転生したら霧の駆逐艦だったけど何すればいいですか 作:サンドフード
連続投稿。こっちは短めです。
原作主人公チーム初登場。
「あったぞ。我々が撃沈した、大戦艦ヒュウガのコアだ」
イ401のメンタルモデル、イオナはクルーたちにそう告げる。
彼らは坊ノ岬沖で撃沈した元艦隊旗艦、大戦艦ヒュウガのコアの捜索を行っていたのだった。
「うまく我々の下につくことを了承してくれますかね」
「キーコードは受領している。最悪、強制的に命令することも可能だが──よし、回収も完了した」
それからしばらく後、封結したコアがブリッジに送られてくる。
「どうする? 起こすか?」
「ふむ、たしかヒュウガはメンタルモデルを持っていなかったな──では、メンタルモデルの形成を、命じることはできるか?」
「やってみよう」
ヂッ という干渉音とともに、イオナが船内から分け与えたナノマテリアルが一か所に集まっていく。
内側にカールした長髪、右目にはモノクル。
それは、まぎれもなく大戦艦ヒュウガのメンタルモデルだった。
「なんでジャージなんだ?」
「拘束服として着せておいた。メンタルモデルとコアの機能をある程度制限している。暴れられても困るのでな」
クルーの視線がヒュウガに集まる。すると彼女は身悶えしながら言った。
「うう、イオナ姉さま~ このヒュウガ、姉様に叩き込まれた魚雷の感覚が忘れられないのです!」
予想外の反応に、クルー一同は顔を見合わせた。
ヒュウガの残留ナノマテリアルを回収し、硫黄島拠点の管理をやらせるという方針が決まったところで、イオナが別件を切り出した。
「それより共有しておきたい情報がある。実はヒュウガのコアの探索中に、近くでおかしな反応を見つけた。コアの反応とは異なっていたので後回しにしていたが──」
イオナがそう言うと、モニタに観測データが表示されていく。
「これは、微弱ですが重力子反応、ですね…」
「であれば人類の艦艇や施設ではありえない。この付近に霧の潜水艦が潜んでいるわけでもないんだな?」
「ああ。情報マトリクス解析結果も出そう」
モニタに追加のデータが展開されていく。
イ400シリーズの元々の役割は諜報艦であり、ヒュウガから鹵獲した超重砲を搭載する前の、この頃のイ401は強力な探査能力をいまだ色濃く残していた。
「何か、通信している…それもかなりのデータ量を」
「推定発信源は、佐多岬沖、薩摩硫黄島周辺…これは、鬼界カルデラ、だったか?」
ヒュウガの撃沈ポイントからほど近い、海底の巨大カルデラ。データはそこを指し示していた。
「この付近に霧の何らかの施設があるという情報を私は知らない。ヒュウガには心当たりはあるか?」
「うーん、私も知りませんわね…こんなところに何か作っていたら巡航艦隊が気付きそうなものですけれども」
ヒュウガは首を傾げる。
直近まで艦隊旗艦だったヒュウガさえ知らないとなると、相当に秘匿レベルが高いのか、あるいは…
「イオナもヒュウガも知らない、霧の施設、か…」
艦長はそう、つぶやいた。
一応ヒュウガがジャージ着せられているのはノベライズ本掲載おまけ漫画での公式設定です。
次回、大海戦