野望も抱けずにひたすら生き残ろうとしてる畠山政頼さんの転生物語   作:区星

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今回はいつもより短めとなっています


25話 四国攻め 中

 

 京、二条城。

 

「将軍様から足利義昭の対策をしろと言われましたが、なかなか難しいですね」

 

「とはいえ放置していては、勢力を拡大させるばかり」

 

 朝倉義景という風流文化の象徴とも言うべき人物を二条城に据えることで織田信奈は京の民衆の不満、特に上京の古き商人たちの不満を抑えることに成功していた。

 

 一方でこの状況を良しとしない人物も多くいた。織田信奈を引き摺り落とそうと考える影の軍師一派である。

 

 故に、こうなるのは必然だったと言えよう。

 

「……焦げ臭いですね、まさか」

 

「幕臣を集めてください、消火活動に移ります!」

 

 破壊消火を幕臣たちが行うが火元が複数かつ大規模であった為に食い止め切れない。

 

 それどころか、旗本衆を率いて消火を行なっていた信奈が火の中に孤立し、火中で息が詰まって気絶するなど散々な結果に終わった。

 

 …………

 

 ……

 

「我々の力不足故に消火もままならないどころか、信奈様を危険に晒してしまうとは。義景様、申し訳ありません……」

 

「いいです、終わったことは仕方ありません。ですが……上京の大半が燃え落ちてしまいましたね」

 

 上京は古くからの住民が多い反信奈派の巣窟である。であるが故に、朝倉義景は決断を下した。

 

「これは好都合です。これより、京の大規模な再建を行います。焼け落ちた瓦礫を早急に撤去、撤去後は測量を行い、大規模な再建を行って、信奈様の元で新たな京を作り出すのです」

 

〜〜〜〜〜〜

 

「相良はん、はじめましてやな!ウチは塩飽水軍の長、宮本伝太夫道意。香川之景はんから兵糧を持って来たで」

 

「ああ、ありがとうな。だが瀬戸内の海は村上水軍の勢力下のはずだ、一体どうやって」

 

「ウチらは能島から更に東、小豆島との間の塩飽諸島を本拠地としてるんや、せやからここら辺はウチらや淡路水軍の庭、村上水軍がどれだけ精強であったとしてもここを知り尽くしとるウチらをそう容易く捕まえられへん」

 

 なるほど、と相良が頷き、更に続けた。

 

「香川之景って言うと三好家の家臣だよな、ってことは政頼からの支援か、ありがてぇ!」

 

「せやで、ウチら塩飽水軍は三好家から政頼はんに乗り換えることにしたんや」

 

 せやから今後はよろしく頼むで、と宮本伝太夫は相良の肩を叩き。

 

「荷下ろしが終わり次第引き上げるで〜」

 

 と言い、その言葉通り、大量の兵糧を船から降ろして帰って行った。

 

〜〜〜〜〜

 

 上京で火災が起きたらしく,織田信奈が巻き込まれて寝込んでいるとか。長宗我部軍が一宮城を包囲して展開しきっている以上はここで勝瑞城から安易に兵を引けるわけないので、残念ながら自力でなんとかしてほしい。

 

 と言うか、鬼も居ないのに上京の火災が起きるんだな,いやまあ忍びを仕込んで大規模に炎上させればいけるといえばいけるが。

 

 播磨戦線は朝倉景恒の活躍もあって上手く行ってないわけではないらしい、が決め手に欠くとか。ま,そりゃそうだよなぁ、宇喜多が一万、相良が…………七千行かないだろうなぁ。そりゃきついぜ。

 

「政頼様、よくぞ来てくれましたね。勝瑞城に詰める兵力は五千ほどと長宗我部軍を撃退するには到底足りませんでした。あなたの援軍があればあるいはと思っていたところです」

 

 実際のところ、一宮城で後詰決戦を行うには二万一千を相手にすることになり、少々厳しい。

 

 とはいえ、一宮城を見捨てるわけにもいかない、あそこはある意味で臍とも言える場所だ。

 

「長房、一宮城に伝令を出す。『長宗我部勢が粘り負けするまで耐えて欲しい、必ず決戦を行い勝つから』と」

 

 …………

 

 ……

 

 そこから更に六日が経った。黒田官兵衛が宇喜多直家に裏切ったらしいことや、それに怒った松寿丸を処刑すると信奈が言い出した情報が流れているが、まあどのみち真相は流れてくるだろう。

 

 そろそろ長宗我部軍も焦れてくるはず。

 

〜〜〜〜〜〜

 

「そろそろ潮時ですわね……思ったより城兵の士気も高い上統率も取れている、お互いにこの城に固執しては時間切れになりそうですわね。お分かり?」

 

 一宮城を囲う長宗我部軍も、勝瑞城の一万七千に背後を突かれかねないという不安と戦いながら包囲戦をしているためそこまで士気が上がり切っていない。

 

「お姉ちゃん、ということは畠山本隊と決戦に挑むんだね」

 

「一応抑えに吉田のお爺さまを当てるわ、わたくしが行軍してる間に背後を突かれては困るから」

 

 かくして一宮城を包囲していた長宗我部軍は吉田重俊率いる二千を一宮城の抑えに残し、中富川の南岸に陣を張った。

 

 

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