椎名立希、及び9話で存在が明らかにされた椎名マキでエントリー。
※この小説は「祐天寺にゃむ=椎名マキ」と仮定して書いています。
また、椎名姉の名前を「真希」と仮定しています。
そんな訳ないだろって思う方は回れ右をお願いします。
「ねーねー
「なに?」
「お姉ちゃんと一緒に出掛けない?」
冷房の効いたリビングでアイスを食べながら休んでた私に、姉の
紫の髪を肩ぐらいで揃えて、赤目でにこにこしてる、愛想がいい姉。
何かしら不機嫌で、すぐにイライラする私とは似つかない姉。
「1人で行けばいいのに」
「えぇ~?お姉ちゃん泣いちゃうぞ?」
「泣かれるのは迷惑だけど一緒にはいかない」
「うーん...私悪いことしたかなぁ...」
その呟きが聞こえた時、私は動きを止めた。
違う。
姉が悪いのではない。
私が悪い。
勝手に引け目を感じて、勝手に避けてるだけ。
そよの居場所を聞くために月ノ森音楽祭の日にちを聞いた時ですら、ドア越しで終わった。
「...お姉ちゃんは、悪く、ない」
「え?」
「悪いのは、私だから...」
そう言うと、姉は後ろから抱きしめてくる。
悪くないと言った手前跳ね返すのはおかしいので、素直に受け入れる。
「お姉ちゃん、暑い」
「妹に避けられて寂しいんだぞ~?もっと構ってよ~」
「...わかった、でも抱き着くのは暑いからやめて」
「ん~...もうちょっとだけ、ね?」
肩越しに目を合わせると、姉はふわっと笑う。
「立希は抱え込みすぎちゃってるからね、もうちょっと甘えてもいいんじゃない?例えば」
「お姉ちゃんには甘えない」
「え~?あ、もしかして、バンドの子の中に甘やかし上手がいるのかな?」
「いない...訳じゃないけど、別にそいつに甘えようとは思わない」
脳裏に浮かぶ、ベースの顔。
半笑いで「あんなの嘘だよ」といった彼女には甘えることなんてない。
「ふーん?お姉ちゃんも気になるなぁ、立希のバンド。今度練習ついてっていい?」
「やめて、似てないって言われるから」
特にギター辺りに。
『お姉さんの方が愛想いいじゃん』なんて言われたら、私は確実にキレると思う。
「そっか、じゃあ立希のバンドは遠目から見て応援しておくだけにするね」
「...ありがとう」
「ん、どういたしまして。さて、準備しなきゃ」
そう言って姉は自室に戻り、ほどなくして着替えた状態で戻ってきた。
「...買い物?」
「うん、色々とね。冷蔵庫もすっからかんだし、ついでに行ってこようかな」
「...私も行く、待ってて」
「立希も来てくれるの!?やったぁ!」
その声を背中に受けながら、自室に戻る。
逃げ続けてるだけじゃ、何も生まれないから。
現在の気温を携帯で確認してから、外出用の服に着替える。
最低限の荷物を入れたカバンを持って、自室を出る。
「お待たせ」
「よーし!今日は駅前まで、レッツゴー!」
「駅前...」
「ほら立希も、一緒に。レッツ?」
「...恥ずかしいから、やらない」
「えぇ~?」
まだ、課題は山積みだけど。
簡単に解決する課題から、崩していけばいい。