《不殺》は時を廻したい   作:暦月

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 取り敢えず今話と次話で一区切りがつきます。
 次回更新は土日のどちらかを予定してます。

 他にも書きたいもの、やりたい事あって緩~く投稿していくので、これからも気長にお待ちください( ´∀`)人





第十二話 【上魔時間】

 

 

「……フラウドリンさん、肩の所に何か紋様みたいなのがありますけど」

 

「うん? おぉ、そうであった。これはそこの爺に付けられた趣味の悪い呪いでな。済まないが取ってくれるか」

 

「全く…油断し過ぎです。殆どいいようにやられてるじゃないですか。ほら、見せて下さい」

 

「ハハ、これは返す言葉も無い」

 

 

審判(ジャッジメント)】 デンゼルから聖印を受けた者は、自らが殺めた者の亡霊に憑かれ、死ぬまで首を狙われるというもの。

 一度受けてしまえば、例え皮膚を削ぎ落したところで別の場所に表れるという厄介極まりないそれを、ノルンは何でもないかのように片手間で祓った。

 

聖職者の極意(シェイリーフ)

 

 やった事と言えば手を添えただけ。祓ったというより聖印を付けられる前に時間を戻したと云うべきか。

 マーリンの結界すらも消したこの魔法は、もう察しているかもしれないが時間の遡行を織り交ぜた彼女独自の技である。これにより怪我や呪いといった後遺症の数々、果ては魔法に至るまで発生前に戻され跡形も無くなるというのがこの魔法の恐ろしいところだ。

 

 

「さてどうする?『断魔の羽衣』を発動した時点で貴様らに打つ手は無い。ここは潔く諦めて魂を捧げるがいい」

 

「ふざけるな! そんな事誰がするか!」

 

 

 いよいよ彼を苦しめていた枷が無くなり、より高圧的に迫るフラウドリン。〈蒼天の六連星〉も負けじと凄みを利かせるが、しかしその意識は明らかに隣のノルンへと向けられていた。口では取り繕っていても心の臆し様までは隠しようがない。

 

 互いに睨み合いが続く中、またしてもデンゼルから探りが入る。

 

 

「確かに強力な魔法だ。しかし対抗する術がない事もあるまい」

 

「ほう…? また何か気付いたのか」

 

「先の貴様の発言だ。あの時確かに“魔力に直接作用する攻撃は有効”と言ったな。絶対防御を謳うその鎧も元は魔力由来の代物。であればそれを構成する魔力を直接叩くか、そうでなくても地道に削り続ければ鎧も剥がれるという事だ」

 

「そうか、その手が…!」

 

 

 光明を得たとばかりに団員たちに一筋の希望が差し込む。その推測は当たっていたようで、フラウドリンも一瞬面倒くさそうな顔を晒した。

 

 

「よく聞いてるな。確かに禁呪に相当するノルンの魔法も、魔力から成る以上その法則(さだめ)からは逃れられない」

 

「ではっ、」

 

「しかしだ、私はこうも言ったよな。“貴様ら人間にとっては絶望だ”と。果たしてその意味まで分かっているかどうか……いや無理だな」

 

「どういう事だ」

 

 

 表情を崩したのは本当に一瞬で、すぐさま元のしたり顔に戻る。ノルンもやることが無いのか、仲間の顔の移り変わり様を地味に楽しみながら横から話を聞いていた。

 

 

「彼女が有する魔力の名――【上魔時間(ザ・タイム)】 時間はそのまま魔力の性質を指しているが、では「上魔」とは何の事だろうな」

 

「勿体ぶるな。さっさと明かすが良い」

 

「焦るなよ。こういうのは演出が大事なのだ」

 

 

 チラリと横目でノルンを見やる。当の本人は意図が分からず首をこてんと傾げるが、いや何でもないと言うと再び聖騎士と向き合った。気のせいでなければ今、ふッと微笑を讃えたように見えた。

 

 

「魔が上と書いて上魔。これはノルンの魔力の特性を示したものだ」

 

「魔力の、特性…?」

 

「簡単に言うとだな。彼女の魔力には二つ(・・)の特性があり、魔法の掛かりやすさ、掛かりにくさにも個人差が或るということだ。例えば要因の一つとして……人間族は特にノルンの魔力に弱く、魔法への耐性を持たない、とかな」

 

 

 その発言にまたしても度肝を抜かれる。確かに相手の魔力次第では自分の魔力が通りやすい、効きにくいなんてことは稀にある。

 しかしそれは単に相性の問題で、そこに種族的要因が存在したという例は未だ嘗て聞いたことが無い。しかし実際に目の前の少女こそがその証明だという。

 

 

「因みに。少し話は逸れるが闘級を構成する3つの要素――「魔力」「武力」「気力」がどういったものか、誰か記憶にある者は居るかね」

 

「何だ急に! いいから続きを話せよ!」

 

「話が逸れると言ったろう。ガキは黙ってろ」

 

 

 唐突にそんな事を語り出したためアーデンがいきり立つが、そこをワイーヨに止められる。右腕が悲惨な事に成り果ててるが意識はあるようで、自分の代わりに重傷を負った彼に静止させられたことがアーデンを踏み止まらせる。

 

「それを答えんことには話を進めん気か。全く腹立たしい奴め」

 

「魔力」とは対象の魔力の強さを示し、

「武力」は身体能力の強さを、

「気力」は戦闘における冷静さと忍耐を示す。

 

 おおよそ全員が知る知識と相違ない説明がデンゼルから為され、それを指示したフラウドリンも満足そうに頷く。

 

 

「今ここで重要なのは「魔力」だ。「武力」や「気力」も似通った指標だが、では魔力の強さ(・・)とは一体何を示すと思う」

 

 

 そう、魔力とは魔力()ではなく他二つと同じ“強さ”を主観に据えている。武力や気力などは大体イメージが付くが、魔力の強さとは何か聞かれると途端に想像が出来にくくなる。

 そう改めて問われ、デスピアスやアーデンも普段何気なく使っていた「魔力」というものに疑問を寄せた。

 

 

「無知蒙昧な諸君に分かりやすく言うとだな、これは正しくそのままの意味で捉えられる。すなわち強さ。魔力と魔力がぶつかった時に平行線を辿らず、拮抗しあった状況に置かれた時どちらの魔力が優先されるかを示したものだ」

 

 

 例えば魔力が【火炎】と【氷結】という、同じ熱を司る領域でそれぞれ違う性質を帯びた魔力同士がぶつかったとしよう。するとどうなるか。

 

 片方は水を蒸発させ、片方は同じ水を凍らせるとする。

 

 すると水は熱をため込み、一方で奪われる作用が延々と続けられることになる。その結果を左右するのが魔力の強さ、すなわち「魔力」である。

【火炎】の方の魔力が高ければ水は気体になるし、逆に【氷結】が高いと固体へと状態変化する。魔力とはそういうものだ。

 

 

「勘違いしないように予め言っておくが、今のは同じ水を媒介にしたという極めて限定的な一例に過ぎない。互いに魔法を発動しぶつけあったところで「魔力」が高い方の魔法が勝つわけではない。それを左右するのは魔力量の方だ。純粋な魔力とは違う」

 

 

 フラウドリンが言いたいのは、「魔力」が戦いの行方を左右するケースは極めて稀だという事。

 

 デスピアスの【旋律】であれば同じ音を司る【音調】や【消音】などと対峙した時に初めて競合する。【静寂】なんかも音を起源とするのは同じであるが、彼方は音そのものよりも発生を司る振動を生業とするため微妙に領分が異なる。

 デンゼルが有する【審判】に至っては同じ魔力性質を見つけるだけで大変だ。

 

 繰り返しになるが、このように「魔力」が戦いを決定付けるというのは実はそこまで多くない、という事だ。

 

 

「つまり人間であっても魔力量さえ多ければ魔神族とも一応は戦えるという事だ。おっと希望を持たないでくれよ? 今のは仮定の話だ、我々と貴様らとでは「魔力」以上の差がある。今のを聞いて万が一にでも……とか考えんでくれ給えよ」

 

「一々癇に障る野郎だなテメェ…!」

 

「早く本題を話せ。そんな豆知識を教える為だけに時間を割いたのではなかろう」

 

 

 徹頭徹尾こちらの神経を逆撫でる事しかしないフラウドリンに、アーデンだけでなくデスピアスまでもが苛立ちを見せる。デンゼルが静止しなければそのまま斬り掛かって行きかねない雰囲気に、味方であるノルンの方が苦笑いを浮かべる。

 

 

「結論から言うとだな、ノルンの【上魔時間(ザ・タイム)】は普段使われることのない「魔力」の優劣を浮き彫りにする。領分が異なろうが全ての魔力を同じ土俵に挙げ、強制的に魔力勝負に持ち込む。それが「上魔」一つ目の特性」

 

 つまり――、

 

「魔力さえ高ければノルンに抵抗することも、そこの女を時間の檻から助けることも可能という事だ」

 

「ッ、なら――!」

 

「因みに彼女の魔力は5万だ」

 

「………は?」

 

「クク、もう一度言ってやろうか?」

 

 ノルンの闘級は魔力だけで5万だ。

 

「そ…え……5万って、」

 

 5万、ごまん……? それじゃあ皆の魔力を足してもデルドレーは……

 

 

 その途方もない数値に、デンゼルさえも言葉を失った。何せフラウドリンが提示した5万という数値は破格も破格。

 実際「魔力」でノルンと双璧をなすグロキシニアを除いた現〈十戒〉の中で一番高いメラスキュラであっても、その数値は3万1500とノルンとは2万近い差がある。

 魔神王直属の精鋭部隊でさえソレなのだ。彼らにしてみれば雲を仰ぐより高い壁を突然押し付けられたようなものである。

 

 だがしかし、本当の絶望はこんなものではなかった。

 

 

「フラウドリンさんって意地悪ですよね。その言い方だと私の魔力(5万)より高ければ抗えると、皆さんが勘違いすると分かってて言ってますよね」

 

 本当はその程度じゃ全然足りないのに

 

「え…?」

 

「どうせメリオダスさんが知ってるから白状しますけど、この5万という数値はあくまで最低ラインです。それも魔神族と人間族以外が『絶対強制解除(アブソリュート・キャンセル)』や『魔力解除(マジックキャンセル)』を使用(・・)した(・・)想定(・・)()の。実際は5万では足りませんよ」

 

「おやおやおや…? ああそうだった、私としたことがボケてきたかな。我々魔神族なら“その程度”の魔力で済むから勘違いしてたよ。ハハハ、私も齢だな」

 

 

 目の前の少女の異常性が明らかになるにつれ、段々自分達の力に疑問を抱き始める。嘗ては〈七つの大罪〉と双璧をなすとまで言われた誇り高き騎士団の名が、今はとても小さく空虚なモノに成り果てようとしていた。

 

 

「……先程から魔族優位を殊更に自慢しているが、それが上魔とやらのもう一つの特性か」

 

「あぁそうだ。魔力至上主義を体現し、更には五種族の頂点に魔神族を据えるかの様な特性に敬意を込めてこう名付けたのさ」

 

 魔に見入られし者、最上の景色に至らん

 

 故に「上魔」と。

 

「仮に魔力に直接干渉できる手段を持っていたとします。その場合、魔神族であれば最低1万の魔力で私の力に抗えるでしょう。ですが、それが妖精、巨人、そして女神族になると5万。人間に至っては……10万の魔力を持って漸く、といったところでしょうか」

 

「じゅ、10――ッ!?」

 

 逆に言えばそれ以下の魔力持ちはすべて無効化出来る。私に攻撃を通すか、私の魔力から身を守る場合でも、最低ラインにすら達していなければ問答無用で封殺される。

 

 それこそが【上魔時間(ザ・タイム)】の真骨頂です。

 

 

 そう告げられ、とうとう全員の頭が真っ白になった。5万という数値でさえ遥か天上の話なのに、そこから更に上があるなどと言われても頭が追い付かない。

 一つ分かっているのは、デルドレーを元に戻すのに自分達の力では到底不可能という事だ。

 

 

「何だよそれッ、反則じゃねーか…!」

 

「勘違いするなよ? 絶対優位の根源足るは「時間」の方だ。『絶対強制解除(アブソリュート・キャンセル)』などの対抗手段を持たない者達にとって「上魔」はむしろ救済なのだよ」

 

 

 何せこの特性があるからこそ、僅かながらに抵抗できる可能性が存在する。

 

 全ての事象を支配下に置く「時間」は無敵そのもの。しかしあくまで魔力という概念に則っている以上、魔力に直接干渉する類の魔法には弱い。

 そこで「上魔」が時間の誇る絶対性を捨てる代償として得たのが、自身を脅かす天敵(魔力特攻)への耐性だった。

 

 仮に「上魔」が無ければ高次の魔法を修めている一部の魔導士以外は、それこそ今以上に為す術無く蹂躙されていただろう。

 

 

「とは言え諸君の嘆く気持ちもよ~く分かるとも。正直我々であってもその条件を満たすのは容易ではなく、「上魔」があろうが無かろうがノルンに対し有効手段を持ち得ないのは私も一緒だからな」

 

 

 だから本当に、心底同情するよ

 

 

「本来、耐性が低いのは人間族の唯一にして最大のアドバンテージだったのになぁ。彼女が此方につく原因となった三千年前の祖先を呪うが善いさ」

 

「なんだと? それはどういう事だ」

 

「クク、彼女の服装を見れば分かるだろう。ノルンが本当は前線に赴くタイプではなく、魔力を――」

「うおッ、どうしたデルドレー! 何で動かないんだ!? ってか研究棟の扉が開いてるじゃねえか!」

 

 

 その時、外から男の悲鳴にも似た声がフラウドリンの説明に割り込む。声の持ち主はそれから少しして研究棟の扉から顔を覗かせた。

 

「いた! デンゼル様、それにお前らも……ドレファスと横の嬢ちゃんは何だよ」

 

「ドゲッド!」

 

 それはリオネス国王に〈十戒〉を捕獲した旨を報告して帰って来たばかりの〈蒼天の六連星〉最後の一人だった。そんな彼だが状況が読み込めないのか、視線をフラウドリンとノルン交互に彷徨わせる。

 

 

「おっと、ついつい長話をし過ぎてしまったな。仕事を再開するか」

「やっとですか。ゼルドリスさんから遅れた分の埋め合わせを預かってるんですからね」

「それは怖い。早急に取り掛からねば」

 

 

 会話の腰を折られたフラウドリンであったが、機嫌を損ねることなく最後の乱入者を迎え入れる。というよりノルンから催促されたのもあって話を区切るのに居ても居なくても構わなかったというのが正解か。少し時間を浪費し過ぎたとは本人の談だ。

 

 

「待てそこの少女よ。お主半分は人間であろう。何故それが魔神族の味方をする」

 

「……」

 

「てめェっ、デンゼル様が訊いてんのに無視するな! デルドレーの様子がおかしいのもお前らの仕業だな、さっさとアイツを元に戻しやがれ!」

 

「よせドゲッドっ、あまり挑発するな!」

 

「……」

 

「そうか。答える気は無い、か」

 

 

 フラウドリンは兎も角、ノルンに彼等への興味はない。騎士と王族というのは確かに気に食わないが、今はそんな事で一々相手するのも馬鹿らしく感じてきた。

 

「何とも哀れな。人間としての誇りを忘れ、魔神族に与するなどあってはならな――グッ!?」

 

 だからフラウドリンが相手しないなら見逃すつもりであったが、そんな彼女の逆鱗に触れる言葉がデンゼルから聞こえてきたことで、一気に感情のボルテージが殺意へと振り切った。

 またテレポート染みた速度で首根っこを掴むと、後ろの壁へと叩き付ける。脳の奥でまた痛みが発せられるが、それすら強靭な意思で無視して目の前の愚か者を殺めようと力を溜める。

 

 

「人間としての誇り? アハっ、それって無抵抗の同族を人質に取って脅すことを言ってるの。それとも寄って(たか)って幼い処女を迫害したこと? それならよ~く知ってますよ」

 

「このッ…デンゼル様から離れやがれ、薄汚ねえ魔神族ガッ――!?」

 

「貴方も煩い。二人纏めて時間の果てに沈むといいです」

 

「デンゼル様ッ、ドゲッド!!」

 

 

 無駄だと知りつつもノルンに斬って掛かる三人。ワイーヨに至っては腕の陥没すら撥ね退けて加勢しているが、それが何の足しにもなっていない事は目の前の光景が伝えてくれる。

 

「死になさい。『万物が至る(ハイ・アクセラレ)――

 

 ぐるうゥゥ…

 

「「 ッ――!!? 」」

 

 

「あっ、何だ? 本当に手を放したぞ」

 

「待て、様子がおかしい」

 

 

 団員までもが二人の死を幻視したその直後だった。命を摘み取る筈だった手が離れたかと思えば、何故か手を組み膝を折るノルンの姿があった。

 事情を知らない者が見れば敬虔な信徒が熱心に祈ってるようにも見えただろうが、つい数秒前までヒト二人を殺そうとした手で何に赦しを請うのか。その得体のしれない不気味さに、先程とは別の悪寒が全身を走った。

 

 

「ここでお目覚めか。何とも間の悪い」

 

「……私の責任です。練習でかなり魔力を消費したのに加えて、2回も戒禁を発動させようとしたんです。こうなるのは事前に予測できたはずなのに」

 

「それを言うなら私も。少々戯れが過ぎた。想定外だったなどと言い訳のしようもない」

 

あの方(・・・)にとっては三千年も一万年も誤差みたいなものですから。同質の魔力に中てられたのがやはり大きいかと」

 

 

 フラウドリンまでもが冷や汗をかき、手で包んだロザリオに語り掛けるノルンを見やった。そこには本気の焦りと、何かを噛み締める苦悩とが入り混じっているようにも見える。

 

 

「な、何だ。アイツ等何を言ってるんだ…」

「デンゼル様、ご無事ですかっ!」

「あ、あぁ…問題無い」

「一瞬マジであの世が見えたぜ。何だあの女は」

 

 

 ノルンから解放された二人が仲間に起こされても、魔神族精鋭は見向きもしない。かと思えばノルンが祈りの体勢を崩し安堵の息を吐くと、まるで今まで忘れていたかのような胡乱気な視線を寄越す。

 

「喜べ。此処で貴様らを処分するつもりだったがそういう訳にも行かなくなった」

 

 しかし勿論タダで見逃す気はないと、そう言うや否や固まったデルドレーの手から呪言の玉を引っ手繰ると、そのデルドレーを片手で持ち上げ団員全員がいる研究棟の中へと放り投げた。

 

 

「じゃあな。全てが終わっても生きていたらその時は私自らの手で殺してやろう。次は皮を脱いだ状態でな」

 

「ま、待て――」

 

 

 そう言って扉を閉め、ノルンが発動前に戻した〝完全なる立方体(パーフェクト・キューブ)〟を今度はフラウドリンが使用する。

 いつの間にか外に出ていたノルンもこれが意趣返しだと分かったのか、特に何を言う事なく彼の横に並んだ。

 

 

「全く、今回は私()悪いが何時までもそんなものを持っている君も大概だぞ。普段は大人しいノルンが奴に関してだけ言う事を聞かないとゼルドリスが前にボヤいてたぞ」

 

「ごめんなさい。でもこれだけは譲れないんです。シスターから託された、大事なものだから」

 

「……はあ、仕方ないな」

 

 

 フラウドリンのお小言にも、逆にロザリオを握る手を強くすることで暗に命令には従えないと意思表示する。

 

 

「私からも語り掛けてみます。この方が魔神王様に忠誠を誓えば、それこそ終戦に大きく近付く筈ですから」

 

 

 ね、そうでしょう。威龍(・・)様。

 

 

 

 






 
〈十戒〉ノルン

闘級52500 ( 魔力50000:武力100:気力2400 )


 戒禁は《不殺》
 ノルンの前で殺生を行う者は、寿命を全て奪われて死に至るというもの。ただし使用者本人は己の時間を止めて対策しているので実質的な被害はない。

 魔力【上魔時間(ザ・タイム)
「時間」に関連したあらゆる事象を引き起こす魔力。「上魔」で既存の法則を〝魔力が多い方が有利〟というものに書き換え、更には種族的アドバンテージまで創り出した。その力はゼルドリスをして規格外と称するほど。


 ↓参考までに種族別の魔力一覧↓

  魔力干渉の類を所持して
     いる  いない
 魔神族 1万  5万

(女神族)
 妖精族 5万  ??
 巨人族

 人間族 10万 ??


 ちなみに。呪いの影響で女神族が抗うのに必要な魔力が、魔神族と同じだけになりましたが、それと同時に受けられる〝恩恵〟も少なくなりました。



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