落第騎士達の物語   作:豚肉の加工品

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毎回、更新遅くなってすみません

かきました


翼という人物

対戦相手が決まった日から一夜明け、月曜日になった。

今日から『七星剣武祭出場枠』を巡る選抜戦というものが始まった。

会場は異様な盛り上がりを見せておりアナウンスによって出場選手の説明がされる、それによって益々盛り上がる会場の声は選手たちの待合室にまで響いていた。

 

「随分と盛り上がってるね…会場」

 

「そうね、別にそれで緊張はしないけど」

 

一輝とステラは何も動じず、たわいもない話をしている。

ステラはこういう緊張を押し付けられる場面には慣れている様子だ。

戦いに向けて戦闘ボルテージが跳ね上がっている、まるで貪欲に勝ちに拘る獣のようだ…

 

対して一輝は何かもどかしい様子だ。

気になることを言えず失敗をする人みたいな、後々後悔するタイプの人間のように…

実際、人の心の中までは分からないが客観的に見ればそう見える。

 

「なぁ、リタイム。お前の相手は誰だ?」

 

「私の相手は一輝さんの妹さんですよ、同種の力を操る者として一度お手合わせをしてみたかったんです。まさかこんな大舞台で戦えるなんて嬉しい限りです」

 

笑顔を翼に向ける、でもどうしてかその笑顔を笑顔で返すことが翼には出来なかった。

水色に光る瞳はギラギラに輝き闘争心剥き出しの表情になっていたからだ。

皇族は皆こういう感じで戦いになると危ない雰囲気を出してしまうのか?

それは色んな人物に会って見ないと分からない。

 

「翼は大丈夫なのですか?あの弓男は見た目以上に強そうですよ」

 

後ろを見ると女を侍らせ話している。

まるで翼に見せつけるかの如く、自分は余裕だぞ、と見せびらかしている。

 

「いや、俺は師匠に勝つまで負けらんねぇからさ。戦いが始まる瞬間まで余裕こいでる野郎には負けねぇよ…」

 

言葉を発した後の翼からは殺意を超えた、滅意が感じられた。

今日の翼は何かがおかしい。

おかげで待合い室の空気はカラッカラに乾ききってしまう。

いつもの翼ならどこかで日向ぼっこばりのことをしているくらいのまったり自己中を発揮しているはずなのに今の翼は何か違う。

具体的には言えないがおかしいのだ…

 

「翼、どうしたのですか?」

 

「何が?」

 

「何か今日の翼は変ですよ?朝からずっと…何を考ええているんですか?」

 

「いや、イライラすんだよ。」

 

頭を掻きながら、吐き捨てるように呟く。

その様子は相手に対して怒っているのではなく、今日の『七星剣武祭』に対して怒っているようだった。

 

それ以上の検索はしないように前に向き直って一回戦のカードを見ると白帆翼VS桐原静矢と書かれていて、一輝に至っては対戦相手は誰だか分からないと、とと何とかさんだ。

ステラは桃谷と表示されているが一切合切誰だか分からない。

 

そして会場から大きな声が聞こえる。

 

『さぁ~て!!今から始まるバトルは今回の大会、一番の注目カードぉぉお!!」

 

 

大きな電子板に翼と桐原の文字が映る。

 

それだけでも観客は大盛り上がりだ。

両者がバトルフィールドに歩いて向かう。

 

 

翼の足取りはいつも通りの調子だ、翼が異常なくらいに強いことは皆知っているFランクなんて嘘、という説も出てるくらいだ。

だから皆は翼に対しての声のかけ方が分からなく、さっきまでのうるささがなかったくらいに静かになる。

 

 

桐原の時は物凄くうるさいくらいの歓声を受けているが…

 

 

「やぁ、翼君」

 

「よう」

 

フィールドのど真ん中で声を掛け合う二人の様子はまるで友達が通りすがるときの挨拶のようだった。

 

「君と戦えるなんて、本当に嬉しいよ」

 

「俺は早く寝たいけどな~かなりいい天気だし」

 

 

二人の会話は全然噛み合ってないように聞こえるが、今の翼の戦線不告だ。

 

 

   ”早く終わらしてやるよ…”  という

 

 

 

「では両者、固有霊装を。」

 

 

「さぁ、狩りの時間だ〈朧月〉」

 

 

 

「…降り注げ〈白星〉」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

両者の固有霊装はどこまでも綺麗なものだった。

でも、今日の翼の〈白星〉はどこか輝きが強い気がした。

 

 

「さぁ、僕についてこれるかな?」

 

翼は無言で返す、更には踵を返しフィールド外に出ようとする始末だ。

 

「なにして―――」

 

まさか逃げる気かい?と言葉を続けようとしたが、それは無理なことだった。

 

「油断大敵ってやつだよ、馬鹿野郎」

 

目にも止まらぬ速さで、桐原の顔面を殴り倒す。

地面に強く体が当たりバウンドするほどだ、見ているこっちが痛くなってくる一撃だった。

 

バウンドした体に合わせ、翼は剣技を放つ

 

「流星剣〈煌き〉」

 

鋭い居合を放ち、固有霊装を壊そうとした瞬間に桐原の姿が目の前から消える。

音もなく、気配もなく姿が消える。

 

「君も、油断したみたいだよ?」

 

どこからともなく声がする。

 

でも、やっと楽しくなってきた。

 

 

「いいねぇ、機嫌が良くなってきた…!」

 

 

 

ニヤっと笑い、〈白星〉の輝きは益々強くなった…

 

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