三津芽ステアはじっと見ない   作:聖成 家康

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プロローグ③

 シャーレの部室がある建物へ、リガドは侵入していく。

 念の為変身は解かない。生身で弾丸を貰えば、流石の未来人といえどまずいからである。

 

 地下にあると言われる、サンクトゥムタワーの権限を復活させる物……彼女はそれを獲得すべく、真っ先に地下へ向かった。

 

 

「うーん……これが何なのか、全く分かりませんね」

 

 

 薄気味悪い地下には、一人の生徒がいた。

 

 ――狐。

 

 狐の面を被った、和風の衣服を身に纏った少女が屯している。

 

 彼女はすぐこちらの存在に気づいたらしく、踵を返した。

 

「あら? あなたは……」

「そこを退け。大人しく引くのなら、手出しはしない」

 

 少女はリガドの脅しに屈さず、ふふ、と笑った。

 

「下手な脅しだこと」

 

 そう言って、担いでいた銃で間髪入れず発砲する。

 しかし、リガドには何の意味も無いという事を、地下にこもっていた彼女は知らなかった。

 

「……!」

「そうか……なら、ご希望に答えてやろう」

 

 ホルダーから白いバックルを取り出し、力を抽出すべく右側の『グレードアセンブル』へ装填する。

 

【READY……!!】

 

【MAGNUM!!】  【INFINITY!!】

 

 彼女の両手に、白き拳銃――マグナムシューター40Xが生み出される。

 

 少女が身構える寸前、紅の弾丸は放たれた。

 

 華麗なるステップで弾丸を避けるも、一発、二発の直撃は避けられず、その狐の面が砕け散った。

 

 面が砕けた彼女は蹌踉めき、額を掌で覆う。

 

 顕になった素顔。金色の瞳で指の隙間からリガドを睨む。

 

「くっ……」

 

 額から血を垂らしながら、少女は颯爽と姿を消す。

 動きを封じるのは簡単だが、仕留めるのは手間がかかる。わざわざ息の根を止める必要はない。

 

 今のが七囚人の一人――狐坂ワカモ。今回の騒動の主犯。

 逃がしはしたが、目的である物は取り返したも同然だ。

 

 変身を解き、ステアはぽつんと置かれてあったタブレット端末を手に取る。

 

「……例の物を回収した。至急こちらに」

 

 先生に連絡し、ステアはそれを眺める。

 

 これを自ら操れないのは残念だ。ジリオンドライバーは、ライダーをハッキングできるものの、こういった類のものは不可能だろう。試す勇気もない。

 

 

 暫くし、リンとともに訪れた先生にそのタブレット端末を手渡した。

 リンの説明によれば、それは“シッテムの箱”。先生でなければ起動できぬ、連邦生徒会長が残した遺物――ともいえる産物である。

 

 

 先生がそれを起動し、サンクトゥムタワーの権限は連邦生徒会のものへと戻り、シャーレは連邦捜査部として、キヴォトスの超法規的機関として活動を開始した。

 

 

 ――ここからが、ハイライトである。

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