野望も抱けずにひたすら生き残ろうとしてる畠山政頼さんの転生物語 作:区星
1話 転生したからと言って家臣団がまとまるとは限らない
畠山政頼は転生者である──と言ってもこれだけではピンと来ない人も多いだろう。わかりやすく言えば畠山昭高、いや現代では秋高の方が正しかったか。
もちろんこの世界が『織田信奈の野望』であることも知っている、原作は全部持っているからな。
それはさておき、割と大事な話をしておくと、今の俺は完全に宙に浮いている状態である。物理的にではなく立場的に。本来なら三好長慶の傘下に当たる立ち位置なのだが、“三好長慶”がいない今現在では宙ぶらりんもいいところ、更にいえば松永久秀と色々あったのでそっちに付かないと色々まずいのもあるのでかなり立場が弱い。グラグラのグラである。
つまりは……。
「政頼様、安見宗房が高政様を担ぎ出して謀反を起こそうとしている」
こうなるわけである。ちなみにこれを教えてくれたのは遊佐信教。幼馴染で、諸国漫遊時代には一緒に全国を旅した仲だ、一番信用してる家臣である、多分こいつに裏切られたら俺は死ぬ。歴史上では彼女に殺されるわけだが……正直そうされるような所業をしていたら致し方ないのかもしれない。
「わかった、すぐに対処する」
首謀者である安見宗房はかつては遊佐長教の家臣格であったが、彼の死後台頭し、家臣団筆頭まで上り詰めた姫武将である。……のだが俺から見ても野心家なところがあり、三好長慶の軛を外れたいまでは俺に心服していない。
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安見宗房の屋敷に踏み込むと、すでに忍びに縛られた宗房が転がっていた。
「申し開きはあるか?」
「ございませぬ」
「まあ、大方、長慶のいない三好に付き続けるのはまずいと判断したんだろうが……今はまだ早い。特に三人衆と義継様、久秀の関係が現状では破綻していない以上、ここで反乱を起こしたところで我々は三方を敵に囲まれることになる」
「では殿は、この状況を打開する策があると?」
ない、というか、対三好で自力で突破するのなんて姉貴が不可能だって証明してしまってる。三人衆だけを相手するとしても三好義継という看板を持っている以上兵力には事欠かない。三人衆を相手にするなら義継を切り離す必要がある。
「朝倉にしろ、六角にしろ我々に呼応する余力はない、朝倉はあると言えばあるが当主はそこまで動ける人物ではない。浅井は蓋をされているから出て来られるか微妙なところだ、どちらにせよ難しいだろう」
三好家の仲介として朝倉義景と会ったことがあるが、風流文化に優れた姫武将の枠を出なかった。原作より更に引きこもり要素が強くなり、政治的には手強かったが……。というかなんで朝倉義景が姫武将なんだ?信奈の原作だと男武将で、信奈に母の面影を見出すやべーやつだったはずなんだが。
「正直我々だけでは打開は難しい。今川の上洛を待つより他はないだろうな」
「それで政頼様、処分の方はいかが致しますか」
「家督の方は野尻家を継いでる妹に譲らせるとして、まあ命までは取らなくてもいいだろ。動機も根拠も理解できるし」
「では隠居の方で進めます」
「任せた」
後で丹下盛知や走井盛秀にも面会しなきゃな……
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なんやかんや後始末を済ませたのはいいのだが、織田信奈が上洛するまでは正直色々厳しいというか、独立大名顔するには勢力が全く持って足りてない、というのが事実である。南河内十二万石ではせいぜい三千人ほどしか動かせない。
そのためこの後の謀略、もとい信奈の上洛を見据えて調略すべき将がそこそこ居る。
三好家当主・三好義継、和泉守護代・松浦光姉妹。若江城家老・若江三人衆、松浦家家臣・松浦宗清、寺田生家姉妹。
この辺りを三好三人衆(※4人いる、原作通りだけどなんで?)から切り離せれば、相当大きなアドバンテージになる……はず。
特に神輿である義継、光姉妹も重要だが、それ以上に若江三人衆と宗清、生家姉妹は重要だ。彼らは“権威”ではなく“地盤”を持っている。
ちなみに久秀は暴れすぎたので三好家家中の信頼度はゼロに等しい、俺自身が動かないとまともに話を聞いてくれないだろう。
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若江三人衆は、池田教正、多羅尾綱知、野間長前で構成される、若江城城主・三好義継の家老衆である。
池田教正、野間長前は三好長慶の家臣格からの昇格、多羅尾綱知は元々細川氏綱の家臣だったとされ、長慶シンパが多い。
そういう縁もあって前者2人は幅を効かせる三人衆にはいい思いをしてないだろう、少なからず付け入る隙があるはず。
………………
…………
……
「あんたが畠山政頼ね? 私は池田教正、三家老の一人よ」
「ふんふん、三人衆と手を切って、ね。そういうなら場面をひっくり返す当てはあるのよね?」
「今“は”ない」
そう。織田信奈が無事桶狭間を生き残り、美濃を手に入れるまでは当てがない。三人衆から彼女たちを切り離したところで、勢力を保つには阿波勢があまりに邪魔すぎる。
「ふーん、未来にはあるってところかしら。いいじゃないの、あんたの提案に乗ってあげるわ。私は賢い男は好きなの」
……
…………
………………
「なんか多羅尾のお姉さんと池田の……なんでちょっとこいつメスガキっぽいんだろうね?はいいとして野間長前は手応えなかったな、掴みどころないというか」
「…………そうですね、政頼様が女子に好かれることは知ってましたが、ここまでとは……」
「え、あの反応ってそういう感じなの?」
「教正様はおそらくそういう反応です、私が以前あった時はあのような態度ではございませんでしたし……」
まじか。あのメスガキ、かわいいところあるじゃん。
…………
……
忙しい合間を縫って松浦家の調略も進めている。宗清と生家姉妹の方は順調に三人衆から切り離せているが、肝心の当主は微妙……といったところだ。
元々俺は三好家からみると新参なので致し方ないのだが……。
まあ三人衆が変なことをしてひっくり返ることに期待しておくしかない、つまり“待ち”である。
…………
……
しばらくの間、本当に特にやることがないので高屋城の点検をしていた。
高屋城はいわゆる連郭式と呼ばれるタイプの城ではあるのだが、本丸に安閑姫巫女陵がまるごと使われてる珍しいタイプの城である。不敬なことこの上ないが戦国乱世なので仕方ない。その分、毎月供物を捧げているが……これでいいのかは知らない。
それはそれとして、土塁の崩れや櫓の補修など、細々したところを整備していく。この辺を適当にしておくのもよくない。
そうこうしているうちに桶狭間の戦いが起き、今川義元は助命された。やっぱりこの世界は『織田信奈の野望』なんだな、とある種の確信を持てた。まあ、その割には朝倉義景が姫武将だったりと、色々違うじゃねーか要素も大きいのだが。
10話終わったら人物一覧とか現実世界の畠山政頼とか投稿したいけど要る?
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要る
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いらない
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まだ早い