シャーレの部室がある建物へ、リガドは侵入していく。
念の為変身は解かない。生身で弾丸を貰えば、流石の未来人といえどまずいからである。
地下にあると言われる、サンクトゥムタワーの権限を復活させる物……彼女はそれを獲得すべく、真っ先に地下へ向かった。
「うーん……これが何なのか、全く分かりませんね」
薄気味悪い地下には、一人の生徒がいた。
――狐。
狐の面を被った、和風の衣服を身に纏った少女が屯している。
彼女はすぐこちらの存在に気づいたらしく、踵を返した。
「あら? あなたは……」
「そこを退け。大人しく引くのなら、手出しはしない」
少女はリガドの脅しに屈さず、ふふ、と笑った。
「下手な脅しだこと」
そう言って、担いでいた銃で間髪入れず発砲する。
しかし、リガドには何の意味も無いという事を、地下にこもっていた彼女は知らなかった。
「……!」
「そうか……なら、ご希望に答えてやろう」
ホルダーから白いバックルを取り出し、力を抽出すべく右側の『グレードアセンブル』へ装填する。
【READY……!!】
【MAGNUM!!】 【INFINITY!!】
彼女の両手に、白き拳銃――マグナムシューター40Xが生み出される。
少女が身構える寸前、紅の弾丸は放たれた。
華麗なるステップで弾丸を避けるも、一発、二発の直撃は避けられず、その狐の面が砕け散った。
面が砕けた彼女は蹌踉めき、額を掌で覆う。
顕になった素顔。金色の瞳で指の隙間からリガドを睨む。
「くっ……」
額から血を垂らしながら、少女は颯爽と姿を消す。
動きを封じるのは簡単だが、仕留めるのは手間がかかる。わざわざ息の根を止める必要はない。
今のが七囚人の一人――狐坂ワカモ。今回の騒動の主犯。
逃がしはしたが、目的である物は取り返したも同然だ。
変身を解き、ステアはぽつんと置かれてあったタブレット端末を手に取る。
「……例の物を回収した。至急こちらに」
先生に連絡し、ステアはそれを眺める。
これを自ら操れないのは残念だ。ジリオンドライバーは、ライダーをハッキングできるものの、こういった類のものは不可能だろう。試す勇気もない。
暫くし、リンとともに訪れた先生にそのタブレット端末を手渡した。
リンの説明によれば、それは“シッテムの箱”。先生でなければ起動できぬ、連邦生徒会長が残した遺物――ともいえる産物である。
先生がそれを起動し、サンクトゥムタワーの権限は連邦生徒会のものへと戻り、シャーレは連邦捜査部として、キヴォトスの超法規的機関として活動を開始した。
――ここからが、ハイライトである。