い放つ。彼らの話なんて聞いてやるものかと
おかゆは後ろに着いてきながら不思議そうに当たりを見回す
どこか行きそうで少し怖さもあるものの、やっと実家にたどり着き、俺は玄関の前で鳴り響く心臓に押されて、少し玄関を開けることが出来ずにいると、おかゆが後ろから抱きついてきて、応援してるよ。と一言
その一言でも俺には力が湧き出るようだった
この世界では、元々おかゆんは子猫でした
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