野望も抱けずにひたすら生き残ろうとしてる畠山政頼さんの転生物語 作:区星
奥羽最強の姫武将、奥羽の40年が15年弱に圧縮された結果13歳で家督継承and天文の乱参戦とかいうおかしなことなった上、会津黒の機動力を生かした電撃戦で大暴れした。
信奈が上洛軍を起こしている現在、俺は三好義継と松浦光の切り崩しをほぼ片付け、京で信奈を迎える準備を八割ほど終わらせていた。
心配していた松永久秀の動向も、どうやら信奈へ降伏の書状が送られてきたらしい。ひとまず安心ではある。まあ、この降伏が信用できるものではないのは原作からも明らかだが……。
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「岸和田城の松浦光様、若江城の義継様が織田信奈に味方し、三人衆を追討すると宣言いたしました!」
「松永久秀は、織田信奈の上洛に際し三好家と縁を切り、降伏すると書状を送ったようです!」
伝令が次々に告げる悲報に、三人衆は混乱を隠せなかった。
「これはまずいですね。我々は錦の御旗を奪われ、和泉を失陥したも同然です。織田信奈が六角承禎の籠る観音寺城を突破し上洛を成功させた場合、我々は畿内のほとんどを失った状態で相手をすることになります。岩成です」
現状、三人衆の勢力が届くのは摂津と山城の二カ国のみ。わりと洒落にならない状況だった。
「だが、あの観音寺城ぞ? そうたやすく落ちるはずがない」
「さらに言えば、松永弾正がそうそうまともに降伏するはずもない。蠍の猛毒を撒き散らしてくれるはずだ」
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観音寺城が一日で落ちたらしい。原作知識があるとはいえ、さすがに早い。早すぎる。
現状三人衆は和泉を失い芥川山城に籠っているので、正直怖くはない。
そろそろ上洛するだろうから、信奈の顔でも拝みに行くか……。
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「ところで政頼、三好義継と松浦家の調略はあんたが差配したわけ?光秀や万千代に聞いても知らないって言うのだけど」
「俺がやったのは三人衆からの“切り離し”だけだ。後の判断はそれぞれが決めたことにすぎない」
織田信奈に従えとは言わなかったが、若江三人衆の野間長前が強硬に「織田信奈に従うべき」と主張し、他の二人も賛同したらしい。
「デアルカ……あんたのこと、信用できないと思ってたけど、判断を変えざるを得ないわね」
もう一つ伝えておきたい情報がある。そろそろ来る頃──。
「「「織田信奈様、矢銭を納入しに参りました!」」」
朗らかそうな眼鏡の若い女、怜悧な眼鏡の少女、腹の底の読めない糸目の少女。
「左から『近江商人、西川仁右衛門にございます』『石山の土木商人、淀屋常安と申します』『京の角倉了以と申します、海外交易を軸としておりまする』──という感じだ」
「それぞれ一万貫ずつ納入するとのことだ。まあ、良くしてやってくれ」
織田信奈という戦国大名は、鉄甲船・常備軍など金のかかる施策を多く行う。その負担は御用商人・今井宗久に集中していた。
新興商人である彼女らを信奈に繋げることで、軍制改革の負荷を和らげられる。そして彼女たちが後の豪商となる未来を踏まえても、縁を繋ぐ価値は大きい。
まあ、一石二鳥というやつだ。
「デアルカ、これもあんたの差金よね?」
「一応上洛を前提として信奈の施政を伝え、協力する利を説いた。判断したのはあくまで彼女たちだがな」
「ふうん……さっきもそうだけど、自分の手柄にはしないのね」
「ある分だけ主張すればいい。要らないところまで俺の功績だと言っても、反感を買うだけだ」
俺が命じて動いた分なら功績だが、そうでない部分まで“自分の功績”と言うのは違うし、責任も持てない。
「…………」
「何せ、お前が天下を取った方が俺にとって都合がいい。そのためなら先んじて動くさ」
「その言葉、三好長慶にも言ってそうね」
「天から落ちようとする鳥と、天に昇る鳥に掛ける言葉が同じはずがないだろ。お前は、まだこれからがある」
織田信奈の野望の本編より三好長慶はずっと有能で、そして俺を助けることが招く犠牲を理解した上で俺を助けてくれた大恩人だ、だから──。
まあ、その話は後々でいい。織田信奈は俺にそこまで犠牲を払わない。だからこそ、同列の言葉は出せない。“俺のために死んでくれ”なんて言えるはずがない。
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「朝倉義景様から、上洛と義親様の将軍就任の前祝いの使者が来られております」
「デアルカ、通しなさい」
信奈の指示で現れたのは、180cmほどの長身で細身ながら筋肉もしっかりある、豹のようなしなやかさを持つ武将だった。
「俺は朝倉景鏡。朝倉義景の名代として参上した。まずは信奈様の上洛、祝意を申し上げる」
「ふうん、義景本人は来ないのね?」
「ああ。姫様は出不精でな。基本的に出てこない。よほどのことでもなければな」
「だから戦ではあなたや朝倉景恒が総大将なのね。どうりで義景姫が出陣した話を聞かないわけだわ」
朝倉宗滴亡き後、景鏡と景恒が宗滴の役割を分担している。総大将は景鏡、先鋒は景恒。もっとも景恒は越前金ヶ崎という対若狭武田や浅井最前線の城を預かるため、出られないことも多い。
「それで、義景に恭順の意思はある?」
「織田信奈が将軍を掲げている以上、こちらから攻め込むことはない──と義景様は仰っている。俺も景恒も同意見だ」
「デアルカ……こちらも今のところ、朝倉領に攻め込む予定はないわね」
大嘘である。信奈は義景が上洛しないことを理由に攻め込むつもりである。対上杉で越前は重要であり、ここが謙信に付けば大きな痛手になる……というのが理由だが。
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あれから相良が関白にヘディングしたり、三人衆が阿波に逃げ帰ったりと色々あった。摂津の大物・池田勝正がそそくさと降伏してきたのは意外だったが。
中でも一番困ったのが──。
「私がいない間の京の防衛は政頼、あんたがやりなさい。一応、留守役に光秀を付けるけれど。三好義継や松浦家の指揮権は任せるわ」
……とのことだった。
原作通りなら、松永弾正の軍を俺が防ぐことになる。きっっついな。
ただ、三好義継や松浦家の指揮権を得られたのは悪くない。信奈の承認下なら、三倍以上の軍勢を動かせる。
畿内が片付けば四国遠征も視野に入る。その意味でも悪くない。まあ原作通りなら、姉川・岐阜・石山本猫寺の一揆など、その前にやることは山ほどあるが……
というわけで、武田信玄が上洛のため動いている報もあり、信奈の主力は美濃・尾張に戻った。もっとも本人は堺にいるのだが。
実は俺も堺に少し用事があり、傘下に無理やり入れられた二人を連れて行くことにした。
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「というわけで、堺で十二万貫文を稼ごうと思うの! 一攫千金よ!」
「そこで、お忍びで堺に乗り込んだってわけか? 危ないだろうが、信奈」
「あら、わたしは信奈じゃないわ。わたしの名前は〝吉〟よ。尾張のういろう問屋の一人娘。そしてあんたは、丁稚のサル」
どうやらいちゃこらしてるらしい、今出向くと馬に蹴られそうである。
しばらくたこ焼きでも食いつついい感じの屋内にいくのを待つか。
「ほい、義継。あーん」
「…………本気なの? わざわざ堺に来てたこ焼きだけ食べてるって、時間の無駄だと思うんだけど」
「まあ、今井のおっさんでも出てこない限りは別にやることないしな」
「それもそうね」
ふーふー、ぱくっ(もきゅもきゅ)
「光、お前も食えよ」
「いただきます。しかし護衛とか付けなくても良いのですか?」
ぱくっ(はふあふ)
「腕利きの忍びを入れてるから問題ない。万が一あれば最悪俺が戦う」
まあ上杉謙信が単騎潜入するようなことがあれば別だが……今はそんなことはありえない。
「綱知が実は潜んでるから問題ないわ、最悪この男に任せて逃げればいいし」
「義継ほら、もう一個あーん」
もきゅもきゅ。
「光ももう一個」
はふはふ。
………………
…………
……
義継と光に腹いっぱいたこ焼きを詰め込んだところで、今井宗久と津田宗及が現れた。どうやら相良が光秀に何かやらかしたらしく、仕事で勝負となったらしい。
日頃の評判的には色気づいたサルもいいところで、残念ながら当然の扱いだが、今回は無実なので置いておこう。
とっとと今井屋敷へ行くぞ、おー!
…………
……
「あんたが紹介したい人物って言うから誰かと思ったら……三好義継じゃないの。期待して損したわ」
「まあな。京にいる時は連れて来そこねたし、一度は顔見せしておきたかった。そこは許してくれ」
「この……なんというか、破壊と創造の権化みたいな姫武将が織田信奈? 命がいくつあっても逆らいたくないわね……」
「お、同じくです……」
三好義継、こんな美少女だったんだ……と呟いた相良が信奈にボコボコに蹴られている。今井屋敷なので逃げ場がない。草。
まあ気持ちは分かる。叔母の長慶から疲労と優しさを取り去って若返らせたような美少女だからな。
「まあ、あんた達は早々に恭順したから処罰はしないわ、若年だし今後は政頼の指揮下で活躍しなさい」
「「了解したわ!(です)」」
よし、これで実質的に和泉と北河内が手に入ったようなもの……いや、あくまで指揮権だけで金は入らないが。
それに適当なことをしていれば、信奈に指揮権を取り上げられるかもしれない。まあ、頑張るしかない。
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「フハハ……これがかつて天下人と呼ばれた三好家の末路か。後継者は麒麟児に尻尾を振り、恩を与えたはずの虫は獅子の身の切り崩しに精を出す」
「まさしく盛者必衰とはこのことよ。我もまた、そのうちこうなるのだろう」
「しかし……魔眼ですら測れぬ虫と日輪の子の顔を拝んでやるのも悪くはない。そのうち朝倉を攻めることになるであろうからな」
10話終わったら人物一覧とか現実世界の畠山政頼とか投稿したいけど要る?
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要る
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いらない
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まだ早い