君は無邪気な夜の暴虐   作:ミカ推し

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???「今日からあの補習授業部に1人入部が来るらしい」
???「その人はずっとしばらく停学していたらしい」
???「どんな人なんだろ」
???「どんな顔しているのだろう」



合縁奇縁

 

 

ティーパーティーとの会合を終え、外で待っていたヒフミとの合流を終えたミハはその足でヒフミが部長を務めているという“補習授業部”の方に足を運ぶ事になった。

 

「あれ?そう言えばヒフミって成績そんな悪かったか?」

 

「え゛……あはは。その実は……」

 

昔からペロロが大好きだと度々語ってやまないヒフミだが、ついにやらかした結果らしい。曰くペロロのゲリラライブに参加するという事でテストをすっぽかし挙げ句の果てには追試までペロロのライブに費やし見事“補習授業部”入りを果たしたという事だ。

 

「……まあ、ほどほどにな」

 

「はい………」

 

ヒフミならやりかねない…とはメグミも思ったが、それと同じぐらい何故今の今まで問題なくテストをパス出来たのだろうか。ペロロのゲリラライブが重ならなかったから?それとも何かヒフミを止めるストッパーがあったのか

 

(………ああ。そうか)

 

「聞いてます!?ミハちゃん!!」

 

「ああ。聞いてるぜ。ペロロがデカペロロになったって話だろ?」

 

(そういえば、ヒフミを止めるストッパーしてたのオレだったな)

 

テストがあれば、進級のために必要な考査があればミハは逃げるヒフミの首根っこを掴み共に勉強をし、ペロロ様のライブが〜とあろう事かこれ落としたら一発留年のテストから逃走しようとした所を卍固めで取り押さえて教室まで連れて行った。

もはや日常茶飯事となっていた2人の攻防はクラスの中では非常に微笑ましい物として思われていたし、ヒフミ自身も何かと言いながら分からないところがあれば遅くまで付きっきりで教えてくれたり、テスト範囲を纏めたオリジナルのノートのコピーをくれたりしていたミハに感謝さえすれども恨む事は無かった。

 

けど、それもミハが突然トリニティを停学(ミハちゃんからすれば退学のつもりだったらしいbyヒフミ)するまでの話。本当に突然だったのだ。ある日突然、いつもなら早くに来ているはずのミハの姿が無くて何をしているのかと思えば一日音沙汰が無かった。

その後、分かった停学の知らせ。居たはずの空白にはまるで何も無かった様で。

そうしてなあなあと過ごしていたらいつの間にかテストの事を忘れ、再試のことを忘れ、別にミハちゃんの後を追えるのなら別に退学でも良いかと考えていたほどヒフミにはやる気もメンタルも残っていなかった。

 

(ま、それはそれ。これはこれだ)

 

そんなヒフミの内心とは関係ないとばかりに思考を投げ捨てるミハ。竹を割ったような割り切った考えと生き方をしているからヒモが成り立つのか。ミハのその情に厚くそれでいて一定の無関心が含まれる姿はもはやミハらしいとしか言えないものだ。

 

 

 

「ここが補習授業部の部室です」

 

歩くこと数分。ヒフミの案内で辿り着いた先は特になんの変哲もない教室。ヒフミの先の紹介で後部員が3名いるらしいが果たして

 

「ただいま戻りました」

 

「……お邪魔します」

 

部屋は意外と広く、長らく使われていなかったのか内装は一昔前の物も見受けられるが勉強できる空間としては至れり尽くせりの空間であろう。(事実、空調も完備のようだ)

 

「ヒフミか。それで後ろの方は…?」

 

「お帰りなさいヒフミちゃん。あれ?」

 

部屋の中には2人。銀髪とピンク髪が座っていた。見た感じ銀髪は“多少動ける”が、ピンク髪は普通のトリニティ生みたいな感じだ。

まああくまでその程度。そんなに拘る事も少ないだろうから簡単な自己紹介で済ませるかと部屋の内装を見ながらミハは考えた。

 

「はい!紹介しますね」

 

「聖園ミハです。しばらく停学していたという事で補習授業部に入部しました。しばらくよろしくお願いします」

 

カーテシーからの一礼。ここがどれほど礼儀作法を求めるかは知らないがトリニティならしといた方が変な因縁をつけられにくい。聖園ミカがああいう場所に座っているということはオレに面倒ごとが被るかもしれないという判断の下の処世術でもある。

 

「あらまあ…ご丁寧に。ですがここでは楽にして良いですよ」

 

「む。ヒフミ。ここではこんな挨拶もあるのか?」

 

そんな素っ気ないミハの態度と隣に立つヒフミの反応し難いから笑いを見てハナコは理解する。結構このミハという少女、猫を被っているという事を。しかも結構完璧なトリニティの中でもお嬢様やら役職の方がする様な挨拶と言い、“聖園”という名字と言い、停学と言い中々“訳あり”だなとミハに心の中でピンク髪と言われた少女は察する。

 

それとは対照的に分かっていないのが銀髪である。アズサと呼ばれる少女は今までトリニティ生として学校生活を謳歌してきた中で、あんな優雅で気取った挨拶は目にした事がなかった。

 

「あはは。アズサちゃん。あれは一応挨拶の一つでね」

 

「ふふっ。ここでは使わなくていいって事ですよ」

 

ヒフミとハナコの解説に納得したのか銀髪はミハに近づく。

 

「白洲アズサだ。よろしく頼む」

 

「それじゃ私も……浦和ハナコです。よろしくお願いしますね〜」

 

「ご丁寧に。どうも」

 

互いにペコリと頭を下げ合い、とりあえず第一印象は互いに悪くないだろうとヒフミは人知れず胸を撫で下ろす。

 

この補習授業部に強制入部させられてから少女たちの仲は良くも悪くもなかった。本気でやる気のなかったハナコ。ここに入れられて勉強を頑張ろうとしているアズサ。そして落ちるのなら別に良いかのスタンスのヒフミ。後もう1人。

そしてそこに一石には大きすぎるミハが加入する事で補習授業部は本格的に始動する。そこに顧問であるシャーレの先生がつく事で。

 

「っ…………失礼、しまーす」

 

「あっ。コハル来た」

 

そうして会話しているとヒフミとミハが入ってきた扉が小さく開く。そこから覗く小さな影。ミハからしたらアビドスであったピンク色のちんちくりんと同じぐらいかその程度の(強さでいうならそこの銀髪に劣るかそれぐらい)奴が居心地悪そうに部屋に入ってきた。

 

「そ、そのどちら、さま?」

 

「聖園ミハ。今日から復学するという事で補習授業部の所属になった。」

 

よろしく頼むと頭を下げるミハとは引き換えに少し怯えながらコハルはよろしくと返事する。

それもその筈。コハルの身長は148cmそれに引き換えミハの身長は175cm近くある。同じような身長の人をコハルは知っているがやはりその差は筋肉だろう。鍛え上げたその肉体を不思議とコハルは怯えながらも知らないまま1つの感情を覚えた。

 

そう。それは羨望。

かつて何処かの世界で彼女が憧れた彼に陶酔する誰かがいたように、コハルもその内側から湧き出る圧倒的なまでの強さに知らずと魅了されたのだ。

 

「っっ私の名前は下江コハル!よろしくね!ミハ先輩!」

 

「?おう。よろしく」

 

ミハからすれば、先ほどまで怯えていたはずのちんちくりんが何故か突然怯えが引いてこちらに積極的に絡んできたという事だ。

非常に不思議ではあるが、まあミハからすれば特段珍しい反応でもなかったから放置することにした。

 

「あのね!私、正義実現委員会所属なんだけどね!」

 

「正実?となるとハスミか?」

 

「ハスミ先輩、知ってるの!?」

 

驚き、さらに懐いた家猫のように絡んでくるコハルの相手をしながらミハの個人的な知り合いの1人としてハスミの事は覚えている。よく聖園や桐藤とのお茶会のためにお菓子を買いに行く事があったが、その時顔を合わせる事が多かったのがハスミ…羽川ハスミである。よくダイエットに成功しないと嘆いていたが流石にジャンボパフェを2人と言えど7割ぐらい食べてその言い様はちょっと無理があるとミハは思ってた。

 

「ああ。昔少しだけお世話になってな家に泊まらせてもらってな

 

「へ〜!」

 

まあハスミの成功しにくいダイエットにはそんな事を思っていたし、ある時は家に寄生させて貰っていたが(流石に帰ってない事がバレて聖園に言われそうになったからそれから止めた)それでもハスミのあの食べっぷりはミハにとって関心するほどだったし、今でもトリニティに戻ったから会いに行こうとわざわざ足を運ぼうとするほどにはハスミに好感はあるのだ。

 

そんなミハの内心とはつゆ知らず、純粋に慕っていくコハル。

それもそうだ。純粋に慕うハスミに、今日初対面だがそのミハの姿に憧れた2人が知り合いである事。そして今日の会合をコハルはきっと脳内から離れる事はないだろう。

 

(………うーん、なんか勘違いが起きてそうですね)

 

そんな意外にも相性が良さげに見えるミハとコハルの姿をヒフミは曖昧な笑顔で見守るのだった。

 

 







ようやく全員集まった補習授業部。初対面で仲が拗れる事なく良かった。というべきだろうか。
………そしてそんな喜びの中、彼女の暗躍が始まる。

次回【城狐社鼠】

vanitas vanitatum, et omnia vanitas. 全てはそう……ただ虚しいだけなのだから。


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