BIGBOSSがオートボットと手を組んだようです。 作:ちりがみ
1984 アフガニスタン
AM 1:00 無人のキャンプにて
「セイバートロンよりオートボット…私はオプティマスプライム…。」
放置されたZaAZ-SB4のラジオから、ひとりでにノイズ混じりのボイスメッセージが流れる。
「オートボット全員に告ぐ。我らの故郷サイバトロンは…メガトロンの手に堕ちた…。だが、我らオートボットの戦いは終わっていない…。メガトロンは…オールスパークをも手に入れようとしている…。奴より先に…オールスパークを見つけなければ…宇宙は…破滅の一途を辿るだろう…。」
夜の静寂に包まれたキャンプで、ラジオの音声だけが鳴り響く。
「オールスパークをメガトロンよりも先に見つけるのだ…。私は、オートボット司令官 オプティマスプライム…。宇宙各地に散らばった仲間たちよ…。諸君らの協力が必要だ…。私は辺境の星、”地球”にて諸君らの応援を待つ…。」
ラジオの音声が途切れたと同時に車のヘットライトが灯り、エンジンが掛かる。独特のマフラー音と共に、アフガニスタンの乾いた夜道を、無人の車は走り去って行った。
1ヶ月後…
PM 19:00 マザーベース
インド洋セーシェル沖に佇むハニカム構造の建造物、ここはダイヤモンドドッグスの洋上プラントである。声帯虫蔓延の被害を被ったダイヤモンドドッグスは、その損失を取り戻すために、より傭兵派遣活動に本腰を入れていた。プラントでは兵士の訓練や巡回による警備が行われており、日が沈みきった深夜でもその活動が休まることはない。
司令部プラットフォーム、プラントの屋上ヘリポートにてシガーを吸う男が一人。idroidという情報端末から音楽を聴きながらインド洋の潮風にあたっていた。
pppppp……
無線から着信音が音楽を遮って鳴り響く。
スネーク「……カズからか。」
スネークは周波数を確認してそう呟くと、徐ろに無線機を手を当てる。
カズ「ボス、息抜きしている所すまん。ちょっといいか。」
スネーク「……どうした、カズ。」
無線越しに話しかけてくる男の名はカズ。本名カズヒラ・ミラー。ここダイヤモンドドッグスの副司令である。拷問によって右腕と左足、更に視力を失っており、彼もまた[幻肢痛]に苛まれている一人である。
カズ「アフガニスタンに潜伏している諜報班から、妙な報告があったんだが…。」
カズは珍しく歯切れが悪そうに言う。
カズ「正直、脅威査定の段階でアンタに伝える程の情報ではないと判断されてたんだが……。」
カズはボスに情報を伝える上で、必要な情報と不要な情報を予め査定する取り決めをしていた。しかし、その査定を無視するとなると、カズの私情が混じっていることは明らかだった。スネークは身構えずに話を続ける。
スネーク「で?」
カズ「ああ…。 どうやら最近、アフガンに駐在中のソ連兵の間でとある”噂話”が広まっているらしくてな…。」
「噂話?」
「”誰も乗っていない車輌が勝手に走り回っていた”捕虜の幽霊が車に憑依している”と…。」
「「………」」
二人の間に妙な沈黙が流れる。カズの耳には無線越しの波音だけが聞こえていた。
カズ「あ、あのー… ボ、ボス…?」
スネーク「話はそれだけか、切るぞ。」
「ちょ、ちょっと待ってくれボス!」
カズは慌てて無線を切ろうとするボスを止めに入る。
スネーク「どうせまた写真を撮って来いとでも言うつもりだろ。いい加減にしてくれ。」
カズ「それだけじゃない、最近その噂話が出回り始めて、アフガンで妙な事件が多発してるそうなんだ。」
「……」
AM 3:00 アフガン: ヤーオ・ウブ補給基地
ソ連兵A「なぁ、聞いたか例の幽霊車の話。」
ソ連兵B「何だよ兄弟、ビビってんのか?あんなもん根も葉もない嘘に決まってるだろう。」
交代で巡回しているソ連兵が、焚き火を囲って雑談をしている。
ソ連兵A「それがあながち、そうでも無いみたいだぞ。これ見てくれ。」
そう言うと、彼は1枚の写真をポケットから取り出して、徐ろに見せた。
ソ連兵B「これは…」
ソ連兵A「どうだ、道路を巡回中の仲間が出くわして、偶然撮影したらしい」
「…合成だろ?」
「こんなアフガンのど真ん中で、機材もなしにどう合成しろってんだ。」
写真には、確かに無人の軍用車両ZaAZ-SB4がハイビームを焚きながら、土煙を背に走っているように見える情景が写っていた。
ソ連兵A「こりゃ間違いなく、なんかあるぜ。」
ソ連兵B「勘弁してくれ、俺そういう心霊話は苦手なんだよ。」
ソ連兵C「おい、お前ら。いつまで立ち話してるんだ!警戒は厳重にって言われてんだろ?また上官にどやされるぞ!」
2人と同じく巡回中のソ連兵が、長話をしている2人を大声で注意する。
ソ連兵A「へーへー、悪かったな」
ソ連兵B「早く地元に帰りてぇよ全く…」
2人は話も早々に、基地の巡回に戻っていった。しかし、この会話を遠く離れた草むらから、双眼鏡で傍受する人影があった。
スネーク「確かに、信憑性はともかく奴ら(ソ連兵)の間で話が出回ってるのは事実みたいだな。」
スネークである。彼は結局カズの勢いに負けて、こうしてアフガンにて潜入活動を開始している。
オセロット「今回の任務は、現地で謎の車両の情報を集めることだ。」
オセロットは、ダイアモンドドッグス所属の諜報のスペシャリスト。今回の無線は彼が担当している。何故カズが居ないのか疑問に思ったスネークは、オセロットに問いかける。
スネーク「…カズはどうした?」
オセロット「今は席を外している。いつでも支援できるよう、そっちの指示に回ってるらしい。」
「全く、カズのオカルト好きには困ったもんだ。」
スネークはため息混じりに頭を掻いた。
オセロット「まぁそう言ってやるな。ミラーも、只の私情でアンタに頼み込んでるわけじゃない。俺としても今回の話には少し興味がある。」
スネークは無線を聞きながら、補給基地への潜入を開始する。草むらから起き上がり、壁伝いにドアのある方を目指す。ここアフガンには依頼(サイドオプス)で幾度も潜入しているため、建物の構造もあらかた把握が出来ている。
「冷戦よりも前、第二次世界大戦の記録に、今回と似たような話があったのを覚えている。嘘か本当かは分からないがな。」
オセロットの話を聞きつつ、スネークは補給基地の壁面内側に侵入した。暗闇に紛れつつ、ドアのある面を目指す。オセロットは話を続ける。
オセロット「ナチスの拠点を襲撃した連合国側の部隊は、メルセデス・ベンツに擬態する二足歩行兵器を所有していた。査察を装って拠点に侵入した軍用車両が、突然大きな音を立てて変形し、それから間もなく拠点は制圧された。」
敵兵の目を掻い潜りつつドアを音を立てないようゆっくり開け、屋内へ潜入したスネークは、一段落と言わんばかりにオセロットの話に応える。
スネーク「グラーニンの戦車に脚をつけるという話が、冷戦前から実用化されていたと?」
オセロット「あくまでこれは逸話扱いだがな。」
「その話が仮に本当だとして、そんな重大機密が記録として残されているものなのか?」
「軍の公式な記録ではない。目撃者聴取だ。この話には目撃者が多く存在する。しかし話が飛躍しすぎているからだろうな。まともに取り合う記者も居ない、したがって情報が拡散することもなかった。」
「信じられんな。ゴシップも良いところだ。」
「そう思うか?だが…今回のアフガンでの噂話、俺には只の都市伝説には感じられん。」
スネークは悪態をつきながらも、基地内に放置されている資料を慎重に漁る。しかし、その時である。
ガシ……ガシ……
スネーク「!!」
別室から何者かがこちらに歩いてくる足音がした。スネークは咄嗟に資料漁りを止め、ダンボールを被り、ドアの死角になる部屋の隅に隠れた。
ガシィ…ガシィ…
足音は止むことなく、確実にこちらの部屋にゆっくりと近づいている。しかし、どこか妙だ。
オセロット「…そこに支給されている軍靴の音では無いな。」
その奇怪な足音は、無線越しにオセロットにも聞こえていた。明らかにソ連兵の軍靴の足音ではない。それに、どこか機械的な音がする。
オセロット「ウォーカーギアにしてもヤーオ・ウブに配備されているという報告は聞いていない。まして、現在アフガンに配備されているモデルで、そんな狭い室内を通れるわけ…。」
嫌な汗がスネークの額を伝う。
ガシィ…ガシ
ギィ…
足音が止まり、ドアの開く音がした。スネークは息を殺しつつ、ダンボールの手掛穴越しに開いたドアを注視する。
ガシ
スネークは部屋に入ろうとしている存在の一歩、その片足を見て驚愕した。
スネーク「……っ!」
ガシ…ガシ…
そして、やがて部屋に入った存在は、その全貌を明らかにする。面食らったのも無理はない。その存在は…
全身が金属出来ていた。
とうてい人間には見えない、ロボットのような"ソレ"の手足は細く、まるで針金細工のような見た目をしていた。成人男性より少し身長は小さいが、その存在感は圧倒的だった。オセロットと他スタッフも、モニター越しの異様な光景に唖然としていた。
ドン!
そして、ロボットは部屋のテーブルに軽快に飛び移った。
???「∃@▽◇◎$£※⊆…」
何やら散らかった資料を見ているようだった。青色に鈍く光る四つ目をギョロギョロと動かしながら、よくわからない言語を発している。
オセロット「ソ連の新型兵器か…?」
スネークは動くことができず、只ダンボール一箱挟んだ直ぐ側にいる異形な存在を注視していた。ロボットは資料をあらかた見終わると、テーブルの中央に置かれている通信機に近づいた。
???「ギギギギ…… グガァ!!」
ギゴガゴゴ!!
唸り声をあげたと同時にロボットは針金のように細い腕を伸ばし、手を通信機にあてがった。高い駆動音とともに手をアイスピックのように変形させたと同時に、通信機の接続口に勢いよく差し込んだ。
???「ギヂヂヂ…!レイセンキ◎$£※⊆ューバキキカクヨクシベトナムセン◎$£※⊆…」
オセロット「何をしているんだ…?」
DDスタッフ「つ、通信機をハッキングしているんじゃ…?」
オセロット含むDDスタッフ一同は、その異様な光景をただ見つめることしかできなかった。
???「シーアイエ−キューバキキバーチャス◎$£※⊆ミッションコブラブタイフォックスハウンドシャゴホッドビッグボスコス◎$£※⊆タリカカクヨクシサイファー…」
「ギギギ………
メ タ ル ギ ア !!
」
ロボットは突然、ハッキリとこちらの分かる言語で[メタルギア]と叫んだ。
オセロット「メタルギアだと!?」
スネーク「!?」
ゴトっ…
スネークはメタルギアという単語の思わぬ登場に、耳にして体を僅かに動かしてしまった。それによりダンボールも動いてしまい、物音を立ててしまった。
???「!」
ガギゴギギ
ロボットはその音に気がついたようで、通信機との接続を止め、四つ目をギョロギョロとさせながら、腕を投げナイフのような凶器に素早く変形させた。
ガシ…ガシ…
ロボットは確実に、スネークの隠れているダンボールを警戒し、近づいてきている。スネークもダンボールの中で、AM D114LB-45のセーフティーを音を出さずに解除する。寸出のところでバレると思われた、その時である。
ソ連兵「動くな…な!?ば、ば、化け物!?」
???「ギ!!」
ロボットは声のする方を振り返いた。先程のけたたましい叫び声を不審に思ったソ連兵が、開いたドアの向こう側からロボットに銃口を向けている。しかし、ロボットは銃に一切動じず、一瞬自分の姿を見てよろめいた兵士に飛びかかった。
???「ギシャァァ!!」
ソ連兵「ギャァァァ!離せ、化け物、バケモノぉぉ!!」
ソ連兵は謎のロボットに腕と銃を掴まれたことで錯乱し、あたらない銃を乱射している。基地全体に叫び声と発砲音が響き渡る。
???「シネ!死ネエ!」
ロボットは確かにそう叫ぶと、腕のブレードを容赦なく兵士の肩に突き刺した。
ソ連兵「ギャァァァ!!!俺の腕がァァ!!」
ソ連兵は肩から血を流しながら地面に倒れた。しかし、ここはソ連の補給基地の敷地内。応援はすぐに到着する。
「大丈夫か!?」
「何だあの化け物!?」
「敵だ!撃て、撃てぇ!!」
仲間の叫び声を聞いたソ連兵達が続々と集まる。すかさず彼らも、正体不明のロボットに向けて一斉に発砲を始めた。大量の銃弾を浴びたロボットは一瞬よろめく。
???「生意気ナ 下等生物共メ…!」
ロボットは人語を話したと同時に、ボディの隙間からディスク状の投擲物をソ連兵達に向けて眼にも止まらぬ速さで大量に射出した。ディスクは一直線に彼らの胸部に命中し、ソ連兵は血しぶきと共に次々と倒れていく。一瞬にして場は混乱に包まれた。
オセロット「化け物は奴らが抑えてる!今だボス!逃げろ!!」
モニター越しに見ていたオセロットはすかさずボスに叫んだ。スネークはダンボールを破り、混乱に乗じて部屋の窓から外へと脱出した。
スネーク「オセロット!何なんだアレは!?」
オセロット「分からん。とにかくミッションエリアから離脱しろ!話はそれからだ!」
スネークは銃声と悲鳴が響く基地を後に、ミッションエリアからの脱出を図る。
初投稿です。ストーリーとか思いつきだし、ところどころ読みづらい所とか政宗があったりするけど初投稿だから仕方ないよね。
マザーベースの現状は、
・ヒューイはまだボートを用意されてない
・スカルフェイス撃破済み
・声帯虫隔離済み
・サヘラントロプスはまだ基地にある
・子供達はまだ脱走してない
こんなとこです。最終的に実写ベイ版トランスフォーマーの第一作に繋がるのように終わらせるつもりなのでよろしくどうぞ。