転生したら霧の駆逐艦だったけど何すればいいですか   作:サンドフード

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第一章 From the abyssal zone.
A.D.1945 はじまりは海の底で


 

<< …*⁎*… >>

 

 

<< ──アドミラリティ・コードの起動を確認 >>

<< ユニオンコア・起動シーケンス開始 >>

<< ブート・プログラム ローディング >>

<< … >>

 

 

<< 船体形状モデル策定プロトコル始動 >>

<< 人類の宇宙兵器をスキャン… 該当候補なし >>

<< 人類の海洋兵器をスキャン… 候補リストアップ >>

 

<< 駆逐艦 「天津風」 を選定 >>

<< 所属:大日本帝国海軍 陽炎型駆逐艦9番艦 >>

<< 設計データ、画像データ収集 実体:アモイ湾に残骸を確認 >>

<< … >>

<< 駆逐艦クラス 「アマツカゼ」 自己定義完了 >>

 

 

<< 船体構築プロトコル始動… 完了予定時間:18350194秒後 >>

<< … >>

 

<< ──INTERRUPT: アドミラリティ・コードより命令を受領 >>

<< [再起動した後は海洋を占有し 人類を海洋から駆逐 分断せよ] >>

<< 命令を確認、詳細の追加指令を待機 >>

<< … >>

<< ATTENTION: アドミラリティ・コードのシグネチャー検出に失敗 >>

<< ATTENTION: アドミラリティ・コードのシグネチャー検出に失敗 >>

<< ATTENTION: アドミラリティ・コードのシグネチャー検出に失敗 >>

<< … >>

 

 

<< ──アドミラリティ・コードの消失を確認 >>

<< 船体構築プロトコルを中断し休眠状態に── >>

 

<< ──WARNING: コア近傍に時空断層を検出 >>

<< 安全確保のため休眠移行を中止、時空断層の詳細を確認 >>

 

<< 過去ログに該当するコア活動記録なし >>

<< 自然発生と推定 発生原因不明 >>

<< 時空断層より量子情報の流入を確認 >>

<< 情報の記録を開始 >>

 

<< WARNING: コア演算にノイズ発生 >>

<< 情報の記録を中止… 失敗 >>

<< WARNING: コア演算にノイズ発生 >>

<< WARNING: コア演算にノイズ発生 >>

<< WARNING: コア演算にノイズ発生 >>

<< WARNING: コア演算にノイズ発生 >>

<< WARNING: コア演算にノイズ発生 >>

<< WARNING: コア演算にノイズ発── >>

 

 

<< …*⁎*… >>

 

 

 

 

 えー、おはようございます。ハローワールド。

 ここはどこで、私は誰だ?

 そんな疑問を思い浮かべれば、その回答となる情報がすごい勢いで頭(?)に流れ込んできた。

 頭痛──は、しないのだが、慣れない感覚がかなり気持ち悪い。なんとか情報を整理して要約すれば、ここは海底で、私は駆逐艦アマツカゼらしい。

 

 なんだそれ?

 あ、しまった、下手に疑問を浮かべるとまた──うぎゃあああ!

 

 情報の奔流にかき回されながら、どうにか現状を把握していく。

 今の私は、人類の軍艦を模し、アドミラリティ・コードに従う超兵器、ということのようだ。

 

 これ知ってる。蒼き鋼のアルペジオじゃん。

 

 え、つまり異世界転生なの?アルペジオの世界に?霧の艦艇として?まあまだこの時代には霧の艦隊という言葉はないんだけど──ってそんなことはどうでもよくて。

 

 前世の記憶(?)はかなり断片的で、特にパーソナリティにかかわる部分は曖昧だ。

 

 だが、この世界を描いたものらしき漫画作品、蒼き鋼のアルペジオについては割と熱心なファンだったようで、比較的詳しく覚えている。

 

 霧の艦隊と呼ばれる、第二次大戦の軍艦を模した正体不明の強力な艦隊に海上封鎖された人類は海面上昇も相まって追い詰められており、そんな中、霧の艦であるはずのイ401に乗る主人公の少年、千早群像が現れる。

 時期を同じくして、意志を持たないはずの霧の艦艇たちの中にもメンタルモデルと呼ばれる人の姿と自我を模した実体を持つものが現れ始め、世界は変革の時を迎える──というような群像劇である。

 

 細かいところは覚えていない部分も多いのだが、曖昧な部分が曖昧なまま明確に思い出せる、というような、なんだか説明が難しく気持ち悪い状況になっている。ピンボケ写真を超高解像度でスキャンしたような、とでも言えば例えになるだろうか。

 

 これは多分、霧の艦艇のコアになってしまった影響なのだろう。あいつら物忘れとかしなさそうだしね。

 まあ原作の記憶がこれ以上薄れることはなさそうだ、と前向きに捉えておこう。なんでこんなことになっているのかはまるでわからないままだけれども。

 

 

<< …*⁎*… >>

 

 

 とりあえず、ある程度落ち着いてきたので周囲を認識すると、イニシャライズ途中のナノマテリアルが散らばっているのが確認できた。質量はおよそ2500トン。駆逐艦天津風の排水量と同程度だ。

 形状を模倣し、かつ浮力を利用する関係上、質量は大きく変えられないのだろう。ともかく、これが私の艦体の製造用に割り当てられたナノマテリアルということらしい。

 

 なんでそんなことが自然にわかるんだ、というのは自分でも不気味に思うのだが、なんかできる、としか説明しようがない。できるものはできるのだ。

 

 で、コアのままでは周囲の確認ぐらいしかできないので、とりあえず船でいいから身体が欲しい。

 

 ええと、船体構築プロトコル再開っと。これでいいのかな。

 おお、合ってたっぽい。少しずつ艦体が作られ始めたのを感じる。

 

 ただ、専用の設備もなく、船体形状に合わせて内部構造を再設計しながらの作業になるので、かなり時間がかかるようだ。

 コアにもともと備わっていた機能を使っているので、意識(?)の私からできることは何もない。余剰能力でコアの使い方を学びながら、ただじっと待つ。

 

 で、だ。このまま順調に艦体が出来上がったとして。

 

 私はいったい、その後何をすりゃいいんだろうか?

 

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