BIGBOSSがオートボットと手を組んだようです。   作:ちりがみ

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・前回までのあらすじ

アフガンにて[幽霊車]の存在を確かめるべく、やや強引にアフガンへと向かわされたビッグボス。補給基地にて該当する資料の捜索を開始したが、スネークの目の前に突如現れたのは謎の人型ロボット。ソ連兵との交戦に巻き込まれたスネークは、混乱に乗じてミッションエリアからの脱出を図るのであった。



Episode 2 金属生命体

AM 3:30

 

 スネークは補給基地を囲っている斜面を越え、ダッシュで下っていく。そして走りながら指笛でバディの馬を呼んだ。補給基地の反対側の斜面で待機していた馬は、走っているスネークと並走するようについてきた。

 

スネーク「ふん!」

 

スネークは速度を落とさずに馬の鞍に足をかけ、そのまま馬に勢いよくまたがった。そのままスネークは猛スピードで銃声鳴り響く補給基地から、北へと離れていく。

 

オセロット「スネーク、落ち着いて聞いてくれ。諜報班の気象観測から、間もなくそっちに砂嵐が迫ってくるとの情報があった。」

スネーク「ピークォドでの回収は無理なのか!?」

 

「砂嵐がやむまでは無理だ。こっちも回収要員を向かわせるが、それまで指定したランディングゾーンで待機していてくれ!」

 

スネークはあまりのタイミングの悪さに舌打ちをした。アフガンでの砂嵐はかなりの強風と砂埃による視界不良を伴うため、ヘリでの回収が困難なのである。すると、オセロットからの急用を伝えられたカズが、指令室から通信室に戻って来た。自動ドアが開くなり、カズは松葉杖をつきながらも速足気味にオセロットに詰め寄る。

 

カズ「おい!ボスに何があった!?」

オセロット「謎のロボットが現れた。それも人型のな。」

 

カズはそれを聞いて余計に困惑した。

 

カズ「ロ、ロボット!?」

オセロット「ああ。所属不明機だ、ソ連軍の新型兵器かもしれん。手足は針金みたいに細くて、腕を武器やらプラグやらに変形させていた。」

 

カズ「そんなことよりボスは!ボスは無事なのか!?」

オセロット「幸いボスは無事だ。だがもうすぐ来る砂嵐のせいで回収は遅れてしまう。」

 

カズ「くそ!俺の責任だ…。俺が噂話なんて真に受けたばっかりに…!」

オセロット「ナイーブになってる暇があったら、スタッフに指示でもしたらどうなんだ副司令。」

 

 

 

 

 

 一方その頃、補給基地では尚も戦いが続いていた。小柄なロボットはその小ささからは考えられない戦闘能力を持っており、補給基地に駐在している兵士の大半は重度の負傷を負っていた。ロボットは敵の勢いが弱まっていることを察知すると、辺りを見回した。

 

???「アイツ…!ドコ ヘ 消エタ!!」

 

ロボットはスネークの姿が見えないことに気づいた。どうやら戦闘の最中、窓から脱出するスネークの姿を認識していたようだ。側溝に潜り込んで姿を消したロボットは、側溝を虫のように這って補給基地の外壁に出ると何やら呻きだした。

 

???「コチラ 諜報部隊 ”フレンジー”! ディセプティコン ニ 告グ!」

 

音声通信である。ロボットの正体は、ディセプティコンの諜報破壊兵フレンジー。彼は通信機を介して通信衛星をジャックし、ある情報を手に入れようと画策していた。

 

フレンジー「BIGBOSSヲ 発見シタ!!送信シタ 座標付近ヲ 徹底的ニ 捜索シロ!!」

 

フレンジーはディセプティコンに応援要請を求めた。通信の相手は果たして誰なのか…

 

 

 

同時刻 アフガン中央ベースキャンプ

 

 ここは、アフガン駐在のソ連軍のベースキャンプである。ベースキャンプなだけあって、配備されている兵器や車輌の数も、監視所とは比べ物にならない。しかし突然、並べて駐車されている装甲車の一つが妙な動きを見せる。

 

「こちらウォーブレークダウン、了解した。」

 

フレンジーからの音声通信に応答したのは、ソ連製の簡易空爆車両ZHUK RS-ZOに擬態していた、ディセプティコンの偵察兵ウォーブレークダウンである。ウォーブレークダウンが無線に応答した瞬間、突然の強風がベースキャンプを襲った。

 

ソ連兵A「ちっ!また砂嵐のお出ましかよ!」

ソ連兵B「目がいてぇよぉ…」

 

そう、砂嵐である。強風と砂埃が、ベースキャンプを覆い、ソ連兵達の視界と聴覚の殆どを奪う。兵士が砂嵐に悶絶している間に勝手に1台の車両のエンジンがかかり、猛スピードでベースキャンプを南方面ゲートから脱走した。しかし、夜間に猛烈な砂嵐の中である。気づく兵士は一人としていなかった。

 

 

 

 

 

スネークは砂嵐によって視界を奪われながらも、感覚を研ぎ澄ましながら馬とともに夜道を駆けていた。もう補給基地からはかなり離れており、銃声も殆ど聞こえなくなっている。しかし、間もなく補給基地の北側、アブ・シャファフ遺跡に差し掛かろうとした時、スネークは後に妙な気配を感じていた。

 

(つけられている…?)

 

スネークは強風に呷られながらも耳を澄ます。すると後方から微かに、砂を蹴り上げるタイヤの音と、エンジンの駆動音が聞こえてきた。この砂嵐の中、距離を取りながらもこちらを補足して追ってきていることにスネークは少し焦りを感じた。

 

スネーク「オセロット、悪いがランディングゾーンには少し遅れそうだ。」

オセロット「どうしたボス?」

 

スネーク「砂嵐で姿は見えないが、何者かに尾行されている。」

カズ「尾行だって!?」

 

スネークは口を覆っているスカーフの位置を直しながら後方を一瞬確認する。微かにヘッドライトの明かりが見えた。スネークはすぐに正面に向き直り、手綱を強く握った。

 

スネーク「間違いない。ここのソ連軍の車両だ。ヘッドライトの色合いからしてザーズ(ZaAZ-SB4)だろう。」

オセロット「してやられたな…。攻撃は?」

 

スネーク「今は距離を取って尾行されているだけだ。だが、砂嵐が晴れる前に、ここの遺跡で撒くしかない。」

 

スネークの無線を聞いたカズは、妙な胸騒ぎを感じた。ZaAZ-SB4は、例の噂話に出てくる、幽霊車の車種でもある。

 

カズ「ザーズ……。……いや、まさか…。」

 

 

 

 

AM 3:30 アブ・シャファフ遺跡

 

スネークは遺跡に入ると早々に、馬と共に物陰へと身を潜めた。エンジン音は尚も近づいてくる。ヘッドライトの明かりが遺跡に侵入し、辺りを照らした。そして同時に砂嵐が収まり、視界が一気に晴れた。

エンジン音が遺跡の入口で止まる。しかし、敵が車を降りる音がしない。スネークはカズとオセロットの話を思い出した。自分の直ぐ側にいるのが例の幽霊車なのではないか、と。その時である。

 

 ギゴガゴゴ!

 

スネーク「!?」

 

先程の補給基地を襲ったロボットと同じような機械音が、遺跡中に響き渡った。重厚な機械音と、金属の擦れあう音が鳴り響いたたかと思うと、スネークの眼の前に大きな影が出現した。スネークは息を呑んだ。その影は、まさに人の形…いや巨人の影そのものだったのである。

 

 ドスン…ドスン…

 

恐らく歩いているのだろう。一歩一歩歩くたびに、独特の機械音と大きな足音が交差している。スネークはかつてのピースウォーカーや、サヘラントロプスを思い出し、戦慄した。

 

オセロット「スネーク、隠密に徹するんだ。敵の素性が分からん以上、無闇に交戦するのは危険過ぎる。」

 

今のスネークには、オセロットの声など聞こえていない。ただ目の前の光景に目を奪われていた。

その巨人は、遺跡の斜面をゆっくりと下っているようだ。大きな足音と共に、地面の揺れも大きくなっていく。やがてスネークの隠れている岩を跨って越し、その姿が露わになった。

ドアトリムを羽のように付けた大きな背中。外構の隙間から覗く筋肉のような鋼鉄。脚には、まるで踝のようにホイールが付いている。先程の車両が変形して、あのロボットを形成していることは明らか。その風貌は、さながら”蜂”のようだった。

 

DDスタッフ「車から巨人に変形した…!?」

カズ「まさか…、これが幽霊車の正体なのか…?」

 

カズを含め、DDスタッフはその非現実的な光景に息を呑んだ。砂嵐が完全に晴れ、澄んだ夜空を背景にその巨大なロボットは、遺跡の中央へと向かった。そこはかつて、クワイエットと対峙した場所である。

 

その時である。

 

遺跡の北口から、装甲車のエンジン音と共に、何やら叫び声が聞こえてくる。

 

「壊すのだああああい好きいいいい!!!!」

 

ソ連製の簡易空爆車両が、突然遺跡に姿を現した。その空爆車両は猛スピードで瓦礫を轢き倒し、遺跡へと侵入していき、やがてロボットに突撃してきた。ロボットは、そのまま車両に突き飛ばされつつも、何とか体制を維持して倒れることなく踏み留まった。

すると、空爆車両も音を立てて素早く変形を始めた。

 

 ギゴガゴゴ!!

 

そう、この空爆車両こそが、先程のウォーブレークダウンである。その姿は、突き飛ばされたロボットよりも遥かに大柄だった。背中に多連装ロケット砲を装備したウォーブレークダウンは、腕を鈍器のような物に変形させ、ロボットに対して言葉を発する。

 

「けっ!こんな所にオプティマスの腰巾着がいやがるとはな!BIGBOSSの前にお前の首を持って帰れば、メガトロン様に良い土産になる。」

 

そう言うと、ウォーブレークダウンは腕を上げながらロボットに飛びかかった。しかしロボットはその攻撃をバックステップで躱した。ウォーブレークダウンの鈍器が地面に衝突すると同時に、辺りを強烈な衝撃波と砂埃が覆った。遠くから観察していたスネークも、両腕を前に出して衝撃波に耐える。

 

どうやら2体のロボットは、味方同士というわけではないようだった。つまり、これらのロボットは一勢力の独占技術ではない可能性が出てくる。仮にこれらの大型ロボットの製造技術が大陸に渡っているのだとしたら、それは冷戦の終結、あるいは世界大戦の再勃発を意味する。スネークは更に目前で行われている戦闘に困惑した。しかし、大型兵器同士の対決にスネークが付け入る隙は無い。

 

ロボットは渾身の一撃を躱すとと同時に、空中で腕を大砲のように変形させるとウォーブレークダウンに向けてプラズマ弾を発射した。

 

「ぐああああああ!!!」

 

大柄なことが災いしたのか、ウォーブレイクダウンは砲撃をもろに食らいノックバックする。遺跡の瓦礫と共に倒れこむウォーブレイクダウンだったが、すぐに起き上がりまたロボットに向かって攻撃を行おうと駆け出した。ロボットも格闘戦に持ち込むつもりなのか、近距離格闘の構えを取りウォーブレイクダウンの出方をうかがっていた。

 

「こいつで吹っ飛べ!」

 

ウォーブレイクダウンはそう叫ぶと、背中に装備しているロケット弾を上空に打ち上げ、ロボットに空襲を仕掛ける。一斉に発射されたロケット弾は、空中で散開ながら円弧を描いてロボットの真上に降り注ごうとしていた。ロボットはロケット弾が着弾する前にウォーブレークダウンに突進する。大柄なウォーブレークダウンと取っ組み合いになるも、ロボットは巧みに背負い投る形に持っていきそのまま遺跡の外縁へと投げ飛ばした。

そう、スネークの隠れているまさにその場所に。スネークは馬と共に走って、飛んでくるウォーブレークダウンを回避しようとした。

 

が、その時である。また一台の大型車が遺跡に乱入、そのままスネークの目の前を横切ってウォーブレークダウンを轢き飛ばしていく。スネークは何が起きたかわからずに、轢き飛ばされたウォーブレークダウンを呆然と注視していた。轢き飛ばされたウォーブレークダウンは、再び瓦礫を除けて起き上がると、目の前のトラックに既視感を覚えた。

 

「そ…、そのフォルムは…!?」

 

ウォーブレークダウンを轢き飛ばしたのは、ここアフガンで広く普及している1台の軍用トラック(Zi-GRA 6T)だった。

 

 ギゴガゴゴ!!

 

同時にトラックも音を立てて変形、やがて巨人の姿になった。ウォーブレークダウンよりも細身だが、身長は彼よりも高い。トラックのフロントを真っ二つに割り、まるで胸板のように見せている。そして頭には角のような物を生やしていた。その巨人は、ウォーブレークダウンに詰め寄りながら語りかけた。

 

「ここは人間たちの土地だ、ディセプティコン。もし、これ以上暴れまわるなら…

 

”お前をこの場で跡形の無いようスクラップにしてやる”。」

 

その声は落ち着きながらも明らかに怒りを露わにしていた。ウォーブレークダウンはその破覇気にすっかり意気消沈し、後ずさりしている。

 

「ぐ… くそおおお!!2対1は卑怯だろうがああああ!!」

 

ウォーブレークダウンはそう叫びながら背を向けて走り出し、再び装甲車に変形して遺跡から逃走した。

___戦いは終わった。

 

 

「バンブルビー、ここでは争いを避けろと言ったはずだが。」

 

高身長の巨人は先ほどまでウォーブレークダウンと戦っていたロボットに対して、ややため息交じりに言った。ロボットは何やら、妙な電子音で高身長の巨人に対して言い訳をしているようだった。

 

戦いの一部始終を見ていたスネークもといDDスタッフ一同は、相変わらず目の前の光景にあっけに取られていた。その様子を見ていたオセロットは、急いでスネークに無線をかける。

 

オセロット「おいスネーク!何をしている!隠れろ!!」

 

オセロットは棒立ちしているスネークに向かって焦って指示を出した。しかし、その瞬間2体のロボットがこちらに向き直り、スネークに向かって語りかけた。

 

「その必要はない、人間達よ。」

 

オセロットは思わず驚いた。スネークの存在がバレていることにではない。無線を傍受されていたという事に対してである。ロボット達は明らかに、オセロットの声に反応したのだ。ロボット達はスネークの元まで近づくと、ゆっくりと腰を下ろし膝をついた。

 

「驚かせてしまってすまない。我々は君たちの味方だ…、信じてほしい。」

 

スネーク「お前たちは一体…。」

 

スネークは2体のロボットを見上げながら問う。高身長の巨人はフェイスマスクのような物を引き込めて、スネークを見ながら丁寧に答える。

 

「我々は金属生命体トランスフォーマー。ここ地球からはるか遠くの惑星サイバトロンからやって来た。」

 

無線越しに聞いていたDDスタッフは、巨人のその一言でざわめきだした。

 

「き、金属生命体…サイバトロン…?訳が分からない…」

「遠くの惑星って…まさか異星人!?」

 

巨人は、傍聴しているであろう無線越しに聞こえるざわめきを無視して、話しを続ける。

 

「私はオートボットの総司令官、オプティマスプライムだ。そして彼は、私の大切な親友のバンブルビー。」

 

どうやらこのロボットは異星人で、名前も各々で確立しているようだった。オプティマスは隣のバンブルビーと呼ばれているロボットの肩に手を置いた。オプティマスは話を続ける。

 

「彼には、君をディセプティコンから守るように伝えていた。」

 

バンブルビーは自己紹介と言わんばかりに立ち上がり、ラジオ番組の音声を繋げたような声でスネークに話しかける。どうやら彼は、独特なしゃべり方を持っているようだった。

 

「(そう!)(俺は)(バン)(ブ)(ルビー)。(勇敢な)(戦士)(だ)。(ブラボー!)[拍手音]」

 

「ああ…バンブルビー。」

 

誇らしげに腕を組んでいるバンブルビーを横目に、オプティマスは頭を抱えている。先ほど護衛対象を危うく潰しかけたのだ、無理はない。

彼らのやり取りは、本当に人間そのもののようだった。無機物で構成されているにも関わらず、彼らには人と同じように血が通っているのだろうか。スネークは様々な思考を巡らせながらも、彼らがただのロボットでないことを確信する。スネークはオプティマスに質問を投げかける。

 

スネーク「そんな遠い星の住民が、どうして俺のことを知っている?どうしてお前たちはこの地球にいる?」

 

オプティマスは頷きながら答える。

 

「我々は、地球にて不穏な動きをしているディセプティコンからこの地球の人々を守るためにやって来た。奴らは…、スネーク、君を狙っているのだ。」

 

オプティマスはスネークを指さして答える。

 

「我々は君たちの情報通信ネットワークに侵入し、大体の情報を把握している。しかし、それはディセプティコンも同じだろう。奴らの目的はオールスパークという叡智の結晶を手に入れることだ。だから何故君が奴らに狙われているのかが私には分からない。しかし、奴らは確実に、”君が関係する何かを手に入れようとしている”のだ…。」

 

 




端的に言うと幽霊車の噂の正体は、バンブルビーだったわけです。可愛いですね。

壊すの大好きウォーブレイクダウンの登場だよ。プライムではノカウ先生とブレークダウンのコンビが好きだったんで、実写にも出てほしかったんすけどねー。願望も込めてMGSVに登場する架空の空爆車両「ZHUK RS-ZO」にトランスフォームするという設定で出させてもらいました。一応コンボイとビーの車両も明記しときます。

オプティマスプライム→Zi-GRA 6T

バンブルビー→ZaAZ-SB4

正直バンブルビーに関してはハウンドを代わりに出す予定だったんですけど、実写のハウンドは既にゴテゴテの装甲車にトランスフォームしてますしねえ。軽輸送車って感じじゃなかったんで定石通りビーにしました。
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