野望も抱けずにひたすら生き残ろうとしてる畠山政頼さんの転生物語   作:区星

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津田信澄というと織田信奈では浅井長政とのCPですが
磯野員昌との間にも実は史実では養子関係があったりして、縁が深かったりします。
姉川の後にこのあたりは書きたいですね


7話 叡山に登られると割と大変

 朝倉軍は浅井軍と合流して叡山に登ってしまいました。

 あーあ。

 

 …………ここまで当主の朝倉義景のあの字すら出てこない、やっぱり引きこもりなのかね。という感想はさておき、朝倉景鏡は相当やるようだ。

 

 叡山に登るメリットとデメリットを踏まえた上で、原作の朝倉義景よりさらに一歩踏み込んで喉元に剣を突きつけてきた。

 

 朝倉に龍虎あり、と言われるわけである。

 

 正直叡山は一回空焼きでいいから焼いた方が絶対いいんだが、これもまあ私怨といえば私怨である。

 

「城塞として硬いわけではないけれど、女人禁制のせいで俺以外に織田軍を率いれる人間がいない。かと言って俺が指揮を取るのはまあ無理」

 

 織田家の家臣でもない以上は難しいだろう。

 

「正直叡山は腐り切っています。高僧は破戒僧を放置していますし、僧兵たちはその権威を傘に来て好き放題やっています」

 

 ですが叡山を焼いて得られる物はありません、と信教は付け加えた

 

「久秀然り長慶然り、叡山には煮え湯を飲まされっぱなしだ。ここいらでお返しをしておきたいところだが……」

 

 僧兵の解体ぐらいがちょうどいいのかもしれない。はらわたは煮えくりかえるが……

 

〜〜〜〜〜〜

 

「で、久政殿。叡山に籠るのはどなたの差金ですかな?」

 

「なんのことだか、さっぱり分かりませぬな」

 

 久政は白をきるが正直誰かの差金があったのは間違いではないだろう。

 

 比叡山に相当な縁故がないと浅井朝倉軍を素直に入れることなどないだろうし、流石に信奈が旧来の宗教勢力から顰蹙を買っていることを踏まえたとて、三家老や久政本人では案は思いついても通せないだろう。

 

「まあいい、これで態勢が整わない状態で決戦を強いられるのは避けられた」

 

「我々といたしましても、この度の戦いは降りかかる火の粉を振り払っただけです。全力の決戦を行うならば義景様の裁可が必要ですので」

 

 景恒が暗に浅井ほど今は戦意がないことを伝える、あくまでも今は、だが。

 

〜〜〜〜〜

 

 信奈が久秀の薬で目を覚ましたみたいなので現状の説明に赴く。

 

「おう、起きたか。さて現状の説明だ」

 

「相良は池田勝正の支援を受けて、撤退の最中。朝倉軍は宇佐山城を後にして、今は叡山に籠城している。厄介なことに叡山は女人禁制ってことで、織田軍は包囲しているだけだ、なかなか厳しい情勢だな」

 

「相良に関しては池田勝正率いる三千の兵力が伴ってる、そうそう首を取られることはない」

 

 一通り説明したところで信奈の顔を伺う

 

「……デアルカ……」

 

 ………………

 

 …………

 

 ……

 

 俺が戻ってから、何かがあったようで総攻めが決まった。

 

〜〜〜〜〜〜

 

「織田信奈は健在、叡山を総攻めするようです」

 

 伝令が驚愕の情報を投げ込んで来たのは深夜だった。

 

「な……なんじゃと!叡山を総攻め?!女人禁制の聖地であるぞ!?」

 

「……想定外だな、女人禁制を無視して攻め込んで来るとは……」

 

 軍記本を懐にしまい思案する。

 

「正直織田信奈は破格の人物と言う噂には疑問を抱いていた、義景様はそうおっしゃるがそこまでの大人物か?と」

 

「だが叡山を総攻めする、という判断を即座に下せるのはよほどの大人物か……もしくはただの阿呆か二つに一つよ」

 

 想像以上に面白い、そんな織田信奈が吉法師と呼ばれていた頃から目をつけていた朝倉宗滴という俺たちの師匠は、やはり尋常ならざる傑物だったのだろう。

 

「傑物は傑物を知る……か」

 

 織田信奈について考える回路を中断させて思考を今後の展開に切り替える。

 

「久政殿、織田信奈が総攻めに回る以上我々は乾坤一擲の大勝負、山を降りて攻撃を仕掛けるか。もしくは頭を下げて決戦を避けて和睦を乞うか……」

 

「まあ二つに一つだ、選びたい方を選ぶといい」

 

 久政は言葉につまり、顔を真っ赤にさせている。

 

「どうした?貴様に入れ知恵をした輩も叡山を総攻めされることは想定外か?」

 

「まあ貴様がどうしようが別にいいが、我々は和睦の方向で動かせてもらうぞ、義景様抜きに決戦など行っては何を言われるかわからんからな」

 

 さらに言えば三好の動きが鈍い、軍の立ち上げすら終わってないようだ。

 

「わ、わかった景鏡殿、和睦の方向で進めよう」

 

〜〜〜〜〜〜

 

 朝倉義景という姫武将は、本来の朝倉義景という男武将よりさらに風流趣味に寄った姫武将ではある。しかしながら政治に興味がないというわけではなく、どちらかと言えば外征に全く興味を示さない引きこもり系姫武将であった。

 

 いまは亡き朝倉宗滴は、彼女の内向性の解消を早々に諦めて三人の一族を育てた。朝倉景鏡、朝倉景恒、朝倉景健。朝倉景鏡には政務と戦の両面で義景を支えられるように、自身の養子の息子、つまり孫に当たる朝倉景恒には死の調練を施し、宗滴が背負っていた朝倉の武の部分を担えるように、姫武将である朝倉景健には万が一の時には義景を連れて逃げるようにと言い残した。

 

 その甲斐もあったのか、朝倉義景は父から代替わりして以降も自身で出征することはほとんどなく直轄領の統治や奉行衆が率いる為の常備軍の育成など内政に力を注いだ。

 

 その結果として一乗谷は栄華を極め、織田信奈に目をつけられることになったのだが、塞翁が馬である。

 

「吉統、吉統は居るかしら?」

 

 そんな朝倉義景が河合吉統を呼び出したのは、織田信奈についてまとめさせた情報の報告を見るためだった。

 

「はいぃ!ここに!」

 

「この間頼んだ織田信奈の情報収集は完了したのかしら。」

 

「出来ましてございます。」

 

 河合吉統がまとめた書類には織田信奈の上洛に関して事細かくまとめらていた

 

 例えば、相良良晴が公家に頭突きして信奈が庇った結果大量の銭を要求されたこと。たこ焼き勝負の顛末、朝倉攻めに至る経緯。などなど。

 

「宗滴の言うようにやはり織田信奈は傑物、わたしでは到底敵いません。ですが…… それでも抗って見たくはあります。大国の長として、一度は雌雄を決する戦いをしなければ頭をさげられません」

 

「次の決戦ははわたし自身が出ます」

 

 そう、朝倉義景は決意するのであった

 

〜〜〜〜〜〜

 

 佐和山城城主の磯野員昌は憤慨していた、息子を天下人にする為に出来もしない悪役を背負い出した大殿にも、大殿を止められなかった自分にも。

 

「…………」

 

 とはいえ憤慨していたが故に畠山政頼の軍勢を素通りさせたのは果たして良かったのか……

 

「と冷静になると、流石に通さない方が良かったとも思うけど……」

 

「でもでもやっぱり姫様も天下人になれるほどの傑物ではないけれど、姫様を押し込めて大殿が出張るのは流石にだめじゃん。私そういうのは良くないと思うよ」

 

 女の勘で気づいた自身の主君の抱える秘密をあっさりと暴露しながら員昌は続ける。

 

「私は姫様が戻って来たら一緒に戦うよ?もちろん浅井の家臣だから。大殿に着いていく気もしないしね」

 

「だからまあ、そんなに裏切りをそそのかす書状を送り付けたって意味ないよ、政頼くん。それは今じゃない」

 

「私にも体面というものがある、無駄に浅井の硬骨漢として思い込まれてる以上はそれに見合った裏切り方が必要だから」

 

 でも、私に声を掛けて来たのは正解なんじゃないかな、内実三家老に比べればよっぽど久政への忠義が低いのは本当なのだから。

 

 




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10話終わったら人物一覧とか現実世界の畠山政頼とか投稿したいけど要る?

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