今更ながら前回の「魔力」説明のところは独自解釈強めです。
「と、これがノルンの魔力【
「無理だな。勝てるビジョンが1mmも浮かんでこない。団長殿はよくこれに勝機を見出せるものだ」
メリオダスから最優先事項だと告げられた十戒の内の一人。《不殺》のノルンが有する魔力の説明を聞いたマーリンが、彼女にしては珍しく不可能だと断じた。
それだけ【上魔時間】で起こす事象が規格外なのもあるが、何よりノルンとマーリンとでは絶望的に相性が悪いのである。
「私の「魔力」では全て無効化される上に、頼みの綱である『
此方の魔法は防がれるか発生前に戻されるかの二択しかないのに対し、現状マーリンが持てる手札にノルンを封殺できるカードが無いのだ。流石にどうしようもない。
「そういう団長殿こそどうなんだ。そもそもノルンとやらに攻撃が通るのか?」
「出来るか出来ないで言やギリ何とかなる。問題は喩え攻撃が通じたとして、ノルンの纏う『断魔の羽衣』を削り切れねえのがなぁ」
なんせ一撃で意識を奪わねえと魔力を補充して修復されるか逃げられるんだよ、と力なく声を上げて天を仰いだ。その様子からは本気で困っているのが見て取れる。
「速度に関しては眼で追うとか最早そういう次元の話じゃねえし、やっぱ逃げ道を無くすのが正解だな」
「その為に共同で“アレ”を開発しているのだろう。最初話に聞いた時は眉唾物だと思ったが、実際に試すと中々どうして興味深い」
しかし攻撃はこの際良いとして防御の方をどうするか。その懸念がマーリンから聞こえてきた。
「避けるのは選択肢に入らんのだろう? 現状魔力で耐えてくれるのを祈るしかあるまい」
『
時間を進めている関係上『断魔の羽衣』との併用が不可能となるが、それ以外で特にデメリットらしいデメリットも存在しない正に出し得な魔法である。後は速度次第で仲間との会話に不備が出るくらいか。
このような性能になっているため基本攻撃は当たらないし、発見されたと思ったら次の瞬間には全て終わっていたなんて事もザラにある。
そしてまだ登場こそしてないが、この魔法は〈四大天使〉筆頭である【閃光】とも非常に相性が良い。速度という概念が時間の下に位置付けられている都合上、どうしたってノルン優位の戦いとなってしまうのだ。
多分3千年前の聖戦で彼が一番辛酸を嘗めさせられただろう。
「全く。確かに先ずは絶対防御をどうにかしようと言ったが、それ以外の課題も山積じゃないか。知れば知るだけ不可能に感じるが、これは悪夢か何か?」
「ところがどっこい! そんなマーリンの為に【
「ようやくか。訊かせてくれ、頭が痛くなる前にな」
これまでは魔力の強みについて語ってきたが、ノルン攻略にはその情報も不可欠である。敵の脅威を正しく認識するのも同じぐらい、何処が弱くて何が出来ないのかといった取捨選択も行わないといけない。
「やっぱり先ずは「上魔」の特性が挙げられるが、これに関してはもう良いだろ。さっき散々説明したしな」
「魔神族に近いほど時の魔力に抗いやすく、同じことを人間がする場合多大な魔力を要求されるのだな」
「重要なのはそこだ。確かに俺や〈十戒〉なら耐性を上げて多少なりとも抵抗することが出来る。けれど、それは逆にノルンの付与魔法を受けにくいって事だ」
「待て、
「
それを聞いて一先ず安心する。ただでさえ化け物揃いの〈十戒〉が万全の『断魔の羽衣』や『
「成る程。その理論で言うと一番恩恵が受けられるのは彼女の魔力に抵抗が無い種族――つまりは人間か。よく出来ているな」
マーリンは以前、ノルンという少女が魔神と人間のハーフだと説明されたことを思い出す。魂に付随する魔力が魔神族のモノで、身体は人間だと。
身体の性質が同じということは、つまり
「皮肉なもんさ。【
魔に傾けば他を寄せ付けない圧倒的な「個」となり、
人に寄らば突出した個はやがて集い「群」となる。
それは人と魔神という両種族を言い表す上での本質そのものだった。
「話が逸れたが、つまりはそれが一つ目の弱点だ。【
そして二つ目に。
「これは魔力というよりも技の欠陥になるが、『
ノルンの魔法は基本どれも効果がぶっ壊れている割に
しかし勿論例外もあって、世界に影響を及ぼすほどの禁術はその他魔法みたく取り敢えずみたいなノリで出せるものではない。
「と言ってもあくまで気持ちの問題だけどな。ここで重要なのは俺達の思惑通りに戦況を進めつつも、ノルンが〝あの手〟を切らないギリギリを見極めるってことだ」
「あの手、と言うと前に話していたやつか。やれやれ。劣勢なのは此方だというのに、その上更に枷まで付けられようとはな。うちの団長殿は随分無茶を言ってくれる」
「にしし、悪いな」
メリオダスが顔をほころばせるのを見て一瞬納得しかけるが、その後すぐに看過できない問題がまだあったことを思い出す。
「いや待て、そもそも根本の問題が手付かずではないか。仮にアレを抑えたからと言って《不殺》にはまだあの魔法が」
「そこで3つ目の弱点が活きてくるって寸法さ。今まで挙げたのは正直デメリットとは程遠いが、これはノルンをして正真正銘唯一の欠点と公言したぐらいだ。その欠点ってのが――」
『
「…? それだけか……いや待てよ。今の説明だとつまり…」
「納得したか?」
「ああ、それなら確かに行ける。相変わらず勝算は低く、失敗すれば終わりの一発勝負だという点に目を瞑ればな」
今の説明だけで作戦共有が為されたのか、マーリンも少しだけ表情を緩ませ了承の意を伝える。まだまだ問題は山積みだし成功率も決して高くはないが、それでも一筋の希望が見えただけ収穫はあった。
「となると、最初に他の<十戒>を狙うのは盤上を整える為か」
「そういうこった。まだエスカノールとも合流できてねえし、
チャンスは一度きり。用心に用心を重ねてもし過ぎることはないだろう。彼方は何度だってやり直すことが出来るかもしれないが、生憎と敵対する身なので神経質にならざるを得ないのである。
「さてさてさーて。それじゃ、ノルン攻略の前に先ずは喧嘩祭りとやらでサクッと優勝してこようかね~」
そう言って店の外に出た数秒後、セクハラを受けたエリザベスの悲鳴が耳に届いた。
これで自分の中での第一部は終了となります。
他にも執筆したい作品があるので、次回更新は気長にお待ちください。
↓最後にノルンの系統別魔法一覧を下に載せておきます↓
『
超速移動。術を掛けた者の時間を無限に加速させることで生物、非生物問わず全ての物質を置き去りにする魔法。実質【メイド・イン・ヘブン】
『
接触即死。↑の干渉系魔法。対象を形が保てなくなるほど遠い未来まで加速させる技。これも生物、非生物問わず干渉可能。というかノルンの魔法は大抵がそう。
『断魔の羽衣』
絶対防御 & 自動カウンター。対象の時間を止めて〝不変〟の概念を得る力。この魔法を纏うと世界の法則からも逸脱し、動作の悉くが容認・遂行される。『追い縋れぬ憧憬』との併用は不可。元ネタは【獅子の心臓】と【一方通行】
『
半永久封印。唯一原作からある技で、マーリンの奥の手。その効果は対象の時間を止めて状態を保存するというもの。本来禁術に指定されてるが、ノルンの魔法はどれも禁術認定なので問題無し。→何が?
『
超回復 & 能力末梢。対象の時間を任意の時間まで巻き戻し、怪我、呪い、魔法に至るまで操作する技。他の系統と異なり、この魔法だけは付与と干渉どちらの性質も併せ持つ。
『
到達限界。文字通り世界を加速させる魔法。『追い縋れぬ憧憬』とは逆に、ノルンと彼女が指定した者は加速する時間の影響を受けない。流石に世界を一巡したりはしない。
『
停滞不変。時間を止めることは勿論、集中すれば特定のエネルギー法則すらも停止させることが出来る。『追い縋れぬ憧憬』が【
『
巧遅拙遅。限りなく遅い世界に対象を閉じ込める。『追い縋れぬ憧憬』と違い、仮に囚われてもノルンが何を言ってるかは理解できるが、此方が喋り終えるには無限の時間を要する。
『
条件付き巻き戻し。今いる場所から過去へと逆行し、それまでの道程をやり直すことが出来る。過去が完全に塗り替わるまでは魔力継続が必要で、それにより世界改変系の術の中で一番魔力消費が激しい。
『悠久の狭間』
情報未到達。おまけ。元ネタは最強の先生が持つ領域展開。『時の棺』があるから使わないけど、もし仮に登場するとしたらこんな感じの名前。
この時点でメリオダスの作戦が分かった人には永遠の命をあげます。(嘘です)
それではまた!
使ってみたい時間の系統は?
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加速
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停止
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減速
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逆行