転生したら霧の駆逐艦だったけど何すればいいですか 作:サンドフード
どうもランキングに乗ってたみたいですね。超感謝。
蒼き鋼の面々をなんとか追い返してしばらくして。
佐賀県鹿島市宇宙センター。有明海に面するその施設に、私は訪れていた。
ここでは今、振動弾頭を積み込んだSSTOの発射準備があわただしく進められていた。
アメリカから物資を送られてきたSSTOの回送をすることはあっても、こちらから荷を送ることなどほとんどない。
燃料のメタンも、年々生産が難しくなってきていた。
かつては太平洋に面した種子島が宇宙機打ち上げの中心地だったが、今では陸の上で高度を稼がなければ海上の航空機とみなされて霧に撃墜されてしまうため、現在の立地になっている。墜落時の地上のリスクなど度外視だ。打ち上げ直後なら湾内に落とせるのがせめてもの配慮か。
のんびり眺めていると、警報が鳴り響く。
遠くに、湾内に侵入してくる影が見える。
霧の軽巡、ナガラだ。
非軍事物資のSSTO輸送はアドミラリティ・コードの命令の対象外とみなされて見逃されているが、軍事物資は別である。包囲網の維持のため、容赦なく撃墜される。
湾岸からUAVやミサイルが一斉攻撃を仕掛けるが、クラインフィールドに阻まれ何の損害も与えない。
だが、近くに
ナガラが航路を変えて、戦闘態勢に移る。
対潜魚雷が垂直発射され、着水。水中で激しい爆発が起こった。
しかし彼らはそれぐらいで沈められたりはしない。
海中から発射された浸食魚雷が船体を捉え、起爆。
十分な浸食反作用演算を行えなかったナガラはそのまま横腹を食い破られ、撃沈される。
いよいよだ。
『蒼き鋼のアルペジオ』の本編が、始まった。
打ち上がるSSTOと、浮上する401を遠目にしながら、私はその場を後にした。
時は少し遡る。
私が初めて人間の街に上陸したときのことだ。
場所は分散首都長崎の近郊。都会の方が紛れ込みやすい。
あえて一切の下調べをせず、五感だけで街を体感してみようと考えていた。
おのぼりさん丸出しで、キョロキョロと周りを見回しながら歩く。
声をかけられたのは、そんな時だった。
「ねえ、あなた外から来た人? 街の案内してあげようか?」
外ハネしたショートヘアーの、中学生ぐらいの女の子。同年代と思われて声をかけてきたのだろうか。
せっかくなので、言葉に甘えてみることにする。
歩きながら、干しイモ食べる?と渡されたものを食べる。
おいしい。
「イモ、おいしいけど、結構そればっかりだから飽きちゃうんだよね。わたしはお米の方が好きだなあ」
「コメは面積当たりの収量は多いけど、大量の水と農業機械や肥料の支援を必要とするから。石油が入ってこない状況だと、サツマイモの方がかえって効率高いんだよ」
水田もかなり沈んじゃったし。
へえ、物知りだね、と言われるが、まあそうだろう。なにせ私の中にはかつてのインターネットの情報が丸ごとアーカイブされている。
そんなどうでもいい話をしながら街を歩く。
それなりに活気はあるが、やはり建物の痛みは激しい。
崩れた建物もある。再建はできないのだろう。
分散首都の近郊でもこれなのだ。地方はもっとひどいに違いない。
多少暗い気分にはなるが今は気にしても仕方がない。それより街を楽しもう。
「そういえば名乗ってなかったね。わたしはマツリ。
彼女はそう名乗った。私も名乗りを返す。
「私は天津風モドキ。この街は初めてだね」
モドキちゃん?と繰り返される。
「変わった名前だね」
「私もそう思うよ…」
その後しばらく、彼女と一緒に街を歩き回った。
彼女は海が好きなようで、紹介してくれた店や施設も海沿いのものが多かった。海など見たくもないという人が多いだろうに、このご時世に珍しいものだ。
私にとっても新鮮なものが多く、楽しめた。
最後に海岸の展望台で、一緒に海を見る。
「一度、海の向こうを見てみたいなあ。モドキちゃんはどう思う?」
私もだよ、と適当に合わせておく。まあ私は実際のところ見飽きているといってもいいのだが。
潮風が二人の間を通り抜けていく。
「あ、私そろそろ戻らなきゃ」
お母さんが心配するから、と彼女は言う。
「今日はありがとう。楽しかったよ」
私はそうお礼を言っておく。実際、同行者がいてくれたのは助かった。いろいろ変化しすぎていて、前世の記憶もあまり当てにはならない。
「せっかくだし、連絡先とか聞いても大丈夫?」
そう言われ、じゃあ、と私は端末を取り出す。たった今ナノマテリアルで作ったものだ。
はいこれ、と向こうも連絡先を伝えてくる。
女の子の連絡先、ゲットだぜ。
「ばいばーい!」
そう彼女は元気よく、走っていった。
よく考えたらSSTOがハワイ沖で撃墜されたっていうのおかしいんですよね。日本-アメリカ間の弾道軌道はハワイ上通らないはずなので。
単に原作の設定ガバで実際はベーリング海あたりなのか、それとも…