蛇神様IN刃牙ワールド   作:揚げ物・鉄火

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最近忙しすぎて全然時間が取れず小説が全然書けない…
なんて思いながら書き上げました。

あと、ネットで刃牙らへんに対して「ここまで盛り上がらない第一話って中々無い」ってコメントを見て一人で勇次郎みたいな笑い方をしていた作者です。
本編が盛り上がらない分、こっちで盛り上げたいです。たぶん出来ないけど…

それでは、どうぞ。ごゆっくり!


強者の報せッ!(調子に乗った結果とも言う)

日本国.

 

徳川邸.

 

現代社会に於いて数える程しか存在しない、いかにもな日本風の邸宅。

広大な庭を持ち高い塀に囲まれたこの場所のとある一室で二人の男が向かい合って座っていた。

 

片や小柄な老人。

小柄とは言っても放つオーラからしてただ者では無いと伺える。

実際ただ者では無い。

 

深緑色の着物を着こんだこの老人の名は『徳川 光成』。

強者(つわもの)同士の試合を見る事に並々ならぬ情熱を注ぐ世界屈指の財界人であり、東京ドーム地下闘技場の支配人(オーナー)も務めている中々のファンキー爺さんである。

一部では、全ての元凶、巨凶とも称されるヤベー爺でもある。

 

 

一方で彼の目の前に座る男もただ者では無い。

 

鋼のように鍛えられた肉体。

岩石のように鍛えられた拳。

猛禽類のように鋭い眼光。

身体(からだ)の至る所に無数の傷が刻まれており彼の普通じゃ無さを物語っている。

170センチ程度の身長しか持ち合わせないこの一見少女と見間違いそうになる男こそが、地上最強の少年(ガキ)と称される範馬 刃牙である。

 

 

「なんだよじっちゃん。休日にいきなり呼び出してさ?新しい対戦者でもいんの?それなら電話で連絡…「刃牙や」

いきなり呼び出された事を疑問に思いながら質問をしていた刃牙の言葉を途中で徳川が遮り意識を自分に向かせる。

 

「……」

「……」

自分の言葉を遮ってまで話をして来た光成の態度に姿勢を改めて話しを聞く姿勢に移行する。

その態度を見た徳川が煙管(キセル)を一つ吸って煙を吐いてから静かに口を開く。

 

「お主、アイアン・マイケルを覚えているか?」

「アイアン・マイケル、って…世界チャンピオンの?ボクシングでの」

徳川に投げかけられた予想外の質問に刃牙が首を傾げながら答える。

 

「ならマホメド・アライjrは、覚えておるか?」

「ちょっと前に戦ったアイツの事?」

「そう、そいつじゃ」

「じっちゃん、さっきから何が言いたいの?まさか闘えってわけじゃないよね?」

再度投げかられた質問に再び首を傾げながら答えて徳川が肯定した。

だが、さすがに徳川の質問の意図が読み取れない刃牙が遂に質問した。

 

その刃牙の質問に徳川が予想外の答えを返す。

「これは今朝入って来た情報なんだが…その二人が負けたらしい。それもそれぞれが一発KOでな」

「……はい?」

完全に予想外だった返答に刃牙が思わず間抜けな声を出しながら驚く。

 

それもそうだろう。

片やボクシング世界ヘヴィー級チャンピオンにまで登り詰めた程の強者(つわもの)であり、もう一方はマホメド・アライ流拳法と呼ばれる流派を確立させ一度は、あの武神『愚地 独歩』と達人『渋川 剛気』に勝利している。

自分とてその二人に勝てるが一発KOとはいかない。確実に数発叩き込まなければ倒せない存在だ。

 

かなりの強者の部類に入るマホメド・アライjrを倒した奴…いったいどんな強さを秘めているんだ?闘ってみてぇ…刃牙の心はその感情(おも)いに支配されていた。

 

「なあ、じっちゃん。それってどんな奴なんだい?どの格闘技を使う?他にはどんな奴と闘ったんだ?」

「………分からん」

身体を武者震いさせながらした質問に対し徳川は数秒黙りこくってから答えた。

 

「どんな奴かまったく分からんのじゃ…目撃者はゼロ。ただ本人たちの証言によると白いフード付きのパーカーを来た小柄な人物だったらしい。声は中性的…どちらかと言うと女性に似た声色をしていた、とのことだ」

「……??」

心底残念そうにしている徳川の説明を聞きながらも件の人物を思い浮かべようとするが、まったく想像できない。

 

 

他に情報が入ったら知らせる、と徳川に言われて刃牙は徳川邸を後にした。

 

その数日後、またもアメリカから衝撃のニュースが舞い込んで来る。

他のグラップラーはおろか父、範馬 勇次郎までもが直接動き出すようなとんでもないニュースが…

 

 


 

 

刃牙が徳川邸に呼ばれる36時間前…

 

アメリカの夜の公園を一人の黒人男性が走っていた。

走りながら時折ボクシングのパンチングを練習し、大量の汗を搔きながらも走るスピードを一切緩める気配がない。

 

「ハァ…ハァ…」

やがて日課の20キロのランニングを終え、膝に手を突いて息を整えた男は一人でシャドウを始めた。

 

「シュッ…シュシュッ!」

イメージするのは、歴戦の強者(ツワモノ)達。

稲妻(サンダー)、スミス。

(ストーム)、ライアン。

(スモーキー)、ジョー。

(ファントム)、マハメド・アライ。

誰もが油断出来ない相手。

 

「……?」

やがて1時間程のシャドウを終えた男が異変に気付く。

 

あたりが静か過ぎる。

人々の話声がしないのはまだ分かる。

時刻はすでに23時を回っており、普通の人間が出歩く時間では無い。

しかしだ。鳥はおろか虫の鳴き声一つしない。

 

それどころか生物の気配が一つも無い。

まるで自分だけがこの夜の公園に閉じ込められたような感覚。

 

「何が起こってるんだ…?」

あたりの異変に疑問を持った男がトレーニングウェアのフードを外しあたりを見まわした。

フードの下から現れたのは、見事なスキンヘッドの黒人男性。

アイアンマンの異名を持つ元ボクシングヘヴィー級チャンピオンのアイアン・マイケルだった。

 

「……」

明らかに何かがおかしいと感じたアイアン・マイケルがホテルに帰ろうと踵を返した瞬間だった。

 

 

ヒャヒャヒャヒャヒャ!!

 

 

「…ッ!!?」ゾワッ!!

背後に形容しがたい悪魔にも似た強大な気配を感じ取り、一気に振り返り思わずファイティングポーズを取った。

自分の咄嗟の反応に困惑しながらも遠方から…と言っても30メートル程しか離れてない場所に佇む一人の人物を見た。

 

上半身を白いパーカーで包み顔は逆光と夜の公園特有の暗さで確認出来ない。

下半身は黒いズボンを身に纏い、足元は赤に白のコントラストが入り混じったスニーカーを履いている。

背丈の程は、150以上…160と少し。170は越えない程度の身長だろう。

しかし纏うオーラは、常人のソレとはかけ離れている。

アレ(・・)の纏うオーラに近しい人物を上げるなら…セカン(ゲバル)アンチェイン(ビスケット・オリバ)

いや、その二人でも足りない。

その二人よりももっと上の人物…バキ・ハンマ?いやいや、まるで足りない。

彼でも大人と子供くらいの差がある。

もっと上の人物は…

 

「…あ、アレかぁ~~~!!!」

その瞬間、アイアン・マイケルの脳裏に思い浮かんだ人物は己が知る中でこの上ない強さを持つ一個人。

強さの象徴そのもの。国家すら平服させる絶対腕力。最強の称号を欲しいがままにする人物。

地上最強の生物、範馬 勇次郎。

 

圧倒的にして絶対的強者の姿を幻視して思わず数歩後退るが元チャンピオンのプライドがそれ以上の後退を許さなかった。

 

 

「スゥ~…フゥ…」

「ッ!!?」

感情を整える為に目を閉じて軽く呼吸をした。

時間にしてほんの2~3秒だろう。

それだけの時間、目を閉じて相手から視線を逸らしていた。

相手は特に特別な動きはしていない。

ただこちらに向かって歩いて来ただけだ。

まるで散歩でもするように歩いているだけだ。たったそれだけの行動なのに体が硬直して動けなくなる。

 

「……」

「……ッ!!」

相手はもうすぐそこまで来ている。

改めて見ても自分より遥かに(小さ)い。なのに感じるオーラは、自分を遥かに上回る。

 

「……」

「シッ…!」

自分の目の前にまで迫った人物に対して右ジャブを放つ構えを取り…一気に放った。

 

パァンッ!!

 

「~~~~ッ!!!」

「ビックリした…」

アイアン・マイケルの放った不意打ちにも等しい高速のジャブが何の抵抗も無く相手の片方の掌で受け止められ、更にパンチの回転を軸にして合気で己の巨体を一周させられて、ふわりと着地した。

 

「サイン下さい…」

「え?あ、あぁ…サインだね?任せろ完璧なサインを書いてやるとも!」

そしてあろう事か高速のジャブを片手で受け止めた相手は、懐から一枚の色紙と一本のサインペンを取り出してサインを要求してくる。

先に手を出した手前、断る選択肢を持っていないアイアン・マイケルは大人しくサインを書いた。

 

「くふふふ…」

自分のサインを見て満足そうに笑った相手にホッとしたのも束の間、気が付くと相手が消えていた。

 

ガコンッ!

 

何処からかそのような音がしたかと思えば己の視界がブレて膝から前のめりに崩れ落ちた。

 

「さっきのお返し…ちゃんと一発だよ?」

薄れゆく意識の中、聞こえた相手の言葉が頭を反響しながらアイアン・マイケルは意識を失った。

 

 


 

 

続いて同国。

 

刃牙が徳川邸に呼ばれる15時間前。

アメリカ時刻20時頃。

 

レストランでの食事を終えた一人の黒人男性が満足そうに店から出て少し歩くと、自分に付かず離れずの気配が迫っている事に気が付く。

 

(やれやれ…またか)

気配に気付いた男、マハメド・アライjrが面倒事に遭遇してしまったと肩を竦めて表通りから路地裏へと進路変更して相手を誘い込む。

 

マホメド・アライjrの意図に気付いたように後ろから付いて来ていた気配が後を追い始める。

 

このアメリカでプロボクサーが素人の喧嘩自慢にストリートファイトを挑まれるのは珍しい事ではない。

もはや登竜門とも言っても過言ではない程の出来事と化している。

なのでマホメド・アライjrも相手を誘い込むように路地裏と入り、右へ左へと曲がりながらたどり着いたのは表通りからは見られないゴミ捨て場の前で止まってから振り返る。

 

「……」

「良かった。ちゃんと着いて来れたんだね?」

振り返ると案の定、視線の先には自分を尾行している人物が立っていた。

 

白いパーカーを上半身に羽織り顔はフードを被っているせいで確認出来ない。

下は黒いオーバーサイズのズボンと白いスニーカーを履いている。

手はパーカーのポケットに入れているため確認出来ないが大して大きく無いだろう。

身長は160強。体重は65~70弱。ボクシングでの階級は、ウェルター級~ミドル級と言ったところだろうか。

素人ではないが自分と比べるまでもない。難なく勝てる相手だ。

相手の戦力を分析したマホメド・アライjrは、一応の礼儀として念のための確認を取る。

 

 

「一応確認しておく。僕はマホメド・アライjrだ。現役のプロボクサーであり、喧嘩でも素人では無い。それを分かった上でこの僕に勝負を挑むと言うのだね?」

「…」コクッ

「そうかい…無事じゃすまないよ?それでもやるのかい?」

「……」コクッ

「O.K…Let's fight!!」

一通りの確認を終えたアライjrは、両拳を持ち上げボクシングのファイティングポーズを取ってその場で軽くジャンプしながらステップを踏み相手の出方を見る。

 

「……」

パーカーを被った対戦者も両拳を持ち上げて同じようにボクシングのファイティングポーズを取る。

しかしこちらは、一切動く気配が無い。まさに不動の構えだ。

 

(嘗めやがって…!)

その一連の動きに対してアライjrは、小手調べとして右のジャブを放つ。

人間の反応速度を遥かに超えた高速のジャブが相手の顎を捕らえる。

 

しかし…

 

「…」ス…

「なッ!?」

反応出来ないはずの高速ジャブを首を傾げるだけで躱した。

だが問題はそこでは無い。

 

「こ、こいつ…!」

(見てから躱した!)

人間の反応速度を遥かに上回るはずの速度で放たれたジャブを見てから(・・・・)躱した。

予測して避けるのならまだ分かる。予測すれば迎え撃つ事も可能だ。

しかし見てから躱すとなると話しが違う。

こんな事が出来る人物は、自分の知る中には誰一人としていない。

ドッポ・オロチやゴウキ・シブカワ、ジャック・ハンマーはおろか、バキ・ハンマですら出来るか分からない。

ユウジロウ・ハンマならあるいは…だがそのレベルの存在だ。

 

「見誤った…」

難なく勝てる相手?冗談じゃない。馬鹿も休み休み言え。

この目の前に立つ相手は、今まで自分が闘って来た誰よりも強い。

それこそあの範馬 勇次郎に匹敵しかねない程に…

それでも一度は受けてしまった喧嘩だ。

逃げるわけにはいかない。

 

「Com'on!!」

自分を奮い立たせる意味合いも含めて掛け声を上げると相手もそれに反応し、ゆっくりと歩いてくる。

 

「……」

一歩。

 

二歩。

 

三歩。

 

間合いに入った。

 

「シッ!!」

瞬間、放たれたマホメド・アライjr渾身の左ストレート。

先程のジャブよりも速く鋭く正確な一撃。

今度こそ当たるッ!

回避不能ッ!!

 

 

流水岩砕拳ッ!

クン…

 

 

 

バチィッ…!!

「ッ…!!!??」

 

今度こそ確実に当たる。

その考えが脳を支配した瞬間、自分で自分のパンチを喰らっていた。

 

「な…にが、!?」

完全な意識外からの強力な一撃。

それも相手では無く、自分自身のパンチを喰らった。

カウンターどころでは無い精神的ダメージが襲う。

思考の一切を放棄してしまう程の動揺に襲われる。

しかし呆けている暇など無い。すぐに相手の攻撃が来る。

相手に意識を向けた瞬間、いつの間にか引いていた左腕を一気に振りかぶり左鉤打ち(フック)を放つ構え(ポーズ)を取っていた。

 

「…ッ!」

衝撃に備え顔の右側にガードを作る。

しかし、衝撃が来ない。

 

「……?」

「まさか、した…ッ」

ガキッ!

 

鉤打ち(フック)による衝撃が一切来ない事に疑問を持った直後に真下から放たれたの右のアッパーカット。

再度喰らった意識外からの一撃。

だが今度の一撃は、先程の自分のパンチとは比較(比べ物)にならない程に強力な一発。

パンチの衝撃で80キロの自分が約2メートルほど浮かび上がる。

 

空中で放物線を描きながらマホメド・アライjrは、納得した。

最初の左鉤打ち(フック)は、ただの囮、撒き餌に過ぎなかった。本命は、下からのアッパーカット。

おそらくは左鉤打ち(フック)を当たる直前で止めて、左腕を引く力を利用して上半身を捻りアッパーカットを決める右腕に勢いを乗せて通常の1.5倍の威力のアッパーを決めた。

だがそれだけではない。衝撃(インパクト)の瞬間に足を強く踏み込んでパンチの威力を更に倍化させた。

つまり今のパンチは、最低でも3倍の威力があった。

それに加えてあのジャック・ハンマーにも引けを取らない…否、彼を上回る程の剛力で放たれた拳。

 

 

(勝てる訳が無かった…最初から最後まで相手の手の上だった…全局面的戦闘技術「マホメド・アライ流拳法」を使用(つか)う暇もなく、たった一発で終了(おわ)らせた)

「ここに来て、死神(ジョーカー)を引いちまった、ぜ…」

自分の敗北を受け入れながらマホメド・アライjrは、最後にそんな言葉を残してゴミ箱の山に突っ込んで動かなくなった。

 

 

「…………」

一方でマホメド・アライjrを殴り飛ばした白いパーカーの人物は、ポケットから一枚の紙きれを取り出しリストの一つに一本の取り消し線を引いた。

そのまま気絶しているマホメド・アライjrを一瞥してから踵を返し帰路に着いた。

 

 

(範馬 勇次郎)
(ジャック・ハンマー)
(最凶死刑囚のいずれか)
(郭 海皇)
マホメド・アライjr
(ビスケット・オリバ)
(ピクル)
(範馬 勇次郎(二回目))
(宮本 武蔵(クローン))

 




今回の話を書きながらモハメドではなくマホメドなんだ…ってなりました。
ずっと間違って覚えてました。

とりあえず今回は、練習台としてアイアン・マイケルを軽く倒し、本番でマホメド・アライjrをアッパーカット一発で倒しました。
ジャック・ハンマー流に言うなら最高打撃(ベストパンチ)(笑)ってやつです。
本気からは程遠い、闘いを一瞬で終わらせる為の一発でした。

蛇神様が本気を出すに値しない強さ(レベル)の二人でした。
次回は、誰でしょう?予想してみて下さい。

では、また次回!
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