ぼっち・ざ・いんむ!~ロックと化した先輩~ 作:ブリブリ大根
田所は家に帰った後、ベッドで横になり眠ろうとしたが…
「ピロンッ」
「ファッ!?」
着信音に邪魔をされた。…三浦からのロインだ。田所は起き上がってやわらかスマホに手を伸ばした。
『ドラム初めたゾ』
「……ファッ!?」
田所は驚いた。まさか三浦さんも楽器を始めたのか、と。
『公園にドラム一式置いてあったから持ち帰って来たんだゾ』
『まずいですよ!』
『ゴミを持ち帰るのは人間として当たり前だよなぁ?』
『ヌーン…』
田所は三浦に呆れていた。
『明日土曜日だから部活無いし一緒に練習するゾ』
『(明日バイトなので行け)ないです』
『バイト?初耳だゾ』
『まずうちさぁ、お金…無いんだけど、』
『知ってるゾ。じゃあバイト終わりに呼べ。練習するゾ』
『おかのした』
やわらかスマホを投げ捨てて、田所は寝た。
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翌日。田所はSTARRYに行く準備をしていた。持ち物はとくにないと虹夏から聞いているので小汚ないギターを持って田所は家を出た。
「行きますよーイクイク」
田所は小走りでSTARRYに向かっていた。すると…
ドゴッ
「痛ァアッ!!」
「オォン!」
何かとぶつかった。が、人間の鑑である田所はすぐにぶつかった相手の心配をした。優しいね。
「おっ、大丈夫か大丈夫か」
「は、はい!大丈夫です!」
ぶつかった相手は小柄で変わった格好をしていた。最近よく聞く地雷めイク?とかいうやつだ。
尻餅をついていた彼女は起き上がると田所の背中にあるギターケースを見るとなにやら小さい紙をポケットから取り出した。
「すみません、いきなりぶつかっちゃって~」
「大会近いからね。仕方ないね」
「そのギター、弾けるんですか?あ、あたしこういう者でして~」
「ヌッ?」
その名刺には、某ティックなトックでよく見るフォントで『ぽいずんやみ…17歳』と書いてあった。田所はその年齢詐称であろう行為にたまげた。
「ファッ!?」
「バンドとかやってるんですか?」
「TDN学生です。」
「が、学生?どう見てもそんな年齢じゃ…」
「お前じゃい!」
「うぅ…と、とにかく!少しお話伺っても良いですか?」
「しょうがねえなあ」
田所はぽいずんやみ17歳の取材に渋々答えた。
「ギター、見せてもらっていいですか?」
「見とけよ見とけよ」
そのギターを見て、ぽいずんやみは絶句した。
「な…なんですか?このギター…見たことない。」
「ヌーン…」
田所はこのギターの名前なんて分からない。…だがこのギターの持ち主は田所。彼はこのギターに命名することにした。
「そうですねぇ…」
「B-T-P810」
「…え?」
「ブッチッパ野獣」
「か、変わった名前ですねー…」
「そうだよ」
ぽいずんやみは少し考える仕草をして、田所に上目使いで話しかけた。
「今ここで弾く事ってできますか?」
「当たり前だよなぁ?」
田所はB-T-P810とピックを持って、自分の本能のままに掻き鳴らした。
「ンアーッ!!」
『ブリュリュフツチチチ!!ブリョブリ!!ブリュリュリリリブツチチチ!!』
「………」
「イキスギィ!!イクイク…」
「も、もう結構です!!それでは!!」
田所が絶頂に達する前に、ぽいずんやみは去っていった。
「これもうわかんねぇな」
田所は少し遅れてSTARRYに向かった。
「お邪魔するわよ~」
「あっ、田所さん!遅かったから心配したんですよ!」
虹夏が怒りの表情を見せたので、田所は丁寧に頭を下げ、謝罪をした。
「すいません許してください!何でもしますから。」
「あ、頭あげて!」
田所は下げていた頭をあげると、見覚えのない人影が見えた。
「ヌッ?」
「そいつが田所か。」
「こちらがSTARRYの店長!そして私のお姉ちゃん、伊地知星歌さんです!」
「オッスお願いしまーす」
「変わったやつだな…じゃあ早速面接していい?」
「おかのした」
田所は店長に案内された椅子に座った。
「じゃあまず年齢を教えてくれるかな?」
「24歳です。」
「24?もう働いてるの?じゃあなんでバイト…」
「学生です。」
「あっ、ふーん…」
星歌は何かを察した。自分も二回留年した身だ。気持ちはよくわかるのだろう。
「なんでうちに来ようと思ったの?」
「まずうちさぁ、お金…ないんだけど。」
「ふーん。まぁいいか。とりあいずお前の働きぶりを見て採用するか決める。詳しいことは虹夏に聞け。」
「おかのした」
田所は虹夏の所へ向かった。
「じゃあ、早速仕事の説明するね!」
「オッスお願いしまーす」
虹夏は笑顔で田所に業務の説明をしている。本当に天使のようだ。
「こっちがドリンク。ここがテキーラでこっちがウォッカ、あそこがコーラでそれがファンタ…」
「これもうわかんねぇな」
「えー…じゃあドリンクの受け渡し頼める?ほら、あそこにお客さん居るでしょ?多分こっちに来るから、笑顔でね!」
「おかのした」
「すいません、コーラください」
「アイスティーしかないけどいいかな?」
「え?」
「田所さん!?」
虹夏は田所の発言に困惑していた。アイスティーの説明なんかしてないのに。
「す、すいません!うちのバイトが!」
「すいません許してください!なんでもしますから!」
「田所さん、コーラあっちなので、お願いします」
「こ↑こ↓」
田所は手際良くコーラを注いで、お客さんに渡した。
「おまたせ。」
「ありがとうございまーす」
「田所さん、もう少し丁寧な言葉遣いを」
「ヌーン」
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「お姉ちゃん、田所さんどうだった?」
バイトが終わり、田所は店長に呼び出されていた。バイト面接の続きだ。今から採用か不採用かのジャッジが下されるので、田所はパッチェ緊張していた。
「…いいんじゃない?言葉遣いはアレだけど働き者だし」
「オナシャス、センセンシャル。」
「シフトとか詳しいことはまた伝えるから。今日はもう帰っていいよ。」
「おかのした」
『ピロンッ』
「ヌッ?」
田所のやわらかスマホにロインが入った。
「バイトまだか?遅すぎるゾ」
「…しょうがねぇな」
田所はSTARRYを出てMURとの待ち合わせ場所である例の公園に向かった。