野望も抱けずにひたすら生き残ろうとしてる畠山政頼さんの転生物語 作:区星
実は本猫寺側も有利なように見えて原作ほどガンガン要求を突きつけられるわけではない。
朝倉との和睦が進んでいること、そして武田信玄が奥州関東連合軍によって小田原城へ援軍に詰めざるを得ないこと。
これらの条件を踏まえれば畠山勢で本猫寺の兵力を足止めしつつ、浮いた三万で各地の本猫寺勢力を掃討して回ればたとえ本猫寺であっても石山本猫寺以外の勢力は壊滅を余儀なくされるだろう。
ある意味では原作との差が致命的になっているといえるだろうが……
「そうなると俺らが損なんだよな、四国に手をつけられなくなる」
実のところ、これで大損するのは本猫寺相手に真っ向から消耗戦をさせられて、四国遠征の余力もタイミングも失う畠山政頼が一番であり、割に合わないといえばそうである。
「実際そうだね、本猫寺と織田家が決裂したとして、今の状況を鑑みると勝つのは織田家だ、それはどう計算してもそうなる。ただそれでは私たちが困る、織田信奈は中国地方に伸長するだろうし、最低限私たちは長宗我部の東に蓋をして毛利と食い合わせるためにも讃岐阿波へ進出しなければならない」
清良が現状をわかりやすく説明してくれる。
「少なくとも讃岐阿波に進出しなければ織田信奈との対等な関係は維持できない。たとえそれが名目上のものであったとしても、対等であることは重要だ」
少なくとも三好義継や松浦光を動員出来るのは織田信奈との対等な関係があるから、だからこそ彼女たちは格下に甘んじてくれる。
だからまあ、今和睦できないと色々と困るんだよ。ほんとほんと。
…………
……
「ちょ、なによこれ。いやらしい!身体にぴちぴちでキツキツだし、胸元が丸見えじゃないの!誰がこんないやらしい衣装を考えたのよっ!」
信奈達が冥土服(猫耳)を着せられてる一方で、俺はというと……
「待てや、俺になにを着せるつもりだ?これはまさか……」
てっきり執事服でも着せられるのかと思いきや、渡されたのはまさかの冥土服。腹が立つことに胸元や腹回りのサイズはぴったし、着れないという返しすら許されない。
「政頼にも登場してもらうぬこ」
「…………こんなことなら来なければ……」
「っっっっっすぅー……ぷぷっ……あんたなによそれ、わたしを笑わせて良晴を切腹させるつもり?」
「うふふふふ、政頼さまの冥土服姿、わたくしから見てもよくお似合いですよ、うふふふふ」
久秀らに見事に笑われる一幕もありつつ、5番勝負に突入した。
この先は原作でもあった一幕なので軽く触りだけ紹介しておこう
一番目。
十代目、ジュウシマツ和尚、ねこに食べられて急没。
二番目。
関白、滑り散らかした挙句、落とし穴に落ちる。
三番目。
おみくじ 長秀お姉さんの過去暴露、長秀に激寒採点おばさんの異名がついてしまう。
四番目。
半兵衛ちゃんのおもらしネタ、あまりに不憫すぎて前鬼しか笑えず。
五番目。
五右衛門かみかみ、自爆。
…………
……
ともかく細部に違いはあったものの、おおよそ原作通りだった。
そういうわけでなんとか本猫寺に入れた俺たちはけんにょと交渉することになったのだが……。
…………
……
「ぐぬぬぬぬぬ」
「にょにょにょにょにょ」
先行き不安であった。
「なあ政頼はん、和睦なんやけど。どうするんや?このままやと和睦なんて夢のまた夢やで」
「正直、織田家は相良さえ帰って来ればあとは煮るなり焼くなりなんとでもなるからな、正直一年あれば領内なら大半かたをつけれる。織田本軍が警戒するべきなのは浅井ぐらい、その浅井も佐和山城主磯野員昌の降伏で身動き取れなくなっている」
「「え?!(にょ!?)」」
「まあ、そうなると俺としてはありがたくないからとっとと和睦して欲しいんだがな」
「なあ、けんにょ。正直俺としてはある程度条件呑んで和睦してもらえるとありがたい。少なくとも相良の返還は大前提として、一揆衆の解散と石山からの退去、どっちが呑めますか。と言う感じになる」
「にょにょ、流石に石山からの退去は呑めないにょ!でも石山退去だけで一揆は止めないでもなんとかなるにょ?」
「今の織田信奈には三好家を討伐するために動かした三万の浮いた兵力がある。それを動かして三河雑賀、長島と一個ずつ丁寧に潰していけば一揆に悩まされずに済むようになる」
「と言うか織田家は言うほど不利ではないし、むしろ……相良さえ人質に取られていなければ大阪退去か合戦かの二択を突き付けられてもおかしくなかった」
「政頼はん、さっきから織田信奈側に立っとるけど政頼はん自身の状況はどうなんや?信奈はんとけんにょはんが戦って一番困るのは政頼はん自身やろ?」
ぐぐぐ、痛いところを突いてくる。
「正直なところ、生半可な和睦なら蹴った方がマシ。と言いたいところではあるんだが、正直長宗我部の伸長速度が思った以上でな、この分だと早晩三好とかち合って呑み込んでしまいそうだ。流石にそれはまずいので四国遠征したいんだが……」
けんにょはなるほどなるほどと頷くと、こう切り出した。
「政頼にはけんにょと争ってる余裕はあまり無さそうにょ。織田信奈、相良良晴は返す代わりに本山の退去は飲まないにょ。三河と織田領内の一揆は当主命令で解散させるにょ、本当は和睦条件になかった相良の身柄も渡す代わりにこれを呑むにょ!」
「ちょっと待ちなさい、相良の身柄ってどういうこと?笑わない門を通った時点で返してもらえるはずじゃないの?」
「そんなことは使者の書状には書いてないにょ!」
「……そういえばそうだったわね……」
「でもあんた、一揆も門徒達が命令を聞かずに始めてるわけでしょ?本当に解散できるの?」
その後、けんにょが孫一に相良を婿入りさせる話を切り出し、会議は見事に決裂。南蛮蹴鞠合戦に突入することになった。
…………
……
「正直いうぬこ、天王寺砦に根来衆が加わってる以上、雑賀衆を出撃させれば地獄絵図になるのは確定ぬこ。織田信奈も若江城に三万の軍勢を入れてるぬこ、各地の一揆を各個撃破されては本山だけでは戦えないぬこ」
「土地の寄進は取り下げる代わりに、もし合戦になった時には足利将軍を経由して和睦を打診してくれないぬこか?」
「まあ、こちらとしても長期化はさせたくないしな。織田信奈には内緒だぞ」
その後、南蛮蹴鞠合戦の条件交渉はつつがなく進んだ。
………………
…………
……
南蛮蹴鞠合戦が始まったのは良いのだが完全に南蛮蹴鞠のセンスの無さが露呈して、ベンチ送りにされてしまった。悲しい。
まあ、ボールが足に当たらないようでは残念ながら当然と言えるだろう。
「がんばれー!!!!!信奈ー!!!!!!相良ー!!!!!光秀ー!!!!!」
下間三連発が飛んできたり。
勝家がボールを割ったり。
けんにょが尻尾でボールをゴールで押し込んだところで。
「天下の副将軍の今川義元がこれより颯爽と参加しますわ!おーっほっほっほっほ!」
「足利幕府十四代将軍、足利義栄。わたしも来ました」
今川義元とお飾り将軍足利義栄がやってきた
「義元が言っても聞かないから止めるのも面倒でしたし、いい機会です。彼女の蹴鞠の腕、見せてもらいましょう」
キックオフされた直後、義元はグルグルと回り出し。そのまま鞠を蹴るとー。
「おいおいおいおい……入っちゃったぞ」
蹴られた鞠は高々と舞い上がり、本猫寺の面々を超え、球門へそのまま入ってしまった。
…………原作で見たけどやっぱり信じがたい光景だな。
「おーっほっほっほっむぎゅう」
これも見た
…………
……
その後、元康の眼鏡眼鏡で笑わない門が開いたり、相良が蹴り込んで勝ったりしたが……
織田信奈は大阪の地より相良を選び、和睦は成立した。
ともかく和睦は成ったようでなにより。
…………
……
「悪いお知らせとそこそこいいお知らせがあります、どちらから聞きたいですか?」
とか言ってたら信教と清良の二人が天王寺砦から駆けつけて来た。
「まあ、悪い方から聞いとくか」
「越後の軍神が動き出したよ、窮地の浅井長政を救援するために動いている」
おわ……まあ加賀を通過するには時間かかるから少しだけ猶予はあるか、蘆名盛氏でもうごかし……あっ。
「そうです、武田も蘆名も小田原城に釘付けです。上杉謙信の進撃を止められる大名はいません」
悪い方は大体わかった、いい方が聞きたい。
「いい方は朝倉義景との交渉がおおよそまとまったこと、今から信奈様にもお知らせします」
「どれぐらいの条件だ?」
「浅井家を滅ぼすこと、これが成立の条件です。朝倉義景は縁組と出家なし、それ以外は信奈様に任せるとのこと、家臣団は織田家臣団に本領安堵で組み込む」
「……まあ、そんなところだろうな。織田信奈が呑むかはわからんが……まあ朝倉義景と致命的に仲違いしてるわけじゃないから和睦出来るならやるか」
小田原かぁ、なんせ北条氏康が……実は好みといえば好みなんだけども。
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