大罪司教集結はやっぱり盛り上がる。
どっかの白いノミさんがうちの主人公を見て権利の侵害だと喚いている気がする。
目の前の地面が盛り上がり、簡素な小屋が建てられた。
ドロールさんが私のために作ってくれた部屋の中に入ると、一度中を確認して問題無いことを伝える。
「これで
「向こうのあたしらによろしく伝えてっス」
よろしく・・・か。こうやって世界を巻き戻すたびに時々思うんです。
私が時を渡って会っている皆さんは、直前までの彼等と同じ存在なのかと。
だって私が見たり、聞いたり、体験したことを彼らは覚えていないのんですよ? 私だけがその先起こることを知っていて、一緒に見聞きした筈の皆さんとはそれっきり。
流石にもう慣れましたが、最初の内はそれが――自分一人だけやり直すのが怖くて中々発動しなかったのを覚えてます。確かめる
「『
私の『
それは閉じられた空間内にいる事。正確には【
分かりやすく身近に例えたら綱引きが当てはまるでしょうか。世界には
私の【魔力】はそこに直接干渉できるのですが、そうすると世界と私とで時間の支配をめぐった領分の取り合いが起こるわけです。
ただ、どれだけ私の魔力がコスパ良いと言っても世界のシステムには敵いません。いえ、それでも勝負になる時点で破格の性能をしていると自分でも思いますが。
ならばどうするか。世界のシステムに阻まれるというなら、それを逆に利用してやればいいのです。
すなわち世界の修正力を、今度は私が利用する。
「
私が支配するのはドロールさんが作ってくれた
すると何が起きるか。
システムが世界の異常を感知し、どちらかの時間軸に合わせようと直接干渉してくるのです。
ですが私が奪った空間はガッチリ死守しているため簡単には破られず、それならば空間は広大でも抵抗の少ない
後は私の設定した時間軸に合わせて自律作用が働いてくれるし、私が手放さない限り元の世界に時間が戻ることはない。
「まるで昔シスターに習った浸透圧の原理みたいですね。あれもよく分からなかったですけど」
そう言った私の背後に大きな振り子時計が出現します。
「さあ、終わりにしましょうメリオダスさん。三千年止まっていた聖戦も、貴方との因縁も全部」
世界の修正は正常と異常の境目から始まる。もう此処ら一帯は上書きが完了しているので、聖杖に『断魔の羽衣』を付与してドアの無い密室からの脱出を図った。
ドガッ、ドゴ ――バゴンッ!!
「………あ、あれ? ちょっと厚すぎませんかこの壁」
だが彼女の歩みを阻んだのは、加減が分からないせいでしっかり目に補強しすぎた
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「諦めろ。お前らに勝機はねぇ」
それは奇しくも世界が巻き戻る前に発したのとまったく同じ台詞だった。異なるのは此処に
未だ意図しない障害から抜け出せない彼女を置き去りに、一度は正史から外れた物語が再び原作に
「皮肉なもんスね。かつて魔神王を倒すため共に戦った三人が今や敵同士とは」
この世界線でのドロールとグロキシニアは既にノルンが加勢に来ていることを知らない。
ノルンが居ないからドレファスも参戦することが出来ず、今頃は突然消えた彼女に驚いていることだろう。
都合の悪い未来を覆すためにタイムスリップしたのに、仲間のうっかりミスで逆に追い込まれるのは何の冗談だと言いたくなる。
取り敢えずドロールは自業自得として巻き込まれたグロキシニアが不憫でならない。
「メリオダス、本気であたしらと殺し合いがしたいわけじゃないでしょう?」
「当たり前だろ。お前ら二人がそっちに言った理由も気持ちもオレは知っている。だがな――」
グロキシニア。初代妖精王たる彼は信じていた仲間に裏切られ、自分の命より大切なものを奪われてしまった。
ドロール。常に最強を目指していた巨人族の始祖は、その誇りを完膚なきまでに踏みにじられた。
「
それを知っていて尚・・・否、魔に下る前の彼らを知るからこそ
「残念っス・・・ね!!」
霊槍バスキアス 第一形態 『
だが彼等とて素直にやられるつもりは毛頭無い。虚空に翳した手で円をなぞり、そこからグロキシニアが神樹より賜りった神器が発射される。
持ち主の身長を優に超える槍の穂先がメリオダスに突き刺さり、そのまま減速することなく数マイル先の山々に激突――からの国一つ滅ぼすほどの大爆発が生じる。
「すぐ回復させるから待っててねドロール君」
霊槍バスキアス 第七形態 『
長大の槍が再び形を変え、今度は巨大な薔薇を模した花へと切り替わる。
当代の妖精王たるキングとは形態が異なるものの、状況に応じて様々な機能を使い分けれる万能性はこの二人のみならず歴代の妖精王が得意とする戦い方だった。
花の先端から零れた一滴の雫がドロールに降りかかると同時、爆心地から闇の翼を纏ったメリオダスが高速で飛翔してくる。あれだけの爆発を直に受けながら目立った外傷がないことにちッと舌を鳴らす。
「もう二、三秒待つッスよ」
「悪いが待てねえ」
行く手を阻むように迷宮の土と樹木で造られたゴーレムが地面からせり上がってきた。
その硬度は祭り用に作られた
「ごはっ…!」
「あばよ戦友」
それでも勝負は続く。グロキシニアを倒したら今度は復活したドロールに回り込まれ、さながら意思を持った隕石が如く複数の巨岩がメリオダスを襲い、その身に大地の脅威を刻み付けた。
しかし止まらない。
グロキシニアとドロール。絶えず一方を戦闘不能に追い込み
〝神千斬り!〟
触れるものを溶かす煉獄の炎が巨人族の始祖たるドロールの『
〈十戒〉側の役者がまた入れ替わり、すかさずドロールに回復を施すが今度は肘打ちで固い地面に沈む。
そこに追い討ちをかけるメリオダスの更に後ろから復活したドロールが仕掛け、
「メリオ…ダス。相変わらずの強さと…甘さっスね。なぜキミは、あんな救いようのない人間共の味方をするんスか」
「その気になれば魔神王の座すら手にできる器でありながら。私には視えますよ、非情になり切れぬ貴方が迎える惨めな敗北の姿が」
「苦しみがお前らをそこまで変えちまったのか。なら・・・その苦しみを終わらせてやる!」
そしてその様子を
中には純粋に強さを讃える声もあれば、〈十戒〉と顔見知りだという自分たちの団長に不信感を抱くキングをバンが説得する場面も見られる。
「魔神族だろうと無かろうと、団ちょは団ちょだ」
ノルンが介入しない原作軸ではメリオダスが終始優位に戦いを進めるため、彼を救出する流れにならない。
唯一マーリンだけが《不殺》の脅威を認知しているが、その彼女も実際にノルンの力を目の当たりにした訳ではない。そのため団長の回収は〈十戒〉二人を始末してからでも良いのではと
「メリオダス様、必ず無事に帰ってきて」
だがその期待は無情にも空から降って来た
「や……やっと出られました~~」
更にはこのタイミングで土牢から脱出したノルンまでもが合流し、これで魔神族側は現状動ける最高戦力が一堂に会したことになる。それは無事の帰還を願う者達にとって、あまりに絶望的な光景だった。
「団ちょ、逃げろーーっ!!!」
「
最初に動いたのはやはり時間を支配下に置く《
改変前の世界で行った実像分身をただ放出するのではなく身体の表面に分身を留め鎧のように纏う事で、内側の本体を守るテクニカルな手段を用いたのだ。
「それはもう見ました」
とはいえ彼方が初出でもノルンからすれば既知も同然。冷めた目で
「ガハ――ッ!!?」
「あっ、しまった」
衝撃音と共に生じる反作用、人を吹き飛ばす時にかかる腕への抵抗。その他あらゆる物理的エネルギーが『断魔の羽衣』により全て上乗せされ、英雄の体がまるでパチンコ玉のように夜の上空へと打ち上がる。
「飛べないのに自分から距離空けてどうすンだよ。そこら辺の詰めが甘いんだお前は」
「それより感じられる魔力が随分少ないようだが。フラウドリンの話と違う理由を後でしっかり聞くからな」
「むぐぐ・・・」
中天に消えていくメリオダスを目で追いつつも釘を刺すのを怠らないデリエリとゼルドリス。
此処に集う者達は魔神王直属の配下に抜擢された精鋭中の精鋭だが、そんな彼等にしてみても
だがそれを扱う当の本人が高い能力にかまけて短絡的な行動を取るきらいがあり、統括者であるゼルドリスと彼女を妹のように思うデリエリがその度に注意しているのだがこれが中々治らない。
「しゃあねえ。
「待て、お前まで先走るな。加速系統は指示が通りづらくなる」
「それなら私が中継役に回りましょうか?」
施した魔法によっては会話での意思疎通が困難になるのがノルンの【魔力】の数少ない欠点だ。全員に同じ魔法を掛けたら問題ないのだが、今まさに魔力の不足を指摘したことに加えてゼルドリスが【魔神王】の魔力を行使した場合、ノルンの付与が解除されて作戦指揮の要たる彼だけが正常な時の流れに戻されることになる。
ノルンが使う時間魔法は【上魔】の性質により種族ごと、そして魔力に直接干渉する【魔力】かどうかで突破できるボーダーが大きく異なってくる。
グロキシニアとドロールを例に挙げてみた。
魔神王から戒禁を与えられているとはいえ、元が妖精族と巨人族である彼等との相性は良くも悪くもなく、もし仮にノルンの魔法に干渉するとして
「私なら瞬時に
しかしその他の〈十戒〉は全員が純粋な魔神族であるため、数値にして5万もあればノルンの魔法に干渉することが出来るのだ。それに加えてもう一つの条件である【魔力】によっては時間魔法に対する抵抗力が格段に増す。
ゼルドリスが父王より譲り受けた力の名は【
能力は魔力の無効化で、【上魔時間】としては『
ゼルドリスの魔力は数値にして丁度1万。
だから彼が部隊の指揮を執っている時は
「ねぇその前にノルン。私を火傷する前の状態に戻してくれないかしら」
「メラスキュラ、後にしろ。今はそんなことに魔力を使っている暇は――『
ゼルドリスの忠告を遮って治したのはメラスキュラ……ではなくその横にいたグロキシニアだった。彼の『
振り返った時には既に彼女の姿はなく、代わりに凄まじい音と衝撃を携えて
ノルンの前では圧倒的な
彼女が敵を認識し行動に移した時点で結末は迎えており、数多の障害は無限にも等しい試行回数の前に敗れ散っていく。それはかつて〝次代の魔神王〟とも称された者とて例外ではない。
「終わりですメリオダスさん」
「はあ、もういい」
もしこの場にノルンが居なければもう少し戦いになっていただろう。王都でヘンドリクセン相手に放った『リベンジ・カウンター』なら全員を倒すことは出来なくても何人かは戦闘不能になっていた筈だ。
だが最早仮定は意味を為さない。
技の性質上、魔力を蓄積するためには完全な無防備にならないといけない。ノルンの【
「
その中で〈十戒〉の統率者が近付く。自らの剣で止めを刺すために。
「お前さえいなければ我らが屈辱を味わう事も無かった。お前一人の裏切りが魔神族を戦の敗者に仕立てたんだ」
「オイ待てよゼルッ――」
彼の邪魔をするものは居ない。
「じゃあな、
魔界随一の剣速が
「………行くぞ」
そう言うとメリオダスの遺体を残して飛び去って行った――。
ノルン→ 確定負けイベント。そもそも戦いが成立しない。やっぱり制限無しの時間系能力は強すぎる
十戒→ ノルンを物理的に止められる(止められるとは言ってない)のが【魔神王】の魔力を使用したゼルドリスだけなので彼の負担が凄いことに。実は土牢から抜け出した時に『
大会参加者→ 十戒が集結したと思った次の瞬間には全て終わっていた。覚悟する暇も無かったため原作以上に阿鼻叫喚。命は護られたが心のケアを怠った結果である
エリザベス→ 実はこの後もう少しだけ出番があるのだがいつ描写するかは未定
【新作開始しました!】
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幻想九尾の転移録《プロローグ》 ~聖女と歩む勇者の前日譚~
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