ソードアートオンラインは自由度の高いゲームだ。

だからこそ、検証のしがいがある。



私はにわかのチキンです。変なところがあれば、優しくご指摘ください

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あんなゲーム、個人がすべて把握するなんて無茶だと思うんだ。


街はずれの発表会

唐突だが、ソードアートオンラインは自由度が高い。

 

アインクラッド内という制限(それにしたって十分広い)こそあるが、理屈の上ではどこにだって行け、観光することが可能なのだ。

 

そう、”理屈の上”では。実際は敵モブ、地形などで制限を受ける。

 

 

「というわけで、今回ご紹介いたしますは”重複剣ジャンプ台”!これは重なったエンティティが生み出す反発力で跳躍力を上乗せするものです。たぶん理論上高さの限界はありません!」

 

 

多分ってなんだよwと軽く野次が飛ぶ中、街はずれの広場で青年が10メートル前後のジャンプを繰り返してみせた。ギリギリ圏内なのか、落下ダメージの類は受けていない。

 

 

 

いつごろからか、第6層主街区スタキオンのはずれで、度々このような発表会が開かれるようになった。

 

始まりは、この街のパズルが解けない人向けの講習会みたいなものだったと思う。

この街スタキオンは酷いもので、建物のメイン玄関を除くあらゆる”扉”に多種多様なパズルが仕掛けられており、利用するにはパズルを解かなければならないのだ。実にバリアフリーに欠けており、慣れていても面倒くさく感じる。

当然パズルが解けなくて立ち往生する人が続出。プレイヤー各位は街の機能を利用するため、不定期に開催されるパズル教室に参加せざるを得なかった。

 

しばらくして主戦場が第6層から7層、8層に移ると、当然のことながらスタキオンの利用者は減少、需要の減ったパズル教室はいつの間にか、こういった発表会へと変貌した。

 

 

「開発経緯としては、以前どなたかが発表した”盾グライダー”の利便性を向上できないかと考えたことです。盾グライダーは現状プレイヤーが飛ぶ唯一の手段ですが、グライダーという名の通り、滑空しかできません。よって盾グライダーを移動手段とした場合、使える場所がかなり限定されます。

しかし、このジャンプ台と併用することにより、クリスタルや転移門を使うことなく街から町、村から村へ移動することが可能です。エリアによっては、接敵リスクをゼロにすることも夢ではないでしょう」

 

 

盾グライダーは発表会黎明期に知られたもので、とあるプレイヤーがグライダー用に設計・製作した皮の盾だ。片手に主翼用の盾、もう片手に尾翼用の盾を装備することで方向転換もでき、発表時はかなりの反響を呼んだ。

ただし、あまり売れなかった。当たり前か。普通のゲームならいざ知らず、SAOはデスゲームだ。手を離せばお終いのグライダーなど、売れるわけがない。結局買ったのは、一部の物好きだけだった。たとえば、全身真っ黒な中二病とか。

 

 

「ある日わたしは、マ〇クラのエリトラのことを思い出します。詳しい方ならご存じでしょうが、花火が実装されるまで、エリトラはただの滑空しかできませんでした。そこで考案されたのは、ボートを重ねて反発力を生んだエリトラ発射台です。私はそのエリトラ発射台を、SAOでも再現できないかと考えました」

 

「しかし、SAOの物理エンジンは驚くほど優秀で、現実世界とそう変わりがありません。武器や防具、アイテムが重なることなんて、見たことがありませんでした。ですが先日、私は例外を発見しました」

 

「ご覧ください。地面など軟らかいところに武器等のエンティティが刺さると、それはもう別のエンティティと干渉しないんです!それでありながら、プレイヤー含むモブ等には干渉します。刺さっている武器の数だけ干渉し、大きな反発力を生み出すのです。_____おそらくこれは、バグ技の一種です。後に使えなくなる可能性を、ご考慮ください」

 

 

まあ、そのあたりの心配はあまりない。デスゲームが犯罪である以上、このゲームの管理は茅場一人か、あるいはごく少人数だろう。余程ひどいバグじゃなきゃ放置のはずだ。

周りも似たことを考えているのか、心配そうな顔は見えない。

 

 

「もちろん、反発力を生むには同時に複数のエンティティに触れる必要があるので、同じ長さの武器が大量にいりますし、武器は同じ向き、同じ深さで刺す必要があります。もはや職人技ですね。そのあたりの改善点は、また追々と」

 

 

実演を交えながらの発表は終わりを告げた。

あとは周りの者が好き勝手に改善点を言い合うだけ。やれこうすれば綺麗に剣が刺さるとか、やれどこの鍛冶屋が同じ寸法の武器を作れるかとか、まずはグライダーを改良すべきだとか、議論の種は尽きない。

 

意見のすり合わせは発表者の責任だ。まあ積極的に渦の中に混ざっている以上、あまり心配はないだろう。

うまいこと、勢いに乗れたようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

_____________

 

 

 

この発表会から数日後、ジャンプ台を使ってアインクラッド外縁部から未開放の階層に行こうとするプレイヤーが現れる。

 

この緊急事態に茅場はいち早く対応。階層と階層の境に透明な天井を設けて対策とした。

 

しかし今度は、その天井の上を歩いてアインクラッドから脱出を試みるプレイヤーが確認される。

 

またも茅場が対応する。該当プレイヤーを始まりの街に転移させた後、天井を撤廃。アインクラッド外のモブとエンティティの上への動作を制限し、対策とした。これによって一応の決着がつく。一連の流れは、後にジャンプ台騒動と呼ばれた。

 

 

 

………この騒動のあと、どうゆうわけかバグ技探求がブームになった。ほとんどの人は見つけられない、または見つけても大した事のないバグがほとんどだったが、いくつかゲームチェンジャーになり得るバグが見つかり、実際に修正されたものもあった。

 

バグを探求した者たちの志はひとつ。

 

 

”茅場を過労死させようぜ!”

 




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