SDガンダム物語(ストーリー)   作:千生鉄斗羅

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お待たせしました、第2話です。
最初に書いたものは、ちとIQが低すぎるなと思ったので、全面的に書き直しました。


第2話 超将軍の出立

「なりません!」

 烈帝城に、姫天(ヒテン)の声が響く。だが、そんな声には耳を貸さず、飛駆鳥(ビクトリー)は城内を一直線に駆ける。

「闇軍団が動いてるんだろ!? だったら、今は一人でも多くの戦力が必要な時じゃないか!」

「だからと言って、あなたが出しゃばる必要はありません! よいですか飛駆鳥(ビクトリー)、今のあなたが戦場(いくさば)に出たところで、無駄死にするだけです! 大将軍の息子が、そんな死に方をして、誰が喜ぶというのです!?」

「やってみなくちゃわかんないだろ!」

 飛駆鳥は、大将軍の間に辿り着いた。襖をたたき、新世大将軍に直談判を試みようとした。だが、彼は踏みとどまった。なぜか? 中から、知らない男たちの声が聞こえてきたからだ。

『──というわけで、我々は趙将軍に選ばれたのです』

『なるほど、わかった。では、君たちの他にまだ三人いる、ということだな? どこにいるかは判らぬが』

『はい』

『では、君たちを正式に超将軍と認めよう。悪無覇域夢山(アナハイムさん)に向かうがいい!』

『御意!』

──ようし、これだ!

 飛駆鳥(ビクトリー)は、彼らについていくことに決めた。

 

∀∀∀

 

「雷鳴殿、と言ったか」

「将頑駄無(ガンダム)様」

 雷鳴に声をかけたのは、真駆参(マークスリー)である。

「一体、どのような御用向きでしょうか?」

「いや、たいしたことではないのだが、どうも貴殿に見覚えがあってな」

「・・・ほう?」

「二代目頑駄無(ガンダム)大将軍をご存知か?」

「ええ。私も、彼の生まれ変わりではないかと噂されていましたので」

「・・・そうか。いや、もちろん気のせいだろうとは思うのだが、私はかつて、貴殿に仕え、叛逆し、雷に打たれ死んだ。そういう記憶があるのです。誰とも解らぬ、だが自分のものではない記憶! 貴方を見た瞬間、それが甦った! この感覚はなんだ、この主は誰だ! 私は今は、新世大将軍に忠誠を誓った身。しかし、違うと何かが叫んでいるのです! 貴殿なら、何かわかるのではないか!?」

 焦燥に駆られた真駆参(マークスリー)を、雷鳴は、ただ黙って見ているしかできなかった。

 そして、それに返すべき言葉も、どんな美辞麗句も、この時ばかりは浮かんでこなかった。

 

∀∀∀

 

 そんなわけで、超将軍たちは悪無覇域夢山(アナハイムさん)に向けて足を進めることとなった。

 その後ろには、もう一つの人影が見える。そう、飛駆鳥(ビクトリー)である。

「・・・しっかし、いきなり超将軍とか言われてもなー」

「うむ、我等だけで何ができようか」

 彼らからしてみれば、超将軍といっても、所詮は謎の存在に強引に押し付けられた役目でしかない。なんで自分が・・・、と思うのも当然だろう。

「・・・まだついてきますね」

「もうほっとけ、いくら大将軍様のご子息だろうと、特別扱いする必要は()ェ」

 彼らは飛駆鳥(ビクトリー)に、再三烈帝城に帰るよう進言した。だが、いくら言っても飛駆鳥(ビクトリー)は聞かないため、彼らは説得を諦めたのである。ちなみに、彼らと飛駆鳥(ビクトリー)は、雷鳴を除いてタメ口で話せるようになっている。これは、飛駆鳥(ビクトリー)が堅っ苦しいのが苦手だからである。雷鳴が敬語を使うのは、それが生来の気質だからだ。

「まあ、何事もなく辿り着ければよいが・・・」

 獣王がそう言った時である。

「フハハ、お前たちが超将軍か」

「何者!?」

「我が名は、九尾犬(バウンド・ドッグ)! 大蛇飛駆塞虫(オロチビグザム)様の(しもべ)なり!」

「なんだって!? お前は、お前たちは確か父上が倒したはず・・・」

 そう、九尾犬(バウンド・ドッグ)たちは、かつての爆火炉忍亜山(バビロニアさん)での戦いの中で、武者衛府弓銃壱(エフキュウジュウイチ)、武者激闘頑駄無(ヘビーガンダム)、武者全武装頑駄無(フルアーマーガンダム)最強破壊砲(グレートバスターキャノン)によって、主人諸共完全消滅したのである。

「多分あれでしょう。十五年ほど前に起こった戦いにて出現したという・・・死霊武者!」

「その通り。この手で衛府弓銃壱(エフキュウジュウイチ)たちを殺せぬのは残念だが、そちらには我が軍団のものがすでに向かっている!」

 九尾犬(バウンド・ドッグ)は、自分がすでに死んでいることを自覚している。だが、その認識は死んだ時のままだ。にっくき衛府弓銃壱(エフキュウジュウイチ)が今や大将軍であることを、彼は知らない。教えられてもいない。

「なんだって・・・、父上!」

「ぬ? 貴様、あの衛府弓銃壱(エフキュウジュウイチ)の息子か? ならば、ここで貴様を縊り殺すまでよ!」

飛駆鳥(ビクトリー)!」

 襲いかかってきた九尾犬(バウンド・ドッグ)に真っ先に対応したのは、天地である。口では邪険に扱っているものの、彼の心根は非常に優しく、それゆえに多くの子分を抱えているのである。

「防いだか。だが、それを織り込まぬほど愚かではないぞ!」

 そう叫ぶと、なんと九尾犬(バウンド・ドッグ)は尻尾を射出した。

「あやつ、何をする気だ・・・?」

「! どうやら、徹底的に潰しにかかって来てるみてーだな」

 九尾犬(バウンド・ドッグ)から放たれた尻尾は、その一つ一つが尻尾のない彼の姿になった。そう、分身である。某キャス狐のアレと似たようなものと捉えてくれればよい。だが、向こうと違うのは、完全に同一な存在であるということである。まあつまり、簡単に言うと複製体(クローン)である。

『フハハ、もはや私から逃れることはできぬぞ・・・。大蛇飛駆塞虫(オロチビグザム)様の手を煩わせるまでもないわ!』

「おのれ・・・。しかし、必ずどこかに本体がいる筈。そこを叩けば・・・!」

『残念だったな。私は、全てが分け身で全てが本体なのだ』

 それを聞いた雷鳴は、思わず笑みを浮かべた。

『何がおかしい!』

「はっはっは、これを笑わずにいられようか! 自ら弱点を曝け出すなど愚の骨頂! それは即ち、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!」

 そう、雷鳴は、本体が存在しないというのなら、まとめて全部ぶっ飛ばして仕舞えばいいという、おおよそ優雅とはかけ離れた策を思いついたのである。爆雷を一斉掃射した。

 まあ、それはいい。それはいいのだが、いかんせん相手が悪い。九尾犬(バウンド・ドッグ)は、地上最強編のコミックワールドでは激闘頑駄無(ヘビーガンダム)の牽制に、衛府弓銃壱(エフキュウジュウイチ)の厳命の弓であっけなくとどめを刺された(所要コマ数・わずか四コマ)ために弱く見られがちだが、彼は大蛇飛駆塞虫(オロチビグザム)()()()()()()()()()()。強化形態を持たない彼らに、瞬殺できる道理はない。

 案の定、九尾犬(バウンド・ドッグ)たちは無傷だった。

「なんと・・・!」

『フハハ、激闘(ヘビー)がここにいれば少しは違っただろうが、今の貴様らでは我らを倒すことなどでき──ぬぅ!?』

 その時、なんと九尾犬(バウンド・ドッグ)の一体が悶えた。見ると、そこには烏賊の足のようなものが絡みついていた。

破異-武立闘(ハイブリット)みたいな見た目をしてるけど、困るなあ。そうやって、弟の軍団に手を出されたら」

 そう言いながら、烏賊の足を戻す影が。その名は、火威獣丸(カイジュウマル)。通称トノ。幼い頃に円従烏賊(マルジュウイカ)に和平の使者として送られ、そのまま森の中で育った大将軍の長男たる野生児である。

「兄上、この人たちの何人かは天馬(ペガサス)の国で見た覚えがあります。それに、周りを見た限りここは過去の天宮(アーク)かと」

 猫耳武者がそう言う根拠は、ただ一つ。埼玉で行われた武者バトルに参加していたのを見た、と言うものだ。この時は、超時空転移装置(ブットビシステム)によるものだとわかっている。

「うーん、そうかぁ・・・。誰がこんなことをしたんだ? 戻ったら調べてくれるかい、ワカ」

「もちろん! それよりまずは、目の前の敵から片づけましょう!」

 そう言うと、ワカと呼ばれた猫耳の武者は鬼の鎧を召喚した。本来であれば、現在の彼は大将軍である。だが、時空を超えた影響により、不思議の鎧などは使用不可になってしまったのである。

「鎧召還! 鬼変化!」

 これぞ、ワカこと若神丸(ワカマル)が戦うための姿である。元は號號(ゴーゴー)頑駄無(ガンダム)の鎧だったが、それはもう過ぎた話である。一方の火威獣丸(カイジュウマル)は、相棒の円従烏賊(マルジュウイカ)融合強友(ユウゴウゴウユウ)──要するに、鎧として身に纏っている。幼い時分で生き別れた二人だが、そのコンビネーションはさすが兄弟というべきか、目を見張るものがある。

「お主ら、何者!?」

「俺っちの名は火威獣丸(カイジュウマル)! そしてこっちが・・・」

珀神丸(ビャクシンマル)大将軍──じゃなくって、若神丸(ワカマル)!」

「大将軍、だって!?」

「貴方は・・・そっか。今はまだ、そうじゃない。だけど、自分の力を信じて戦えば、道は拓ける」

「一体何を言って・・・!」

『ゴチャゴチャと御託を並べる暇があるか!』

 九尾犬(バウンド・ドッグ)が、飛駆鳥(ビクトリー)に爪を立てた。

「ワカ!」

「わかってます!」

 火威獣丸(カイジュウマル)は、烏賊の脚を伸ばし、飛駆鳥(ビクトリー)を退避させた。

「うわー!?」

「今のうちに!」

 砕厳頑(サイガンガン)は、鬼の鎧に付属する棍棒のような形の武具である。棍棒、バズーカ、そして刀と、一粒で三度美味しい武器だ。若神丸(ワカマル)は、今回バズーカとして活用し、九尾犬(バウンド・ドッグ)を牽制した。

「君たちも一旦退避して!」

「わ・・・わかった!」

 超将軍一行は、火威獣丸が怒裏留利土(ドリルリド)で掘った簡易塹壕に退避した。

『フハハ、それで逃げたつもりか!? この九尾犬(バウンド・ドッグ)から逃れることはできんぞ!』

「・・・と、言っていますが」

「そもそも、貴殿らは何者か」

 雷鳴、獣王である。自分たちの窮地を救ったとはいえ、素性もわからぬ者を信用せよと言うのは到底無理な話だろう。

「そうですね、まずは何者なのかをみなさんに知ってもらわないと」

 そう言って、ワカたちは自己紹介を始めた。

「まず僕は、若神丸(ワカマル)と言います。未来から来たんですが、そっちでは珀神丸(ビャクシンマル)大将軍を名乗ってます」

「そして俺っちが火威獣丸(カイジュウマル)。ワカの兄貴で、ちっちゃい頃に、和平の証に円従烏賊(マルジュウイカ)に引き渡されたんだ」

「そう、それなんだ。大将軍だって? 今の大将軍は、俺の父上なはずだけど・・・」

「だから、俺っちたちは未来から来たんだって。その証拠に、ここにいるアンタたちの名前は聞かずに言える。よな、ワカ?」

「モチロンです。ええと、そこ鬼面の方は荒鬼(コウキ)さん、大きな大砲を背負ってるのが雷鳴さん、聖獣の兜を被ってるのが獣王さん、大きな羽を持ってるのが天地さん、胸に鳳凰(フェニックス)の飾りがあるのが飛駆鳥(ビクトリー)さん、ですよね?」

『せ・・・正解・・・』

 全員、納得せざるを得なかった。

「それなら、なぜ過去にわざわざやってきたのです?」

「その理由は、よくわかってないんだ。超時空転移装置(ブットビシステム)の影響かとも思ったんだけど、是断(ゼダン)の門は接近してないし、本当にわからないんだよ」

超時空転移装置(ブットビシステム)・・・?」

「簡単に言うと、天宮(アーク)・・・と言うかこの世界から、時空を超えて別の世界に転移する装置なんです」

「ふむ・・・。で、その転移した先が天馬(ペガサス)の国だった、と」

「そういうこと。なんだけど、今回はどうも事情が違う気がするんだよ。飛び込んだんじゃなくて、飛ばされたっていうか・・・。まあ、それはどうでもいいんだ。問題は、あの九尾犬(バウンド・ドッグ)をどう倒すかって話」

「そういえばそうだった・・・!」

 飛駆鳥(ビクトリー)としては、超将軍たちに自分の実力を認めてもらいたいので、自分一人で倒したいという気持ちはある。そこには、父親を超えたいという思いも当然ある。だが、あんなものをどうやって倒せばいいのか。未熟な彼では、思いつけなかった。

「・・・父上が戦った時には、あんな能力はなかったはず」

 飛駆鳥(ビクトリー)がぼそりと呟いた。幼少期に、新世大将軍──衛府弓銃壱(エフキュウジュウイチ)から聞いていたのである。その時は、最強形態で見事迎え撃ったという。

「だが、ここで力を使いすぎるわけにもいくまい。悪無覇域夢山(アナハイムさん)への旅路は、長く険しいのだから」

「できる限り、速攻をよしとすべき、ということですね」

 獣王に、雷鳴が同調する。

「あの分身さえなんとかできればいいんだが・・・」

「大抵の場合、ああいうのってどっかに本体がいるってのが定石だろ? あいつの弁を信じれば、それが通用しないってこった」

「・・・それなら、全部同時に倒して仕舞えば・・・!」

 それは、雷鳴がやろうとして失敗した考えだ。

飛駆鳥(ビクトリー)?」

 すっくと飛駆鳥(ビクトリー)は立ち上がった。

「俺がやります!」

「無茶言うな! お前はまだ未熟だろう!? それに、初めての実戦がこんなんって、お前、そりゃあ難関がすぎるぞ!」

「それでも! 俺だって、戦えるんだ!l

 飛駆鳥(ビクトリー)は、塹壕を単身飛び出した。

「あのバカ! だから子供は嫌いなんだ!」

 天地も、後を追った。

「だがまあ、動かないよりは動いたほうがいいだろ!」

 荒鬼(コウキ)も、飛び出した。

 

∀∀∀

 

 一方、こちらは烈帝城。

「襲ゥー撃ィーだァー!」

「者ども、出会え、出会え!」

 襲撃者が、一人。青く光る鬼面に、左右非対称の外套。彼の名は、織田信長。本能寺の変で亡くなった後、この世界に転生し、そして呪術師遮光(シャッコー)の術中に嵌ったのである。

 陣頭指揮を執るのは、副将軍にして轟天の弟、魔星(マスター)である。たった一人に大袈裟な、と思うかもしれない。だが、あの織田信長である。ぐだぐだしている時ならばいざ知らず、一切のボケもおふざけもない、完全シリアスモードの信長である。全戦力で潰しにかかっても不十分ではないかと言えるくらいである。唯一の救いは、三千世界(サンダンウチ)などをぶっ放してくるわけではないという点である。作品が違うというのは、愛嬌というものだ。

「貴様、何者だ!」

「我名は、第六天魔王! 織田信長よ! 大将軍を出せ!」

「何が目的だ! 大将軍様を攫おうなどと!」

「それが呪術師殿の望みとあらば!」

 そう言って、信長はへしきり長谷部を抜き放つ。鈍く光る刀身は、魔星(マスター)を狙いすましていた。

「! 風雲再起!」

 風雲再起とは、魔星(マスター)の従える三羅将──元は魔界の武者だったが、魔星(マスター)と殴り合って配下になった──が合体して誕生する馬だ。

「ほう、避けたか。我一撃を避けたと申すか!」

──なんだ? あの、おぞましき光は・・・。まるで、焔のようだった・・・。

 信長の腕には、まるで鉤爪のような盾と触腕(鞭?)が備わっていた。先ほどまではなかったはずのものだ。

「なんと奇怪な・・・!」

「奇怪なのはそちらであろう。光に属するくせに、なぜ魔界の将を配下とする?」

「こやつらは・・・」

『我ら、魔界より出し時に魔星(マスター)殿と撃ち合い、そして敗北を喫した!』

『そう! そしてその時に、私たちは魔星(マスター)殿に心の底から惚れ込んだのである!』

『それ以来、僕たちは魔界から足を洗い、頑駄無(ガンダム)軍団に属することを決めたのだ!』

「ふむ、余程人望があるように見える・・・」

 賞賛しつつ信長は、蒼き焔を刀身に纏わせた。

「食らうがいい! この一撃を以て、貴様らを灰燼に帰すとしよう! 思う存分牙を剥け、へし切り長谷部!」

「ぬう! 全力で回避せよ!」

『了解!』

 風雲再起は、信長の一撃を間一髪で回避した。だが、彼らがいた場所は、文字通り灼熱にて焼き切られていた。近くの兵士たちに損害はなかったものの、興味本位で近づいた者は「うっわあっち!」と火傷していた。

「なんとこれは・・・。斯様な武士(モノノフ)がいようとは、予想だにしなかったぞ・・・!」

『このような者は、魔界にもおりませんでした・・・!』

「なんと・・・! それほどまでか・・・!」

 自らの敗北を覚悟した魔星(マスター)だったが、その時。

「待てぃッ! 我こそが、当代の大将軍であるぞ!」

 烈帝城から、叫ぶ声が聞こえた。そこにいたのは──

 

∀∀∀

 

「ほう、たった三人で何ができる!?」

 九尾犬(バウンド・ドッグ)と対峙するは、飛駆鳥(ビクトリー)荒鬼(コウキ)、天地だ。

「なんでえなんでえ! そっちこそ人数を水増ししやがって!」

「単体での実力は無に等しいと見た!」

「父上たちがお前を倒したんだ、息子の俺だって!」

 そう言うや否や、彼らはテンデンバラバラに飛びかかった。それぞれ、分身体を三体ずつ相手している。

 飛駆鳥(ビクトリー)は、九尾犬(バウンド・ドッグ)に出鱈目に太刀を打ち付けている。しかし、それは九尾犬(バウンド・ドッグ)に軽やかに回避されるだけだ。

「おおお!」

「フッハハハ、未熟なり飛駆鳥(ビクトリー)! 衛府弓銃壱(エフキュウジュウイチ)の息子というから少しは期待したが、所詮はこんなものか!」

「なん、だとォ・・・!」

 飛駆鳥(ビクトリー)は、武芸に関しては天賦の才を持っている。しかし、それを実践で活かすには、まだ経験不足なのだ。実際の合戦形式での訓練は、まだしたことがない。

飛駆鳥(ビクトリー)! 相手の言葉に惑わされんな! 心の目で見ろ!」

「心の、目で・・・」

「スイカ割りの要領だ! 目でも隠してやってみろ!」

 荒鬼(コウキ)たちが檄を飛ばす。天地のいうスイカ割りとは、かつて殺駆(ザク)三兄弟が得意とした戦法、スイカ割り殺法のことである。目隠しをして視界を遮り、心の目で敵を見て、切る。そういう技なのだが、彼らはそもそも心眼というものを会得していなかったため、失敗続きだったものだ。

「・・・ようし、これも修行のうちだ! やってやるぞ!」

 そう言うと、飛駆鳥(ビクトリー)は持っていた手拭いを目に巻きつけた。

──感覚を研ぎ澄ますんだ・・・。敵は、すぐそこにいるんだ・・・。

「いよいよ自殺か!? いいだろう、ならばこの手で、地獄に送ってやろう!」

 九尾犬(バウンド・ドッグ)は、分身体を撤退させた。

「な!?」

「まさか、全力を分割していたってわけか・・・!」

 そのまま彼は飛び上がり、飛駆鳥(ビクトリー)に狙いを定めた。

「その通り! そして今、光の子を葬る時が来たのだ! くらえ、九尾爆砕弾!」

飛駆鳥(ビクトリー)ィーッ!」

 九尾犬(バウンド・ドッグ)は、再び尾を切り離した。ただし、今回は分身を作るためではない。ミサイルとして、確実に飛駆鳥(ビクトリー)の息の根を止めるために放ったのだ。

「!」

 飛駆鳥(ビクトリー)は、九尾爆砕弾を切り払った。そして、九尾犬(バウンド・ドッグ)に向けて、飛翔を開始した。

「な、なんだと!? わが九尾爆砕弾が破られるとは・・・!」

 呆気に取られる九尾犬(バウンド・ドッグ)に向けて、飛駆鳥(ビクトリー)は刀──烈旋丸を抜き放つ。

「くらえ、飛燕竜巻返し!」

 烈旋丸に彼の精神力を込め、竜巻の形で放出するその技は、見事九尾犬(バウンド・ドッグ)に命中した。

 竜巻は、九尾犬(バウンド・ドッグ)の体をジリジリと削っていく。それだけではなく、体も捻れていく。

「ぐ・・・ぬあああああ!!!」

 断末魔の叫びをあげ、九尾犬(バウンド・ドッグ)は爆散した。

「・・・」

 飛駆鳥(ビクトリー)は、数秒放心した。

飛駆鳥(ビクトリー)・・・?」

「・・・や・・・ったあああああああああああああああああ!!!!!!!!」

「うおっ吃驚(びっくり)

 飛駆鳥(ビクトリー)は、勝利の雄叫びを上げた。始めて、自分で倒した敵。その達成感たるや、半端なものではないだろう。

 

∀∀∀

 

 我こそが大将軍である。そう叫んで現れたのは、真駆参(マークスリー)だった。

「なんだと!? なぜ、お前が!?」

 魔星(マスター)は驚愕するが、すぐにその意図に気づいた。

「そういうことか・・・。やりおる!」

「ここは任せてもらうぞ、魔星(マスター)!」

 真駆参(マークスリー)は、そう言いながら信長の前に立ち塞がった。

「貴殿、織田信長と言ったな」

「その通り。お主が大将軍か?」

「いかにも。貴様が求めるものは、この私なり!」

 信長は、一つ疑念を抱いた。

「ならばなぜ、貴様には頑駄無結晶(ガンダムクリスタル)がない!? 大将軍ならば、それがあるはずだ」

 しかし、それに対する回答はすでに考えてある。

「天の島の落下。それに伴ってか、鳳凰(フェニックス)は死んでしまったのだ。その影響で、結晶(クリスタル)が砕けたのだ。故に、今の私は何もおかしくはないぞ」

「・・・そうか。ならば、力は弱化しているはず。ここで縄につかせてやろう!」

 信長は、真駆参(マークスリー)に向けて光の鞭を放った。鉤爪のようなそれは、正確に真駆参(マークスリー)の胸を貫いた。

「・・・な・・・に・・・?」

「将・・・大将軍様!」

 その一撃は、真駆参(マークスリー)の意識を容易く奪った。

 魔星(マスター)も、彼があたかも大将軍であるかのように振る舞う。ここで、烈光を失うわけにはいかないのだ。そのため、真駆参(マークスリー)が身代わりを買って出たというわけだ。ちなみに、本物の大将軍=烈光は、烈帝城の地下に閉じ込められている。大将軍なのに、ぞんざいな扱いであるが、まあ緊急時なので仕方がない。

「呪術師遮光(シャッコー)様の名により、貴様を捕える! そして、その目的は今、達されり!」

 信長は霧のように消えた。あらかじめ、遮光(シャッコー)に術式を与えられていたのだろう。

 異世界より現れた武人により、烈帝城は一時危機にさらされた。そして、真駆参(マークスリー)を失ってしまった。

 どうなる頑駄無(ガンダム)軍団!?

 そして、飛駆鳥(ビクトリー)たちの旅路にて、待ち受ける者たちとは!?

 次回を待て! BY TETORA




いかがでしたか?
信長が真駆参(マークスリー)を攫った場面ですが、なぜ彼が大将軍を名乗ったのかまずお話ししましょう。軍団としては、モノホンの大将軍を失うわけにはいきません。影武者が必要です。しかし、そんな者用意していなかった。そこで急遽名乗りをあげたのが真駆参(マークスリー)なんですね。彼は一度、鳳凰(フェニックス)に強制的に大将軍にされています。その鎧はまだ残っているでしょうし、その力も残滓レベルで残っているはず。そして何より、真悪参(マークスリー)の布石にしたい。そんなわけで、こうなりました。
続いて、ワカとトノについて。この兄弟、一緒に出したかったんですよね。◯伝の情報は、説明書の漫画と公式サイトからくらいしか得られないのでちょっと苦労しましたが、私の中では彼らはこんな感じです。珀神丸(ビャクシンマル)大将軍、つまり原作終了後。なのに、鬼の鎧しか装着できない・・・。どうしてこうなったのかについては、実は何も考えていません。これから考えます。
最後は、九尾犬(バウンド・ドッグ)について。だって、いきなり大蛇飛駆塞虫(オロチビグザム)はきついと思うんですよ。前菜なしでいきなりメインディッシュを食べさせられるようなものです。まあ、コミックワールドでは大蛇飛駆塞虫(オロチビグザム)→千力の順でしたが、それでもやっぱりチュートリアルというか肩慣らしは欲しい。そんなわけで、出しました。分身能力だとか九尾爆裂弾だとか、そういうのは完全にオリジナルです。
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