ゼロカラワカツイセカイセイカツ   作:萎える伸える

32 / 34
第二十七.二話『月と太陽の物語』第三昇【呪術】

◆◇◆

 

 

 ロストブルーにおいて、強いということは、それだけで正義だった。

 

 もちろん、そんなものは綺麗な意味ではない。

 誰もが納得する大義でもなければ、胸を張って掲げる理念でもない。

 ただ、強ければ奪われない。

 強ければ殺されない。

 強ければ道を開けられる。

 そういう、獣じみた単純な理屈だった。

 

 故に、ロストブルー最強の男、ノインを連れてアインツの元へ戻ったとき、ソルは内心で少しだけ思っていた。

 これで話が進む、と。

 アインツは、ノインを連れてこいと言った。

 最強を手懐けろと言った。

 この地下で最も強い暴力を味方にしろと言った。

 

 だから、その試練を越えたのなら、次はアインツが力を貸す番だ。

 そうでなければ筋が通らない。

 そう思っていた。

 

 甘かった。

 

「次は、呪いを学べ」

 

 アインツは当然のように言った。

 その言葉を聞いた瞬間、ソルは本気でこの男の顔面を殴ろうかと思った。

 

「……あ?」

 

「聞こえなかったか。呪いを学べと言った」

 

「いや、聞こえたよ。だから聞き返したんだよ。お前、今なんつった?」

 

「呪いを学べ」

 

「その前に言うことがあるんじゃねぇのか」

 

「よくやった」

 

「雑だな」

 

「おめでとう」

 

「そういうことじゃねぇよ」

 

 薄暗い部屋に、ソルの苛立った声が響く。

 

 壁際では、ノインが腕を組んで面白そうにそのやり取りを見ていた。

 ツヴァイはノインの隣で、どこか眠たそうにしながらも、時折ソルとアインツを見比べている。

 

 アインツはいつもの椅子に腰掛け、古びた本を膝に置いていた。

 その本の正体を、ソルはまだ知らない。

 ただ、それが普通の本ではないことだけはわかっていた。

 ロストブルーの湿気にも、埃にも、血にも、時間にも侵されないような、不気味な存在感がある。

 

 アインツはその表紙を指先で撫でながら、視線だけをソルに向ける。

 

「ノインを連れてきた。それは評価しよう」

 

「だったら――」

 

「だが、暴力だけでは救えん」

 

 遮るように、アインツは言った。

 その声は静かだった。

 静かで、冷たくて、反論の余地を最初から潰すような声音だった。

 

「この地下は暴力でできている。だから、まず暴力を味方につける必要があった。だが、それだけでは足りない」

 

「……」

 

「お前が相手にするのは、路地裏の喧嘩自慢ではない。酔っ払いでも、盗賊でも、縄張り争いでもない」

 

 アインツの目が、わずかに細くなる。

 

「ロストブルーそのものを潰す災厄だ」

 

 ソルの眉が、わずかに動いた。

 まるで、見てきたような口ぶりだった。

 

 その未来を知っているのは、自分だけのはずだ。

 なのにアインツは、驚くほど迷いなく言い切った。

 なぜ、そこまで知っている。

 問い質したい衝動を、ソルは奥歯で噛み潰した。

 

 今はまだ、この男に答えさせるだけの手札がない。

 だが、ノインを仲間にしただけで届くのなら、ここまで来る必要などなかった。

 

「ただ殴れば勝てる相手ではない」

 

「……で、その呪いってのはなんだ」

 

「フューリーに学べ」

 

「誰だよ」

 

「呪術師だ」

 

「ロストブルーに、そんなまともな術師がいるのか」

 

「まともではない。だが、優秀だ」

 

 アインツは短く言った。

 

「そして、お前に必要なものを教えられる」

 

「何を」

 

「力の扱い方だ」

 

 ソルの眉が動く。

 

「力ならある」

 

 そう言って、ソルはノインを見る。

 

「あるだけでは意味がない」

 

 アインツの返答は鋭かった。

 

「お前は今、盗みで培った悪知恵と、多少の度胸で無理やり未来に食らいついているに過ぎない。ノインを動かしたことで暴力は得た。だが、お前自身はまだ弱い」

 

「……随分はっきり言いやがる」

 

「事実だからな」

 

 アインツは淡々と続ける。

 

「お前は、敵が見えれば戦える。殴られれば避けようとする。奪われれば取り返そうとする。だが、それでは遅い」

 

「遅い?」

 

「失ってから学ぶ者は、失う前に救うことができない」

 

 ソルは黙った。

 その言葉は、不快なほど正しかった。

 

 ソルは失敗して学ぶ。

 どこで崩れるか。

 誰が死ぬか。

 何が間違いだったのか。

 どうすれば、一秒だけ先へ進めるのか。

 

 失って、戻って、積み上げる。

 だがそれは、失わなければ学べないということだ。

 誰かが死んでからでなければ、正解を知れないということだ。

 

「呪いは、予測を補う。力を補う。手数を補う。お前が見えないものに触れ、届かないものへ干渉するための技だ」

 

「……」

 

「学べ、ソル」

 

 アインツは、初めてソルの名を強く呼んだ。

 

「お前が本当に未来を変えるつもりなら、暴力を味方につけるだけでは足りん。呪いを学び、力を制御しろ」

 

 沈黙。

 ソルはノインを見る。

 ノインは何も言わない。

 好きにしろと言わんばかりに、壁へ背を預けている。

 

 ツヴァイは首を傾げた。

 

「呪いって、こわい?」

 

「怖いに決まってるだろ」

 

 ソルが答えると、ツヴァイは「そっか」と呟いた。

 

「でもソル、怖くてもやるんでしょ?」

 

 迷いのない言葉だった。

 ソルは少しだけ黙り、それから息を吐く。

 

「……ああ」

 

 怖いかどうかで選べるほど、もう身軽ではない。

 

「連れてけ、アインツ」

 

「場所は教える」

 

「案内しねぇのかよ」

 

「フューリーは人見知りだ。俺がついていくと、余計に怯える」

 

「面倒くせぇ女だな」

 

「お前ほどではない」

 

「言ってろ」

 

 ソルは黒いマフラーを巻き直す。

 

「学んでやるよ。呪いでもなんでもな」

 

 アインツは頷いた。

 

 それが、第二の試練の始まりだった。

 

 

◆◇◆

 

 

 フューリーの住処は、ロストブルーの中でも特に日当たりの悪い場所にあった。

 

 日当たり、と言っても本物の太陽などない。

 地下の天井に埋め込まれた陽光結晶が、無機質な光をまばらに降らせているだけだ。

 その光すら届かないような路地の奥。

 崩れかけた石壁と、錆びた鉄骨と、誰かが捨てた布切れの山の向こう。

 

 そこに、フューリーはいた。

 

 最初、ソルはそこが住処だと気付かなかった。

 小屋というにはあまりにも小さい。

 倉庫というにはあまりにも汚い。

 人が住むには、あまりにも湿っている。

 

 入り口には、無数の紐が垂れていた。

 骨片。小瓶。石。乾いた草。

 それらが紐に結ばれ、風もないのに微かに揺れている。

 

「趣味が悪ぃな」

 

 ソルが呟くと、隣にいたツヴァイが鼻をひくつかせた。

 

「へんな匂い」

 

「毒か?」

 

「ううん。薬草と、血と、古い石」

 

「十分嫌だな」

 

 ノインはついてきていない。

 曰く、呪いは嫌いだ、とのことだった。

 ツヴァイは勝手についてきた。

 ノインが止めなかったので、ソルも止めなかった。

 

 入り口の前で、ソルは扉を叩く。

 返事はない。

 もう一度叩く。

 返事はない。

 

「おい、開けるぞ」

 

 そう言って扉に手をかけた瞬間、内側から小さな悲鳴が聞こえた。

 

「ひゃっ……!? ま、待って、待ってください! 今、今片付けますからっ……!」

 

 ばたばたと物音がした。

 

 何かが落ちる。

 何かが割れる。

 小さく「ひぅ」と情けない声が漏れる。

 

 ソルは半眼になる。

 

「……本当に優秀なのか?」

 

「かわいい声」

 

「聞いてねぇよ」

 

 しばらくして、扉がほんの少しだけ開いた。

 隙間から覗いたのは、灰色がかった髪の女だった。

 

 年齢はソルより上だろう。

 大人の女ではある。

 だが、その雰囲気は妙に頼りない。

 

 長い前髪の隙間から、怯えたような目がこちらを見ている。

 肩をすぼめ、扉の陰に半分身を隠し、今にも「やっぱり帰ってください」と言いそうな顔をしていた。

 

「あ、あの……どちら様、でしょうか……?」

 

「ソル」

 

「そ、ソルさん……?」

 

「アインツから来た」

 

 その名を出した瞬間、フューリーの表情が変わった。

 怯えが完全に消えたわけではない。

 だが、何かを察したように、彼女は扉を少しだけ大きく開く。

 

「アインツさんから……ということは、もしかして」

 

「そうだ」

 

「……そう、ですか」

 

 フューリーは目を伏せた。

 その顔に浮かんだのは、困惑でも拒絶でもない。

 悲しみだった。

 ソルは眉をひそめる。

 

「なんだその顔」

 

「いえ……」

 

「言えよ」

 

「……アインツさんは、いつもそうです。必要なことだからって、人に辛いことをさせます」

 

「アンタも被害者か」

 

「いえ。私は協力者です」

 

 フューリーは、小さな声でそう言った。

 

「協力者だからこそ、止められないんです」

 

 扉が開く。

 中は、外から見たより広かった。

 壁一面に紙が貼られ、床には魔法陣とも呪印ともつかない図形が刻まれている。

 棚には小瓶、骨、魔瘴石らしき黒い欠片、乾燥した草、古い布、錆びた針。

 

 そして、部屋の中央には机があった。

 散らかっている。

 だが、乱雑ではない。

 無数の資料と道具が、彼女だけにわかる秩序で積み上がっている。

 ここは、研究室だ。

 

 そうソルは理解した。

 

「入ってください。狭いですけど……あっ、でもそこの紐には触らないでください。呪い返し用なので、触ると三日くらい悪夢を見ます」

 

「物騒だな」

 

「あと、そこの黒い石は素手で触らないでください。瘴気に慣れてないと吐きます」

 

「そんなもん、放っといていいのかよ」

 

「はい、私は慣れてますから」

 

「……意外と図太いな、アンタ」

 

 フューリーは困ったように笑った。

 

「そう見えないようにしているだけです」

 

 その言葉に、ソルは少しだけ目を細めた。

 

 この女は弱そうに見える。

 声も小さい。

 態度も控えめ。

 人と争うことに向いていない。

 

 だが、ここはロストブルーだ。

 弱いだけの人間が、こんな場所で呪術師として生き残れるはずがない。

 ソルは席につき、単刀直入に言う。

 

「呪術を教えろ」

 

 フューリーは、予想していたように頷いた。

 

「はい。ただし、一つだけ約束してください」

 

「内容による」

 

「人を殺すためだけには使わないでください」

 

「……」

 

 ソルは黙った。

 フューリーは怯えながらも、目を逸らさなかった。

 

「呪術は人を傷つけられます。殺せます。苦しめられます。普通の魔法よりも、もっと陰湿に、もっと深く。でも、それだけじゃないんです」

 

「何ができる」

 

「守ることもできます。隠すことも、癒すことも、追跡することも、壊れたものの原因を探ることも。呪いは、誰かの悪意や苦しみを形にしたものです。だから、正しく扱えば、その苦しみを解くこともできます」

 

「綺麗事だな」

 

「はい」

 

 フューリーはあっさり認めた。

 

「でも、綺麗事を捨てた呪術師は、ただの人殺しです」

 

 その言葉は、細い声なのに妙に重かった。

 ソルは少し笑う。

 

「俺がそのただの人殺しだったらどうする」

 

「……教えません」

 

「アインツの紹介でも?」

 

「教えません」

 

「脅したら?」

 

「抵抗します」

 

「勝てるのか」

 

「勝てません」

 

「なら意味ねぇだろ」

 

「それでも、嫌なものは嫌です」

 

 フューリーの指は震えていた。

 けれど、声は震えなかった。

 

「私は、人殺しが好きじゃありません」

 

 ロストブルーで、その言葉を聞くとは思わなかった。

 人殺しが好きじゃない。

 そんな当たり前のことが、この地下では奇跡みたいに聞こえる。

 

 ソルは深く息を吐いた。

 

「俺は人を殺す」

 

「……」

 

「必要なら殺す。邪魔なら殺す。ルナを守るためなら、たぶん何人だって殺す」

 

「そう、ですか」

 

「でも」

 

 ソルはフューリーを見る。

 

「殺すためだけに学ぶわけじゃねぇ」

 

 フューリーの目がわずかに揺れた。

 

「守るためだ。妹を。家族を。ロストブルーを。……たぶん、そういうことになった」

 

「たぶん?」

 

「まだ慣れてねぇんだよ。守りるものが増えるのに」

 

 フューリーはしばらく黙っていた。

 それから、小さく頷いた。

 

「わかりました」

 

「いいのか」

 

「はい」

 

 彼女は机の上から黒い石を一つ取り上げる。

 

 ――魔瘴石。

 ソルはその名を知らなかったが、見ただけで理解した。

 普通の石ではない。

 その中に、淀んだ力が沈んでいる。

 

「では、最初の授業です」

 

 フューリーは言った。

 

 

「呪術とは、瘴気に意図を与える技術です」

 

 

◆◇◆

 

 

 授業は、思っていたより地味だった。

 最初から不可思議な力が使えるわけではない。

 

 まずは座る。

 呼吸を整える。

 魔瘴石に触れる。

 

 吐く。

 吐く。

 また吐く。

 

「……気持ち悪ぃ」

 

「最初はそうなります。瘴気はマナと違って、人の体に優しくありません」

 

「優しい力なんかロストブルーにあるかよ」

 

「ありますよ」

 

「どこに」

 

「人の手とか」

 

「……」

 

「冗談です」

 

 フューリーは真面目な顔で、時々よくわからないことを言う。

 それが天然なのか、緊張をごまかしているのか、ソルには判断できなかった。

 授業は基礎から始まった。

 

 瘴気とマナの違い。

 ゲートを通す魔法と、外部の力を流用する呪術の差。

 魔瘴石に残る負の残滓。

 感情と呪いの結びつき。

 術式に意図を固定する方法。

 

 ソルは覚えた。

 覚えようとした。

 だが、足りない。

 

 フューリーの説明は丁寧だった。

 丁寧すぎるほど丁寧だった。

 それでも、呪術は一朝一夕で身につくものではない。

 

 一つの印を覚えるのに一日。

 一つの術式を理解するのに三日。

 瘴気を体に通して吐かないようになるのに五日。

 

 ロストブルーの崩壊まで、時間はない。

 あまりにもない。

 ソルは焦った。

 焦れば、フューリーは止めた。

 

「急がないでください」

 

「急がなきゃ間に合わねぇ」

 

「急げば壊れます」

 

「壊れたら戻せばいい」

 

「戻らないものもあります」

 

「それでもだ」

 

 ソルは何度も無理をした。

 

 魔瘴石を握りすぎて指先が黒ずんだ。

 瘴気を吸い込みすぎて、半日吐き続けた。

 術式を間違えて、左腕の感覚を失ったこともある。

 

 フューリーはそのたびに怒った。

 怒る、と言っても声を荒げるわけではない。

 ただ、眉を下げて、泣きそうな顔で言うのだ。

 

「ソルさん。自分の体を道具みたいに扱わないでください」

 

「道具だろ」

 

「違います」

 

「目的のために使うもんだ」

 

「違います」

 

「じゃあなんだよ」

 

「あなたです」

 

 ソルは言葉に詰まった。

 

「あなたの体は、あなたです。壊したら痛いんです。痛くなくても、壊れているんです」

 

「……痛みなら慣れてる」

 

「慣れないでください」

 

 フューリーは、そう言った。

 

「お願いですから、慣れないでください」

 

 ソルは、返事をしなかった。

 

 そんな願いを聞けるほど、彼には余裕がなかった。

 

 

◆◇◆

 

 

 十日が経った。

 

 ソルは基礎術式を三つ覚えた。

 

 瘴気の抽出。

 瘴気の固定。

 簡易結界。

 

 上出来だとフューリーは言った。

 だが、ソルは知っていた。

 

 足りない。

 これでは足りない。

 救済の魔女には到底届かない。

 崩落は止められない。

 ルナを救えない。

 

 その日の授業が終わった後、ソルは一人で路地に出た。

 

 空のない天井を見上げる。

 陽光結晶が、今日も無機質に輝いている。

 朝も夜もない光。

 生きている者のマナを吸い上げて、偽物の昼を作り続ける結晶。

 

 時間は流れている。

 ソルが一つ術式を覚える間にも、未来は破滅へ近づいている。

 

 これでは間に合わない。

 なら、どうする。

 簡単だ。

 

 ――時間を増やせばいい。

 

 ソルは短刀を抜いた。

 刃こぼれした、粗末な短刀。

 

 何度も使った。

 何度も人を刺した。

 何度も自分の血で濡らした。

 

 柄を握る手に、迷いはなかった。

 

 死ぬのは怖い。

 いつだって怖い。

 だが、間に合わない方が怖い。

 

 ルナが死ぬ方が怖い。

 母が血を吐く方が怖い。

 また何もできずに終わる方が、ずっと怖い。

 

「……次は、もっと早く覚える」

 

 ソルは呟いた。

 そして、短刀を自分の喉へ押し当てた。

 

 

◆◇◆

 

 

「では、最初の授業です」

 

 フューリーは言った。

 

「呪術とは、瘴気に意図を与える技術です」

 

「知ってる」

 

「え?」

 

 戻ってきた。

 

 初日のフューリーの部屋。

 机の上の魔瘴石。

 壁の紙。

 震える指先。

 困ったような顔。

 

 ソルは椅子に座り、フューリーを見る。

 

「瘴気とマナの違いからだろ。ゲートを介する魔法と、外部の力を流用する呪術。魔瘴石に残る負の残滓。感情と呪いの結びつき。術式に意図を固定する方法」

 

 フューリーが固まった。

 

「……え、あの」

 

「早く次に行け」

 

「え、ええ?」

 

「基礎はわかってる」

 

「ど、どこで……?」

 

「いいから」

 

 フューリーは困惑した。

 当然だ。

 彼女にとっては初対面なのだから。

 だが、ソルに説明している時間は惜しかった。

 

 フューリーはおろおろしながらも、授業を進めた。

 

 一日目で三日分進んだ。

 二日目で十日分進んだ。

 三日目には、ソルは前回の自分を越えた。

 

 そして、また壁にぶつかった。

 

 複合術式。

 瘴気の圧縮。

 呪印の同時展開。

 

 わからない。

 時間が足りない。

 だから、また死んだ。

 

 

◆◇◆

 

 

 何度も、授業を受けた。

 

 何度も、同じ説明を聞いた。

 何度も、同じ質問に先回りして答えた。

 何度も、フューリーに困惑された。

 何度も、彼女に心配された。

 

 そのたびに、ソルは早くなった。

 

 覚える。

 戻る。

 もっと早く覚える。

 戻る。

 もっと先へ進む。

 戻る。

 

 学ぶために死ぬ。

 死ぬために学ぶ。

 それを繰り返した。

 

 ある回帰で、フューリーがついに問い詰めた。

 

「ソルさん」

 

「なんだ」

 

「あなた、何かしていますね」

 

 ソルは手を止めた。

 

 机の上には、複雑な呪印が描かれている。

 それは本来、彼がまだ知っているはずのないものだった。

 

「何かって?」

 

「誤魔化さないでください」

 

 フューリーの声は小さい。

 だが、いつもより強かった。

 

「あなたは、初めて学ぶはずのことを知っています。知らないはずの術式を使います。私が言う前に、私の説明の続きを言います」

 

「勘がいいだけだ」

 

「嘘です」

 

「……」

 

「あなた、何をしているんですか」

 

 ソルは黙った。

 説明できるはずがない。

 自分は死んで戻っている。

 だから同じ授業を何度も受けている。

 わからないところまで進んだら、自分で死んで時間を巻き戻している。

 

 そんなことを言って、信じられるはずがない。

 そして、信じられたとしても、どうなる。

 フューリーは止めるだろう。

 この女はそういう女だ。

 

「必要なことをしてるだけだ」

 

 ソルは答えた。

 フューリーの顔が歪む。

 

「必要なら、自分を殺してもいいんですか」

 

 ソルの指が止まった。

 沈黙。

 フューリーは震えていた。

 

「……見えたのか」

 

「呪術師ですから」

 

 彼女は自分の胸元を押さえる。

 

「あなたの周りに、死の残滓が濃すぎるんです。何度も、何度も、何度も。まるで、同じ場所を掘り返しているみたいに」

 

「……」

 

「あなたは、死んでいるんですね」

 

 静かな問いだった。

 

 ソルは、答えなかった。

 答えないことが、答えだった。

 

 フューリーは目を伏せる。

 

「どうして……」

 

「時間が足りない」

 

「だからって」

 

「崩れるんだよ」

 

 ソルの声が低くなる。

 

「この場所は崩れる。ルナが死ぬ。母が死ぬ。父も死ぬ。お前も、ノインも、ツヴァイも、アインツも、みんな死ぬ」

 

「……」

 

「間に合わないんだ。普通に学んでたら。普通に生きてたら。普通に明日を待ってたら、全部終わる」

 

 ソルはフューリーを見る。

 

「だから、時間を盗む」

 

「盗む……」

 

「俺はスリだからな」

 

 乾いた笑みだった。

 フューリーは笑わなかった。

 

「それは、盗みじゃありません」

 

「あ?」

 

「自分を削っているだけです」

 

「同じだ」

 

「違います」

 

「違わねぇよ」

 

「違います!」

 

 初めて、フューリーが声を荒げた。

 その声は細く、震えていた。

 けれど、確かに怒っていた。

 

「あなたは、死ぬことを便利な道具にしないでください!」

 

 ソルは言葉を失った。

 フューリーの目に涙が浮かぶ。

 

「私は、人を殺すのが嫌いです。人が死ぬのも嫌いです。自分で自分を殺すのだって、同じくらい嫌です」

 

「……」

 

「それでも、止められないんですか」

 

「止められない」

 

「どうして」

 

「俺が止まったら――ルナが死ぬ」

 

 即答だった。

 フューリーは泣きそうな顔で、けれど何も言えなかった。

 

 ソルの答えは歪んでいる。

 間違っている。

 壊れている。

 

 それでも、その根だけはどうしようもなく真っ直ぐだった。

 

 妹を救いたい。

 ただ、それだけ。

 

「……わかりました」

 

 フューリーは涙を拭った。

 

「私は、あなたを止められません」

 

「なら――」

 

「でも、条件があります」

 

 彼女は机の上の紙を取る。

 そこに、新しい術式を書き始めた。

 

「次に戻ってきたとき、これを覚えていてください」

 

「なんだ、それ」

 

「肉体への負荷を下げる術式です。瘴気の逆流を抑えます。完全ではありませんが、あなたが無茶をするとき、少しだけ壊れにくくなります」

 

「……」

 

「本当は教えたくありません。無茶を助けることになるから」

 

 フューリーは、震える手で術式を書き終える。

 

「でも、あなたが止まらないなら、せめて壊れ方を遅くします」

 

 ソルは黙ってそれを見た。

 胸の奥が、妙に重かった。

 

「先生みてぇだな」

 

「先生です」

 

 フューリーは、少しだけ怒ったように言った。

 

「あなたが勝手に死んでも、私は先生です。だから、覚えてください。ちゃんと。間違えないで。次は、もっと上手くやりましょう」

 

 ソルは、その紙を受け取った。

 

「……ああ」

 

 その返事だけは、いつもより少しだけ素直だった。

 

 

◆◇◆

 

 

 フューリーとの日々は、奇妙なものだった。

 

 彼女は毎回、ソルを初対面として迎える。

 けれど、ソルだけは彼女を知っていく。

 

 彼女が茶を淹れるとき、必ず一度湯をこぼすこと。

 緊張すると前髪を触ること。

 怖い話が苦手なくせに、呪術の怪談だけは妙に詳しいこと。

 人殺しが嫌いだと言いながら、治安維持のためには震えながらも術式を展開すること。

 

 ロストブルーの子どもたちに、こっそり薬を渡していること。

 怪我人を見つけると放っておけないこと。

 誰かが死ぬと、知らない相手でも部屋の隅で祈ること。

 

 そういうことを、ソルだけが積み重ねていく。

 

 フューリーは知らない。

 自分が何度もソルに授業をしたことを。

 何度も怒ったことを。

 何度も泣いたことを。

 何度も、ソルを見送ったことを。

 

 知らない。

 それでも、彼女は毎回、同じように言う。

 

「急がないでください」

「自分の体を道具みたいに扱わないでください」

「呪いは、使う人の心も削ります」

「あなたが守りたいものを、あなた自身が壊さないでください」

 

 その言葉は、回帰を越えて積み重なった。

 

 ソルは呪術を覚えた。

 瘴気を扱えるようになった。

 魔瘴石から力を取り出せるようになった。

 簡易結界、妨害術式、追跡呪、隠蔽呪、転移術。

 

 不可視の力を、ただ放つだけではなく、圧縮する。

 空間を跳ぶだけではなく、歪ませる。

 瘴気を弾丸にするだけではなく、術式として固定する。

 

 力が形を持ち始める。

 

 ただの暴力ではない。

 ただの盗みでもない。

 ソル自身の力として。

 

 それでも、フューリーは最後まで言った。

 

「忘れないでください。呪術は、人を呪う技ではありません」

 

「名前からして呪ってんだろ」

 

「違います。呪いを知る技です。誰かの痛みを、苦しみを、悪意を、悲しみを、形として見る技です」

 

 フューリーは微笑んだ。

 

「だから、本当は優しく使えるんです」

 

「……アンタには向いてるかもな」

 

「そうでしょうか」

 

「ああ」

 

 ソルは、珍しく素直に言った。

 

「アンタは、人を殺すより教える方が向いてる」

 

 フューリーは目を丸くした。

 それから、困ったように笑った。

 

「なら、あなたは私の生徒ですね」

 

「柄じゃねぇな」

 

「でも、生徒です」

 

「面倒くせぇ先生だ」

 

「はい。よく言われます」

 

 言われているところを、ソルは一度も見たことがなかった。

 だが、否定はしなかった。

 

 

◆◇◆

 

 

 何度目かの回帰。

 ソルはついに、フューリーが用意した最後の術式を完成させた。

 

 瘴気の圧縮と解放。

 空間歪曲の補助。

 魔瘴石を外部燃料として接続する回路。

 そして、呪い返しの防壁。

 

 それらを同時に展開し、維持する。

 普通なら、複数人で行う儀式だ。

 だが、ソルは一人でやり切った。

 

 術式が閉じる。

 黒紫の光が、床に刻まれた印を流れ、やがて静かに消えた。

 

 フューリーは息を呑んでいた。

 

「……できた」

 

「できたな」

 

「本当に、できました」

 

「見りゃわかる」

 

「ソルさん」

 

「なんだ」

 

「あなたは、すごいです」

 

 その言葉に、ソルは少しだけ眉をひそめた。

 

「気色悪いことを言うな」

 

「褒めてるんです」

 

「だから気色悪いんだよ」

 

「何度も、何度も、たぶん私が知らないところで、たくさん努力したんですね」

 

 ソルは何も言わなかった。

 フューリーは柔らかく笑う。

 

「合格です」

 

 その瞬間、ソルは少しだけ目を閉じた。

 

 終わった。

 ようやく。

 長かった。

 

 何度も死んだ。

 何度も学んだ。

 何度も戻った。

 何度も同じ先生に教わった。

 

 そのすべてが、ここで一つの形になった。

 

「……世話になった」

 

 ソルは呟く。

 フューリーはまた目を丸くした。

 

「今、ちゃんとお礼言いました?」

 

「言ってねぇ」

 

「言いました」

 

「聞き間違いだ」

 

「ふふ」

 

 フューリーは笑った。

 それは、ロストブルーには似つかわしくない、穏やかな笑みだった。

 

「では、最後に一つだけ」

 

「まだあんのかよ」

 

「はい。先生ですから」

 

 フューリーはソルを見る。

 

「あなたがいつか、本当に大きな力を手にしたとき。誰かを殺すことも、何かを壊すことも、簡単にできるようになったとき」

 

「……」

 

「そのとき、今日のことを思い出してください」

 

 ――あなたは、誰かを守るために呪術を学びました。

 

 彼女は言った。

 

「それだけは、忘れないでください」

 

 ソルはしばらく黙っていた。

 そして、短く答える。

 

「ああ」

 

 その約束が守れるかどうかは、わからなかった。

 けれど、そのときだけは、確かに頷いた。

 

 

◆◇◆

 

 

 アインツの元へ戻ったとき、ソルは以前とは違っていた。

 

 目つきは相変わらず悪い。

 口も悪い。

 態度も悪い。

 

 だが、身に纏う気配が変わっていた。

 

 暴力を得た者の荒さではない。

 呪いを知った者の静けさがあった。

 ノインはその変化を見て、少しだけ口角を上げた。

 

「少しはマシになったな、小僧」

 

「まだ小僧呼びかよ」

 

「俺より弱い間は小僧だ」

 

「なら一生そのままだな」

 

「よく分かってるじゃねぇか」

 

 ツヴァイはソルの周りをくるくる回り、鼻をひくつかせる。

 

「匂い変わった」

 

「……臭いか?」

 

「ううん。フューリーの匂いがする」

 

「それは、どうなんだ」

 

「いい匂いだよ」

 

「ならいいか」

 

 アインツは、部屋の奥で待っていた。

 

 いつもの椅子。

 いつもの本。

 いつもの冷めた目。

 

 だが、その視線がソルを見た瞬間、わずかに変わった。

 

「越えたか」

 

「ああ」

 

「フューリーが合格を出したなら、間違いないだろう」

 

「アンタが見てたみたいに言うな」

 

「見ていた」

 

 ソルの眉が動いた。

 

「……なんだと?」

 

 アインツは膝の上の本を撫でる。

 

「正確には、()()()()()

 

 その言葉とともに、部屋の空気が変わった。

 

 ノインがわずかに目を細める。

 ツヴァイも、何かを感じたのかノインの背後へ下がった。

 

 アインツは立ち上がる。

 そして、机の上に一冊の本を置いた。

 

 古びた革表紙。

 擦り切れた背。

 けれど、朽ちることを拒むような異様な存在感。

 

「これは、俺が拾った本だ」

 

「本?」

 

「――叡智の書、と呼ばれる類のものだ」

 

 ソルの胸の奥が、嫌な音を立てた。

 

「この本には未来が記される」

 

 沈黙。

 

「断片的ではあるがな。誰が死ぬ。何が起きる。どこが崩れる。どの選択が、どの破滅へ繋がる」

 

「……じゃあ、アンタは」

 

「知っていた」

 

 アインツは言った。

 

「ロストブルーが滅ぶことを」

 

 ソルの喉が鳴った。

 

「ルナが死ぬこともか」

 

「知っていた」

 

「お袋が死ぬことも」

 

「知っていた」

 

「親父が逃げて、後悔して、泣きそうな顔で言い訳することも」

 

「知っていた」

 

 ソルの指が震えた。

 

 怒りか。

 憎しみか。

 疲れか。

 

 自分でもわからない。

 

「じゃあ、なんで黙ってた」

 

 声が低くなる。

 

「最初から言えばよかっただろ。全部知ってんなら、どうして黙って見てやがった」

 

「言って救えたか」

 

 アインツの返答は、冷たかった。

 

「ノインもおらず、フューリーの呪術も知らず、死ぬ覚悟だけを抱えたガキのお前が、俺の言葉一つでロストブルーを救えたか」

 

「それは……」

 

「救えなかった」

 

 断言だった。

 

「だから試した。お前が未来を変えるだけの器かどうか。ロストブルーの暴力を味方にできるか。呪いを学び、力を制御できるか。死を浪費せず、未来に変えられるか」

 

「……性格悪ぃな」

 

「ああ」

 

 アインツは否定しなかった。

 

「俺は性格が悪い。臆病で、卑怯で、見ているだけの男だ。叡智などと大層なものを持ちながら、破滅を止められなかった」

 

 その声が、初めて揺れた。

 

「何度も見た。何度も読んだ。この場所が終わる未来を。子どもが潰れ、母親が裂かれ、父親が狂い、友が死に、獣が吠え、最後には空が落ちてくる」

 

「……」

 

「俺には止められなかった」

 

 アインツは、ゆっくりと頭を下げた。

 

 ノインが目を見開く。

 ツヴァイが息を呑む。

 ソルも、言葉を失った。

 

 ロストブルーの守役。

 監視役。

 管理者。

 知恵者。

 

 誰よりも先を見て、誰よりも冷たく盤面を眺めていた男が。

 頭を下げていた。

 

「頼む」

 

 アインツは言った。

 

「ソル。この場所を救ってくれ」

 

「……」

 

「――ロストブルーを救う太陽になってくれ」

 

 ソルの胸の奥で、何かが軋んだ。

 

 ――太陽。

 

 空を知らない自分に。

 偽物の陽光結晶しか知らない自分に。

 地下で生まれ、地下で育ち、地下で死ぬはずだった自分に。

 

 この男は、太陽になれと言っている。

 

「お前が、ここの王になるんだ」

 

 その言葉は、呪いに似ていた。

 祈りにも似ていた。

 願いにも、命令にも、懺悔にも聞こえた。

 ソルは長く黙っていた。

 そして、乾いた笑みを浮かべる。

 

「王、ね」

 

「ああ」

 

「ガキに押し付けるには、重すぎる肩書きだろ」

 

「だから、お前にしか頼めない」

 

「買いかぶりすぎだ」

 

「いいや」

 

 アインツは顔を上げた。

 

「お前はもう、ただのスリのガキじゃない」

 

 その目には、確かな光があった。

 

「お前は、死を越えて仲間を集めた。暴力を越え、呪いを越え、時間を越えた。なら次は、この空無き大地さえも越えてみせろ」

 

 沈黙。

 重い沈黙だった。

 ソルは黒いマフラーを握り締める。

 

 ルナの笑顔が浮かんだ。

 母の謝罪が浮かんだ。

 父の泣きそうな顔が浮かんだ。

 ノインの牙が、ツヴァイの体温が、フューリーの震える声が浮かんだ。

 まだ出会っていない誰かの声まで、胸の奥で騒いでいる気がした。

 

 全部、失いたくないものだった。

 全部、救えるかもしれないものだった。

 全部、また失うかもしれないものだった。

 

「……ああ、そうかよ」

 

 ソルは吐き捨てるように言った。

 

「なら、なってやる」

 

 アインツが静かに息を呑む。

 ノインが笑う。

 ツヴァイが目を輝かせる。

 ソルは、ひどく不機嫌そうな顔で続けた。

 

「王でも太陽でも、好きに呼べばいい。だが勘違いすんな。俺は立派な王様になりたいわけじゃねぇ。綺麗な救済者になりたいわけでもねぇ」

 

 彼の声は低く、けれど確かだった。

 

「俺はルナを救う。そのついでに、お袋も親父も、この腐った地下も、拾えるもんは全部拾ってやるよ」

 

 ソルはアインツを見る。

 

「それでいいなら、乗ってやる」

 

 アインツは、もう一度頭を下げた。

 

「十分だ」

 

 空のない地下で。

 偽物の太陽が照らす掃き溜めで。

 スリの少年は、王になることを選んだ。

 

 それが救いになるのか。

 それとも、さらなる地獄の始まりなのか。

 その答えを、このときのソルはまだ知らない。

 

 ただ一つだけ、確かなことがあった。

 

 

 空無き大地(ロストブルー)に、太陽が昇ろうとしていた。

 

 

◆◇◆




フューリー
 ロストブルーの優秀な呪術師であり、ソルの先生。引っ込み思案で人殺しを好まないが、根は心優しく、荒れ果てた地下の治安を守るために力を貸している。憎しみに呑まれることを嫌い、誰かを罰するためではなく、壊れた場所にまだ良き未来を残すために呪術を使う。
 ソルのことは、危うく、放っておけば憎しみで潰れてしまう子だと思っている。だが、それでもロストブルーを救うために足掻く姿を見て、彼に呪術を教える。彼が壊れないように見守りながら、未来へ進むための力を授けるべき生徒として向き合っている。

アインツ
 ロストブルーの守役であり、街の裏側を見ている知恵者。未来を記す「叡智の書」を持っており、ロストブルーに迫る破滅と、ソルの死と巻き戻りの永劫回帰を理解している。感情で動く男ではなく、軽々しく誰かに賭けることはしないが、何度死んでも折れずに進むソルなら、ロストブルーを救えるかもしれないと可能性を感じている。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。