投稿時間ミスってた。。。orz
起き抜けで頭の回らなかった私ですが、下位魔神が一体も見当たらないことと復興した街並み、それに今回召集していなかったアルビオンが現れたことで、凡そ見当を付けることが出来ました。
結論から言うと、ここは過去の世界です。もっと具体的に挙げるなら皆と共に復活した直後だと思われます。
ガラン爺様が暴れた形跡すらない事から、恐らくメリオダスさんの相手をした個体が攻めてきた時で間違いないでしょう。うーん困りましたね。
(考えられる原因は一つしかない。寝落ちする前に試していた
その証拠に、世界改変できる
(幸いまだ
「あ、あの! 少し良いだろうか!」
「……何ですか。人間風情が気安く話しかけないでください」
「ええ!? …あぁいや、ごめん。寝てるところを見られた相手を疑うのは当然だよね」
別にそこは関係無いです。見られたのは私の不注意が原因ですし。突っ撥ねているのは貴方がこの部屋の主――即ち人間の王族だから視界に入れないようにしているだけです。
「私の邪魔をするなら殺します。ここにメリオダスさんが来ると分かっている以上、長居して不確定要素を残す訳にはいきませんから」
「メリオダス…? もしかして君も〈七つの大罪〉の団長と知り合いなのかい」
「……何ですって」
半ば独り言のようなものだったが、思いがけない反応が返ってきたことで関心が向き、そこで漸く視線が交わる。
「あの人を――メリオダスさんを知っているのですか」
「え、えぇ。前に一度助けてもらった事があるんだ。それに私の師匠が彼と仲間で、話を聞いてる内に私も憧れて――ってそんな悠長に話してる場合じゃなかった!」
少年のように目を輝かせていたところで再度地響きのような揺れが発生し、呑気にお喋りしている余裕でないことに気付く。
「君はあの化け物について何か知っているね。何でもいい、情報があれば私に教えてくれないだろうか」
「……そう。それを聞いて益々分からなくなりました。女神族すらも恐れる“あの”メリオダスさんが、一体どうして人間なんかに憧れられるのか」
「どうしてって、それは――!」
その時アーサーは見た。疑わし気に此方を睨む彼女の瞳が、泣きたくなるほどの哀しみで覆われているのを。
「君は……」
「来ましたね」
それを指摘する間もなく声が被さり、反射的に彼女の視線を追った先では空飛ぶ豚らしきものが巨人の周囲を浮遊していた。もう一度ノルンの横顔を見た時、そこに悲哀の色は含まれていなかった。
「この魔力、間違いない。メリオダスさんのだ。……でもそれにしては反応が弱すぎるような」
魔力探知が苦手なノルンだが流石にこの距離で、しかも十中八九来ると分かっている相手を見逃すほど鈍くはない。
しかし得られた反応が自分の知っているものより圧倒的に見劣りする程度の存在感しかなく、これにノルンは首を傾げた。
「……まだ時間はある。もう少しだけ見てみましょう」
暫し悩んだ末、この時間軸での滞在延長を決める。メリオダスを仕留めたというガランの勘違いの原因がこれで分かるかもしれないし、何より彼に付き従う〈七つの大罪〉を見れると思ったからだ。
実際にこの時はマーリンとディアンヌも前線に出てきており、その三人の闘級にアルビオンが反応したことで大罪の内二人の顔が判明した。
「あれが今のメリオダスさんの仲間。二人とも人間……いや一人は巨人族ですか」
正しくその正体を看破したノルンが次に見たのは、拳を大きく振り上げて魔力障壁を破壊するアルビオン……ではなくこの王都全体に防御魔法を施した魔術師マーリンだった。
(これだけ巨大な魔法は珍しい。でもそれだけじゃない。あの人が発動した魔法にはどこか違和感がある)
「ね、ねえ! 君は避難しなくて良いのかい? 城の中とは言えあの大きさじゃここも安全とは限らない。早く遠くへ逃げるんだ」
「煩いですね。別に何をしようが私の勝手でしょう」
その違和感がなにか知りたいのだが、こんなに距離が離れていてはそれも望めない。
仕方無いので見に徹していると、アルビオンに掴まった兵士を助けるのにメリオダスの剣技が炸裂した。その拍子に何とか抜け出せたものの、武器の方が先に限界を迎えてしまい剣の刀身が真っ二つに折れてしまった。あれではもう使い物にならないだろう。
「ああっ! メリオダス殿の剣が!」
「やっぱり弱くなってる…? いえ、もしかしたらこれも偽装かも。せめてガラン爺様が来るまでは」
「ッ~~! もう駄目だ、ジッとなんてしてられない! 君はここで待っていてくれ、此方に被害が及ばないように私からメリオダス殿に掛け合って――あだァっ!!?」
いい加減横が煩いので、余計な事をする前に手を打っておきました。後ろから首根っこを掴むと、床に押し倒しそのまま上にちょこんと腰掛けた。これで安心でしょう。
「う、動かない~!(これはッ、背中に伝わる凄く幸せなこの感触は……じゃなくってどういう事コレ! 全然ビクともしないんだけど!?)」
質量的には見た目通りの軽さの筈なのに、いざ退かそうと思ったら1mmだって持ち上がらない。試しに身体を横にスライドしてみたり、背中を丸めようとしても全部駄目。結局お腹が張り付いて床から離れる気さえもしなかった。
「大人しくして下さい。ある程度時間が経っちゃうと元に戻った時に記憶が残って色々厄介なんです。今あの方に勘付かれる訳には行かないの」
アーサーの必至な抵抗もどこ吹く風。目当ての光景を常に視界に収めたままノルンは置き石になっていた。
「彼と交流を持っているのは想定外ですが、だからこそ尚更逢わせる訳には行かない。貴方はここで私と国の行く末でも見守ってれば良いんです」
「待ってくれ! 君とメリオダス殿がどういう関係なのかはこの際置いておくとしても、騎士王を名乗りながら戦場に出ず民も護れないなんて事、私にはできない。だから――」
「………騎士王?」
「――!!」
「へえ、それはそれは。ご立派な二つ名じゃないですか」
すぐ頭上から向けられた殺気。かつて王国騎士団長でもあるヘンドリクセンと、一時は互角の戦いを演じたアーサーでさえ死を予感するほどのソレ。
五秒、十秒と緊迫した空気が流れ、体感にして一分を超えたぐらいだろうか。痛くて重苦しい殺気が漸く霧散し、およそ久方ぶりにも感じる空気の感触を肺いっぱいに詰め込んだ。
「ハア、ハァッ――!」
「殺されると思いました? しませんよそんな無駄な手間。どうせ後で全部無かったことになるんですから」
冗談交じりに嘲笑う様からは殺気を感じない。その代わり分かりやすく侮蔑した視線を向けて来るため、敵意が無くなった訳ではない事を嫌が応にも理解した。
「良かった、どうやら気付かれてないみたい」
当の少女は自分など気にも止めず、未だ繰り広げられているメリオダス殿と外の化け物の戦いに興味を移していた。斯くいう私も現状少女に乗っかられて出来る事も無いので首を上げ彼を応援した。
剣を折られ苦戦を強いられると思われたメリオダス殿だったが、空飛ぶ豚に乗るマーリンから何かを受け取ると、その場で何か力を溜めるような素振りを見せた。
「! 今のは…」
そしてアルビオンの攻撃を余裕をもって躱すと、剣を振るい、今までの苦戦が何だったのかと言いたくなるほどの絶技を披露し、あの巨大な腕を一瞬にして5回も輪切りにした。
「な、何という斬れ味と早業! たった一太刀であの巨獣の腕をバラバラに!?」
「別に驚くことでもありません。あの人の力を考えればむしろ過剰なくらいです。それよりも今注目すべきは――」
私達が見つめる先では、腕を斬られたという事実だけを認識したアルビオンが今の攻撃を基に次なる手段を講じていました。
「何だアレは、頭が変形してるのか!?」
「あらら。角というか砲台が何本も生えてきましたね。メリオダスさんの『
新たに増設した五つの突起を全てメリオダス殿に向け、更には砲台それぞれから強大な魔力反応を感知する。
「まさか、五つ同時に放つつもりか!」
駄目だ、流石のメリオダス殿でもあの数を一人で捌くのは無謀に近い!
「来ます」
何が来るのか、というありきたりな質問はすぐに解消された。何故なら私の見ている前でメリオダス殿の姿がブレたかと思うと、次の瞬間には5人になっていたのだから。……5人?
「メッ、、、メリオダス殿が5人!?」
「これは…あの武器の力でしょうか」
アルビオンが砲撃を放つのと、五人のメリオダス殿が迎え撃ったのは同じタイミングでした。とてつもない火力の爆風が大気を焦がし、その余波で周囲が一瞬にして乾燥状態になります。
「凄い! これが〈七つの大罪〉団長の力なんだ!」
「成る程、そういう事ですか。ガラン爺様はあの分身を本物と見間違えたんですね」
熱風が顔を撫でるのにも気にせず、興奮気味に捲し立てるアーサー。それとは対照的に、ノルンは努めて冷静に今起こった事象と、この後起きるであろう魔神族二人の戦いの結末をそう予想した。
「闘級が低い実像分身を生み出す武器ですか。成る程そういうのも在るんですね。恐らく最初から戦っていたあのメリオダスさんも偽物、となると本体は別の場所に…」
ただ、ここで致命的な思い違いが発生した。あのメリオダスがこんなに弱い筈ないと、嘗ての彼を知るノルンだからこそ生じた勘違いが結果としてメリオダス含む〈七つの大罪〉を救った。
もしここで襲撃したのがガランではなくノルンだった場合、マーリンとディアンヌは斃されメリオダスも永遠に解けない時の棺に閉じ込められていただろう。それだけ両者の力関係には差があった。
逆に言えばこの時のメリオダスが突き抜けて弱かったお陰でノルンの襲撃を免れたと言っても過言ではない。
「まあ、見たいものは見れたし偶発的な事故にしては良い収穫でしたね」
「君は…」
「ああ、そういえばすっかり忘れてました。けど最初に言いましたよね。私に話し掛けないでと」
此方を心底見下すような視線。彼女の機嫌を損ねたら今度こそ助からないかもしれないのに、先程の悲しそうな顔がどうしても頭から離れなくて、気付いたら声を掛けていた。
「失礼だけど独り言が多いんだね。私を嫌っている割には返事も返してくれるし、見た目に似合わずお喋りが好きなのかい?」
「ハ……ハアーー!? 別に貴方と会話してたわけではありませんけど!? 勘違いしないでください!」
恐れ知らずな少年王の指摘に不意を突かれ、つい何時ものノリで返してしまった。しかしそんな事よりも発言を撤回させる方が本人にとっては重要だった。
「良いですか。私みたいな淑女は独り言など滅多に言いません。あれはそう……無意識に口遊んでしまう歌みたいなものです。決して独り言ではありません」
「え、でもそれって完全にひとり……いやいやいや何でもありません!」
何を言うかと思えばこの人間、私が寂しがり屋だとでも言いたいんですか。メラスキュラさんの言ってた理性の女性像を体現したようなこの私に向かって。
確かにシスターに出会う前は孤独でいる時間が多くて、聞かれたら返事しちゃうのは事実ですが、誰でも彼でも話し掛けると思ったら大間違いなんですからね!
「大体、貴方何歳なんですか。人の事を子供っぽいと言うからには自分は相当何でしょうね」
「はい? 別に子供っぽいなんて」
「私の何処が“見た目に似合わず”なんですか。外見の話をする時、99%の人は私を子供っぽいと言います。なので貴方も容疑者です」
「ええ~!? 暴論だぁ!」
話を聞いてる内に“あれ? この子意外とポンコツかも…”と思ったりもしたが、言えば今度こそ命に関わり兼ねないので内心に留めておいた。因みに思い違いでもなく普通に正解だったりする。
「はあ、何だか調子が狂いますね。貴方本当に一国一城の主なんですか? 影武者とかではないですよね」
「あはは、残念ながら本物だよ。キャメロットはまだ興したばかりの小さな国だけど、ここからリオネスと並ぶくらいに成長して見せるから」
「……そうですか」
未来で魔神族に乗っ取られる事を告げようかもと思ったが、目を輝かせながら夢を語る彼が眩しくて、そんな気も失せてしまった。
(おかしな人。国王の癖に騎士を名乗っているのも変ですし、明らかに無関係でない不審者と会話しますか普通)
思えば脅迫する前からこんな感じだったなと納得よりも呆れが来る。それがこの人の性格なのだろうが、それで国を背負えるかは怪しいと謂わざるを得ない。
「……私が怖くないんですか」
「へ?」
「貴方だってただの一般人が侵入してきたとは思っていないでしょう。それに意図的でないにせよアルビオン――先程のゴーレムを知っている私に恐怖なり怒りを抱いてないのはどういう事かと聞いてるんです」
これだけ言って尚呆けたように……実際呆然としているのを隠す事すらせず、至って自然体のまま聞き入る様には言い知れぬ不安感のようなものを覚える。何故私の方が緊張しているのか…理由はよく分からなかった。
「う~~ん。確かに殺気を向けられた時は怖かったけど今は全然かな。こうして話も通じてるし、街を襲った方の人形はもうメリオダス殿がやっつけて下さったしね」
「……はぁ、そうですか」
「ご、ごめんね。私気に障るようなことを言ってないかな」
「言ってないですし王ならもっと堂々となさい。そっちが低姿勢だと相手国に舐められますよ」
「ははは、手厳しい」
本当に、つくづく変な人。私の知っている王族は皆自分勝手で人を人とも思っていなくて、それに従う騎士なんかは覚えを良くするために平気で悪事に手を染めるような連中だった。
でも彼はその中の誰とも違う。何も知らない私が最初に夢見ていた王子様そのものだ。
「――てたら、」
「ん、何か言ったかい」
「いいえ。いい加減もう終わらせる時でしょう」
「終わらせる? 一体何を…」
これ以上話してたら情が湧くかもしれない。そう冷静に自分を危惧した私は、予定を早めに切り上げることを決めました。
「『
「な、何だ!?」
そう唱えた瞬間、空間に亀裂が生じます。干渉不可能な裂け目は次第に範囲を拡げていき、瞬く間に室内から外、果ては世界中に影響が及ぶでしょう。
「これは君がやったのか!?」
「さてどうでしょうね。仮に覚えていたらメリオダスさんにでも聞いてください。私からは何も」
ほら、異変に気付いた英雄様が一直線に此方に向かって来ている。本来なら私を認識した状態でないと察知できない筈なのになぁ。まあこうなりそうな予感はしてたけど。
「一つ、これは親切心から忠告しますけどもう少しでこの国は滅びます。命が惜しければ立場や矜持を捨てて逃げることをお勧めします。……もう遅いでしょうけど」
「待ってくれ! 本当に訳が分からないんだ! 君は一体何なんだ!?」
「アーサー! ノルン!」
「さようなら」
新米の騎士王様、私を救ってくれた人。可能なら二度と逢わないことを願います。
そうしてガラスが砕けるような音と共に、偽りの世界は幻想へと消えていった。
「………戻ってきた」
陽が傾きかけた逢魔が時、各地で上がる破壊の狼煙、そして集中せずとも感じる
「何でこんなに静かなんでしょう。……ああ、私が追い出したんでした」
一人は嫌い。辛かったあの頃を思い出すから。
だから私はいつも誰かに付いて行動してる。皆と離れる時は下位魔神を連れて孤独を忘れることに努めてたんだった。
「一人は寂しいよ、シスター」
枕を抱きしめ、直前まで話していた彼の匂いがする部屋に小さな少女の孤独が溶けて消えていった。
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