蛇神様IN刃牙ワールド   作:揚げ物・鉄火

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今年最後の投稿になります。
なんとか今年中に終わらせる事が出来て良かった…刃牙らへんは、ジャックと勇次郎の親子の食事以降読んでないので今どうなっているのか分かりません。
ちょっと単行本を買って来ます。

それと途中から少し雑になったな、って…

それでは、どうぞ。ごゆっくり!


第二の腕力家、来日(いきなりお前なんて聞いてない)

「おい…今なんて言った?」

高級ホテルの一室で受話器を手に持った男が問いた。

 

赤い髪に浅黒い肌、木の幹と見まがう太い首。

鋼鉄の如き強度を誇るであろう胸筋。

丸太のように()っとい腕と大樹の幹のような太さの両脚。

 

プロのボディービルダーが裸足で逃げ出す程の肉体を持った男が黒い道着に身を包み、百獣の王たるライオンですら尻尾を巻いて逃げ出す怒りの形相で通話相手に確認を取っていた。

 

「もう一度言え。誰が、誰を倒して、お前が何を認めたって?」

『…オーガよ。先程言った通りだ。ブラックペンタゴンへの侵入者が、アメリカ最強の男.繋がれざる者(アンチェイン)ビスケット・オリバを倒し、白昼堂々と警戒レベルMAXのホワイトハウスに侵入し、アメリカ合衆国大統領たる私を脅迫した。そして私は相手の要求通りに…彼女(・・)第二の腕力家(・・・・・・)として認めたッ!!』

「ボッシュよ。オメェ、いつから笑えない冗談を言えるようになったんだ?」

電話の向こう側にいる人物は、アメリカ合衆国大統領.(ジョージ)・ボッシュ。

一般人が会う事すら出来ない彼を相手に不敬ともとれる態度で接していた。

だがそれを咎める人間は、世界中を探しても何処にもいないだろう。それもそのはず、今大統領と通話している人物こそが範馬 勇次郎に他ならないからである。

 

一個人の戦闘力が大国の軍事力に匹敵すると言われ、腕っぷし一つで全て実現させる事が出来る存在。

究極の暴や究極の力、天災に匹敵すると言われ、人間とは隔絶した領域にいるとすら言われる地球上に於ける全生物の中で最強。

地上最強の生物と呼ばれ、自他共に認める最強の雄。

その範馬 勇次郎が憤怒(いかり)表情(かお)で大統領と通話をしていた。

 

『私もこんなジョークを言えるほどの胆力を持ち合わせていない。これは事実だ、覆しようのない』

『考え得る最高の警備を展開し、自他共に完璧だと、虫一匹通さないと防衛庁長官が豪語した警備を…ものの十数分で突破された』

『警備に派遣された1000人にも上る者達全員が『相手を認識出来なかった』と言っている。認識すらさせずに全員を気絶させ、ホワイトハウスに正面から侵入。給湯室に行きコーヒーを作り、大統領室でくつろいでいた。あとで分かった事だがキッチンでサンドイッチを作った後が残されていた。ホワイトハウス内の警備員が誰一人としてそれに気付けず、私の部屋(大統領室)でッ!この私を!待っていたんだッ!!』

「ボッシュ…」

『ソーリー、取り乱した…とにかくだ。そんな存在を第二の腕力家と認めずしてどうする?彼女は、君に近しい実力()を持っていると判断したまでだ。理解(分か)ってくれ、と言うつもりはない。ただ、報告したかっただけだ』

範馬 勇次郎相手に報告を終わらせたボッシュ大統領。

 

「ボッシュ。ソイツは今、何処にいる?」

彼が電話を切る前に勇次郎が質問する。

第二の腕力家と成った相手の現在位置を聞く勇次郎の声は心なしか喜びに満ちていた。

 

 

致し方無い事であった。

自分と対等に渡り合えるかもしれない相手がその実力を証明した。それも自分と対等の存在であると豪語するように。

少し前に聞いたあの心音(・・・・)の持ち主であろう人物が己を証明した。

長らく会う事の出来なかった対等な遊び相手に勇次郎の心は歓喜(よろこび)に満たされていた。

 

『すまないが…それは教えられない』

「なに?」

『世界でただ一人の腕力家だった君と、今や第二の腕力家となった彼女。恐らく君の口ぶりからして彼女に会いに行き、闘うつもりだろう』

『良く聞いてくれ、君達の衝突は国家間の衝突に比例するッ!二人の腕力家が正面衝突ッ!あってはならない!前代未聞の大事件となるッ!!どっちが勝っても負けても!例え勝負が着かなかったとしても、それは世界に大きな波紋を呼ぶことになるッ!!君達の衝突で世界の各国首脳がどう反応するか!火を見るよりも明らかだッ!!だから君達の衝突は「ボッシュ…」…ッ!』

「もういいぜ。こっちで探す」

『なっ!?待て、オー』

自分の要求が通らない事を悟った勇次郎が軽くため息を吐きながら電話を切り、部屋の外へと歩き出す。

目的地は、ただ一つ。

 

強者の集う地.東京ドーム地下闘技場。

その闘技場の主人(オーナー)である徳川 光成の住まう徳川邸へと。

 

 

 

 

徳川邸にて

徳川 光成

 

「よう来たのぅ、刃牙!」

「じっちゃん、平日に呼ぶんじゃねぇよ。こちとら学生なんだぜ?」

「例の強者(つわもの)について新たな情報が入って来たぞ」

「ッ!」

平日のド真ん中に呼ばれた事に刃牙が一言文句を言おうとした所で光成とんでもない爆弾発言をぶつけて来た。

その言葉に数瞬前まで感じていた不快感も霧散し、全ての興味は光成の言う新たな情報(・・・・・)に注がれていた。

 

「じっちゃん、どんな事が分かったんだい?相手の姿形?身長?容姿?それとも名前や使う武術まで分かったのかい!?」

「落ち着け刃牙。中でゆっくり話してやるから着いて来い」

「ああ…わかったよ」

興奮気味に矢継ぎ早に質問を繰り返す刃牙を落ち着かせ屋敷の中へと案内する。

 

「さて、何から話すべきか…」

いつもの部屋へと案内された刃牙と対面に座り顎に手を当てて考え出す。

光成が独自の情報網で仕入れた情報は、大きく分けて三つ。

 

・相手の容姿

・相手の現在地

・相手のおおよその実力

 

だがどれから話すかを考える事、一分半。

散々に頭を捻り、ついに分かりやすい例えを一つ思いついた。

 

「刃牙!そう言えばおぬし、ビスケット・オリバと闘い、勝ったそうじゃな?」

「え?ああ、まあ…けどそれが何か関係あんの?」

「関係あるとも!例の相手、あの強者もビスケット・オリバを倒したそうなんじゃ」

「……」

「それだけじゃない。不思議な事にビスケット・オリバが倒された日の翌日に何故かホワイトハウス周辺の警備が通常時の何倍にも増えていた。が、何故かわずか数時間でその厳戒態勢が解かれたんだ」

「そして一番面白いのがここからじゃ」

「何があったの?」

「厳戒態勢が解かれた後のホワイトハウスから大統領直々に(・・・・・・)案内された一人の人物が出て来おった。そして車に丁重に乗せられ見送ったとのこと…」

「分かるか刃牙?つまり一国の首脳(トップ)である大統領がわざわざ気を使い(・・・・・・・・)媚びへつらう相手(・・・・・・・・)。世界広しといえどもそんな扱いを受ける人物は世界中を探してもたった一人しかいないッ!!」

「親父…範馬 勇次郎。つまり、なんだ?地上最強の生物、範馬 勇次郎と同等の扱いを受けられるだけの強さの持ち主って事?例のそいつが!!」

徳川の非常に分かりやすい例え(・・・・・・・・・・・)を聞いた刃牙の脳裏には、件の人物の虚像が一定の形を定めず変化していった。

 

地上最強の生物、範馬 勇次郎に匹敵する人物…そんなのが実在するのか?常識的に考えてありえないだろう。

その考えが頭をよぎるが同時に現在(いま)徳川から受けた報告がその思考(考え)を否定する。

そんな事態(こと)があっていいのか?

 

ドグンッ!!

 

 

「!!」

「どうした?刃牙」

そんな刃牙の考えを真正面から叩き潰すように巨大な心音が響いた。

例えるなら大型トレーラーのエンジン音、積乱雲の中の轟雷音、脈動する活火山、大地を揺らす大地震。

否、そのどれもが過小評価にしかならない程の圧倒的威圧感。

 

居る。ビスケット・オリバを倒し、アメリカ大統領を脅迫し、範馬 勇次郎に匹敵し兼ねない怪物がすぐ近くにッ!!

心音を聞いた刃牙が庭先の襖に対しファイティングポーズを取る。

完全に無意識下での行動だった。

 

「ッ………………!!」

「刃牙…?」

己の行動に思わず驚きながらも視線を襖の先から離さない。

 

ガラッ!

「失礼する」

「なっ!?」

「…………」

庭の方向から強大な気配が迫って来ている。

それこ己が父、範馬勇次郎にも近しい程の荒々しい気配が。

 

「早速で悪いが話をしたい。時間を空けてくれて感謝するぞ、爺さん」

「刃牙…!」

「………」

気配がすぐそこにある。

間違いない。今、徳川邸の敷地内にビスケット・オリバを倒した強者(化け物)入って(侵入)いる。

 

「こちらとしては、幾度か地下闘技場戦士達と闘って(遊んで)やるから仕合の満足度に応じて金銭の支払いを要求したい」

「刃牙ッ!」

後ろでじっちゃんが何か言ってるようだが全く意識を割けない。

来る強敵に向けて右腕を中心に脱力させて…

 

「おい、いつまでそちらを向いている」

「ハッ…!?」

背後から声が掛かる。

その声に思わず一気に振り向き相手を確認…する前に首を切り落とされた。

 

ゾワッ!

 

「………ッ!?ッ!!!???」

振り向いた瞬間、首を落とされた。

 

確かにそう感じた。

首が切られる感覚。

頭部が重力に従い、床に落ち行く感覚。

残された身体から血が噴き出る感覚。

残された意識で頬に感じた畳の感触。

消えゆく意識の中で見た相手の…

 

 

「っは…!!」

「大丈夫か刃牙?」

「……」スズッ

困惑した顔で刃牙に声を掛ける徳川に対して、当の刃牙本人は己の首に手を当てて繋がっている事を確かめる。

確認が終わり前方に前を向けると先程まで居なかった何者かが刃牙に出された茶を啜っていた。

 

肩に掛かる程度の白い短髪に日焼けを知らないような白い肌。

赤と白を基調としたロングスカートと白いシャツ。

シャツの袖から覗く女性特有の細腕と傷一つ無い手と白い指、綺麗に整えられた爪。

そして。まるで血をそのまま流し込んだかのように真っ赤な瞳が収められた端正な顔立ち。

 

誰もが絶世の美女と評するであろう相手が、徳川光成を前に座布団に胡坐を掻いていた。

 

「お主は、誰じゃ…?」

「すでに分かっているんじゃないか?爺さん」

徳川に問われた女は、湯呑から再度お茶を一口だけ啜り、ぬるい…と文句を言いながら置いた。

 

「……ッ!!…ッ!」

一方で刃牙は目の前の人物を相手に飛び出そうとする肉体(からだ)を必死に抑えていた。

見た事も無いような強敵を前にしてグラップラーとしての本能が疼いている。

 

今すぐに飛び掛かりたい。

どんな反応を返すか知りたい。

 

立ち合いたい。

どのような言動を取るか知りたい。

 

勝負()ってみたい。

どのような武術を、技を、動きをするのか、知りたい事が多すぎる。

 

 

「………」

「……」

「…小僧」

幾度目かの視線に乗せた想像(イメージ)上の攻撃。

刃牙が得意とするイメージ内での攻撃を無視し続けていた相手がゆっくりと振り向く。

 

「しつこいぞ。髪が乱れる」

「……ッッッ!!?」

幾度となく拳を叩き込んだ。

幾度となく蹴りつけた。

幾度となく技を掛けた。

幾度となく、幾度となく、幾度となく…

 

それに対する反応(返答)が、『髪が乱れる』。

 

その返答(返し)は、少年(刃牙)の心を乱すのには十分すぎた。

 

「……ッ!!」

ならば、とより良いモノをくれてやる。それでも同じ反応を返せるか、と。

少年の心中に思い浮かんだのは、そんなモノ(感情)だったのだろうが、それより先に相手が動いた。

 

「相手してやるから庭に出ろ。爺さん、話はあとで済ませるとしよう」

「ほれ、何をしておる?早よ来い」

一言断りを入れて部屋を出て靴を履き庭先にて刃牙を誘った。

その誘いにわずかに口角を上げて身体を震わせながら同じように庭に出て向かい合う。

自分と身長のそう変わらない一人の女性。本当にコイツがあのビスケット・オリバを倒したのか?と疑問が浮かぶがすぐに振り払う。

 

「徳川の爺さん。さっきの話の続きだが、貴方の闘技者と激闘を演じてやるから一人倒す度にそれなりの金銭を支払って頂きたい」

「強者同士の闘いを何よりもの娯楽(喜び)とする貴方にとって悪く無い話だと思うが…まあ、信じないだろうね?」

「ならば今より証明する。5秒以内に決着させてみせよう」

刃牙を眼前に見据えたまま一呼吸で言い放った相手に、わずかに怒りが湧く。

 

侮られて(嘗められて)いる…

 

理解するには十分な挑発だった。

故にいつものファイティングスタイル(戦闘体勢)を取った。

 

「ば、刃牙ッ…!」

「じっちゃん、始めてくれ」

徳川が縁側に立ち両者の間で歪む空間に息を飲む。

やがて徳川も覚悟を決めたのか、完全に黙り込み二人の闘いの行く末を見守った。

 

「…………」

無防備に、それもハンドポケットのままの相手が近づく。

一歩、二歩、三歩…

 

コッ…

ッ今!

 

相手が己の制空権に入った瞬間放つ、最速の一撃。

プロの格闘技者であっても喰らう事を前提にリングに上がる打撃。

近代格闘技史上最速にして最高の技術(わざ)

 

それの名は、ジャブ。

 

「シュッ!!」

刃牙の放つジャブを目で捉える事は不可能。

相手の顎に向けて放たれたその一撃(ジャブ)は…

 

 

『……………???』

 

 

ドシャッ!

()()()()()()()()()()によって中断された。

 

「…ふむ。5秒も不要(いら)無かったか」

消えゆく意識の中で拳を握る相手を見て理解した。

 

無意識の0.5秒。

信号が脳に届いてから動き出すまでの0.5秒間、相手は完全に無防備になる。

その信号(シグナル)を相手より先に読み取り攻撃を仕掛ける。

 

()()()()()()()()()をいとも容易くやってのけた。

 

(く…そ……)

相手の力を完全に見誤っていた事を理解させられた刃牙の意識は完全に閉ざされた。

 

「さて、早速で悪いが一人倒したのでな。出来れば1千万以上の支払いを…」

と、そこまで言い掛けた所で首だけ振り向く。

振り返った先に一人の男が立っていた。

 

 

赤い頭髪、浅黒く焼けた肌、服を盛り上げるように膨らんだ胸板、大樹の幹とも見紛う両脚、鉛をゴム袋に無理矢理詰め込んだような両腕。

そして破顔一笑、歯をむき出しにして心底嬉しそうに嗤う(笑う)一人の大男。

彼の名は…

 

「ゆ、勇次郎!!?」

「……いきなり範馬勇次郎(メインディッシュ)か。聞いてないぞ、ミラさん」

「なーに、楽しもうじゃねぇか。なぁ?蛇神シロナ」

一言文句を垂らしながら体ごと振り向く蛇神シロナ。

不肖の倅、刃牙を倒した相手を前に気持ちが高ぶり続ける範馬勇次郎。

 

両者の威圧感に阻まれた空間が大きく歪み、周囲一帯の小動物が一斉に逃げ出し、徳川邸が震える。

 

「…爺さんと話の途中なんだ。1分だけ付き合ってやる」

「そんなつまんねぇ事言うなよ。楽しもうぜ♡」

軽く足を開き前後に移動させ片腕を前に、もう片方の腕を体の中心に近付けるように…太極拳の構えを取る蛇神に対し、勇次郎は両腕を持ち上げ開手し、背中の異常発達した打撃用筋肉(ヒットマッスル)によって浮かび上がる『鬼の貌』を繰り出す。

 

二人の腕力家が正面切って本気の構えで向かい合った。

 

「……ッ!!!」

後に徳川は、こう語る。

 

あの状況を表現するなら、百獣の王の決闘、龍虎相見える、そんな言葉では到底足りない。

 

例えるなら、二大怪獣激突。

 

これが一番しっくりくると。




すごいあっさりと、そして雑に原作主人公を倒してしまった…どうしよう?
でも勇次郎と互角って表現するにはこれ以外に無いかなって…とか思いながら書きました。

次は来年…果たして完結するだろうか?
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