蛇神様IN刃牙ワールド   作:揚げ物・鉄火

9 / 10
前話で今年最後と言ったな?あれは嘘だ。
頑張ったらなんかイケました。

取り敢えずの実力を見せる為に分かりやすい相手と闘って貰いました。
描写の拙さはご愛嬌って事でお願いします。






腕力家vs.腕力家(腕力家同士が争うと世が乱れるとかなんとか)

場所は日本国・東京

時刻は平日の昼過ぎ、太陽が傾き始める時間帯。

 

日本有数の資産家、徳川光成の邸宅。

その邸宅の庭先で二人の人物が向き合っていた。

 

「楽しもうぜ…」

片や背中に『鬼の貌』を浮かべながら歯を剝き出しに隠し切れない程の歓喜(喜び)を顔に浮かべた男。

闘気によって赤い頭髪を尖らせ、黒い道着から見え隠れする筋肉を隠しもせず両腕を大きく広げた構えを取る男。

 

名を範馬勇次郎。

地上最強の生物と目される個人の戦闘技術が一国の軍事力にも匹敵する腕力家と呼ばれる人物。

 

 

「一分だけだぞ?分かってるな?」

その範馬勇次郎を前に太極拳の構えを取り、確認を取る人物。

 

先程、瞬殺した範馬刃牙を背に『面倒な事になったなぁ…』と心の中で思いながらも目の前の相手から決して視線を放さず構えている。

赤い瞳の目を細め、風に靡く短い白髪をそのままに動き辛いロングスカートで少しでも良い場所に移動しようとしている。

 

名を蛇神シロナ。

つい先日、アメリカ合衆国.大統領を脅し第二の腕力家に任命させた現代最強の女。

 

 

「……ッッ!!」

その二人の腕力家同士の闘いを最も間近で見られる幸運を噛み締めている一人の小柄な老人。

 

彼こそが徳川光成。

日本有数の資産家であり、地下闘技場の支配人(オーナー)

そして究極の格闘技好き(バトルマニア)でもある徳川家十三代目当主。

 

 

「……」

「来ねぇのか?ならこちらから行くぜ!」

両者間の景色が歪む程の睨み合いが続く中、先に動いたのは範馬勇次郎だった。

己の内に潜む獣性を抑えるつもりは微塵も無く、一気に飛び出し拳を振り下ろした。

 

「オラァッ!!」

「…ッぶな!」

跳躍により一気に間合いを潰し、振り下ろされる勇次郎の拳をバックステップで避けた蛇神。

彼女の居た場所に勇次郎の腕が深々と突き刺さり、周りの地面が凹み罅割れている。

 

「おっほぉぉぉ~~~~!!!」

範馬勇次郎の本気の一撃。

老い先短いこの残りの人生で後何度見られるか分からないその一撃を前に徳川のテンションは最高潮(マックス)に到達した。

 

 

「避けたか…!それも悪くねぇ!」

「ハァ…嫌になるなぁ…」

地面にめり込んだ拳を引っこ抜き、心底嬉しそうな笑みを浮かべ、楽しそうに声を上げる勇次郎に対し再度構え直した蛇神が軽く溜め息を吐く。

 

「さあ、これはどうする!」

一気に距離を詰めて右腕で大振りのパンチを繰り出す勇次郎。

 

並大抵の格闘家なら一撃で絶命するだろう打撃に対し、蛇神は…

 

「シッ!」

迫りくる巨腕を前に距離を詰め、左腕一本で力を加え横に受け流し、そのままの勢いで勇次郎の懐に潜り込んだ。

潜り込んだ勢いそのままに、膝を蹴り上り、水月を踏み台に肩へと駆け上り、最後に肩を軸にして顔面を蹴り抜いた。

 

 

………はずだった。

 

 

「…チッ!」

「最高だぜ…お前はよ!!」

顔面を蹴り抜いたはずの右足が範馬勇次郎の左手によって捕らわれており、一切引き剥がす事が出来ない。

また大きく笑みを浮かべた勇次郎が蛇神の右足を掴んだまま左腕を大きく振りかぶった。

 

「死んでくれるなよ…!!」

「おまっ…!」

蛇神の身体を己の背中まで…否、腰まで届く程に体を弓のように反らし、一気に振り下ろした。

 

まるで槍投げの選手の投擲動作(モーション)のように、円盤投げ選手の投擲動作(モーション)のように、砲丸投げ選手の投擲動作(モーション)のように、物体を一方向に投げる(飛ばす)事のみに集中した姿勢(フォーム)

ただ今回の姿勢(フォーム)による力の進行方向は、真下。生物が立つ大地に叩き付ける事にのみ向けられていた。

 

 

ドォォォォォォォン!!!

 

 

「おおおおおっ!!?」

爆発音にも似た衝突音が響き渡り、徳川が思わず両腕で顔を覆う。

恐る恐ると腕を退かし目を開け、目の前の光景に絶句する。

地面が罅割れ、大きく陥没し、辺り一帯に無数の小石が飛び散って、庭から上がる土煙が先の一撃の威力を示唆している。

 

先の一撃で蛇神が背中から地面に衝突し、最低でも呼吸困難、もしくは失神していても可笑しくない。

これで決着だな、と徳川が踵を返そうとしたしたところで衝撃の光景を目にした。

 

「なッ!!!!???」

徳川は己の双眼を疑った。

 

「はぁ…はぁ…はぁ…」

「……!!?」

肩で息をしながらも両脚で立っている蛇神に対し、片膝と片手を突いている勇次郎。

あってはならない光景が徳川の眼前で起こっていた。

 

 

一体何が起こったのか、少しだけ時間を巻き戻そう。

 

片足を掴まれた蛇神シロナに対して範馬勇次郎が行った攻撃は至極単純。

力の限り地面に叩き付ける事。

 

ただそれだけの攻撃を行った…否、行おうとした範馬勇次郎に対して蛇神シロナは一瞬で状況を把握。

振り下ろされる直前に両腕を伸ばし両手を勇次郎の後頭部を掴んだ。

その結果、振り下ろされる勢いがそのまま勇次郎の頭部にも掛かり強制的にバランスを崩された。

 

勢い殺す事は出来ずとも、バランスを崩す事に成功した蛇神が次に取った行動は、両手を離し左腕を自身の後頭部に、右腕をバランスを取るために使用する事。

バランスを崩された勇次郎が体を起こそうしても尚、腕の動きは続いていた。蛇神の体を地面に近付けると必然的に間合いが開く。蹴り一発分の間合い(・・・・・・・・・)が。

 

ゴシャッ!と、衝突音が響くと同時に左足による蹴りが無防備な勇次郎の顎にクリーンヒット。

直後、蛇神が背中から地面に衝突する。

 

勇次郎の脳が僅かに揺らされ、蛇神が一瞬呼吸を忘れる。

両者一瞬で切り替え再度攻撃に移るが…蛇神が一手迅速()かった。

後頭部の防御(ガード)のために使用(つか)っていた右腕を地面に突き立てて、それを軸に体全体を半回転させてカポエイラの要領で強力な蹴りを叩き込む。

二度目の顎への蹴り。勇次郎の脳が揺さぶられ、()()()()()()()()。当然のようにそれを受け止めるが同時に膝を突かされる。

 

その直後に煙が晴れ、徳川が驚愕の声を漏らした。

 

 

「オオオオオオ!!」

膝を突いた勇次郎がゆっくりと立ち上がるが、行動を起こすよりも速く蛇神の追撃が始まる。

 

初撃、貼山靠(ティエ・シャン・カオ)

またの名を鉄山靠。一瞬で間合いを潰し、強烈な体当たりを見合う。

範馬勇次郎がほんの僅か後退する。

 

次撃、山突き。

範馬勇次郎の肉体を破壊しに掛かる。

が、範馬勇次郎は一切後退しない。

 

三撃、超音速拳。

秒間、17発の連撃が放たれる。

その全てが範馬勇次郎の腹筋に突き刺さり、呻き声を上げさせる。

 

四撃、防御無視の正拳突き・牙王。を繰り出すよりも前に範馬勇次郎の反撃。

叩き込まれる強力無比な打撃により蛇神の連撃が強制的に中断(キャンセル)され、わずかに隙が生まれる。

 

 

「悪くねぇが…軽いな」

「あ"?」

範馬勇次郎の言葉に蛇神が反応すると同時に拳が顔面に突き刺さる。

強制的に体を浮かされて、数メートル後退させられる。

 

「グゥッ!?」

「ん…?」

体を回転させて威力を殺し、着地すると同時に足元に転がる存在に気付く。

 

「邪魔!」

蛇神の足元に転がる物、先程瞬殺した範馬刃牙を片足で持ち上げて、その後片手で迫りくる範馬勇次郎に向かって投げた。

実の息子を投擲物として扱ったため受け止めるなりして一瞬でも時間稼ぎになってくれれば万々歳と考えた攻撃。

 

「刃牙!邪魔だ!!」

「ひっでぇ…」

迫りくる実子を目にしたにも関わらず己と同等の存在との闘いを前にするとただの障害物でしかない。故に片手で弾き遠くに吹き飛ばした。

それの原因となった張本人が軽く引きながら池に落ち行く刃牙を尻目に再度接近する。

 

「ぬんっ!!」

「ッ!!」

接近した両者の間合いが潰れ勇次郎が拳に力を溜めて、一気に放った。

開戦と同時に放たれた地面に腕がめり込む打撃以上に力を込めた一撃が蛇神に迫る。

 

ガンッ!

 

「ッ!?硬い!!」

「…()ゥ!!」

金属を殴ったような音が響いた。

勇次郎の拳が蛇神の体に当たっているが当の本人は微動だにしない。

 

これこそが蛇神シロナが唯一の弟子に己の技術の全てを与えるために編み出した武術。

 

名を蛇神(へびがみ)流。

 

その蛇神流の、基本防御術。

体中の筋肉を引き締め、関節を固定し、気功により硬度を高め、力を丹田に一点集中させる受けの型。

達人の領域ともなれば鋼鉄を遥かに上回る硬度にまで硬化させる事を可能とする技術(わざ)

 

技の名を、龍鱗

まるで龍の鱗の如き強度を持つ事からその名を付けた蛇神流の基礎技術の一つである。

 

「久し振りだ…私に龍鱗(これ)使用(つかわ)せたのは、お前で3人目だ。範馬勇次郎!!」

「お前になら、使用(つか)っても問題ないだろう。私の()!」

龍鱗を解き、目の前の相手を強者と認め己の持つ全て使っても問題の無い相手だと判断し、両腕を上げた構えを取る。

 

「…面白れぇ。ここまで血が滾ったのも久し振りだ!全力で相手しよう!!」

蛇神の変化を直に感じ取った勇次郎が上着を破り、背中に『鬼の貌』を出現()す。と同時に()()()()()()

 

二人の腕力家同士の闘いがついに決着の時を迎えようとしていた。

 

「……」

「……」

両者、相手の出方を伺うまでも無く一気に踏み込み、互いの間合いを潰し…

 

ガガンッ!!

 

「ッ!?」

「なるほど…以外と便利だな。これ(龍鱗)も」

お互いの拳が突き刺さるがあろうことか勇次郎が()()()()()龍鱗を完璧に真似た。

これによって発生した蛇神の一瞬の動揺を見逃す事無く追撃を加える。

 

 

と同時に、蛇神が半歩引き勇次郎の拳を避けて、逆に手首を掴み柔道と合気の併用技で投げ飛ばす。

投げ飛ばされた勇次郎が着地しながら開手し、反撃を加えようとした瞬間、二本の指で人差し指を抓まれている事に気付く。

 

「ウーシィの指固めか!」

「正解。よく知ってるね」

禁技を前に一瞬で小指を下ろそうとしている蛇神の指の拘束を振り解き、強力無比な前蹴りを浴びせる。

 

「あ?」

「凄いな…お前」

だが直撃したはずの勇次郎の拳は、まるでティッシュを殴ったかのような感触しか返さなかった。

 

消力(シャオリー)か。中国武術の高級技をいとも簡単に使用(つか)ってみせるか」

「文句でもあるかい?強き人。強者が弱者のための技術を使用(つか)う事に文句でもあるかい?」

「いや、ねぇさ。好きに使えばいい!」

一瞬だけ落胆したような顔を見せた勇次郎だったが、すぐに笑みを浮かべ拳を構えた。

 

「そうか…なら、続行(つづ)けるぞ」

そう言って()()()()()()()()()()()()()()()勇次郎に向かって歩き始めた。

 

 

範馬勇次郎と蛇神シロナの制空権が触れ合う…

 

 

「あ」

「あ?」

その直前で蛇神が間の抜けた声を上げて戦闘態勢を解いた。

それに釣られるように勇次郎も構えを解いた。

 

「徳川の爺さん、闘い始めてからどのくらい経った?」

「え?あ?あ、ああ。えーと、もうすぐ2分半経つな…だが何故そんな事を?」

突然話を振られた徳川が慌てたように部屋の中の掛け時計を見て時間を告げると、蛇神の戦闘意思が完全に霧散した。

 

「よし!範馬さん、約束通り1分付き合ってやったぞ。それ90秒のおまけも付けてやった。これ以上は普通に文句を言うぞ」

「それと徳川の爺さん。そろそろ私の話も聞いてくれないか?一人と仕合する事にそれなりの金額を支払って頂きたい。強さならもう十分に見せたし、文句無いだろう。文句ないよな?」

「これ以上実力を見せろってんなら流石にキレるぞ?ほらさっさと入れ。話をしよう」

一呼吸でそこまで言い切った蛇神を前に勇次郎と徳川の両者が呆気に取られ、どちらともなく溜め息を吐いた。

 

 

「それとな、私の仕合についてだが可能な限り客を入れないで欲しい。ただの格闘技ファンに見せる程私の武は安くないのでな。お、ちゃんと熱いなこの茶」

「分かった分かった。すぅ~、ふぅ~」

「ケッ!良いご身分だぜ」

一方的に注文を出す蛇神に若干呆れ気味に返す徳川と先程自分と互角に近い闘いを繰り広げた相手と同一人物だと思えない程の変わりように悪態を着く勇次郎の二人が蛇神と同じように胡坐を掻いて座っていた。

 

「して、最初の相手は誰を希望(のぞ)む?武神・愚地独歩?達人・渋川剛気?拳雄・烈海王?紐切り・鎬昂昇?日本一の喧嘩士・花山薫?神心会の最終兵器(リーサルウェポン)・愚地克己?それとも王者(チャンピオン)・範馬刃牙か?」

「いや、範馬刃牙はさっき倒したから興味無い。相手は既に決めてある」

徳川の上げた闘技者たちの誰とも異なる者を指名するつもりの蛇神に勇次郎が笑みを浮かべた。

 

「誰との対決を希望するんじゃ?」

「私が希望する対戦相手は…」

そこまで一口、茶を啜り続きを口にする。

 

 

 

 

 

 

 

「ジャック・ハンマーだ」

 

 

これが、地下闘技場にて新たな伝説として君臨する第二の腕力家のデビュー戦が決定した瞬間だった。




今度こそ今年最後の投稿です。
作者嘘吐カナイ。ジャングル、オレ、マモル。

次戦の相手は、ジャック・ハンマー。
最近の刃牙らへんで凄い活躍しているらしいジャック・ハンマーさんに頑張って頂きます。
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