「あははッ!!!今年の目標は?www」
「えー"生きること"ですwww」
「あはははっ!!!ヤバすぎだろwww」
(…また僕のこと言ってる)
何気ない教室の隅。机に伏せる僕
人間の陽なる集団は僕が決意した目標を馬鹿にしたような口調で笑い合っている
何も思いつかず、パッと思いついたその目標。それは間違いだったもは自覚している。だからこうして彼らが盛り上がっているのだから
このようにいじられるのはこれが初めてではない
以前からこのようにいじられていた。あまり深い関係ではない彼らからいじられるのは苦痛で、それをどうにかしようと平然を装おうとした結果がコレだ
―どこで間違えたのか。間違い探しは終わらない
僕は誰でなんのために存在しているのか――答えを見つけ、それを解決しようとしたらまた別の問題が発生してしまう
今日の日は鬼が出るか蛇が出るかと怯えて過ごすことしか考えられない
僕の生き様はどうしてこうなのだろう
これから生きて行く旅路はこのような物なのか?
人生は山あり谷ありというが、それが人の条理なのか?
(終わりが見えない苦痛…彼らに直接言えば火に油を注ぐように盛り上がると思うし…どうすればいいんだ…)
彼らは依然として盛り上がっている
自分が良ければそれでいいと考えているような彼らに話をすることは不可能。…いや、それが出来ればこんな事にはなっていなかった
―その時、他の集団からの声が僕の耳に届く
「聞いた?今日彗星が来るらしいよ?」
「知ってるけど…深夜1時とかでしょ?さすがに見れねぇわ」
「お前が見れるように彗星に願い事してやろうか?www」
彗星に願い事…僕はそれにかけてみることにした
馬鹿だろうと思うだろうけど、神頼みぐらいしか心の拠り所はない
昔の人々もこのようにして谷を乗り越えたのだろうか…
そして真夜中になり、僕は外へと出た
雲ひとつない晴天。星々は僕という小さな存在をいっせいに照らしているかのように見える
あの星たちは、1番では無いというのに光り輝いている…なのに僕は…と少し感傷的になってしまう
―ふぅ…と一息つき、夜空を見上げ願いを心で唱えた
(どうか…僕の苦痛が晴れますように―――)
その瞬間、暗い空に眩い光が飛び交った
そして―――
――そして僕は見た
みんなが寝静まり、誰もいなくなった街の頭上を染めたあの彗星を
それは見れば見るほど美しくて、心に燻ぶった不安や悩みを消し去っていく
そしてその光から歌が聞こえてくる。綺麗で力強い歌声――
自分という存在を証明するかのように。彗星は誰もいない夜の空を尾羽を引いて駆けて行った
自分というモノを証明できない僕とは全く違う
「……とても綺麗な歌声だ…」
気づけば僕は駆け出していた
いずれ去ってしまうあの彗星にすこしでも近づくために真夜中の街を駆けた
どうすればあの星に近づけるのだろうか。自分の存在を証明できるのだろうか
必死になって追いかけながら
―どうすれば…どうすれば…と聞きたいのに分からない。星は答えてくれずに消えてしまった
次第に足は止まり、下を向いて冷たい地面に接して座り込んでしまった
そうだ。これは単なる自然現象で、僕はストレスで精神に異常をきたしているんだ。この歌声もきっと幻聴で、僕にしか聞こえてないものなんだ。そう思うとなんだか情けなくなってきた
涙が瞳からこぼれ落ちる。
彗星に向かってどうすれば自分を証明出来るかなんて分かるはずもない
ましてやこの何十億という人間の中で、ただ僕にだけ教えてくれるなんてー
『幻じゃないよ』
その声は明らかに僕に向けたものであった
慌てて僕は顔を上げると、そこに居たのはピカ〜っと発光する女性であった
色は見えない。逆光と言うべきか白飛びと言うべきか…シルエットすらも透明だが…この女性は先ほどの彗星なのだろうか…?
「まぼ…ろしじゃ…ない?さっきの彗星…?」
『うん。幻じゃない』
「ど、どうして僕の前に…」
僕のその問に、女性はしゃがみこんでこう返した
『初めて私の歌声を君が褒めてくれたから。恩返ししなきゃな〜って思ってね。困ってるみたいだし』
僕は心から思ったことを言っただけだと言えば、女性は少し笑って初めてそんなこと言われたと話してくれた
『私は定期的に今日みたいに歌を歌ってるんだけど、夜だから誰も聞いてくれないし、見てくれない。まるで幽霊になっちゃったみたいに』
「幽霊…」
『でも君は聞いてくれたよね?質問もしてくれてたな〜確か〜…自分の存在証明のことについて。だっけ?』
―声が届いていた。それだけでも満足ではあるが、女性はもっと続けた
『正直に言えば…私にもわからない。私が私である証明なんてものは私も証明できてない。でも――私は私が伝えたいことを歌に乗せるだけ。誰も見ていなくたっていい。無名だって構わない。きっと私を見つけてくれる人と出会える。実際、君に出会えたしさ!』
それが彼女が歌う理由
この真夜中に。誰もいない夜の空を染める彼女が歌う理由であった
誰も見ていなくても、無名でも構わないが歌い続けるというのは、苦痛が伴うと思うのだが…それでも続けられるのは、未来に願いを託してるからだろうか
「すごいですね…他人を気にしてしまう僕とは違う…」
『他人を気にして自分を出せない君に、すいちゃんから一言あげる。彗星が流れる時は一瞬だけど、その瞬間は他の星よりも遥かに光り輝くんだ。だから君も彗星みたいに一瞬でも光り輝けば、その時は誰かが君を見てくれるから心配しなくても大丈夫。』
そう言って女性は僕のことを見てにっこりと笑った
今までシルエットでしか見えなかった彼女の笑顔は、もうじき顔を出す朝陽の光によっとても鮮明に見える
そして体が半透明になっていくのも確認できて、なんだか寂しく感じていると、彼女は別れを惜しみながらも口を開いた
『…夜明けだね』
「もしかして…もう会えないですか…?」
『今日のところはね。すいちゃんは夜に輝く星だからもうお別れ。でも忘れないで、君は私の事を見つけてくれた。この広い夜空で私だけを見つけてくれた。だからきっと君も大丈夫』
その言葉を聞くと少し心が安らぐ感じがする
―たった今わかった。僕は彼女を見つけたことによって彼女の存在証明をし、反対に彼女も僕を見つけてくれたことによって存在証明されるということを
どおりで自分では分からないわけだ
「…僕も…貴女のようになれますか…?」
『…なれるよ、きっと。そうだなぁ〜もし、私の歌がお気に召したって言うんだったら――』
『――みちづれにしてあげる』
そう言って彼女は朝陽の光を浴びるのと同時にふわっと消えてしまった
幻か妖だったのかもしれない
でも、彼女のおかげで僕の生き様に光が差し込んだ
彼女は僕の憧れの存在であり、暗い闇夜を照らす光
夜はまた会えるように星を詠もう。一等星の光―――いや、何等星の光だって他人に遠慮せずに生きている
僕は、あのすいせいのように他人に自分の願いを伝えられる星になりたい
六割方実話です。私が星街すいせいさんに憧れている理由です
次なる世界は…
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