「………ま、……さま! 大丈夫ですか!?」
「――ん、んん……?」
どこからか聞こえる大声に、ぼぅっとしていた意識が引き戻されていく。
「う、ぐぅ……っ!?」
……頭が痛い。
ついでに身体もガチガチのバキバキだ。まるで急に老人にでもなってしまったような気分だ。
おそらくPCに向かったまま突っ伏して寝てしまったのだろう。
目を擦りながら上体を起こすと、目の前には見慣れたPCデスク……ではなく、大きな牙をむき出しにした、豚鼻で一本角の化け物と、真っ白な肌に紫色のたてがみをした、二足歩行の馬がこちらを覗き込んでいた。
「お身体の具合が悪いのですか? 随分と顔色が悪く見えますが……」
心配そうに俺に語り掛けてくる白い馬。一本角の方も、後ろでうんうんと頷いている。
……なんというか、こいつら凄く見覚えがあるな。
――嫌な予感がする。
慌てて自分の手に目を落とすと、案の定だ。
鋭く伸びた爪に、とても人間のものとは思えない真っ青で節くれだった手。
どう考えてもゲマです。本当にありがとうございました。
うーわ、マジか。
そりゃ顔色悪いわ、いや、常日頃からか。
ていうか、どうしよ。
俺がゲマで、目の前にはジャミとゴンズ。
時系列はわからんけど、お先真っ暗なのでは?
こりゃどうしたもんか。
頭を抱えながら必死に考えるが、いい案は浮かんでこない。
「……ゲマ様、やはり調子が悪いのですか? でしたら、今回の会議は中止ということに……」
やっぱり俺がゲマかー。
聞きたくなかったけど、確証得ちゃったかー。
しかし、いつまでも黙ってるわけにもいかんな。
……ゲマってどんな感じの喋り方だっけ?
「いえ、心配には及びませんよ。少しばかり、悩みがあっただけです」
「さ、左様ですか。……ですが、何かありましたら遠慮なく仰ってください」
……おぉ、なんとかなった。
フ◯ーザ様のイメージだったけど、おおよそ間違ってなかったっぽい。
今後はそれで乗り切るとしよう。
じゃあ、ここからどうするか。
俺としては死にたくないと思ってるし、なんとなくだけど、目の前のコイツらも死なせたくないと思っている。
そして、本編主人公のリュカや、パパス、マーサなんかにも死んで欲しくないし、人間界を侵略しようとも思っていない。
やりたいことだらけで、八方塞がり。
でもまぁ、自分の好きなゲームの世界に入ったとなったら、普通こんなもんじゃない?
そして、ここらへんを全部ひっくるめて、なんとかする方法を俺は思い付いた。
ミルドラース、ぶっ殺そう。