君は無邪気な夜の暴虐   作:ミカ推し

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季節外れのインフルにかかって更新できなくてごめんなぁ!
でも流石に40℃越えの熱は死ぬかと思ったぜ

病み上がりだから誤字脱字大量にあったら教えてくれ!


激突

 

 

 

「全員、アリウスに集中しろっ!!」

 

ミハの切り裂く悲鳴の様な怒号に、補習授業部も武器を構え始める。

瞬間、クロスカウンターのようにミカとミハの拳がぶつかり合い、制服の裾が巻き上がるぐらいの突風と共に両者、後ろに下がる。

 

「ミハちゃんもやる気だね☆……アリウス、あなた達は補習授業部と先生を片付けて。先生は殺さないように、出来るだけ傷つけないように。」

 

それぐらい出来ないとこれからのトリニティの武力組織として出来損ないでしかないよ。と吐き捨てて、また好戦的な笑みを浮かべて拳を握る。

 

「アリウスはそっちで片付けて。私も手加減出来るもんじゃない」

 

片目だけ補習授業部をチラリと見て、またミハは構える。

この数のアリウスだ。どちらにせよ消耗戦になるし、そうなってしまったのなら圧倒的に不利なのは補習授業部側である。

 

「およ?ミハちゃんは銃を使わないの?」

 

「あなたが使ってないのなら、別に事足ります…よっ!」

 

互いに地面を強く踏み込み、ひたすらにいなし続ける。

もはやここまでくると勘と間合いの読み合い。いかに“相手の次の行動を読むか”に掛かっている。殴る、いなす、殴る、いなす。

 

アリウスと補習授業部が銃の撃ち合いの最中、ミハとミカだけは素手の殴り合い。

インファイトで殴り合うというのにぶつかり合う2人の拳が空気を裂く音は鋭く、そして重たいのだと音で分かる。

 

 

「…………マジ?」

 

そうする事数分。まさかの先生率いる補習授業部がアリウスの尖兵を片付けると言う事になってしまった。…なるほど、これは確かにシャーレ、シャーレの先生と誰もが言うしミハちゃんが従っているわけだと大人の面倒くささをミカは認識したのだった。

 

「ま。でも少し時間がかかるぐらいかなー…セイアちゃんもナギちゃんも居なくなった今、ここから始まるって物だし☆」

 

「…!セイアちゃんを襲撃したのも貴方の指示なんですか!?」

 

「………………」

 

「あはっ。ミハちゃんもハナコもそんな目出来るんだね。」

 

「うん。私だよ。セイアちゃんを襲撃したのは」

 

鋭い目でミカを見る2人。だけど、ミカにとってセイアちゃんのヘイローが割れた事は想定外だったと言う事。確かに楽園がどうとか、ミハちゃんについてどうとか単純に癇に障るセイアだったが、あくまで檻の中でこれからの学校生活を過ごしてもらおうと考えていたところだ。

 

「ああそういえば“これ”は貴方が関係しているね」

 

白洲アズサ。

憐れむ様に微笑むミカの笑みは何処か悲しそうに言葉を漏らす。

 

「なんだか一部語弊があるみたいだし…私の代わりに説明してくれない?」

 

「…………そ、れは……」

 

「どう、いうことなの……?」

 

コハルの呟きにアズサは振り返る。

その、コハルの信用と信頼が混ざった無垢な眼差しに自分のやってきた所業がどう言うものかトリニティに来て補習授業部で親友とも呼べる友達が出来て心が、とても苦しく感じた。

 

重々しく、アズサが口を開こうとしたその時だった。

外から先ほどまでの銃撃戦に勝るとも劣らない戦闘音が聞こえたのは。

 

「なにこの音?」

 

「伝令!…攻撃です!トリニティ生が動いています」

 

「………は?」

 

この時、外で体育館を取り囲んでいた筈のアリウス生の1人が飛び込んでくる。

伝えられる攻撃の情報。ミカは“これ”が発生しない様に、動ける筈の武装組織は全て待機命令を出していた筈だ。

 

なら、この攻撃は何処の?

 

「目標……大聖堂から出て来ます!!」

 

「ありますよね。1つだけティーパーティーが縛れない組織が」

 

「……シスターフッド!?」

 

アリウスを攻撃したトリニティ生の姿はシスター服に身を包んだ少女たち。

そう、彼女たちは“シスターフッド”昔から大きな権力を有し、今でもティーパーティーの管轄下に無い武力や情報網を持つ何処にも肩入れしない筈の組織。

 

「ハナコか!?」

 

「ええ。…少しばかり約束しましたから」

 

確かめる様なミハの声に、少しばかり得意げにハナコは是と答える。

その直後。何度か爆発する様な音と共に3人の少女が姿を現す。

 

「今日も平和と安寧が皆さんと共にありますように……」

 

「シスターフッド。これまでの慣習に反しますが…ティーパーティーの内紛に介入させていただきます。」

 

祈る様に姿を現す少女たちの名は、マリーにヒナタ。そしてシスターフッドのリーダー。サクラコである。

 

「ティーパーティー所属“聖園ミカ”さん。貴方には他、ティーパーティーメンバーへの殺害教唆、並びに傷害未遂の罪により貴方の身柄を確保します」

 

聖職者としての揺るぎない眼差し。そして補習授業部vsアリウスだったのがシスターフッドの援軍によりその数の利も覆されそうになっている事が分かった。

 

「なるほどね。これが貴方の切り札ってわけ?浦和ハナコ」

 

「…………………」

 

「“あの”シスターフッドが無償で働くという事は万が一にもあり得ない。私がミハちゃんを嫌うぐらいね。……となると貴方は何を支払ったのかな?」

 

「………………。」

 

「返答なし。まあ興味があったぐらいだからまあ良いけどさ」

 

あたかも残念そうに肩を竦めるミカだがその瞳から戦意は消えていない。

外に居たアリウスは蹴散らされ、中のアリウスの半分以上は戦闘不能にさせられている。明らかに今のミカに勝機はないと言うのに。

 

ミカは得意げに笑っている。

 

「あくまで戦うつもり、ですかミカさん。」

 

「?まさか私が負けるって思ってるの?」

 

本気で不思議そうに首を傾げるミカ。

まさか本気でミカはまだ勝てると考えているのか

 

「ふふふ………大丈夫。私、最強だから☆」

 

何よりも愛おしくて堪らない妹がこの場におり、そしてその妹を救うためならお姉ちゃんは120%以上の力を出すことが出来る。お姉ちゃんとはそういう生き物だ。不利がなんだ。勝機が薄いがなんだ。

 

全部、覆せる。

 

「“全員!構えて!”」

 

知っている。唯一、“お姉ちゃん”の強さを知っている先生は警告する。

勇者になりたいと言う少女を救うためにその言葉で多くの人を味方にして、そして魔王になる運命だったのを見事退けた“お姉ちゃん”を。

お姉ちゃんと言う意思の強さがどれほどな物か知っているからこそ。先生はいち早く警告する。

 

「ふふ⭐︎」

 

笑みと共にミカの愛銃“Quis ut Deus”が火花を吹く。

五発分のマズルフラッシュと共に弾丸が正確にシスターフッドを狙い貫く。

瞬間、マリーのシールドと共に防ぎ反撃するがミカの耐久能力も並外れているのか当たったとしても怯むことさえもせずまた銃で反撃する。

 

「そろそろ…私を忘れないでください……よ!」

 

「うん?お姉ちゃんと遊びたかったのかな?いいよ!遊ぼう☆」

 

横槍のミハからのドロップキックを受け止め、軽い体術のせめぎ合いの直後。ミハを優しく抱きしめながらノールックでまた五発の弾丸が打ち込まれる。

 

「………突然だけどさ。何で私が最強だって思う?」

 

銃の扱いの巧さ?

フィジカル?

或いは扇動する力?

 

いいや。ミカの本領はそこではない。

確かにミカの力はそれかも知れないがそれだけで最強と呼ぶにはまだ弱い。

ならば一体何を以て彼女を“最強”と謳わせるのか。

 

「正解は………これ☆」

 

「………!?」

 

「……うそ、でしょ」

 

「なるほどこれが……」

 

「“隕……石”」

 

ミカが振り上げた右上から、まるで宇宙の様な色の穴が開いて、その穴から燃え盛る岩が見え隠れしていた。……そう。それはまさに隕石。宇宙より飛来する星のカケラか或いは星の呼び声。

 

「そ。正解〜!」

 

確かにキヴォトスの生徒の中にはまるで異能じみた“何か”を持っていると言うのも特段珍しい物でもない。異常なまでの幸運だとか神出鬼没であるとか直感による鍵開けや未来視など。その能力は多岐に渡る。だが、ミカほど“直接的な破壊力”を持つ異能は無い。

 

「ま?死なないとは思うけどね?…けど避けないと保証は出来ないかも☆」

 

「“全員!退避ぃぃぃぃ!!”」

 

無慈悲に、無邪気に放たれる死を錯覚させるかの様な攻撃。

逃げ場はない。逃げ道は用意されていない。彼女の隕石の大きさや規模は間違いなく倒れているアリウスも纏めて巻き込む一撃である。

片手でミハを抱きしめながら放たれるその神秘的な一撃はまるで古にある本の一節の様に、全ての敵を打ち砕く。

 

或いは、そうなる筈だった。

 

「……っ!もう、やめて!!()()()()()()()

 

「…………ミ、ハちゃん……?」

 

ミカの隣で叫び、腕にしがみ付く1人の少女の姿。

それは……ミカが愛する妹、ミハであった。

ミハの静止する声と、久々に呼ばれたお姉ちゃんと呼び名でミカは反射的に隕石の出現を止めてしまう。

 

「もうやめましょうお姉ちゃん。」

 

「……っ!でもミハちゃん!!」

 

姉の振り上げた左腕を鎮める様に下ろしミハは首を横に振る。

もうこれ以上、お姉ちゃんのこんな姿を見たくないと言いたげに。

 

「私のために誰かを呪わないでください。こんな事、最初から土台無理な話だったんです。私も共に…謝りますから。」

 

「ミハちゃん……でももう無理だよ。私はもうセイアちゃんを…」

 

本当は殺すつもりなんて無かった。ただでさえ体が弱かったセイアが何かの弾みで死んでしまったのだ。とミカはミハの胸の中で泣きながら語る。

 

「……セイアさんはまだ死んでませんよ」

 

「え?」

 

「セイアさんは…トリニティ外の病院で匿われています。そしてセイアさん自身も……いえ。これは本人からですね。」

 

「………それ、ほんと?」

 

「今、この場で嘘つく理由なんてないでしょう。」

 

「そっ……か」

 

ミカの愛銃が手から滑り落ちる。

妹の静止そしてずっと罪悪感だった人の安全が分かったその時、ミカは投降するかの様に両手を上げて補習授業部に近づいてくる。

 

「……私の負け。全部の責任はこの聖園ミカにあるよ」

 


 

そうして、その後事態の収束と共に正義実現委員会がミカを捕らえて、両脇を正実が抑えて連行されていくのだった。

 

「ね。ミハちゃん」

 

「……なんですか?」

 

「こんな、お姉ちゃんでごめんね」

 

「でも、私はそんなお姉ちゃんが大好きですよ」

 

「…………そっ、か」

 

一夜の狂騒はこうして終わりを迎えたのだった。

 

 






過ぎてみれば一夜の狂騒だったモノ。
さあそれでは最終試験!補習授業部ファイト!

次回【第三次特別学力試験/夢現より】


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