君は無邪気な夜の暴虐 作:ミカ推し
これはあくまでトリニティの人間が知る事実。
「……そこからは、私から話させていただきますね」
割り込んだナギサの声。その声に滲むのはあまりにも深すぎる絶望と怒りが今も尚、癒えない少女たちの悲壮。これより語られるは、トリニティという世界が産んだ撓みの象徴。消えることなき罪禍は大きな罪の象徴を産み落としてしまった。
その始まりを語ろう
「ある1人の少女がいました。」
ナギサの震える声で始まるとある少女の物語。
それは何処までも平々凡々でありながら日々の日常の『平穏』の象徴だった様な少女のお話。シスターフッドという、正義実現委員会という、自警団という、あらゆる垣根を越えて、その少女の周りには多くの人が集まった。
たった1人を中心とするその小さくとも大きな花園はそこには何も無かった筈なのだ。ただ毎日に少し刺激を与える様な、こんな花が咲いたりだとか、あそこのパン屋さんの新作がどうだとか。ただそういう日々を大切にする小さなコミュニティ。
本来なら、そこで留まるはずだった代物。
あらゆる柵がそこには無く、その時間だけを楽しみにしていた子も少なくなかった。
「そこには何の悪意は無かった筈でした……そう。あの時まで」
だがあってはならないその日は、次第に訪れた。
当時のティーパーティーがその小さな集まりのリーダーに目を掛けた。掛けてしまった。それもそうだろう。トリニティにおいてどうであれ多くの組織に伝手がある存在はそれだけで何処の組織にとっても手に入れる価値がある。……そう。かつてあらゆる組織と平等に関われる、図らずしてその小さなコミュニティの副リーダー的ポジションに座っていた“浦和ハナコ”という少女がそうであった様に。
「“ハナコ………”」
「………ええ。否定、しません。」
聖園ミハにとって阿慈谷ヒフミを“親友”であると言うのなら、浦和ハナコという少女は“盟友”と言えるのだろう。だけどそれは今の今まで知らなかったと先生は目を見張る。そんな先生の視線を受けて、ハナコはまるで積年の罪を自白する様にそれを認める。
「……ミハちゃんが言ってた人ってハナコちゃんだったんですね」
「ヒ、フミちゃん……」
いつかミハがヒフミに言っていた大親友。よく一緒に読書だとかしていた友人だと言っていた人が浦和ハナコなのかとヒフミは何の“色”も見せない眼差しでハナコを見る。
「……いえ、そうですね。何もしなかった、何もできなかった私には何かを言う資格はありません」
ハナコにはそのヒフミの目がどう映ったのだろうか。
たった1人の大親友を、心の友を見殺しにした自分が何かを語ることの資格はないとヒフミから下される罪を待つ。だってヒフミはあの日からずっと探していたことを知っているから。
「話を戻しましょう。……ですが、聖園ミハには致命的な弱点があったのです」
それは何か。それは…分派に所属していなかった事。
それもそうだろう。政治的に興味を持たない少女が血筋的にも何の関係もない何処かの文派に所属する事があり得るだろうか。日々を大切に、楽しく暮らしている『普通の生徒』が、だ。……答えは否。所属するはずが無い。
そして地獄は始まった。
「最初は、ただの妬みだったのです。ただの妬みが悲劇を齎した。」
ティーパーティーに目を掛けられてしまった少女。本来ならそれで終わるはずだった事が、その当時のティーパーティーに所属していた分派の部下による暴走が発生した。
あの少女を次の自分たちのリーダーには認めないそんな想いから始まった。
「そしてそれは……次の悲劇の呼び水になってしまった。」
いじめも具体的にはできないと考えた少女たちは幾つもの絡め手を使う事にした。
……そう。それは自分たちとは関係のない組織である〈シスターフッド〉を唆す、という悪辣な手段を持ってして行われた。行われてしまった。
「“集団”と言うものは厄介なモノです。例え、悪意であろうとも纏まると気が大きくなる」
この行いは正義であるという暴走は1人の少女を傷つけた。
まず、敵意と悪意が少女を襲った。
「書くも吐きそうに成る様な言葉を浴びせられた」
そして暴力と、罵声が少女を苦しめた
「突き落としたり、わざと足を引っかけたりと……やりたい放題した様です」
そして理不尽に痛めつけられた
「そしてその少女にとって、これらは身に覚えのないモノ。他の人に相談するにもしようがない事、になってしまったのです。」
更に偏見と、嘲笑が少女を襲った。
「そしてそんな少女は耐えられてしまう子だったのです。…そしてどうしようもないほど優しかった。自分さえ被害を被れば良いと“楽園”をその身ひとつで去った」
周りに誰もいなくなった少女なんて、丸裸と変わらない。
そしてこの時期にヒートアップすることは想像に難くない。
「そして……その日は来てしまった。」
最後に少女を取り巻く悪意は一方的に悪と蔑まれる絶望。
俗に言う、運命の日が始まった。
◆
ティーパーティーの見習いだったナギサもセイアも、正義実現委員会の中の1人の部下だったハスミも、理由を知らされながら逃げる様にと言われて逃げてしまったハナコも、何も知らなかったヒフミも、その一報が知らされるまでは。
『……は?』
公示
以下の生徒についてトリニティ総合学園生徒管理会より
第3条4項に基づき、停学処分とする。
〇〇年〇月〇〇日 ティーパーティー
ホスト ・・・・
聖園 ミハ
以上
『な、なんでミハちゃんが……!?』
『…………ここまで、露骨に………』
当然、張り出されたミハの停学処理。しかもそれは年単位という異常な重さの処分。ここ、トリニティではまずあり得ない様な処分の早さ。しかもティーパーティーのホストの権力を無体に働き、他のティーパーティーにはこの処分に関わらせないという絶対にあり得ない異常な権力の動き様に、メスが入ったのは聖園ミハが停学の後に姿を消した数日後だった。
「調査の結果……聖園ミハに下されるまでの罪は全くのでっち上げ。」
訴えも、証拠も、裁判さえも全てが茶番。聖園ミハをトリニティから追放するためだけに拵えたまるで悪夢の様な茶番であった。適当な訴えに、証拠なんてあるはずもなく、ミハの反論の場さえも奪い、ただ一方的に停学を叩きつけた。あってはならない権力の暴走に、命令を下したはずの当時のホストは全くの蚊帳の外。
「そしてこの罪を下したのも、ホストでは無くその権力を傘に着たその誰かだったと言う事が分かった訳さ。」
その暴走した部下がティーパーティーのホストの側近の部下だった事もあったからシスターフッドの一部を動かせたのだろう。下した命令も何もかも、その暴走した部下の手によるものだったと分かった。
「勿論、その場でその部下たち数名は矯正局に輸送。…もう二度と出てこれないだろうね」
そしてその暴走した分派の名前は……
「パテル。……今のミカが首長を務めるパテル分派だよ。」
◆
「“……………”」
何と言う、悲劇だろうか。外からとやかく言える様なことでは無い過去を前に流石の大人である先生でさえも沈黙してしまう。1人の少女が悪意の暴走に歪められる話だなんて面白いわけがない。
「そして更に言っておこう。先生」
「“なんだい?”」
さらにセイアから話に補足が入る。
「ミハがティーパーティーに入るつもりは全く無かった……つまりこれは前提条件から勘違いだったんだよ」
……分かっていた話だが、ミハにティーパーティーに入る気は無かった。
最初から辞退していた話が何故ここまで苦しみ歪んでしまったのか。先生には到底理解し難い事であった。
『……それでは、ここから』
そしてその時、先生やナギサたちが取り囲んでいた机に
『“それから”の話をしましょう』
黒い顔大の玉が現れ、声が聞こえたのは。
まあというわけで原作と比べてシスターフッドの悪評がめちゃくちゃ流れてます。ミハの件に協力したシスフのメンバーは既にサクラコ様に粛清()されてはいますがそれでも悪評が消えるはずもなく……
そしてそれにミカがパテルのリーダーになるのに力と知で成り上がったとありますがこれ冷静に1つ1つ見直してみると「私に従え、猿(意訳)」してます。まあ実の妹が居なくなった原因の巣を好きになれるとは思えませんよねえ?
トリニティで扇動が上手くいったのもミハが作っていた小さなコミュニティのおかげです。解散したとしてもあの時の集まりを楽しみにしていた少女たちにとってパテル、シスフは未だに嫌いですし(だからパテルの、シスフの中に入ってワザと巻き込んで破滅されてやろうなんて考える子もいます)あの日ミハを救えなかった絶望に奮起して上の立場へと成り上がった少女もいますから、それを上手くミハに使われた感じです。これは第27話:揺れるトリニティでのハナコとティーパーティーモブによる「(まさか)あなたも(あの集まりの子)……ですか……!(ミハの扇動に手を貸したな?)」「さて。なんのことやら(黙って去っていたお前が私を責められないだろう)」と言う事ですね。
ま、そんな重たい感情はミハには全く通じてませんが。
ハナコが黙っていたのはミハからの願いでした。自分が責められて辛い時に、手を切ろうとしてもきっと賢いハナコなら…と説明して、自分とは何の関係はなかった事にしてほしいとミハから言ったことでハナコは逃げてしまったが事の終わりです。
そして最後はミハの停学によってトリニティの腐敗がハナコにまじまじと見せられて、露出徘徊をしている時以外は大体PVのバットエンドスチルのハナコの顔して生きてました。まるで生きる屍ですね。それもこれもミハちゃんの手をあの時取れなかった自分が悪いんですが。“賢い”ハナコならそれが分かってるよね?❤️って話です。
ひっどい!玉突き事故ですね!!
感想、評価お待ちしてます。
次回『玉折』
ミハがなぜ、そうなろうとしたのか。その真相を今解き明かそう。